決闘クラブ本番
この日は体感として、あっという間に授業が終わった。魔法使いの決闘が楽しみなキャサリンを含めたグリフィンドール一行は大広間へ集まっていた。
大広間は普段とは違うカーテンがかけられ、テーブルはどかされ、だだっ広い空間にたくさんの生徒が集まっている。グリフィンドールもハッフルパフもレイブンクローもスリザリンもいる。
「もう帰ってもいいか?ネビル」
キャサリンがぼやく。
来てから知ったのだが、主催はロックハートだったのだ。さらに、助手はスネイプで今にも人を殺しそうな顔をしている。
「キャサリン!一緒にいてくれるっていっただろ…。」
ネビルはスネイプを見た途端に怖くて泣きだしそうな顔になった。
「大丈夫よ。わたしはいるから」
ハーマイオニーがハリーとロンと共にネビルの隣にやってきた。
手には“決闘の基本魔法”と書かれた本が握られている。
相変わらず用意周到だ。
「わたしのおすすめは、まず、武装解除呪文ね。後は、吹き飛ばし呪文、舌縛り呪文。うーん、状況によるけど、変身呪文も使えそうだわ」
(さすが、ハーマイオニー…)
そうキャサリンは思った。ネビルは女神の声を聴くようにハーマイオニ―の言葉を聴き、メモを取っている。
その後は、スネイプに挑んだロックハートが当たり前のように武装解除呪文で吹っ飛ばされ、個人戦が行われることになった。
「ざまーみろ」
ハリーがぼそっと呟く。
スリザリン生がスネイプの勝利に歓声を上げ、ホグワーツ生は女子生徒の数人以外はロックハートを誰も心配しないのでキャサリンは胸がかなりスカッとした。
「グレンジャーとミス・ロングボトムはミスター・ロングボトムから離れたまえ。
お姫様を守るナイトかね、君たちは。
ミス・パーキンソンはこっちへ。
ポッターとマルフォイが組みなさい。」
ロックハートが気絶している間に、スネイプによる悪意が込められたペア決めが行われていく。
キャサリンはネビルと組みたかったのだが、容赦なく引き離されてしまった。
スネイプはグリフィンド―ルを嫌い、スリザリンを常に贔屓することで有名な魔法薬学の教授だ。見た目は清潔感のないこうもりようで、いつも嫌味っぽい。
ネビルはいつも授業でいびられているらしく、そのせいか、キャサリンにまで魔法薬学の授業の中であたりがきつい。
まあ、キャサリンは要領がいいので魔法薬学で、いびられるミスは滅多にしないが。
「ミス・ロングボトムは…。ふむ、ノットとどうかね」
なすすべもなく、ネビルから引き離されたキャサリンはノットの前に連れていかれる。
ノットはつまらなそうな無表情から一転、ニヤッと笑った。
上級生と組ませるなんて、キャサリンに対するスネイプの完全な嫌がらせだ。
相変わらず根性が腐っている。
キャサリンが何も言わずに会釈すると、ノットも軽く会釈を返す。
一応の礼儀は守ってくれるらしい。
まあ、ノットは今からキャサリンをズタズタにする予定なので、最後の慈悲だと思っているのかもしれないが。
キャサリンは杖を構えた。何の呪文がいいだろう。キャサリンの目の前のノットは、2年生なので当然だが、キャサリンより多くの呪文を知っている。
(ナメクジを吐かせる、武装解除、うーん…。
体術を使ってもいいんだろうか。ダメだったら、さっき言うはず。
まず、勝つなら隙を作らなきゃ。)
「1,2,3,さあ、始めてください!」
みなが同時に何か叫び、閃光や火花が大広間中にはじけた。
「コンファンド 錯乱せよ!」
(えいやっ)
キャサリンはあまり呪いの類を知らないし、呪いというものは案外難しいものが多い。失敗した場合、運が悪いと、ナメクジを吐き続けたロンのようになる。
キャサリンはどんな呪文にも自信が無かった。それも上級生の魔法族が相手だ。
