蛇のおっさんが幻想入り   作:幽玄ノ乱

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第九話 怪力乱神

鬼の女性と戦う羽目になったスネークの周りには、沢山の野次馬が集まってきていた。鬼の腕力がどれ程のものなのかは知らないが、人間と鬼の対決なんてハブとマングースみたいなものだろう。

スネークはとりあえず武器は使っていいのか聞いてみることにした。

「武器は使ってもいいのか?」

「うーん……まあそれぐらいハンデがあった方が楽しいか。武器は使ってもいいよ」

鬼の女性は自信満々だ。銃が使えるとなれば、少しは勝機があるだろう。

「そういえば、名前を聞いていなかったな。なんていうんだ?」

「私は勇儀だよ。早く始めようや」

勇儀は一刻も早く戦いたいらしい。スネークも早く地霊殿に向かいたいので、勝負を始めることにした。

「よし、そろそろ始めるか」

「さあ、掛かってきな!」

スネークはそう言われると、レーザーキャノンの引き金を引いた。高速でレーザーが射出され、一直線に勇儀へと向かって行った。

しかし、勇儀はとんでもない反射神経でレーザーを避けた。レーザーは音速を超えているはずなのだが。

「ととと、危ない危ない。酒がこぼれちまうよ」

そんなことを言いながらも、勇儀はかなり余裕のようだ。その証拠に不敵な笑みを浮かべている。

スネークは次の攻撃を仕掛けるため、グリップを開いて攻のボタンを押した。まだ試していないが、恐らく攻撃の強化だろう。

攻ボタンを押すと、銃身が変形し始めた。あきらかに体積が通常形態より大きいが、この際気にしないでおこう。銃口が光り出し、チャージを開始した。勇儀はそれが終わるのを待っている。自分を追い込むことが好きな辺りMなのだろうか。

チャージが完了し、銃身が融解しそうな熱量のレーザーを発射した。レーザーは周囲の建物や地面を焼き消しながら勇儀へ飛んで行く。

しかし、勇儀は全く避けようとしない。左手で拳を作り、おもいっきり振りかぶったかと思うと、レーザーに強烈なパンチを繰り出した。

そして、レーザーは勇儀の鉄拳により散り散りに飛散した。レーザーを拳一つで粉砕するのを見てしまったスネークは驚きを隠せない。

「おいおい、それで終わりかい? じゃあ次はこっちの番だ!!」

「くっ」

勇儀は地面が砕ける程の脚力でスネークに突撃し、スネークはそれに応えてサバイバルナイフを抜いた。

 

 

 

 

───そこからは一方的な勝負だった。レーザーを拳でかき消すような鬼にナイフ一本で勝てるはずもなく、ナイフごと殴られて一撃ノックアウト。少しは楽しめたということで地霊殿への道のりは教えてくれたが、腹ににぶい痛みが残っている。恐らくかなり手加減されていたはずだ。でなければ、スネークの身体はとっくに真っ二つになっているだろう(ナイフはぽっきりと折れた)。

勇儀に教えられた通り進むと、それらしい建物が見えてきた。建物の扉を開き中へ入ると、黒い猫がスネークの足下にいた。

よく見ると、尾が二本に分かれている。化け猫という奴だろうか。

しばらく黒猫と見つめあっていると、何故か黒猫から煙が出始め、だんだんと形が変わって行った。

そして、スネークは目を見張った。なぜなら、黒猫が人間になったからだ。どこから出てきたのか分からない猫車を持っている。

「久々のお客さんだね。あたいはお燐。さとり様ならあの部屋にいるよ」

「……すまないが、さとりとは誰だ?」

「え? さとり様に用があってきたんじゃないの?」

「ああ、確か……地獄の鴉、とやらに会いに来た」

「お空に用があるの?お空はいるけど……」

そこまでお燐が言いかけると、奥の部屋から小学生ぐらいの少女が出て来た。何か赤い目のようなものが体についている。

「あっ、さとり様」

どうやら、彼女がさとりのようだ。お燐の口ぶりからしてこの館の主だろう。

「お燐、私はちょっとこの人に用があるの。部屋に戻ってなさい」

「は〜い」

お燐は返事をすると、また黒猫の姿に戻り通路に走って行った。

「……さて、スネークさん。今日はどういう要件ですか?」

「何故俺の名前を……」

「あ、言わなくても大丈夫です。分かりますから……ふんふん、お空に用、ですか」

スネークは何も言っていないのに、考えていることを当てられてしまった。

(まさか、この少女の能力は……)

「はい。まさにあなたが考えている通り、私は人の心が読めてしまいます。……そのせいで……」

さとりはそこまで言うと下を向いてしまった。少し経ってさとりは顔を上げると、スネークを部屋に入れた。

スネークは椅子に腰を下ろすと、バックパックから葉巻を取り出して吸い始めた。

「お空に用があって来たんですよね。実は、ちょっと問題があるんです」

「それで地上が猛暑になっているらしいんだが」

「今お空のいる場所には私でさえ近づけません。お空の力、核を操る能力が暴走してしまっているんです」

核、という単語にいい思い出はない。核と聞くとザ・ボスを連想してしまうからだ。

スネークが考えていることはもちろんさとりに筒抜けである。

「すいません、嫌なことを思い出させてしまって」

「いや、俺はあの出来事を忘れてはいけない。忘れてはザ・ボスに申し訳ないからな」

「いい師匠だったんですね……話は戻りますが、核の制御が出来なくなり、地上は今までにない程熱されています。このままだと、幻想郷はずっと夏のままです」

「そいつはまずいな」

「なので、誰かに解決を頼もうと思ったのですが……」

「丁度いいところに俺が来た、と」

「はい。ですが、あなたは能力を持っていないようなので、今のまま入るのはお勧めしません」

そう言われたスネークは、これからどうするか考えた。が、全くいい案は浮かんでこない。

「能力を一時的に付けることができる薬でもあればいいんですが…….そんな薬はなかなかないでしょう」

「そうか……」

「とにかく、一度地上にお戻りください。帰りは勇儀さんに頼むといいですよ」

「分かった。また出直す」

「折角来ていただいたのに申し訳ありません」

スネークは席を立ち、部屋から出た。真っ直ぐに玄関へと向かい、地霊殿を後にし地上へ戻るべく勇儀を探した。

見つけるのに苦労するかと思いきや、案外すぐに見つかった。

「あれ? 地霊殿はもういいのか?」

「ああ、一度地上に帰ることにした。それでさとりからあんたに頼めと言われたんだが……」

「よーし、じゃあ縦穴のとこまで来な」

勇儀はそう言って縦穴の方へと歩いて行くので、スネークは着いて行った。

縦穴の所に着くと、勇儀はスネークの服を掴み、振りかぶった。

「お、おい! 何をするんだ!」

「じゃあ行くぞ……どりゃあぁぁぁぁぁぁ!!!」

勇儀はスネークの体を真上に向かって投げ飛ばした。とてつもないスピードでぐんぐん地上に近づいて行く。

無論、スネークの身体への負担は大きい。スネークは、次来る時はにとりに小型飛行機を作ってもらってから来ることを誓った。

 

 

 

 

 




スネークに能力を与えるとしたら何にしよう……
活動報告でアンケートをとってみようかと思うので、ご協力お願いします。
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