ムスペルヘイムソルフェージュ 仮面ライダー鎧武 外伝 仮面ライダー斧鉞(フェージュ) 作:鉄槻緋色/竜胆藍
・aパート
土砂降りの雨がアスファルトを穿つ路地裏に、一人の男が転がり込んできた。
夜の路地裏はほとんど暗闇に閉ざされており、周囲の建物には切れかけて明滅する裏口の灯りのほかに光源がない。
そんな中、傘はおろか何も持たずに、立ち上がる手間すら惜しんで両手で地を掻きながら這い進む。
全身ずぶ濡れのその男は、同様に濡れて張り付く栗色の髪を掻き上げて今来た方を振り返った。
「待てぇ! 待てやコラァ!」
「ひいっ!」
やがて体勢を立て直した男は、この豪雨を越えて聞こえてきた獰猛な罵声に悲鳴を上げて走る足を速めた。
どかどかと、あるいはびちゃびちゃと、濡れたアスファルトを激しく蹴り立てる幾重もの音が、続いてこの路地に駆け込んできた。
「あの野郎、どっちだ!」
「あっちだ!」
「ひいいいいい!」
見つかった。
背後に迫る危険な気配に男は悲壮な顔をさらに歪めて走り続ける。
「待てコラァ!」
「ああああ」
雨が殺到するこのビルに挟まれた昏い峡谷を、大勢の男たちがけたたましく駆け抜ける。
そこには、様々な種類のゴミを収めたポリバケツや用途不明の箱が、それぞれのビル毎にいくつも並べられ、積み上げられている。
しかも夜の暗がりの中。全力で走り抜けるにはいささか不向きな場所である。
そんなところで無理を押して走ったところで、置いてあるそれらの何もかもにもぶつからずに通り抜けることは非常に難しいだろう。
やがて男はポリバケツに蹴り躓き、中身を盛大にぶち撒けながら激しく転倒して散らばったゴミと一緒に路上に転がった。
「……はあっ、はあっ」
死にもの狂いで駆けてきた身体は既にあちこちが悲鳴を上げており、一度緊張を解かれてはもう、走るどころか起き上がることすらできそうにない。
「待てコラァ!」
「このクソ野郎、余計な手間ぁかけさせやがって!」
どかどかと、あるいはびちゃびちゃと、濡れたアスファルトを激しく蹴り立てる幾重もの音が倒れた男に追いつき取り囲む。
「立て、オラ!」
倒れた男の濡れた髪を掴み上げたのは、ずぶ濡れの黒のスーツを纏った、なんとも獰猛そうな男だった。
取り囲む他の男たちも似たような格好だった。
「おめえなあ、いい加減にしとけよ! なんだ借金総額二千万てよ! 舐めてんのか? ああ?」
「……あは、あはは」
激しい動悸に息を荒げながら、栗色の髪を掴まれて男はなおヘラヘラと笑い出した。
ふざけた態度が癇に障った黒服の男が、栗毛の男を殴り倒す。
そしてすぐに胸倉を掴まれて引き起こされる。
「ちょろちょろ逃げ回りやがって! なに考えてんだ! テメエの身体ぜんぶバラして売り飛ばしてもなお足らねえぞ!」
「……えー? ギリ、行けるんじゃないかなあ」
さらに殴り倒されて胸倉を掴み上げられる。
「足りるかゴミ屑! ああ、コイツどうしてくれようか……」
「おい」
そこに割り込んできた声に、黒服の男は栗毛の男の胸倉を離して立ち上がった。
「兄貴……」
遅れてこの場にやって来た男も、他の男たちとたいして変わらない出で立ちだったが。
周囲の男たちは一様に頭を下げて畏まった。
「……そいつ、アレだ、ブルートガルドに連れて行け。レート吹っ掛けて稼がせろ」
驚愕に顔を跳ね上げる一同の背後で。
土砂降りの雨に全身を強く打たれながら。
栗毛の男は、それを聞いて、口の端を歪めた。
陰惨な笑みの形に。
◆◆
