再会はレオリオがゴン達にケータイを持たせた事で連絡が取れるようになってからだった。
ゴン達は早めにヨークシンに来ていたはずだが、連絡がつかない状態だったので合流は九月に入ってからになった。
「四人とも条件はクリア出来たかい?」
「おうよ、パパッと習得してやったぜ」
誰も不安そうな顔などしていないので課題をクリアしてきたのだろう。
「じゃあ、話をするために場所を移そうか」
人混みの中で話す内容ではないのでホテルに部屋を取って、盗聴対策に符術で隔離された念空間を作ってから話に入る。
「まずは課題クリアおめでとう。ハンターとしての第一歩を踏み出せた様でなによりだ」
「そんな挨拶いらねーから本題入ろうぜ」
せっかちだなキルア、自由に遊べる時間が減るのが惜しいのだろうか。
「そうだな、約束を果たそう。ゴンに言ったジン=フリークスの関わった品はグリードアイランドと言うゲームだ」
「あー、アイアスの情報もそれだったか」
ゴンがハンター試験に受かったら渡して欲しいとジンが置いて行った物にG.Iのセーブデータが入ったカードと指輪が入っていたとゴンから説明される。
「レオリオとクラピカへの報酬もこのゲームが関わるんだよ。念能力者でないとプレイ不可能で死の危険もあるが、中で使えるアイテムの数々にはそれだけの価値がある」
「でも定価58億って買わせる気が無いだろこれ」
金策に失敗して所持金を減らした年少組が口をとがらせて不満を垂れ流す。
「オークションに出ていて富豪が買い占めているからもっと高騰しているよ。200億以上あの老人なら出すだろうね」
うげぇと表情を変えるキルアだが君の金の使い方も大概だからな。
今年もオークションにG.Iがいくつも出品されると告げるとクラピカがこちらより先にこれからの予定を口にした。
「買うだけでは片手落ちだ、クリアさせるためプレイヤーを雇う必要がある。その選考があるんだな?」
「その通り、だから修行してプレイヤーを選考する側に実力を認めさせる必要がある」
目に見えてレオリオが面倒くさそうにげんなりしているので報酬の話もしておこう。
「クリア報酬はゲーム内のアイテムを三種現実に持ち出せる様になる事。これにバッテラ氏は500億の報酬を出すそうだ」
想定していた額より多かったのかレオリオの目が金銭欲に染まっているように見える。
「レオリオだと快適にプレイ出来る程度に強くなってから取る予定のアイテムで、受験分だけでなく医大で必要になるテキスト全てを頭に入れてしまえば、その浮いた時間を他の事に使えるようになる」
新しい治療法の論文を読んだり、新薬に関する論文などを読み込む時間が作れるだろう。
悪用もしそうだが『スケルトンメガネ』があればレントゲンやCTより病気を発見しやすくなる可能性もある。
「マフィアのトップが集まる会合があるから堅気じゃない連中がピリついてる。あまり裏通りなどに行って刺激しないように」
基礎修行と並行して発の開発をする事、見せ札として使っても切り札がバレない様に出来るならなおよし。
G.Iが全て出品されてから選考があるだろうから10日が選考の日になるだろうとも伝える。
オークションに入る為のカタログの金額を聞いてレオリオがそんなにするのかと、驚いていたがこの程度稼げないなら参加できないし選考の足切りにもなっていると伝えた。
「金持ちってのは、なんでまた道楽にこんな額を使うんだろうな」
「本人にしたら道楽じゃないからだよ。愛している相手の命がかかってる」
金持ちの道楽に付き合わされると思っていたのか、やる気なさげだったレオリオが真剣な表情になる。
「なんでゲームクリアが人の命を救う事になるんだよ。探すなら名医じゃないのか?」
「既に医者には匙を投げられている。どんな怪我や病気でも治療できる手段がG.Iにはあり、現実でそれを使うにはクリアするしかないのさ」
今は植物状態でダメージを受けたのが脳であるため現代医学では現状維持すら出来ているか分からないのだ。
「そうか、なら本腰入れてやるとするか。報酬もデカいしな」
手で金を意味するジェスチャーをしながら軽口を叩くが目は真剣なままだった。
医者の手で救えない事に眉を寄せていたが、人を救う為なら力を発揮できるのがレオリオのいい所だろう。
「クラピカには追加で情報を教えておく必要がある。マフィアの地下競売を狙って幻影旅団がこの街に来るらしい」
ぐっと体に力が入り強張ったのがわかった。
