仮面ライダーガヴ×カシバトル スイート・ジェネレーションズ 作:壱肆陸
オレは鐘木チョコ! オアズーケ王国を倒すため、
パトロール中に救助した男は、お菓子禁止令を知らなかった。どうやら、菓子取団に襲われたことで記憶を失ってしまったらしい! 奪われたお菓子は取り戻したが、帰る場所が無いようだ。
男の名前はショウマ。聞けばオレ達と同じ
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「おはようございます、ベッコウさん!」
「おはようございます。早起きですね、ではまた掃除を頼めますか? ワタシは朝食を作っておくので」
「分かりました! ベッコウさんの朝ごはん、楽しみだな!」
ショウマが朝起きて最初に会うのは、このレジスタンス『チームキャラメル』責任者(代理)の
ショウマは言われた通り、サロンを箒で綺麗に掃除。もちろん、うっかり自販機やベンチを壊してしまわないように細心の注意を払いながら、だ。
人の役に立てると思うとついやる気が入り過ぎてしまう。その結果、逆に幸果に迷惑をかけることも何度もあったが、ショウマも随分と人間の力加減に合わせられるようになってきた。
そして、
そう、ショウマは『グミ』の
「結局、ここがどこなのか……どうやったら『はぴぱれ』に帰れるのか、分かんないままだ」
変わらず幸果や絆斗、あと一応叔父のデンテにも連絡はつかないまま。とにかく今はこの新天地で情報を集めるしかない。嘘をつきながら人と暮らすのは、慣れないが、いつものことだ。
間もなくチョコやポップン、レモネドも目覚め、朝食を終えると訓練の時間だ。もうすぐ大きい任務があるらしい。『フリーマーケット』がどうこうと言っていた気がするが、新参のショウマはどの道参加できなさそうだ。
「おはようございます! ってあれ? はじめまして、新しいお手伝いの人ですか? お疲れ様です」
「あっ、ハイ。ショウマっていいます。えーっと……どちらさま?」
「『ショウマ』って……えぇっ!? じゃあ、あなたがショウマくん!?」
「おぉ!? ぽた子ちゃんじゃねーか、この間のチーム分けぶり───」
「ぽた子さん!!」
休憩に入ったポップンが、玄関先にいたぽた子に気付いた……のを撥ね飛ばしてチョコが飛び出してきた。普段からハキハキとしているチョコだが、こんな爆発したような様子を見るのはショウマは初めてだった。
「こ、こんなにも早く会えるとは思わなかった!! 息災そうでなによりだ! 今日はどうしたのだ!!」
「朝から元気でいいね、チョコくん! えっと、今日は……」
「オイラが呼んだの。ちょっとだけ用があってね」
「なにっ!? レモネド、ぽた子さんに用とはなんだ!!」
「ナイショ。大したことない用事だから、そんな睨まないでチョコちゃん……」
レモネドも現れたが、ショウマには話の中身が見えてこない。目の前にいる少女は、チョコ達と知り合いなら
「あっそうだった。改めてショウマさん、チームグミの鶴田ぽた子です! ベッコウさんから話は聞いてます。最初気付けなくてごめんなさい……レモネドくんの話から、勝手にもっと小さい子を想像してて……」
「あー、ゴメン。確かに弟系って紹介したかも」
「……? ショウマは大きいぞレモネド。多分オレ達より年上だ!」
「まぁ気持ちは分かるけどな」
「よろしくお願いします、ぽた子さん! くん付けで大丈夫! 醤油とお米の良い香り……あっもしかして、煎餅の
「そうです! おばあちゃんがお煎餅屋さんやってたんですけど、あたしもお煎餅が大好きで……」
初対面のショウマにも隔てなく、明るく、そして優しい。そんな彼女と話していると、幸果の事を思い出してしまう。見知らぬ地でこんなに恵まれているのに、心の中で不安が身勝手に膨らんでいく。
一方、ぽた子とショウマが話しているのを見て険しい顔になっているチョコのことは、ショウマもチョコ自身もわからなかった。
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「ショウマのことだと?」