淘滋がブルートガルドの四天王──トップランカーアーマードライダーたちに連れていかれたその後、手持ち無沙汰になった希沙は表通りの丼物チェーン店へ昼食に立ち寄った。
もともとの用事があるにはあったが、あの異常な戦闘に巻き込まれて興が削がれてしまったのだ。
希沙のような少女が単独で入るには若干悪目立ちのする店種ではあるが、今さらそんな事は気にしていない。
カウンター席に勝手に付くと、頬杖を突いて足をぶらぶら揺らしながらメニューを吟味する。
「すみませーん。A定食ひとつー」
「ああ、あとB丼大盛りふたつ、これテイクアウトで!」
「へ?」
いきなり真横からかけられた声に、希沙は驚いて隣を振り返った。
そこには、栗色の髪にゆるくウェーブをかけた優男が、断りもなく希沙の隣の椅子に腰かけていた。
店内は、ほぼ空席なのにも関わらず、だ。
「や! いい天気だよね!」
「……なんな、アンタ」
朗らかな挨拶に、希沙は半眼で問い返した。
その男は、アイドルだと言われても違和感のない非常に甘く整った顔立ちに余裕を含んだ笑みを浮かべており、眼光に込められた覇気と言い、嫌味無く高いレベルで揃えられたファッションと言い、それらを纏め上げてかつ昇華させる隙の無い腰かけポーズと言い、それこそ雑誌かテレビから抜け出て来たかのような完璧な美青年だった。
希沙に言わせれば、それくらい現実味の薄い金メッキのようなオッサンだった。
「こんなガキにコナかけてないで、あっち行けよ。通報されんぞ」
「ははっ。ボクはね、運命の出会いを大事にしているんだよ。つれなくしないで欲しいなあ。可愛い顔が台無しだぞ?」
「…………」
ああこういう阿呆のせいでただの挨拶が事案扱いにされてんだろうなと、希沙は詮無い事を考えてそっぽを向いた。
さり気なく片手をポケットに突っ込んでロックシードを握っておく。この至近距離で、余計な事をされようものなら即座に開錠するつもりだった。
「おまたせしましたー。こちらA定で」
やがて店員が持ってきた料理を受け取り、箸を割って食べ始めた。
「お次、お持ち帰りで」
「はいどうも!」
続いて袋に収められた弁当を受け取った男が、あっさりと席から立ち上がった。
「それじゃ、お先に!」
「……」
快活に挨拶されても、希沙はそれを無視して黙々と食事を続けた。
男は特に希沙の態度を追及することもなくそのまま店を出て行ってしまった。
気安く声をかけてきたにしては、あっさりと退出していった事に希沙はほっと胸を撫で下ろした。
あれ以上面倒を起こされてはたまらない。食事くらい穏やかに摂りたいものだ。
やがて皿を空にした希沙は、伝票を持ってレジカウンターに行った。
いつもだったらインベスを召喚して適当に食い逃げするものなのだが、今日はたまたま小銭の持ち合わせがあり、なんとなく気紛れで支払おうかと思ったのだった。
「お会計、千二百円になります」
「はあ?」
ポケットをまさぐっていた希沙は吃驚し顔を跳ね上げた。
有り得ない。なんだそれは。自分が注文したものは三百円足らずの代物だ。
慌てて覗き込んだ伝票には、あの男のテイクアウトの品代も含まれていた。
「待てやこらあ! どこいったこんクソ野郎!」
閑散とした表通りを鬼の形相の希沙が爆走する。
くだらない手口で嵌められた事に心底怒り狂っていた。
なお、希沙は金を一切支払わずに店を飛び出してきていた。自分の食い逃げや栗毛の男の詐欺行為などと言う社会通念上の道義的な問題などハナから眼中にはなく、自分が陥れられたという一点にのみ希沙は激しく怒っていた。
「……くそったれ! なんなんなんよ最近」
