ビスケなら問題無いとは思うけど指導する人数も増えているし、どんな調子で修行を進めているのかを見に行ったらギブソン師範代も彼等と一緒にいた。
なんなら『魔女の若返り薬』を使って若返った姿でビスケと流々舞をしていた。
何やってんだろうなあの人は……指導側が増えてる分、負担は減るだろうから問題は起こってないかもしれないけど。
若返った事で生じた体を動かす際の違和感を解消するためにビスケに相手を頼んだのだろう。
G.Iのプレイヤーではビスケ以外にこのレベルで組み手が出来る相手はいないだろうしな。
「久しぶり、随分と成長出来た様でなによりだ」
「あ、アイアス」
「てめぇこのボロボロさを見て言う一言目がそれかよ」
キッチリと基礎修行を行い堅の維持出来る時間も増えて来たのか、ゴン達もそれぞれ組み手を行っていた。
「おう、アイアス、お前らもこっちに合流するのか?」
ギブソン師範代そんな予定話してなかったでしょう、今回は様子を見に来ただけです。
「いいえ、友人たちが攻略に入れる程度に修行を積んでいるか確認に来ただけです」
ビスケに対して自分達の事を雑に紹介するのは構わないけどこの馴染み具合、師範代いつからここに来てたのだろう。
まあ数日でも波長の合う相手だと馴染むのが彼等ハンター世界の陽キャだし、実は昨日来たのだとしても違和感ないが。
「で、オレらの実力はどーよ?」
実力が伸びている実感があるからか、キルアの生意気さも顔を出している。
「G.Iを始める前とは見違えるくらい実力がついたね」
「お、じゃあゲームの攻略始めんのか?」
「それは君たちの師匠にOK貰わないといけないし、キルアのハンター試験はいいのかい?」
「もうそんな時期か、危ねぇ修行が楽しくなってきて忘れるとこだったぜ」
「こうして会ったからバインダーに名前が登録されたはず。攻略に人手が要りそうなら声を掛けてくれ」
ボマーも動き出すし幻影旅団がいるはずなのに騒ぎを起こさないしで情報を知っている側からするとG.Iがかなりの危険地帯になっている。
ここで活動するのも後二ヶ月くらいか、レイザー戦で足を引っ張らない程度には自分も調整して過ごしておこう。
◇◇◇
友人とゲームに来た割にはいつもの面子で行動していたが、一月に入ってゴン達からゲーム攻略に入るから一緒にどうかと誘いが来た。
クワガタ取りやアントキバの月例大会は自分達はスルーしたが、ドリアスで入手出来るカードはこちらでも確保する事にした。
「おお、こいつかオレに使ったらどう?って言ってたアイテムか」
『記憶の兜』重いらしいが、ここでの修行前から8トンの重さを動かせる筋力があるレオリオなら問題無いだろう。
「攻略が一段落したら外に出て受験や医大で必要になる教本を買ってこちらに戻れば、実地で身に付ける部分以外の覚えないといけない事は頭に入れられるだろう?」
「医療も日々進歩してるから新しい論文なんかにも目を通す時間を作らないと不味いからな」
「レオリオの夢はお医者さんで、それを叶える為にG.Iの攻略に付き合ってくれてるんだもんね」
受験が楽になる事を喜ぶのではなく、医者としてのスキルアップの時間を作り出せる事に価値を見出すのが普段と違いメンタル的なイケメンだよなレオリオのこういった所は。
金粉少女に鼻の下伸ばしていたオッサン顔なんていなかったんだ。
レオリオだけに報酬を渡す訳には行かないので、自分達が皆でお遣いクエストをこなして手に入れた『死者への往復葉書』をクラピカに差し出した。
「君達が修行中に自分達がG.Iを駆け回って手に入れた物だ。君に取って価値ある祈りが届く事を願っている」
本当にたらい回しにされるイベントだったからな『死者への往復葉書』のイベント。
墓地に居るキャラがイベント導入のキャラで、愛していた家族の一人が死んでしまった事で残された家族が悲しみから上手くコミュニケーションを取れずこのままだと家庭崩壊が起きそうだと聞かされて、その家族の関係の修復を手伝う事になる。
話しかけたらまず死者との思い出の品について懐かしそうに話すので、その条件に合う指定カードを持ってくる必要がある。
