ここの所、黙っていればとても美人なメンチさんの手料理を食べられる日々を過ごしていた。
三月から七月まで時間が経過しているからか、そこそこ馴染んで来ているように思う。
料理の感想を聞かれて美味しいと答えると、どこが気に入ったのか具体的な内容を答えなさいと怒られるが本当に美味しい物を食べたら長々とした批評なんて普通は出て来ないでしょうに。
よく出される料理の素材はトカゲと鳥の中間位の生物の肉で癖も無く様々な用途に便利らしい。
生物系のハンターなら中途半端な所で何故進化が止まっているのか気にする所だが、美味しいので自分は細かい所は気にしてはいられない。
調味液につけてからパリッと焼いた物は作りやすく食べやすいが、料理人としてはもっと手を加えたくて物足りないらしい。
香草や野菜などの原種も新大陸独自のものがいくつもあるようで、見た事の無い材料の入った料理にも慣れた。
魚もここらで獲れるのは皆、新種らしいが専門家じゃないので見分けがつかない。
捌く段階で骨を取ってくれているので食べやすいと思うくらいだろうか。
塩焼きや一夜干しを炙った物もいいが、ポワレやパイ包みなど自分では選ばない感じの料理も美味しくてまた食べてみたいと思ったと伝えると味の感想じゃないのにメンチさんは嬉しそうだった。
「肉を煮込んだ感じの料理が食べたいです」
「手間も時間も掛かる料理をこんな時間からオーダーしない‼今日仕込んで明日出したげるから楽しみに待ってなさい」
料理に対して褒める語彙の少なさを責められる点を除けば新婚ってこんなのかなと思い過ごしている。
ただ遊んで過ごしている訳ではなく荒事をQoL自体の手で行うのは最終手段であり、
度が過ぎる嫌がらせだとしても、表向き一般企業の所属ならこちらから手を出せば悪とされてしまう。
足がつかない形でプロに片付けてもらうのが安牌だ。
わざわざ用意している自前の戦闘部隊は、ライバル企業から金を握らされた反社などの相手を裏で静かに行う事が多い。
動かすなら必殺かつ徹底して、その場にいた全ての者を始末して誰の口にも上らない様にしなければいけない。
余計な事をするなら、その末路がどうなるのか馬鹿でも分かるように。
ヨークシンでは幻影旅団がこちらに敵対するようならやり合う事になるが、今の所そうした動きは無い。
これまで自由に動けていたのに知識がある原作時間軸に来て、事態がどう動くのか分からず身動きが取れない自分の小心さが恨めしい。
天空闘技場でヒソカがマチを幻影旅団へのメッセンジャーに使うのは原作にあった事だが、カストロ戦後にクロロ相手のデートの誘いをマチからクロロに伝わる様に言付けたなら九月までにヒソカとクロロが闘う可能性も十分ある。
原作の様にクロロが勝ったとして、パクノダの手で
こちらにヘイトが飛ぶようにヒソカが口を滑らせていれば別だが、意中の相手の前で他人の話は恐らくしない。
出番は多くないが事前準備や普段の鍛錬を怠っていたら死ぬのが戦闘部隊のキツイ所だ。
逆に頭脳労働側は普段の仕事をなるべく残業無しで回す様にしていてもキツイらしい。
稼ぎ頭の一人なんて仕事のストレスから自分の為の理想のメイドさんを無意識に具現化してしまったらしい。
家に帰ったら出迎えてくれる家事万能の理想の美人なメイドがいるお陰で仕事の効率が具現化以前と段違いになったようだ。
◇◇◇
他人を羨んでいても仕方無いので闘技場で相方と発を使ったどちらかが戦闘不能になるまでの死合いをしておく。
強化系と放出系の闘いなので初期の間合いがそのまま勝率に響く。
今回は20M離れて始めるが相性の問題もあり確実に仕留めるとは言い切れない。
無くてもいいが開始の合図にコインを投げる。
腕に指を走らせ自己一体型念獣を起こす。
指でなぞった部分が念空間の出入り口となり武器庫が見えるようになる。
9ミリ弾程度では戦闘の為に鍛え上げている強化系相手では足止めにもならない。
仕留める為なら12.7ミリ弾を直撃させたい。
念能力者ならかなりの反動を耐えられるが、本来伏せ撃ちで使うような狙撃弾を移動しながら撃てる様に銃本体を無理やりアサルトライフルサイズにしたので神字を組み込んでいても一回の戦闘で五発も撃てば相応の負荷が掛かりメンテナンスが必要になる。
当たれば死ぬ攻撃でも使えるのがこの念空間の闘技場の良い所だ。
『
念と技術開発部の悪魔合体の結果生まれた、単分子ブレ-ドが人程度なら軽く引き千切る弾丸を切り裂き担い手を無傷で進ませる。
直線で迫る相手に避け易い頭部は避け腰から胸辺りに狙いを変えながら撃つも切り裂かれる。
切った後の弾丸を左右に弾き飛ばしているのは技量か武器の仕込みなのか見ている側では分からない。
通常兵器だけでは止めるのはやはり難しいか。
念弾も織り交ぜた引き撃ちで仕留める。
普通の念弾では切り裂かれるだけなので引き継いだ発の一つ衝撃弾で体勢を崩しにかかる。
込めたオーラと飛ばした速度の全てを着弾地点で衝撃に変換する念弾は殺傷力こそ小さいものの使いやすさは抜群だ。
迎撃だけ考えれば良かった所に回避してなお影響の出る攻撃が混じった事でなんとか距離を保てている。
しかし相手を殺傷可能な弾丸が尽きては話にならない。
……そう考えると思っていただろう?