左右を振り返って栗毛の男の姿を探す。悠長にメシを食っていた自分を怒鳴りつけたい。もう男の姿は見当たらなかった。
希沙はそこにあった立て看板を八つ当たりに蹴り折った。
なんて日だ。組織の裏切者の男どもの事は置いとくとしても、淘滋に続き二人目だ。変な奴に手玉に取られるのは。
それとも、果たして美雨が言っていた「厄介な事」とはこの事なのだろうか。
確かに最近どうにもツキの巡りが悪い。やっぱり町から出て行こうか。
「…………」
とは言っても、余所に行く宛が思い付かない。
それに、嵌められた礼をしてやらねば気が収まらない。あの男を見つけられるかは実際絶望的だろうが、今のまま町から出るのは、まるで逃げるかのようで気に喰わなかった。
「あーあ。 ブルートガルド行ってみっかなあ」
気晴らしに、選手の誰かに代わりにブッ飛ばされてもらおう。
そんな事を考えて、希沙は来た道を戻っていった。
──そ れ は 最 後 の 選 択 肢 だ っ た の か も し れ な い 。
示す者も、質す者も居はしないが。
◆◆
肉と肉が打ち合う鈍い音が幾重にも響く。
広大な暗い空間に、檻に囲まれたリングがスポットライトによっていくつも浮かび上がっている。
それぞれのリングでは、オープンフィンガーのブローブをつけた男たちが取っ組み合い、殴り合っていた。
汗や、時には血や折れた歯が飛び散る凄惨な暴力のショーを大勢の観客が取り囲み熱狂していた。
そんな中で一際観客が沸いている一角があった。
たった今、一方がマットに崩れ落ち、ゴングが派手に打ち鳴らされて片方の勝利を宣言した。
両腕を上げ、余裕の笑みで歓声に応えているのは、淘滋だった。
「すげーじゃん今度の新入り!」
「こないだここに来てからもうずーっと勝ちっぱなしじゃねえかよ!」
「こりゃすぐにアーマーライドに上がるんじゃねえか?」
喧噪の中、巨大な電光掲示板に勝者である淘滋の選手番号と、その賭けの倍率と配当が表示されると、破られたチケットなどが吹雪のように舞い上がり、阿鼻叫喚の騒ぎがより一層激しくなった。
これぞ、淘滋が言うところの「闇賭博の喧嘩試合」。瑞架市の裏で「雨枷」の仕切りで行われている闘技場「ブルートガルド」の、下位リーグ「ワイルドライド」の舞台である。
やがて淘滋はレフェリーの指示に従いリングから降りて檻を出ると、取り囲むスタッフに導かれて喧噪のステージから立ち去っていった。
「ンマー! アナタ凄いじゃない!」
ここでは意外にも、選手一人ひとりに設備が整った控え室が与えられていた。
その自分の控え室に戻るなり、巨大なアフロヘアーを乗せ派手な化粧を施した長細い中年男性が入ってきて嬌声をあげてはしゃいだ。
「ああ、どうもアネさん!」
「スカッとするような全戦全勝! しかも鮮やかにKOするだけじゃなくて、観客を盛り上げるパフォーマンスも良かったわあ! どこかでこういうのやってたの?」
アロハシャツでクネクネと身振り手振りで興奮を示す男に、淘滋は頭を掻いて苦笑した。
「ははは。まあ似たようなもんだったけどさ。でも、過去の詮索はしないもんなんじゃないのかい?」
「あらヤダ。アタシったら」
アネさんと呼ばれた中年男は口元に掌をあててほほほと笑った。
男は、淘滋を含めた数人の選手のマネージメントを担当しているここのスタッフだった。
なお、本名は「
ちなみに淘滋は阿根倉を見るたびに虹色のブロッコリーを連想してしまうのだった。無論、口には出さないが。
「淘滋」
そこに、のそりと現れた希沙が控え室入り口のドア枠にもたれて声をかけた。
「あらキサちゃん! トウジ君とお知り合い? 珍しいわねー」