単純に向き合って、呪いをかけたら、防御されてしまうだろう。
だから、ごく単純な攻撃飛として、距離を詰め、隙を作ろうとした。ノットの錯乱呪文を軽々と避け、喉元に杖を突きつける。
ノットは自らの攻撃を回避されたことに驚き、動転し、次の動作が遅れた。
それは大きな隙だった。
そして、キャサリンは叫んだ。
「エクスペリアームス!!」
キャサリンは勝利を確信して笑う。
そして、ニッと笑い、宙を舞ったノットの杖をキャッチした。
「勝負あり!ミス・ロングボトムの勝ちだ。」
スネイプの声が響く。
ノットは屈辱的な表情を浮かべ、大きく舌打ちしたが、杖を盗られているためか何かをする気はないようだ。
キャサリンは満面の笑みを浮かべた。
ノットを打ち負かせて最高に気分がよい。
ノットは驚愕した表情で、キャサリンを眺めているだけだった。
気づくと、周りにはもうもうとカラフルな煙が立っており、様々な魔法による惨状が広がっていた。
ネビルは何かやらかしたらしく、ペアの男子とともに昏倒しており、ハリーはダンスを踊っている。ドラコは呪いによる笑いすぎで窒息死しそうだ。
ハーマイオニーのペアに至っては、杖を捨て、相手にヘッドロックをかけている。
“決闘の基本魔法”は、スリザリンの2年生、パンジー・パーキンソン相手に役に立たなかったようだ。
「フィニート」
スネイプは杖一振りですべての呪文を終わらせた。
無能なロックハートは、この惨状でも何もできないらしい。
みな我に返ったような顔になった。
「さて、これからお手本を選ばれし2人に見せてもらいたいと思います!」
「ドラコ、ポッター出てこい」
この惨状をつくらせながら、教師はまだ決闘をさせるらしい。
かなりキレたハリーとドラコが前に出てくる。
特にドラコのほうは禁じられた魔法でも使いだしそうな顔になっていた。
キャサリンはノットに杖を返し、最前列に並ぶ。いつの間にかノットも隣にいた。
「よお、先輩。今回はわたしの勝ちだ」
「うるせい。お前さあ…。」
ノットは何か言いかけたが、決闘が始まったことで話は打ち切られた。
ハリーとドラコは、お互いに会釈もせず、向かい合った二人はロックハートの合図で決闘を始めた。
「サーソーペンティア!」
ドラコが叫ぶ。これは、蛇を出す魔法だった。
1メートルもある毒蛇が魔法によって現れる。
まず、蛇を出すことで、相手の魔法の対象を増やし、その隙に次の攻撃を食らわせる。けっこう良い戦術だ。
ただ、問題なのは、蛇がどっかへ行こうとしたことだ。床を這い回り、キャサリンの前を通って、ハッフルパフ生の前でとぐろを巻く。
戸惑うハリーを見てスネイプが前に出ようとしたが、ハリーの行動の方が早かった。
ハリーの口元からシュー、シュー、という音が出る。
蛇は2年生のハッフルパフ生の前で身体をくねらせた。
ハリーと蛇のシュー、シューという音だけが大広間に響いていた。
「うわああーーー」
そのハッフルパフ生は悲鳴を上げる。周りの生徒もざわつき、ハリーと距離を取ろうとした。
普段から無表情が売りのノットもさすがに驚いた顔をしている。
キャサリンもさすがに驚く。パーセルタングは本でしか知らなかった。
というか、パーセルタングに会ったことのある人間なんてホグワーツにほとんどいないだろう。
ハリーはどこかキョトンとした顔をしており、なにをしでかしたかわかっていないようだった。
ハリーはパーセルタングなのだ。
そして、自分の能力がどうみられるのか知らないらしい。
キャサリンはため息をついた。
ハリーは悪いやつではないのにどうしてかトラブルに巻き込まれる体質のようだ。
番外編の閑話を書きたいと思っていますが、主人公変えると書きにくいよー
読了ありがとうございました。
寒いので風邪にお気をつけて