相方の武器なんだ撃てる弾数くらい把握されているのは当たり前だ。
なら尽きた所で踏み込んで来る事だってこちらも理解している。
刃先がこちらに届く前に勝負を決めてしまえばいい。
円を展開してその範囲内の空気を掌握する。
空気ごと硬で指先サイズまで圧縮してオーラで包んだ空間で、無理やり空気中の物質をぶつけ合い積乱雲が雷を発生させる原理を再現する事でプラズマを作り出す。
必殺の意思と共にオーラで状態を保ったプラズマ火球を真っ直ぐ相手の心臓を吹き飛ばすつもりで放つ。
音速を越える5センチの火球が個人で防げない攻撃になるなら貫通力の高いこれだって必殺になるだろう‼
相方の胸部に風穴を開けれはしたけど、首飛ばされてしまったな。
やっぱり前衛無しで使う技じゃないな。
「GG、勝てると思ったけど攻撃決めても死ぬまでに攻撃されたら相打ちになってしまうよな」
相方と先ほどの死合いの反省会をする。
ほとんど自分の独り言になるが、頷いたりのリアクションはするのでやる意味はあるだろう。
自分の念獣は武器庫型で非生物を収納でき、自身に知識のある物ならメンテナンスもしてくれる。
NGLのような環境でも武器を持ち込めるのはこれの強みだが、行く予定はない。
必殺として用意したプラズマ弾はキチンと名前なんかを決めたら威力も上がるのだろうか?
円と硬で必殺技のリスクは十分だろうから円を広範囲に広げて即座に硬に圧縮を訓練すれば実戦で使い物になるように出来るだろう。
広げたりするのは変化系の領分で相性はあまり良くないけど光学兵器はロマンだからな。
相方は空間そのものを切る事を目指しているのか概念すら切れる様になりたいのか、恐らくそんな所だと思うが聞いても答えないだろう。
理想や目標は語るのでは無く実現させて示すモノと考えているみたいだからな。
◇◇◇
念ありの戦闘だとやはり仮想敵として優秀なのは幻影旅団になる。
キメラアントは人外前提の能力や自身の生態が関わっているし、ハンターは星持ちのハンターですらテラデインみたいにナレ死するから当てに出来ない。
能力の対策が一番難しいのはフランクリンだろう。
通常攻撃が必殺で範囲攻撃かつ連射可能の遠距離型とか遭遇戦でどうしろと。
相手の射程外の超遠距離から仕留めるか、カウンター呪詛タイプの攻撃してきた相手に同じ傷を与える能力などが候補だろう。
フェイタンも面倒だが攻撃に来たところをカウンターでMボール使って封印すればどうにかなる。
ノブナガ?遠距離から飽和攻撃で捌き切れない物量を叩きつければいいだろう。
他の強化系はギブソン師範代が相性いいのでどうとでもするだろう。
操作対策はしているのでシャルナークは自己操作くらいしか手が無い。
マチはマフィア相手だと首を吊って絞めた後に操り人形の様に動かしていたが、創作の糸使いの定番の斬撃も警戒がいるだろう。
身体能力も高いはずだが武器を考えると中距離型、接近戦は糸に絡めとられそうなので仕留めるなら遠距離から決めたい。
クロロは純戦闘用の発をそれほど保有していない様に思うが、頭脳が元の持ち主より高く戦闘でも活用出来てしまうのが要注意だろう。
数の優位を押し付けて体術で押し切るのが系統から考えて正攻法だろう。
全員が実戦慣れしていて奥の手を隠し持っているので、本気になられる前に仕留められるかが勝敗を分ける事になりそうだ。
想定より容易い事はまずないだろうから面倒な連中だと思う。
こちらの手札も増えているが、どんな相手と戦おうが勝てるとまでは言えない。
封印のための符術から進化して当てれば封印可能なMボールも今は作ってある。
派生としてかけられる念の対象をずらす身代わりの護符も出来たが、除念師は未だ一人もいない。
回復も自己治癒力強化以上の事を出来る人材がゼロ、これは群体型だから必要とされなかったからだろう。
身内がやられたなら確実に報復は行うが、死んでも代わりがきくのが強みだからか攻撃や便利能力以外が作られにくい様だ。
そろそろヨークシンか……クラピカがどうするか、それ次第でやるべき事が変わるだろう。
マフィアに対して旅団勝利ルートなのか陰獣の攻撃に合わせシャルやフランクリンを仕留め瓦解させに動く必要が出るのか。
事情が有るにせよ悪行を為してる連中なのに、嫌いになり切れないのが余計に面倒な連中だよ本当に。