「うん、ぶっちゃけさ、チョコちゃんとポッちゃんはどう思ってる?」
昨夜のこと。ショウマが寝静まったのを見計らい、レモネドはチョコとポップンにそんな話を切り出した。
「どうって……いいヤツだな。めちゃくちゃ働きモンだし、馬鹿力だし、戦ってもめっちゃ強そうじゃねーか? あと、なんかデケェ犬みてぇで面白いヤツって印象だけど」
「ポップンの言う通りだ! ショウマはもう仲間だとオレは思っている! これから更に厳しくなる王国との戦いにも、ショウマがいてくれると心強い!」
夜中でも響くチョコの声には一切の淀みが無い。その言葉は純粋な気持ちの表れだった。しかし、チョコは自身が抱くもう一つの本音を、少しだけ視線を落として語る。
「だが……オレ達と過ごすことでショウマの記憶が戻るのかどうかは、確証が無い。ショウマは病院に行くよりここにいた方が思い出せると言っているが、正直なところオレ達には何もできんのが現実だ」
「……だな。いつまでもショウマをここに留めておくわけにもいかねぇ」
「己の不甲斐なさに恥じ入るばかりだ……! 記憶を失い、帰る場所が無い。居場所の無いことの辛さは……オレにも少しはわかる。だからせめて、ひと時の間でも、ショウマの居場所になってやりたいのだ」
それがレモネドが聞いた、チョコとポップンの答えだった。
ぽた子もすぐにショウマに心を開いていた。同じように聞けば、彼女からも似た答えが帰ってくるだろう。
『ピンチの時は必ずオレ達を呼べよ!? 絶対だぞ!? オレたちの関係が終わったわけじゃねーんだからな!!!』
『あたし達は本気で想ってんのよ!』
『キサマも! キサマの母も! 今もずっと互いを大切に思っている!』
レモネドはこの言葉を一生涯忘れない。母親のためとはいえ勝手に関係を切ろうとした自分を、彼らは責めるどころか尊重してくれた。彼らは悪を許さない正義の心を持つが、それ以上に優しく、お人好しなのだ。
そして、この中で最も人を信用しないのは自分だと、レモネドは自負している。
それが悪いとは思わないし、直すべきとも思ってない。
どんな時でもムカつくほど冷静なのが『レモネド=スカッシュ』だ。
だから、チョコ達が人を信じるのなら、疑うのは自分の役目だ。
「よっ、ちょっと話いいかな♬」
「レモネドくん! どうしたの?」
訓練を抜け、一人でいたショウマにレモネドは声を掛けた。要件はただ一つだ。
「ここに来てしばらく経つけどさっ。何かオイラ達に隠してる事とかあったら、正直に話して欲しいんだよね」
レモネドは道化の皮を被ったまま、目を細めてショウマに問いかけた。
机を拭いていたショウマの手が止まった。露骨に顔には出さないが、様子が変わったのをレモネドは見逃さない。
「いやさ、オイラ達もアンタを家に帰してやりたくて、色々調べてるのよ。隠し事なんて誰にでもあるもんだけど、ちゃんと話してくれた方がこっちもアンタの力になれると思う。だから……」
初対面の時から、レモネドはショウマを疑っていた。
何一つ根拠は無い。だから仲間を巻き込めないが、これを気のせいと放念することもできない。
チョコ達がショウマを心配し、想う気持ちは真実だ。だからこそ、もしショウマが彼らの想いを踏み躙るようなウソを吐いていたのなら、絶対に許すことはできない。
「───いや、何も隠してないよ。なんでそんなことを?」
「そっ、じゃあいいや。ゴメンね」
その答えを聞いたレモネドは、ショウマにあるものを手渡した。それを見てショウマは目を輝かせ、持っていた布巾を放り出す勢いで飛び上がる。それは袋入りの『グミ』だった。
「うおおおおグミ!! グミだ! こ、これ!! これ食べていいの!!??」
「ちょっとした就職祝いだよん♬ 遠慮せずにどーぞ」
お菓子禁止令でショウマも半ば諦めていた、紛うことなき本物の『お菓子』だ。袋を開け、手に取り、指から伝わるのは待ち焦がれたムニュムニュとした感触。ここに来てから冗談抜きで夢にまで見たお菓子、その一口を、ショウマは頬張る。
「あれ……?」
