蛇のおっさんが幻想入り   作:幽玄ノ乱

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今回はスネーク視点のザ・ボスとのガチバトルとなります。
途中ギャグらしきものが混ぜ込まれていますが、ガチバトルです(・ω・)
では本編をどうぞ。


第十七話 師からの最後の訓練 終

ザ・ボスと組手をするのは本当に久しぶりだ。最後にした組手が師の殺害という、軍人としてでも耐え難いものだった。

しかし、こうしてもう一度ザ・ボスとの組手が実現した。気の毒とは思ったが、地獄の閻魔に感謝しなければな。

そんな感傷に浸っている間にも、ザ・ボスはその鋭い眼光でこちらを睨んでいる。だか、あの日のように完全な殺意ではない。口元にはうっすらと笑みを浮かべている。

ザ・ボスもまた、弟子との再戦を実現することができて少なからず喜びを感じているのだろう。もしくは、弟子の成長を見ることができるからなのだろうか。

ならば期待に応えなければザ・ボスに対する冒涜になってしまう。

地面を踏み込み、一気にザ・ボスの間合いへと入った。ここからは大怪我の危険を伴う領域だ。気を引き締めなければならない。

ーーーだが、次の瞬間体が宙を舞った。ナイフで心臓を狙ったのが読まれ、ザ・ボスに投げられたのだ。当然受け身を取る暇など与えられず、背中から地面に叩きつけられた。

ナイフを突き刺すために地面を踏み込んだため、ザ・ボスの投げの勢いと合わさって背中全体に鈍い痛みが走った。骨のきしむ嫌な音が聞こえる。あと少し勢いをつけていたら確実に折れていただろう。

このまま起き上がればザ・ボスの関節技を喰らうので、距離を取らねばならない。地面を蹴るようにして起き上がり、ザ・ボスの間合いから離れた。

よく見ると、ザ・ボスは最初にいた位置から動いてさえいなかった。ひょっとすると、死後の方が技に磨きがかかっているかもしれない。

ザ・ボスとの距離を保ちつつ睨み合いをしていると、ザ・ボスが挑発的に手招きをした。だが、その挑発に乗ったが最後、手痛い技をお見舞いされるだろう。

しかし、このこう着状態が続いても何も進展はない。どちらかが動かなければ、客観的に見てとてつもなくつまらない絵になるのは目に見えている。そうなればここまで読んでくれた読者がいなくなってしまう。

 

ーーーメタいんでやめてくれスネークーーー

 

なんだ? また天の声が……

 

「どうしたスネーク。こないのならこっちから行くぞ!」

 

おっと、少しぼーっとしていたようだ。亡き師匠ザ・ボスと組手ができるせいで、少し浮かれているのかもしれない。

気を取り直したのと同時に、ザ・ボスがとんでもない速さで走ってきた。単純に突っ込んでくるのならいくらでも対処法があるのだが、ザ・ボスはただ走りこんできているわけではないだろう。

カウンターをしようとして逆に投げられるなど、今まで何度もやられてきた。長い間訓練をつけられてきたため、ザ・ボスの攻撃パターンがある程度はわかるが、戦場でのザ・ボスは何事においても臨機応変だ。カウンターに対するカウンターなど条件反射でこなすだろう。

そう考えている間にも、ザ・ボスは俺の間合いに入り込んだ。

ーーー落ち着け、落ち着いてザ・ボスの動きを見れば、どんな攻撃が来るのかわかるはずだ。

集中力を極限まで高め、ザ・ボスの体を隅々まで観察した。コンマ数秒の間に、ザ・ボスの右手が少し動くのが見えたので、あと一秒もすれば掴みかかられるだろう。

自分の反射神経を頼りに、体をできる限り左へ動かした。次の瞬間、背にしていた木にありえない音を立ててザ・ボスの右手が突き刺さった。木はミシミシと音を立てており、今にも倒れそうだ。

ザ・ボスはすぐに突き刺さった手を引き抜き、避けて体制の崩れた俺の腕を掴むと同時にひねりを加えた。その時、痛みから逃れるためつい後ろ向きになってしまった。早くこの関節技を解除しなければ、右腕をやられてしまう。

しかし、ザ・ボスの腕力が強すぎて正面に向き直ることもままならない。

なんとかザ・ボスの手から逃れようともがいていると、突然ザ・ボスの手の力が緩んだ。これはチャンスだーーー

と、ザ・ボスの方へ素早く向いた時、俺の後頭部にザ・ボスの左手がかかった。

しまった、と思った時にはもう遅く、すでに体は空中で一回転していた。正面から蹴り上げられた脚には、空中でもわかるほどの痛みがある。

最初の投げよりはまだ余裕があったので、なんとか地面に叩きつけられるダメージは受け身で回避した。

急いで顔を上げたが、喉に金属質の冷たい感触があった。ゆっくりと首の方に目をやると、ザ・ボスが手入れの行き届いた輝くナイフの先を首に突き立てていた。

 

「まだまだだな」

「くっ……」

 

負けた……か。一度勝った相手なら勝機があるかもしれないと思っていたが、どうやら甘かったようだ。

 

「あれ、もう終わっちゃったんですか?」

 

最初は目を輝かせて見ていた妖夢だが、途中から見ていなかったようだ。ザ・フューリーが横にいるのを見ると、恐らく奴に話しかけられて見ることが叶わなかったのだろう。その証拠に、がっくりと肩を落としている。

 

「さてと、最後の訓練はこれで終わりだ。我々五人相手によく頑張った」

「ボス! 私も入れて六人です!」

「……七人相手によく頑張った。そんな訳で、実は幽々子にある提案をしてあるんだ」

「提案? それは一体……」

「焼肉パーティーだ」

「焼肉パーティー!?」

 

ザ・ボスの口から焼肉パーティーという単語が出たのには驚いた。そんなものとは一生縁のない生涯軍人だったからだ。もちろん、俺も焼肉パーティーなどやったことはない。

せいぜい任務中に見つけた動植物を生のまま食べるぐらいだ。もしくは、敵の食料庫にあったインスタントラーメンをそのまま食べることぐらいしかやったことがない(あれはあれで美味かったが)。

 

「よし、じゃあ白玉楼まで走って戻るぞ。恐らく準備はもう終わっている」

 

ザ・ボスがそう言うと、確かに焼いた肉の芳しい香りが鼻孔をくすぐった。その匂いを嗅いだ瞬間、腹の虫が鳴ってしまった。

 

「わかった。急いで戻ろう」

 

こうして、道中倒したコブラ部隊を回収しつつ白玉楼への帰路を急ぐのであった。

 

 




初めて地の文に「俺」という単語が入ったスネーク視点となりましたが、どこかおかしな場所があれば感想でご指摘ください。
次回〈第十八話 焼肉パーティー〉となります。
それでは次回もお楽しみに!
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