【元世界ランキング1位】がモンスター育成ゲーム、主人公の【歴代最弱ライバル枠】に転生する 作:流石ユユシタ
俺はテイマーとして、まだまだ成長できると感じている。
ゲームとは違って、スキルを出すタイミングや回避指示はこちらが握っている。
対決してるエレモン同士は視野が狭くなるから、こちらが上手く指示を出さないといけない。
『ほら、行くわよ』
俺は島で動体視力を鍛えていた。具体的に超至近距離からテニスボールを超スピードで投げてもらう。勿論、当たったらヤバいので外してもらうけども、
クイーンはLランクのエレモンなので、ステータスはすごい高い。テニスボールを軽く投げて、160キロほど出る。
──尻尾で彼女が軽く投げた
「……は?」
『見えた?』
「……あ、一瞬、テニスボールなのか知らんけど、黄色が線になって見えた」
『あら、そう。これ、まだ続けるの? 人間だとかなり限界値ありそうだし』
「いや、やる。最終的には番号とか書いてそれを見極められるようにする」
『そう、応援してあげるわ。あんたは王だしね』
これは島を作った直後からやっていた。ずっとトレーニングとしてやっていた。エレモンが指示を聞き分けやすいように、声を大きくする訓練だってしていた。
「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」
『島の端までうっすらと聞こえたわ』
「まだまだ、地球の反対側まで聞こえるほどに」
『逆に指示が聞きにくいわ』
あとは単純に体を鍛えることも忘れていない。毎朝、島を3周している。回りながら全部のエレモンに挨拶を欠かさず俺はしているのだ。
単純に体力がないと集中力が保てないからしているのである。
『アンタ、塾の時に比べてオーラが出てきたわ。わかるやつには分かるのよ。器が大きいってね』
『特にエレモンは敏感だから。野生の嗅覚でそう言うのが感じ取れるの。カッコいいじゃない』
◾️◾️
ボーン剣士。Dランク、闇系統のエレモン。アムダが選んだ二刀流のボーン剣士は、一眼彼を見た時に通常とは異なるテイマーの素質を本能で感じ取っていた。
「……ボボン」
笑みはぎこちなくぱっと見は弱そうに見える。しかし、黒いパーカーの上からよく見ると肉体はそれなりに鍛えられているように見えた。
それに、ボーン剣士を警戒させないため、両手の平を彼に向けている。害を与える気はないのは分かったが、それでいてあえて無防備を演じているように剣士の瞳は映る。
そして、エレスイーツを差し出した。あれを食べた時、こんなに美味い食べ物があるのか!?
と驚愕の感情を抱いた。
「あ、そろそろ行こうか? 試合始まるし……あ、言葉通じないか。クイーンもいないし……、アイゴートゥースタジアム? おーけー?」
アムダの言葉を完全に剣士は理解していないが、どことなくこの後試合があるぞと言っているのが分かった。
スタジアムに入ると
「ボーン?」
思わず剣士は怪訝な声をあげる。いつもなら、この大会にそこまでの人数は来ない。全てのテイマーが同じエレモンを使う大会など面白みがないと思う存在は多いからだ。
にも関わらず、人が多い。
そして、多くの観客がアムダに注目していた。
──アムダは視線には敏感のようで、オドオドしていた。
しかし、対面した相手に劣るテイマーには彼は見えなかった。今回の大会は6回勝利すれば優勝となる。
その一回戦、相手のテイマーは普通のテイマーであった。
「
一刀剣士のボーン剣士。見た目は瓜二つだが持っている剣の数が違う。一本ごとに重さがあり剣士は俊敏性に欠けていた。
しかし、アムダの指示によって不思議と俊敏性が勝てずとも劣らないまでに引き上げられていた。
「ボン!」
「……ボーん」
相手の剣士も思っていた以上に攻撃が命中せず、怒りに満ちていた。同時に相手のテイマーも責めきれない歯痒さを感じているようにも見えた。
「おい、早く当てろ! ステータスは同じなら二刀流なら当てられるだろ!」
「ボン!!」
「
うるせぇよ、とあちらの剣士は言っていた。しかし、一向に当たらない。
一歩下がり、先ほどまで立っていた場所に剣が振り下ろされていた。
「ダブルラッシュ」
アムダが初めてアクティブスキルの攻撃を指示した。威力は30ほどだが、それを2回攻撃する。
トータルで威力は60となる。しかし、ボーン剣士は二刀流なので2回攻撃が更に2回攻撃となる。
30が2回、ではなく、15が4回となるのがイメージが強い。
丁度剣を振り下ろしたタイミングでのアクティブスキル指示。攻撃直後で隙があり、4回の攻撃が相手の剣士に入る。
「ぼッ!!?」
「ボンボンボンボン!!」
アムダの剣士は今までない手応えを感じていた。彼が装備しているのは【会心の腕輪】レベル50。……会心率が25%上昇する。と言う効果だ。
会心は通常与えるダメージを2倍にする。それが25%上昇するのは劇的である。本来は会心率は10%の確率で起きるので、35%となる。
威力15のスキルが一回にて4回繰り出され、それが35%で当たる。
35%の確率で当たるくじを4回引く場合、