「……どしたの」
「いや……なんだか、このグミ……味が───」
「うおっと、こんなところにいた! 大変だぜレモネド、ショウマ!」
「すぐそこで菓子取団が暴れている! 今すぐ出動だ!」
そこに現れるチョコとポップン、そして緊急事態の報せ。
ショウマもグミを仕舞い、チョコ達と共に現場へと飛び出す。しかし、口に残っている強烈な違和感が、ショウマの思考を惑わせていた。
グミを食べたのにゴチゾウが生まれない。
そして何より、さっきのグミは『味がしなかった』のだ。
「俺、やっぱりおかしくなっちゃったのかな……?」
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当然だが、レジスタンスのアジトの場所は内密である。本部の場所に至っては内部の者でも知らないことが多いくらいだ。
逸れた話を元に戻す。要するに王国はレジスタンスの居場所を知らない。つまり、レジスタンス支部の目と鼻の先で菓子取団が大暴れしているのは、なんともマヌケな偶然であり、だがしかしポップンはそれでも一言文句を言わずにはいられなかった。
「喧嘩売ってんのかテメー!!」
「何の話だ! どこで暴れようが俺達の勝手……って、オマエ等はあの時の!!」
「む!? キサマは……!」
暴れる菓子取団の先頭に立つその男を見て、チョコ達は瞠目する。その手に持つ『きなこ棒』の槍は
「見覚えはあるが分からん!! 誰だ!!」
「ダイズーだ!! トレジャー菓子取団の!! なんで覚えてねぇんだよこのクソガキ!!」
「悪党の名などいちいち覚えてられん!!」
その名を聞いたポップンとレモネドが「あー」と薄い反応。
「グッド・テイス島に行く前に戦った泥棒だろ? オレ達が捕まえて、今ごろ刑務所に入ってるはずだろうが!」
「トレジャー菓子取団舐めんな、あんなとこ簡単に脱獄できるってんだよ! だが王国からは解雇され、クライアントも消えて失業! 『世界お菓子フリーマーケット』で荒稼ぎの計画もご破算だ! これも全部お前のせいだチョコレートのガキ!!」
「自業自得だ! 罪を償い、足を洗ってまともな仕事に就け!」
「正論通じるなら悪党やってねーんだよ! ここで会ったが100年目だ。四天王を倒しただかなんだか知らねーが、せめて顔面一発殴って退散させてもらうぜ!!」
志が低い。
しかし、以前は苦戦を強いられた相手。しかも今回は周囲に民間人もいて、敵は多勢。決して舐めてかかれる相手ではない。チョコ達は気を引き締め、敵の攻撃に神経を尖らせ───
「赤ガヴ」
民間人を非難させていたショウマの聴覚が捉えた、その忌み名。
降ってくる。圧倒的な質量が、圧力が。邪悪なまでの、その淀んだ存在感が。
襲い掛かるダイズーの威勢を吹き飛ばし、山のように集められた人々のお菓子を踏み潰し、それはまるで流星のように地表へと衝突した。
「あの時の、グラニュート……!!」
ショウマや絆斗と共に渦に飲み込まれたグラニュートは、やはりショウマ同様にここに来ていた。弁の立つあの細身な方じゃない。ガヴを一撃で蹴散らした、異形の巨躯を持つグラニュート。呼ばれていた名は、『ヒュドロ』。
チョコ達に尋常ならざる戦慄が走る。この存在が何か、敵なのか味方なのか、そんな一切の疑問が威圧に押し潰された。その目が語るのはどんな言霊よりも雄弁な『敵意』。今まで戦ったどんな強敵とも次元が違う。彼らにとっては初めて対峙する、人非ざる脅威だった。
「な……なんだこのバケモノぉ!? に、逃げ……いやバケモノがなんだってんだ! 俺達は菓子能力を手に入れたんだ! 警察だろうが熊だろうがバケモノだろうが負けるかよ! 退きやがれぇぇぇぇ!!」
「駄目だ! 逃げろ!!」
ショウマの咄嗟の制止にも耳を貸さず、装備を手にヒュドロへと牙を剥くダイズー。菓子能力はの力は絶大で、その強さは他の菓子能力以外を寄せ付けない。警察も軍もオアズーケ王国に太刀打ちできなかったように。ダイズーはそれをよく知っていた。
しかし、それも所詮は人の力だ。