阿根倉が気さくに手を振るが、希沙は不機嫌に頬を膨らませて黙殺した。
「うふふ。じゃあお邪魔虫は退散するわね」
ごゆっくりーという言葉と投げキッスを残して阿根倉は部屋から軽快な足取りで出ていった。
入れ違いに希沙が部屋に入ってくる。
「よお、希沙ちゃん久し振り。 わざわざ見に来てくれたのかい?」
「別に。あんたが来るより前から、ずっといつも来てる所だんし」
むすっ、といった調子で希沙が応える。
「それよりさ。なんか大人げなくなん? あんた、格闘技の心得があんるんしょ? どいつもこいつも相手になってないじゃん」
「まあね」
あっさりと淘滋はうなずいた。
ここに来て初めてリングに上がった時、歓迎の挨拶として五人連続で戦わされた事があった。
それは恐らく、怪しげな新顔を早めに叩き潰そうという裏方の思惑による催しだったのだろうが。
だが、それは淘滋の圧勝で幕を閉じた。五人とも連続で瞬く間に叩き伏せてしまったのだ。
そして淘滋の見る限り、その五人よりも強そうな者が、この闘技場には見当たらない。
武術の心得のある者がいるにはいるのだが、どいつもこいつもその錬度は到底淘滋には及ばなかった。
「でも俺様、こんな事で思い上がったりはしない! 謙虚に無敵! それが俺様の、美学!」
きりっ、といった調子で、例の薬指を小指を立てた右拳をかざしてポーズを決める淘滋を、希沙は半眼で見遣った。
「あのさ。前から思ってたんだけど、なにそのキモいポーズ。アネさんの同類?」
「え? うそ? だめ?」
希沙の率直な感想に、なぜか淘滋はショックを受けたようだった。
「あれえ? いや、ウチの村の方じゃイカすポーズとして流行ってたんだぜ? コレ」
狼狽えぎみに例の薬指を小指を立てた拳を突き出して訴える。
「ウチの田舎じゃ「裏ピース」って言ってな、トバシた若者はみんなやってたんだけどなあ」
「あんた、どんだけ奥深い田舎にいたんよ」
希沙が心底呆れたように溜め息を吐いた。
「そんなん、見た事なんよ」
同じように指を曲げてみるが、その状態の手首を外側に向けるというのは、あまりやった事のない動作だった。
「いやあ? そういう希沙ちゃんだって、結構な田舎の出身じゃないかい?」
「!」
言われた希沙が、自分の右手を見下ろしたまま身を強張らせた。
「その訛り、
「……あんた、なんで……?」
顔色を失い唇を戦慄かせた希沙が淘滋を見上げ、震える声を絞り出す。
「ああ。ちょっと昔、立ち寄った事があんのさ」
「いつ! 何時の話?」
泡を食った様子の希沙が、掴みかからん勢いで淘滋に詰め寄った。
「俺が行ったのは、もう五~六年くらい前だけどな。日本一周辺境の旅~とか言って」
「……そう」
掴みかけた腕を力無く下ろして、希沙が沈鬱に俯いた。
衝撃に飽和したように放心した希沙を前に、淘滋はただ黙って座っていた。
それきり、控え室は重い沈黙に包まれる。
聞こえてくる喧噪が、遠い。
「失礼しちゃうわあ。アタシがー」
言いながら控え室を覗き込んだ阿根倉が、開きっぱなしのドアをコンコンと叩いた。
傍目にも重い空気だっただろうに、この中年男はそんな空気の破り方も心得ていると見える。
希沙は、はっと我に返ると慌てて壁の方へ退避した。顔を見られないように、鏡からも離れてそっぽを向いて。
「おうアネさん。どうしたの」
淘滋が何事もなかったかのように片手を上げて応えた。
「トウジ君、オーナー様が、お呼びよお」
言って、艶っぽくウィンクした阿根倉が指先でクイクイと招いた。