ランクこそ低い物だが話を聞き流すと何を持ってくればいいのか分からなくなる。
持ってきたなら次は家族との仲を修復するための贈り物の相談をされるのでキーワードを聞き逃さず条件に合う物を持ってこないといけない。
これを家族全員分熟さないといけないので真面目にカードの獲得を自分で行おうとすると面倒なイベントだ。
しかし
意地の悪い点はマサドラじゃない街なので、このイベント以外で何度も買い物に来ない点とゲーム内の金は預けた店でしか使えないので金策もこの街付近でしないといけない点だろうか。
『思い出写真館』や『人生図鑑』は故人を思い出し懐かしむ品として適切だと思うし、『失くし物宅配便』も思い出の品を取り戻せるからここは固定だったのかもしれない。
仲を修復するための品は自分が取った時は『超一流シリーズ』や『アドリブブック』、『真珠蝗』だった、回数が多い分必要になるカードの難易度が下げてあるイベントなのかも知れない。
カードを取れる場所がバラバラなのは悪意があってか、
クラピカはここでこのカードが渡されるのを想像していなかったのか、心ここに在らずな様子で受け取った。
街についてから集合場所を決めて別行動をしたのだが、直ぐに宿に入って行ったクラピカを止める者は誰も居なかった。
次の日にならないと返事は来ないけど、友人や家族になにを聞くのか文面に悩む時間が必要なのだろう。
その間にもこの街で獲得できるカードの獲得を目指す訳だけど、ここはギャンブルの街。
これはレオリオは当てに出来ないし、キルアも調子に乗って破滅するタイプだから手綱を握れる者が側に居ないと碌でも無い事になるので、結局クラピカ以外で団体行動をしている。
◇◇◇
指定カードを取った後も『リスキーダイス』を使おうとするのでキルア達を腕ずくで眠らせた後、余った
次の日に顔を合わせたクラピカは緋の目では無く一般的な意味で目を赤くしていたが、雰囲気は険しい物ではなかった。
クラピカの周りにいた人達は死んだ自分の事より、生きている者の都合を優先出来る人達だったのだろう。
これで自暴自棄な復讐に走らないで生きる事を選んでくれるだろうか?
それなら、ここで報酬第二弾『身重の石』を渡しておこう。
これは獲得に時間が掛かるタイプのイベントだった。
獲得に必要になる別の指定カードの『千年アゲハ』もそうだったが、獲得に忍耐力を試されるハントの練習を想定して作られたイベントだったのだろう。
一族復興に掛かる時間を考えると必要になる『魔女の若返り薬』は手元に無いが、今の実力なら自身で必要になった時に獲れるだろうから問題はないだろう。
しんみりした空気を壊す道化としての振る舞いと見るか本気と取るかはクラピカ次第だが、一族の復興も視野に入れられる状況は作った。
だから珍獣を見る様な目で自分を見るのは止めておいて欲しい所だよクラピカ。
「ワンチャン、ゴンもジン=フリークスが産んだ可能性があるから……」
「は?マジかよ」
「聞いた話でしかないけど、彼は風来坊で家庭を持って落ち着く様な人物じゃないから可能性もあるって話だよ」
まじまじとゴンを見ているキルアにレオリオは何を考えているんだろうか。
目を丸くしているゴンがどう思っているのかも分からないが、直ちに問題は起こらない内容だろう。
クリア後に会うゲームマスターにゴンがこの事について聞いたら、爆笑して弄るネタが出来たと喜びそうだ。
ビスケにもジンについて聞いてみたが、家庭を持って落ち着く印象が無いのは同じだった。
「俺達が開発している土地に仕事で来た事もあったが、一人で来てたし親密な女性の話は聞いた事ないな」
ギブソン師範代も新大陸の調査に来たジンの話をしてくれたが、ゴンを産んだ説を覆す内容ではなかった。
だから安心しろクラピカ、ゲームマスターが否定するまでの間は父親と母親を兼任した人物が既にいる可能性が残ったままだから。
ジンがゴンに顔を合わせ辛い理由がこれだったなら面白いんだけど、カセットテープで母親について言い淀むのも仕方ない出来事だ。