キャサリンのママは良い人ですが、恋愛運だけはいつも絶望的です…
決闘クラブ回の前半です。後半も頑張ります。
12月の初週、冬の良く晴れたある日の朝のホグワーツ
キャサリンはネビルと朝食を食べていた。二人とも、ひとりでに皿の上に現れたトーストに二人ともマーマレードジャムをたっぷりとつけて、大きく開けた口に放り込む。
「キャサリン、ジニーは?」
「さあ?朝ベッド見たらいなかった。先に起きてどっかいっちゃったみたい」
「へえ、君たちが一緒にいないのは珍しいね」
キャサリンはネビルとグリフィンドールの中でも特に仲が良い。ネビルの誰に対しても優しいところがキャサリンは好きだった。
ちなみにネビルはキャサリンのはとこであることがわかった。ネビルの祖父の兄がキャサリンの母の父、つまりキャサリンの祖父にあたるそうだ。
9月の母からの手紙にはそう書いてあった。
また、母は手紙でキャサリンがグリフィンドールに選ばれたことをとてもうれしがっている。このとき、キャサリンはロングボトム家はグリフィンドールが多く、母はハッフルパフだったのが少し悲しかったらしいことを初めて知った。
「ええっと、ネビルは今日の決闘クラブに行くのか?」
ネビルは困った顔をした。
「僕は迷っているけど、グリフィンドールの2年生はだいたい行くみたいだよ」
「ネビルもいけばいい。わたしも行くつもりだ。1年生も行くんだから決闘で使う魔法を知らなくても気にしなくていいと思う」
ネビルは魔法が苦手で、臆病な少年だ。今回も純血は狙われないという噂があるにも関わらず、何個も怪しいお守りグッズを買い込んでいた。
キャサリンはネビルを説得し、すべて捨てさせた。
おそらく、彼は決闘の魔法もうまく使えないだろう。
キャサリンはネビルのことをちょっと出来の悪い兄のように思い、慕っていた。
「ネビルが出来なかったら、わたしが教えるよ!そういう魔法はわたしのほうがうまいから」
ネビルはちょっと安心したように笑った。
実は、ネビルもキャサリンを短い付き合いの中で、妹のように思っていた。キャサリンはネビルに入学してからも何かと関わろうとしてくれ、何かと助けたりかばったりしてくれている。
キャサリンが、周囲から“ロングボトムの優秀な方”と、陰で言われていてもネビルは気にしていなかった。
ネビルは本当に善良な少年だった。
「そうだね!キャサリンが行くのなら僕もいこうかな。ハーマイオニーも来るだろうけど、僕に魔法を教えてよ」
「もちろん!約束だ」
また、キャサリンは、この優しいはとこで先輩の少年に他の同級生に話さない話もよくしていた。
主に家族の話だ。
「クリスマスはキャサリンも帰るんだよね?」
「もちろん。早くママに会いたいな」
「僕もキャサリンのお母さんに会ってみたいな。僕のおばあちゃんも久しぶりに会いたがっていたし」
ネビルのロングボトム家の事情も詳しくはキャサリンも知らないが、ネビルは両親と永らく一緒に暮らしておらず、父方の祖母と二人暮らしで、彼を育てたのは祖母らしい。
二人暮らしであるところは、シングルマザー家庭のキャサリンと一緒だ。
その話を聞いたとき、とりあえず、キャサリンはどうしてネビルのセンスがときどき古臭いのか分かった。
どこの寮でも今どきヒキガエルを買っているのはネビルだけだ。
ネビルの祖母は、いつでも大歓迎で、キャサリン母子をネビルのロングボトム宅に招待するという。
キャサリンは、それをとてもおもしろそうだと思った。自分の親戚に一回会ってみたい。
ネビルの祖母が厳しそうなところが少し不安だが。
ネビルは羽音を聞き、上を見上げた。そろそろ郵便の時間だ。
そう思ったとたん、何百羽ものフクロウが天井から降ってくるように、テーブルへ降りてくる。
今朝は、キャサリンにも珍しいことに一羽のフクロウが手紙を持ってきた。
見慣れぬフクロウだ。
キャサリンはフクロウから手紙を受け取った瞬間、今まで見たことがないくらい顔をしかめた。
「うげ…。」
「コーバン・ヤックスリー?」
ネビルも横からみて、差出人の名前に首をかしげる。
聖28一族の一つのヤックスリー家は純血で知られる名家だ。
そのヤックスリー家の家紋で蝋が押されて閉じられた封筒には、差出人の欄にコーバン・ヤックスリーと書かれていた。
キャサリンは苦虫を嚙み潰した顔で本物かどうか何回も見返し、封筒を裏返したり、透かしたりする。何度見ても、差出人の名前は変わらない。本物のようだった。
「ママの彼氏だ。わたしのことが嫌いなくせになんの用だよ」
キャサリンはいらだち紛れに乱暴に手紙を開封した。
“キャサリン・ロングボトムへ
遅くなったがホグワーツ入学おめでとう
今年のクリスマスは君の母と過ごすことになるだろう
ホグワーツから帰るかは君が決めたまえ“
嫌味なくらいの達筆でそう書いている。
わざわざこんな手紙を送ってくるということは、ヤックスリーはキャサリンがクリスマスに帰ってきてほしくないと思っているようだった。
キャサリンは悩む。母からの連絡がないがおそらくクリスマスの予定はほとんど決まったようなものだろう。
もし帰れば、最悪、一人でクリスマスディナーを食べる羽目になるか、ヤックスリーと母とで過ごす羽目になるだろう。両方とも最悪だった。
コーバン・ヤックスリーは、キャサリンが最も嫌いな人間の1人だ。魔法省勤務の魔法使いで、母より20近く年上のポマード臭い中年の母の恋人。性格は傲慢で冷淡。あと、子供嫌いらしくキャサリンのことを初対面から嫌っていた。
キャサリンも彼を容赦なく嫌っているが。
そして、母のフレイヤは人から頼まれれば断れない人の好いところがあり、今回も恋人の誘いを断れなかったのだとは想像がつく。
「キャサリンのお母さんって、恋人いるんだ。ちょっと意外だよ」
黙り込んだキャサリンにネビルが声をかけた。
キャサリンと会ってから、マザコン以外何物でもないキャサリンの母親関連の話をしょっちゅう聞いたネビルには、キャサリンの母に恋人がいるのは意外だった。
キャサリンの話の中では、娘を溺愛し、娘がいちばんというタイプに見えたのだが。
「まあね。ママ、きれいだし。でも、ママがわたしと会わせないようにしてるから、あんまり会ったことないけど」
それは事実だ。お互いの初対面から関係の悪さを察したフレイヤによる配慮より2人が顔を会わせることは滅多にない。
キャサリンは、大きくため息を吐く。
クリスマスはホグワーツから帰れなくなってしまったようだった。
コーバン・ヤックスリー
原作登場の死喰い人の一人。“ハリー・ポッターと謎のプリンス”と“ハリー・ポッターと死の秘宝”で登場した。死の秘宝では、魔法省法執行部の部長シックネスに服従の呪文をかけ、魔法省陥落に関与。その後は魔法省法執行部の部長になり、ハリーたちは魔法省に潜入した際に捕まりそうになっている。映画版の俳優さんがかっこいい
背が高く厳つい顔の男性。映画版は金髪のオールバックに三つ編みの壮年の男性
読了ありがとうございます!!