旅団は別に悪では無いと主張する気は無い、被害を受けたなら何をしても許される様になる訳では無いのだから。
だが復讐者に落ちたならクラピカは普通の生活に戻れなくなるだろう。
「確かにG.Iの中に死者とやり取りできる方法があるんだな?」
「約束出来る。クリア者がまだ出ていないゲームで、相応の実力が必要だが君にとって有用なアイテムがいくつもある」
「なら、まだ耐えられる。だが同胞が私に復讐を望むならこの命を惜しむ
それはしょうがないと諦められる。
出来れば君の幸せを願ってくれる相手の言葉が届けばいいと思うが。
◇◇◇
修行はそれぞれ行っているが、充実した顔を見るに手応えがあるのだろう。
マフィアや旅団の動きをネットに上がる情報と影の人達から送られる情報で追っている自分としては順調とはいかない。
9/1に地下競売を幻影旅団が襲撃、これは予定通り。
9/3十老頭暗殺。ゾルディックが動いている事を確認したので間違い無いだろう。
同じ日にコルトピの能力で死体を擬装して流星街の出身とアピール。
操作した人間を使い地下競売を開催して偽物を掴ませて売り上げも盗む。
マフィアの面子をどこまで踏みにじれるかに挑戦したのかと言うラインナップだ。
身内を殺され黙っている訳には行かず最高戦力の陰獣まで投入して返り討ちにされ、自分たちのトップを討ち取られていながら報復を中止せざるを得ないのは裏稼業に取って致命的なモノになるだろう。
偽の地下競売で高い金払ったのも偽物を掴まされる恥の上塗りになり、どこにも届けを出せず泣き寝入りしか出来ない。
流星街のケツモチをマフィアがしていた関係が、マフィアの面子よりも流星街の都合の方が優先される状態になっていると認識される為にこんな事をしたのだろうか?
旅団が良い空気を吸えていたのはここまで。
異変があったのは9/5原作でクロロと闘おうとして不発だった日。
パクノダとコルトピ、シャルナークまで推定ヒソカに殺されていた。
修正力と言う単語が頭をよぎらなかったと言えば嘘になる。
しかしウボォーギンは生存しているので旅団狩りに邪魔な人員から削っているとも考えられる。
コルトピがいては踏み込むだけでバレる円の機能を持った拠点が作られるし、団員の死体などからダイイングメッセージを読み取れるパクノダも邪魔になる。
シャルナークがいるとハンター専用サイトなどを使った情報収集がされる上に、クロロの指示を足に分かるよう説明出来る参謀として動く。
蜘蛛の足を機能させなくするには脊髄に相当するシャルナークは排除する優先度の高い相手になる。
ウボォーギンが無事なのは結成した時の事を知らないなら戦闘員の一人として見られているからだろうか?
9/9ここでもまた蜘蛛の足が欠けた。
前日にフェイタン、フィンクスがG.Iを盗み何人かログイン。
マルチタップを使わず1P側を占拠している相手を探して排除する為に行ったのだろうか。
拠点でジョイステを守る側とG.Iをプレイする側に分かれたはずだ。
残ったのは恐らくウボォーギンとフランクリン、ノブナガとボノレノフあたりだろうか。
原作と同じように復活した後、オーラにそのまま薄っぺらな嘘を使える様になっているなら自身を暗闇に同化させて忍び寄る事が可能だろう。
ボノレノフは特徴的なので発見されて警察が身元確認に手間取る中で自分達は気が付く事が出来た。
旅団側からするとホラー映画のような展開だと思う。
殺した筈の相手が蘇り報復にメンバーを次々に殺しているのに姿を見る事さえ出来ないなんて。
手段を選ばずしたい事を欲望のままに行ってるヒソカが、仲間の命や流星街の将来を背負ってるクロロより好き放題やっているのが惨く現実的だ。
もしヒソカが旅団に入る切欠になった団員の入れ替えルールが幼馴染を悪役から解放する手段として作られたなら、クロロのメンタルにエグいダメージが入っていそうだ。
クラピカをあまり刺激したくないのだけど、G.I内に旅団が何人かいるから無理だろうか。
情報が入るたび感情が荒れそうになっている今こそ彼に『心度計』が必要な場面なんだけどG.Iの中にしかないんだ。
修行中に目的達成して現実に戻らないかな旅団連中、衝突に備えてはいるけど用意した策が必要になりませんように。
何に祈ればいいのか分からないけど、困った時に取り合えず祈っておくのが自分に残った日本人らしさだと思うとこんな時なのに少し笑ってしまった。
あけましておめでとうございます。