一瞬だった。竜巻に投げ込まれた小石のように、ダイズーはヒュドロに易々と弾き飛ばされ、打ちのめされた。その時間を1秒と奪うこともなく。
ダイズーが痛みと共に己の敗北を自覚した。敗北に付随するのは言語化できない身勝手な激情。屈辱。しかし、それは余りにも悠長だ。怪物を眼前にして、そこでようやく彼は『死』を意識した。
それが断末魔となる寸前、ヒュドロの『ガヴ』から伸びた舌がダイズーを巻き取り、その身体をヒトプレスに変えてしまった。
そして、ヒュドロは自身の正面にいる人間を手あたり次第掴み、穴の底から鳴るような、しかし響きはせず深く滲む声で、捕らえた人間に命じる。
「───笑え」
理解できない、ただ残酷で絶対的な言霊。
その一言が彼らの逆鱗を撫ぜた。
「必剣、黒き稲妻!!」
「ポップン砲レベル3!」
「強炭酸バブルボルト!」
体が割れるような怒りを曝け出しながら、人質に当たらない完璧な軌道で、
ヒュドロは自身の認識に無い人間の力を目の当たりにし、それに酷く驚嘆すると同時に、ただ『両手を空ける』という判断を下した。
「……マジかよ……ッ!」
ポップンが絶望に近い驚愕をこぼした。肥大化した両腕が攻撃を全て受け止め、ヒュドロは無傷だったのだ。結果として捕まった人々は解放されたが、この事実は余りにも重たかった。
「キサマ……何のつもりだ!! 罪なき者を力で捕らえ、それに飽き足らず『笑え』だと!? 人の恐怖を弄ぶ、最悪で卑劣な行為!! 断じて許されるコトでは無い!!」
「……べゼロ様が、新たな『材料』を……欲しておられる。『状態』も、『品種』も、広く押さえたいと……そう、仰せだ」
チョコには決して理解できず、ショウマには
ヒュドロは闇菓子の材料となる人間を襲い続ける。そして、今ここに来たのはショウマがいたからだ。
(また、俺のせいで……!)
このままチョコ達がヒュドロと戦うのを黙って見ているわけにはいかない。自分の運命が誰かの幸せを奪うのだとしたら、それはショウマの手で片を付けなければならない。
しかし、今ここで変身すればチョコ達に正体を明かすことになる。
皆のことを裏切る行為になるかもしれない。もうレジスタンスにはいられなくなるかもしれない。だが、今はここで逃げるふりをして隠れ、『仮面ライダー』になってあのグラニュートを倒すしか……
「どこに行かれるつもりですか? そちらに戦場はありませんが」
意を決して一歩、ショウマが退いたその時。
ヒュドロとチョコ達の間に現れたのは2つの人影。白髪の男と、その後ろに控える少女。少なくともショウマには、ヒュドロを庇うように現れたその2人は『人間』のように見えた。
「アナタのご主人、べゼロ様は我々と共にいます。ワタシ達はアナタを迎えに来たのです。というわけでレジスタンス諸君、矛を収めて頂きたい」
「何を言っているのかわからん。キサマ達は何者だ!! 人々を襲った怪物を見逃せと言うのなら、納得のできる事情を話せ!!」
「あぁ、それは失敬。こんな大事なことを忘れるとは、やはりワタシはどうかしている」
男は姿勢を正し、絵に描いたような所作で頭を下げる。
怒りと困惑の渦中にいるチョコとポップン、その横でレモネドは気付いた。あの男の服装は、『ハイシャの会』やレジスタンス幹部が身につけているものによく似ている。
「ワタシは『
「
「えぇ。目的はお菓子禁止令の撤廃、世界の救済。しかし行動の方針が違うため、今は別の団体として活動しています。彼……グラニュートのヒュドロ様は我々の王国妥当計画に必要なのです」
もう一つのレジスタンスがあったなんて聞いたことが無い。故に、言葉の真偽は一切判断できない。だが、チョコ達はヒュドロが人々を傷付けていたのを、ショウマはグラニュートが人間に御せる存在ではないことを、それぞれ知っている。
「……納得いただけないようですね。まだ少し、プレゼンが必要なようだ。そしてなるほど、アナタの事情も概ね理解しました」
答えは『敵対』、その一択。
「フラン。彼らの相手をしてあげなさい」
「はい先生」
「開封条件、『フランへのダメージ』。『禁錮兵糧牢』」
