【元世界ランキング1位】がモンスター育成ゲーム、主人公の【歴代最弱ライバル枠】に転生する 作:流石ユユシタ
さて、グレンの試合が始まる。
管理協会でも活動をしている相手テイマーは……名前なんだったか。
『お待たせいたしました。ゴッドリーグ、グレン選手対ネム選手の試合を開始します』
ネム、そういえばゲームでも名前だけはあったような気がする。全員にデザインとか出番がゲームではあったわけじゃないからな。
「アムダくん、良いんですの?」
「グレンは強いよ。自分のお父さんを信じた方がいいと思う」
「そうですけど」
「それにほら、モエの家からしたら1000万とか大した額じゃないだろう」
「……まぁ、そうですけども、ほら庶民的な感覚を大事にしたいかなと」
へぇー、そう言う感じなのか。てっきり、これくらい端金だと思っていたけど。
「チカに言われたことを気にしてますの」
「そう」
「わたくしは庶民的な感覚がなくて可愛げがないと」
「……ふ」
「何笑ってますの?」
まぁ、確かにと思って納得してしまい、少し笑ってしまった。チカは結構、やることとか、感じてることが等身大というか、普通って感じなのが強みである。
「それより、グレンは初手は極マルだな。このまま勝つだろ」
「なんで話逸らしましたの?」
「うむ、案の定、安定に一撃だな」
「え? 無視?」
モエは深ぼられるとややこしいことになりそうなので、軽くスルーしておこう。そして、俺の反対に座っている同じくグレンに賭けているおばさん。
隣で神に祈るようにしているおばさん。大学費用を稼ぐならもっとやり方があるとは思うんだけど。
『おおっと!! グレン選手の極マルにアクティブスキルが直撃!!!』
『これは大ダメージに……いや、なっていません!! むしろ、今何かしたか!? と言わんばかりに極マルは立っております!!』
「今、何かしたか?」
『しかもグレン選手が直接そのセリフを言ったぁ!!!!』
解説役の男性二人も盛り上がっているなぁ。しかし、グレン油断している……いや余裕なのか。
ゲームだったらゴッドリーグ全体のレベルとして平均50程度。対して今のグレンは80くらいだしな。
装備も俺がちょっとあげたしね。
「アムダくん、お父様に装備をあげましたの?」
「よく知ってるね」
「あれ、前までお父様がつけていた装備ではありませんもの」
「まぁ、失敗作だけどね。物欲しそうにしてたからさ」
装備の厳選というのがある。装備にはレベルが振られており、最大で120まで上げることができる。
装備は作った瞬間でレベルが固定され、作成したエレモンのレベルまでが上限になるのだ。つまりレベル120のエレモンが装備を作った場合は1〜120までの間でランダムで装備が作られる。
本当ならレベル120で作りたかったけどね。今回は92までのやつになってしまった。
「装備にレベルがありますの?」
「この間、エンテツシン・アグニフォージ捕獲したでしょ」
「え、あはい」
「あれで装備のステータスが見れる。それとレベルも。「炎鉄神の魔眼」っていうパッシブスキルだったかな」
「……知りませんでした。そもそもレベルなどがあるのも知りませんわ」
ゲームの時だと、装備のステータスもある程度見れたけど。この世界だと装備ってステータスを見る方が無いらしい。
「因みにエレモン限界突破と同じ120が限度だよ」
「……はぁ、先は長そうですわね」
「長いのがいいんじゃん」
まぁ、グレンなら、単体スペックでも強いから装備を渡したら敵はいないだろう。極マルしか装備できない専用装備も渡してるからな。
『な、なんという強さだ!! グレン選手、極マルにて、ギガンバジリスクを一撃で戦闘不能状態に!!』
『これ全盛期を超えてますよ。まさしく今が全盛期とすらいえます』
『この短期間、サボっているなどと言われてましたが、その強さは圧倒的です!!!』
『私は昔からグレン選手のファンですからね。信じてましたよ』
解説の声が聞こえてくる。それが掻き消されるくらい会場は盛り上がっていた。まさしく、この国は【グレン】の国なのだろう。
圧倒的な人気を感じる。まぁ、確かに顔かっこいいからね。うんまぁ、エレモンもそこそこ強いしね。
『なぜ、グレン選手はここまで強いのでしょうか?』
『語らねばなりませんね。グレン選手の強さの秘密を』
『え?』
『グレンは自身の両親に武者マルと一緒に捨てられたんです。そして、彼は武者マルと過ごした。それからグレンは武者マルと共に強くなる道を極めようとした。生きていく為には強さが必要だったから。1匹、2匹、3匹と彼の強さに惹かれ、エレモンの仲間ができた。そこにとあるテイマーがやってきた。グレンには勝てる自信があったんです。しかし、グレン達はなすすべなく敗北し、奴との戦いで仲間も傷ついた。その時に痛感したんだ。強さこそ絶対、強さこそが正義。勝てばよいと。ゴッドリーグで勝つテイマーの姿を見て、大金を稼ぐ姿を見て、強さを極めようとした。勝てば全てが手に入る。金も手に入り、全てが手に入る。私はそんなグレンの途轍もない強さへの渇望とその孤高の姿を見てファンになったんです』
『そ、そうですか。それ言ってる間にもう一体グレン選手倒してしまってます』
『いけー!!! グレン!! 応援してるぞー!!!!』
観客席も盛り上がってるなー。グレンって確かガチで捨て子らしいからね。強さを極めようとしてたのもエレモンに、特に武者マル(今は極マル)に美味い飯を食わせたいとかそんな理由だったかな。
「わたくし……お父様の過去知りませんでしたわ」
「まぁ、本人もわざわざ話すことじゃないと思ってるんでしょ。父親だしね。娘にいらん心配かけたくないんだろ」
「……そうでしたのね」
まぁ、俺に父親の心はなんてわからないけどね。会場のボルテージは凄まじい。グレンは圧倒的な強さで勝ち上がっていく。
「──よっしゃーーーー!!!!! 大学費用ゲットだぜぇぇぇぇええええええええ!!!」
隣でおばさんもうるさいなぁ。グレンは一体も倒されずに、相手を倒したらしい。
極マルがドヤ顔でフィールドで腕を組んでいる。グレンは何事もないようにそこから背を向けて去っていく。
「最高だったぜー!!!!」
「ありがとー!! グレーン!!!!!」
「グレン!!!! めっちゃ好き!! 抱いて!!!!」
「ビールくれ!!! ビール!! お祝いダァ!!!」
おお、どうやら盛り上がりがすげぇことになってる。この後、インタビューだろうけど、帰ろうかな。
「帰ろうか」
「えぇ、そうですわね」
「インタビュー聴きたい?」
「いえ、島で聞けますもの」
父親が勝って彼女も嬉しそうだった。あぁ、なるほどね。
「そりゃ勝ちたくなるわな」
娘がこんなに嬉しそうならさ。