【元世界ランキング1位】がモンスター育成ゲーム、主人公の【歴代最弱ライバル枠】に転生する 作:流石ユユシタ
俺の人生において、圧倒的な壁は……姉だった。
産まれた時から両親は俺を姉から遠ざけていたらしい。
その理由は単純だった。
──姉は化け物だったからだ
産まれて数日で言葉を使うことができたらしい。泣いていた期間などほとんどなく、全てを理解したような瞳を持っていた。
対話も運動も知略も全てを姉は持っていた。俺が一生懸命やったことも姉は当然のようにできる。すでに通り過ぎているとすら言っても良いだろう。
それほどまでに圧倒的なのだ。
エレ塾でも教科書は一度眼を通せば興味をなくし、その内容を自己の中に落とし込み昇華させ応用もできる。
全ての才能を持つ化け物。俺の両親はそう思っていた。いや、両親だけじゃない、俺もそう思っていた。
姉は俺のコンプレックスの塊だった。
俺のしていることが全て無碍になっていく気がする。俺が百したことは、姉の一以下にもならない。
それなのに両親は俺を可愛がった。一体全体、俺のどこがすごいと言うのだろうか。
もっと、すごい奴は目の前に居るだろうに。俺など大したことのない人間だと言うのに。
どこに、俺がすごい場所があるのか。姉と俺を比べなくても言うが比べるなと言うが無理は無しだろうが。
そして、姉はテイマーとしての才能もずば抜けていた。エレ塾では成績は一度も勝てたこともない、バーサスも無論手も足も出ない。
姉はエレモンの言葉わかる特性すら持ち合わせている。
──俺は
「カガリくんー」
ふと目が覚めた。どうやら世界で1番不快な夢を見ていたようだった。公園のベンチで俺は寝てしまっていたようだ。
俺の目を覚まさせたのは、知り合いのタロウと言う初心者テイマーだ。同年代で初心者テイマーの講義の時に旧知の中となった。
「ここで寝ると風邪ひいちゃうよ」
「あぁ、悪ぃな」
「いや、気にしないで」
ベンチから飛び起きて公園の出口へと向かった。タロウはそんな俺についてきた。そして、俺の地雷の話題を出す。
「あのさ、お姉さんのことなんだけど」
また、姉のことか。どうせ、いつもの通り姉の武勇伝でも聞く羽目になるのだろう。あいつがすごいのは知っているが俺からすると不快以外の何者でもない。
現在エレメンタルコードを4つまで取ったらしいが、そんなのはどうでもいいことだ。
俺はいつか、越してやると決めている。
「男に貢いでるらしいけど、大丈夫なの」
「あぁ? しらねぇ」
姉の話題が出た時は基本は適当にあしらう。偶に姉のサインとかを求める輩もいるがそういうもあしらうだけでなく、無視をする。
あいつがどんな偉業をしようが……
「あ?」
タロウ、今なんて言った……? 俺の耳がおかしくなったのか、流石に姉の話題を聞きすぎて脳がおかしくなったのか。
「今、なんて」
「だから、
「……冗談ならやめろ。イライラする」
「冗談じゃないけど。ネットに乗ってる」
そう言ってスマホを差し出してきた。そこには確かに姉が札束を男に差し出している写真があった。
コラ画像か何かか……?
「これはあれか、画像生成とかで作ったやつか」
「違うと思うけど」
「……バカな。あれが誰かに金を差し出す……?」
「それとなんだけど、このライオン仮面の人って講義で居たテイマーだと思うけど」
画像をよく見ると、確かにライオンの仮面を被っている男に見えた。そういえば確かにこんなテイマーがあの時に居た気がする。そして、俺も僅かに言葉を交わした。
「なんで、金を渡してんだ……」
「さぁ? 好きだから貢いてるとか?」
「あいつはそんなことするタイプじゃない。上っ面は良いが基本的に自分が1番だと本気で考えてつ奴だ。施しは気まぐれに起こすが、大金を渡すのは度を越してる」
きっと何かの間違いか何かだろう。あいつはその気になれば、宝くじで一等すら余裕で叩き出す女だ。
「噂だと何度も渡してるらしい」
益々馬鹿らしい。あり得ないだろうな。きっと何かの間違いのはずだ。適当なことを誰かが言ってそれを信じた奴がいて、尾鰭がついだのだろう。
この写真も大金を拾ってそれを持ち主に返したとかそんなオチだろうさ。
「馬鹿らしい。俺はスーパー寄って飯買ってくる」
「もう日も暮れてきたしね。でも、本当だと思うよ。スレでこの話題出てたんだけど、俺も本当に見たし」
誰かが姉のコスプレでもしていたのだろう。そいつが貢いで……いや、そろそろ無理がある言い訳になってきたか。
しかし、なんとしても信じられん。
「あ、半額シール弁当。お金ギリギリだから助かりましたね」
嘘だろ……あの姉が財布見ながら半額シール弁当を買っているだと……?