阿根倉に案内されたのは、この施設の一番奥の重厚なドアの前だった。
「裏白 淘滋をお連れしましたわあ」
「入れ」
ドアをノックした阿根倉が、返事を聞いて扉を開き、淘滋と、なんとなくついて来た希沙を招き入れる。
そこは高級そうな調度が並べられた部屋だった。
だが、石英病院の院長室よりは生活感があった。棚には書類が満載に詰められ、部分的に出し入れの跡があり、そして観葉植物がいくつか置いてある。
変わらないのは、奥のデスクの向こうにいる美雨の白衣と無機質な雰囲気だった。
「よう。久し振り」
「一応ここのオーナーなんでな。外じゃ気安い態度は控えてくれよ」
淘滋の軽薄な挨拶にも美雨は相変わらず素っ気なく応えた。
その淘滋の後ろには希沙がいたが、美雨は特に目を合わせもしないし同席を拒みもしない。
「で、お望みの闘技場だが、調子はどうだ?」
「なんとも物足りないな。相手にならない。あれで下位リーグの主力全部なのか? レートも偏るばっかりでだんだん申し訳ない気分になるし。 まさかこれがここの全力じゃあないだろう?」
「まあな。 だが新顔をほいほい上にあげる訳にも行かない、と考えている奴が多くてな。 手順とか様式美とか、なんかそういうものらしい」
「むう。美学じゃあしょうがないな」
美学じゃねえし。
後ろで希沙が胸中でツッコんだ。
「でもまあここ数日でだいたい実績は認められたようだ。おまえのアーマーライド入りが認められた」
「わあお!」
歓声を上げたのは、阿根倉だけだった。
「お望みの、生身では到底及ばない、人智を超えた力による戦いの舞台だ。 そこでは、こいつを使って戦う。受け取れ」
言って美雨が机から取り上げたのは、短いバンドで繋がれた二つの小さな機械。
先日、淘滋も使った、希沙の言うところの「アゲートドライバー」だった。
放り投げられたそれを、淘滋は危なげなく受け取った。
「それから、新入りにはこれも与えられる」
続いて投げ渡されたのは、ふたつのロックシードだった。
キャストパッドには、両方とも同じクルミの意匠が彫り込まれている。
「ルールは簡単。要は賭けだ。負ければロックシードは奪われる。欲しい武器は、勝って相手から奪い取れ。 あるいは、自前のロックシードを使用しても構わないが」
淘滋が独自にロックシードを運用している事を美雨が知らない訳がなく、また、それを淘滋が承知していない訳もない。
だから、美雨の言葉の最後については互いに言及しないし、するつもりもない。
「ところで、裏白 淘滋。おまえ、なにか格闘技を身に着けているらしいな。日本の武道か」
突然、話の内容を変えて美雨が問うた。
淘滋は頷いて答える。
「ああ。ウチの田舎のほうの古流武術の流派でさ。
「ほう。「フェージュ」か」
「……いや、「斧鉞」」
片手を出して訂正する淘滋に、美雨は怪訝に首を傾げた。
美雨は、聞 こ え た ま ま を繰り返す。
「……? だから、「フェージュ」だろう?」
「ぷっ!」
後ろで聞いていた希沙がたまらず吹き出し、淘滋の背中を殴りつけた。
「あんただって訛ってんじゃん! ぜんぜん通じてないよ!」
「ええ? マジ?」
「おい、おまえ」
笑う希沙に振り返る淘滋の背後で、美雨が阿根倉を呼びつけた。
「こいつのアーマーライドの登録名は、「フェージュ」だ」
「アイ・マム! ではそのように!」
「え? うそ、待って」
美雨の指示に敬礼で応えた阿根倉が、淘滋の制止も聞かずに不自然なスピードで部屋から駆け出していった。
こうしてブルートガルドのニューカマー、アーマードライダー・フェージュが誕生したのだった。