蓋が閉じられた。光はあるが、周囲は銀色の円形空間。出口は無く、目の前にいるのはフランと呼ばれた少女のみだった。
「缶詰の能力、あの男の菓子能力か!」
「アルミの『パッケージ』みてーな『おまけ能力』か。『トゥンカロンハウス』に似てるけど、えらく殺風景だな。しかも……!」
「あぁ。さっきのアイツの言葉から察するに、ここを出たけりゃアンタを倒すっきゃないって感じか?」
レモネドの問いかけに対し、フランは
「お初にお目にかかります。わたしは
その言葉を待つことなく、チョコは持ったままのチョコレー刀でフランへと斬りかかった。
「ちょ、おいチョコ!? いきなり容赦ねーなオイ!」
「あの男は『ダメージ』が開封条件だと言っていた! まずはこの缶詰を開ける! ショウマが危ないのだ、躊躇などできん!!」
「……そう。それならそれがいい。わたしも嬉しい」
チョコの神速の剣をフランは回避していた。足元は床についたまま体を仰け反らせ、まるですり抜けたように。人間離れした体幹と柔軟さだ。
それだけではない。あの攻撃の一瞬、チョコは目撃していた。
フランは斬撃を避けつつ、袖のポケットから『オブラートに包まれた立方体』を口に放り込んでいたのを。
「戦いは考えることが多いよね。だから良い。取り繕う暇もなく、ウソも無い、ただ自分を使い潰すだけ。まるで熱された竈の中みたいで───それがわたしは心地いい」
フランは前髪を掻き上げ、赤いヘアピンで固定。その朱い眼光が3人を刺す。
缶詰の内部を甘い香りが支配する。カカオの香りも、ソーダの香りも、バターの香りも、全部飲み込んで塗りつぶす馥郁たるカスタードの香りと、僅かに尖った『焦げ』の香り。
「この香りは……! あの古い缶詰が消えた時の!」
「
缶詰内部の温度が上昇する。
『プリン』の
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「彼ら3人でしょう? 彼らに正体を隠していた、だから変身できなかった。もう心配はありません。缶詰の中から外は見えない」
チョコ達が閉じ込められるのを見ているしかできなかったショウマに、
「……お前は、何が目的なんだ! グラニュートと手を組むなんて、本気で言ってるのか!?」
「目的は世界を救う事。重要なので何度でもお教えしましょう。しかし、それには手段などいくらあっても足りない故に、見極めさせていただきたい。ヒュドロ様、ワタシたちの戯れに付き合っていただければ───そう、彼と戦っていただければ、べゼロ様のもとにお連れしましょう」
「な……!?」
話が全く見えないが、ヒュドロは
今度こそ変身をしようとしたその時、ヒュドロと
「イカヅチおこし!!」
降り注ぐ米粒と広範囲の電流。空飛ぶ煎餅『しあわせターン』から降り、上空から駆け付けたのは鶴田ぽた子だった。
「っ……ぽた子さん……!」
「大丈夫、ショウマくん!? 帰ろうとしたら街の騒ぎに気付いて、急いで引き返してきたの! この人たちは!?」
「先ずは威力の無い電撃で足止めの先制攻撃……良い判断です、お嬢さん」
電撃の痺れが効いているのか、
ぽた子が助けに来てくれた。しかし、それはショウマにとっては不都合とも言えた。また一人じゃなくなったから変身ができない。でも、この状況で少しでも場を離れればぽた子が危ない。
「戦いなさい。手段など選ぶことはできない。一つ守りたいものがあるのなら、それ以外に蓋をする覚悟を」
「……ぽた子さん、今から見ることは……できればチョコくん達には黙っててほしい」
後ろにぽた子がいて、前に敵がいる。ショウマは彼女に幸果の姿を重ね、皮肉にも
《グミ》
《EAT グミ》《EAT グミ》
変わりゆくショウマの姿に、ぽた子は目を見開く。
《ポッピングミ》
《ジューシー!》
「これって、ショウマくんの菓子能力……!? でも、なんだか……」
『怖い』。思わず出そうになったその言葉を、ぽた子は喉の奥で飲み込む。
その極彩色の異質さを全身に纏い、仮面ライダーガヴは敵の喉元へと駆け出した。