竜大戦時代〜黒き風は何を齎す?〜   作:ヒック

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遠足は帰るまでが遠足

「さて、そんな風にカッコつけて潜入開始したわけなんだが…HQ。もう一度ミッションの詳細を説明してくれ。」

 

『こちらHQ、了解。今回の任務は敵側の研究都市であるベセスダの破壊のための下準備だ。エリア全域にお前の粉塵を撒いてこい。なお敵中潜入任務であるので敵方に見つかってはならないように細心の注意を払え。また敵前での人間態解除は、これを許可しない。』

 

「了解。あと無理に軍隊調に話さなくていいぞ親父。」

 

『黙れクソ…code:black。私語は慎め。あと、追加任務だ。』

 

「なんだ?」

 

『先ほども言ったように、ここベセスダは研究都市だ。もしかしたら敵方の機密情報が手に入るかもしれんと諜報部から連絡があった。』

 

「つまりそれを入手しろってことだな?」

 

『そういうことだ。無論夜明け前に粉塵の散布を終えることを最優先しろ。では幸運を祈る。』

 

そう言って通信は切れた。

 

「全く無理を言うね、諜報部も。」

 

そう言ってマガラは歩き始めた。

 

 

 

撒く作業自体はそこそこ順調に進みマガラは都市の見物も少し楽しんでいた。

 

『おいcode :blackまさかお前楽しんでやいまいな。そこは敵地だぞ?』

 

「へいへい遠足は帰るまでが遠足ですからねー。」

 

『何が遠足だ、アホ!』

 

 

 

全くもって不思議な都市だと、マガラは思った。

 

何しろ建物全てが真っ白で、統一された形式で作られていて、その上妙に月光を反射しているのだ。

 

「HQ。」

 

『こちらHQ。どうしたcode:black?』

 

「なぁ、今俺は恐らく住居を目の前にしていると思うんだが。どうにもそれの素材が気になるんだ。」

 

『ほう、言ってみろ。』

 

「なんだか今までみたことがない。

なんか妙に硬くて、月明かりを反射しているんだ。これは何かここらにしかない木とか石なのか?」

 

やや間をおいて声が返ってきた。

 

『いや、違う。それは恐らく金属だ。』

 

「きんぞく?」

 

『ああ、金属ってのは伸ばしたり潰したりできて特有の光沢を持つ物質の総称だ。ヒトってのはこれを実に様々な方法で活用してもう魔法のようなことを軽々やってのける。凄い奴らだ。』

 

「へぇー確かに凄いな。」

 

好奇心が抑えられなくなってマガラはつい、建物を触ってしまった。

 

透明な板が目の前に突如現れた。

 

「…どうもそうらしいな。えへ。」

 

『どうも…そうらしいな、だと⁉︎ちょっと待てお前何かしたんじゃないんだろうな⁉︎」

 

「やっちまったみたい。取り敢えず反省はしている。んで、なんか出た。HQ、ど…どうしたらいい?」

 

今マガラの前には透明な板が突如出現し、何か細かい文字を大量に表示していた。

 

急にマガラは息がきつくなってくるのを感じた。胸が急な鼓動を打っている。

 

”ID-sa…nu…ber 03:Gore M…ala is being checked now .Wait a moment please..................error"

 

『逃げろォォォォォォオオ!』

 

「どこに?どうやって⁉︎」

 

”error!error! This ID is wrong!"

 

「ってか、やべぇ!」

 

『どうしたblack!』

 

「なんか文字が赤くなってしかもサイレンが鳴り出した!」

 

”This ID is illegal! Warning! Warning!

Illegal ID was detected!Illegal ID was detected! There is a possibility that invader is hear! Security systems start!…"

 

あたりにはサイレンが鳴り響き、赤い光がマガラを照らしている。

 

「ほんとにやべぇ!どうしよう!」

 

『いいから落ち着けマガラ!取り敢えず落ち着いてその場を離脱するんだ!』

 

もはやマガラには自分の義父もコードネームでよぶことを忘れる程に慌てていることを指摘する余裕はなかった。ますますサイレンは鳴り響いている。

 

もし捕まったらという恐怖でマガラは足が竦んでいた。

 

『どうしたマガラ!早く逃げろ!』

 

「そうしたいのは山々なんだが…親父。足が竦んで動けねぇ。怖いんだ。もし捕まったらって思うと怖ぇえ!」

 

『アホか貴様!さっきまで軽口叩いてたくせに何様だ!それに逃げればまだ生き残る可能性はあるが、そのままだと確実に死ぬぞ!』

 

「ど、どんな風に?」

 

『ふふん、まずはそうだな実験生物として扱われてただ死ぬことの30倍の苦しみを受けて死ぬ可能性が一つ…』

 

そんなことはゴメンだという気持ちが一瞬で恐怖を凌駕してマガラは走り出した。

 

「よし、逃げるぞ!」

 

『さっさとしろ!』

 

「うるせ…あ痛っ!」

 

マガラは何もない空間に頭をぶつけた。

 

"The area was locked.Now,we try to catch the invader."

 

「なんだ、何が起きてる?何がある?熱感知もソナーもダメか!」

 

いまやマガラは口を除けば体を少しも動かすことが出来なかった。

 

『どうした⁉︎なぜ動かない!状況を報告しろ!』

 

「これもヒトの使う魔法って奴なんだろうな…」

 

もはや逃げられないとマガラは達観していた。

 

"Energy charge is completed.Fire!"

 

そして遂にマガラは周囲から発射された謎の光に撃たれて気を失った。

 

気を失う直前のマガラにとってひどく気になったのは、喧しい義父の声と、何かのー恐らくヒトだろうーの足音が近づいてくることだった。

 

 

『どうしたマガラ!応答しろ!マガラ!マぁガラァーーー!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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