期待値=4回×0.35=1.4
つまり、4回引くと平均して1.4回当たること考えられる。アムダはそこを頭に入れていた。
そもそも会心率は10%と低く、それゆえに、それを『本来では』頭数として戦力にあまり彼は入れない。
しかし、ボーン剣士のような手数が増えるエレモンの場合は話が違っていた。この大会に出場するテイマーのほとんどは単純なステータスを強化する装備を使っている。
「ボンボン!!」
「ぼ、ぼん」
「な!? おい、なんでそんなに追い込まれてんだよ!? 同じ個体のはずだろ!!」
「──ダブルラッシュ」
アムダは同時に、確率が下ぶれた場合も考えていた。
【1回あたりの当たりとハズレの確率】
当たる確率は35%(0.35)
ハズレる確率は65%(0.65)
【4回すべてハズレる確率】
4回ともハズレる確率は、0.65を4回かけたもので計算します。
0.65×0.65×0.65×0.65=0.1785
これは約17.85%の確率。
【少なくとも1回当たる確率】
1回も当たらない確率が17.85%なので、それ以外の確率が「少なくとも1回当たる確率」となります。
1−0.1785=0.8215
つまり、約82.15%の確率で少なくとも1回は当たりを引ける。
上記を考えて、確率が下ぶれた場合でも十二分にダメージのリソースで有利を取れると彼は確信をする。
同時に
──それに、一度も会心が出なくても同条件であれば、自分の指示で勝たせる。他のテイマーが装備をステータス強化に回していたとしても例外ではない。
そう、思っていた。指示の速度と、彼のこだわりと、異界のゲーム知識と、そのゲームから持ち込んだ遺産。
彼はそれを使う
「勝者、アムダ選手!!」
彼は当然のように戦績を残す。
闘技場には観客席の声は聞こえない。アムダが勝って、それに対しての歓声があがっている。そこに、彼がどれだけ考えていたのかを知る存在など、この場にはクイーンしか居ないだろう。
だがしかし、共に戦ったボーン剣士は今までない、手応えを感じていた。
◾️◾️
「あ、お疲れ様、はいスイーツ。魔素回復するよー」
「ボン」
アムダが勝った後、控え室にてボーン剣士はスイーツを食べさせてもらった。不思議な感覚だった、戦い終わった直後、消費した魔素が急速に回復していく。
そこに管理協会ラリックがやってくる
「一回戦突破おめでとうございます」
「あ、どうも」
「しかし、随分と運が良かったようですね。会心がなければ負けていたのでは?」
「
「本当に運は良いんですね。しかし、運とは所詮運なのです。あまり過信されませんように。私も一回戦は突破しましたので、決勝で」
「あ、そう、ですね。お、俺は先に頂で待ってますね……」
「……っち」
なんとも言えない雰囲気のままに管理協会の人がさって行った。
剣士はアムダが天然タイプのテイマーなんだと悟った。
「昔から、エレモンに関しては運がいいんだぁ……俺知り合いのクイーンは、名付けるなら
「ボン?」
「うん! 何言ってるかわからないよね、ご、ごめん」
そのまま彼は控え室を出た。剣士はそれについていく。アムダはそのまま外に出てしまった。
「あ、あのね、一回だけ俺に向かって剣を思いっきり振って欲しいんだ……えっと、ここに?」
「ボン?」
アムダはボーン剣士に自身の首筋を指差した。その意図が分かった時に、剣士は驚愕する。エレモンの攻撃を当てるなんて、自殺行為だ
「だ、大丈夫。避けれるから、多分」
「ぼん!」
「だ、大丈夫ほら!」
あまりにそう言うので、剣士は剣を振った。それを見て、アムダは避ける……ではなく、
自身お体重の重心を後ろに寄せて倒れた。ただ、重力に逆らわず、倒れた
「いた!? せ、背中打った!?」
「ぼん!!!??」
完全に避けた。
「あ、えと、自信失わないでね……避けれるのと言っても初手だけだし、連撃されたら俺死んじゃうし……」
「ボン……?」
「あ、えっと、どうやって避けたのか気になってるのかな? え、えっと、さっきの試合とか見てて剣の振り方覚えて、振る前に倒れた? だけ? 最近訓練してるんだぁ。癖とかあれば、指示で避けるのサポートできるしさぁ。グレンっていうテイマーがいて、そいつが俺の武者マルの剣の振り方で、攻撃を防ぐ指示をしたんだよね。まぁ、極マルが実際防いだんだけど……それみたいなのが出来たら良いじゃん? みたいな? ごめん、長文で、わかりづらいよね?」
何を言っているのか剣士には理解できなかった。しかし、目の前の存在は自身の理解が及ばない存在だと認識した。
エレモンの攻撃を避ける、なんて、人間業じゃない。
剣士としては確かに負ける要素はないが、強さのベクトルが全く違う存在。
軍師や、王、覇王、そのような異質の天武の才能が彼にはあった。
「あ、そろそろ控え室に戻ろうか」
「ボン」
剣士はふと、後ろを見た。そこには
きっと、アレは覇王の護衛なんだろう。
万が一でも、王に害がないように観察をしているのだ。
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