大丈夫‼俺、悪意はない外来種だよ   作:性癖サンドバッグ

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変わらない日常へ

何かに満足して成仏していったオリジナルには悪いが、自分達の日常は特に変化なんてモノは無かった。

未練を残していない連中も一緒に居なくなっていたから、死んだ連中がこの世に押しとどめられていた原因ではあったのかもしれない。

強いて言うなら侵食によって上書きされる魂の情報に能力を使う者の魂も使われるようになったくらいだろう。

 

最期だからって感傷的になっていたのかポエミーな黒歴史(遺言)なんて残して逝かれても羞恥心しか刺激されないんだが。

 

そもそも自分達は崇高な志で集まった集団では無く、利益や戦力をお互いに提供している間柄なのでそれが簡単に崩れたら驚きだ。

女性ハンターを敬遠しているのも家庭に求めるものが安らぎであって、家でも仕事の話が出来る相手ではないだけだったのだが体を持たずに長く過ごしていたからそこら辺の機微も分からなくなっていたのだろうか?

 

でもまあ排除されなさそうとの考えには同意する、しかしやはり自分達から明かすメリットが皆無なので現状維持が濃厚だが。

世の人々に必要とされるよう便利な世の中になるように、家電製品の製作にはずっと力を入れていたから市場のシェアは圧倒的にQoLが突出している。

一般に売りに出していない神字を組み込んだ家電製品を作製するノウハウは他に持っている組織なんて無いだろうから代えが利かないし。

 

 

ちなみに自分は今、G.Iのクリアとその報酬を獲得したゴン達の見送りに現実側で顔を合わせているのだが微妙な空気だ。

ゴンとキルアは『聖騎士の首飾り』と指定カードに変化させていた『同行』を選んでいて、残りの枠は受験に備えて地元に帰るレオリオが使うと思っていたのに三人は何を思ったのかクラピカに『身重の石』を渡したので自分がクラピカから何とも言えない視線でめった刺しにされている。

 

しかしこれは冤罪だと主張したい‼

三人が選んだのであって自分達はそれに全く関わってないのだから。

G.Iも暫く来ないだろうから『一坪の密林』がどんなイベントなのかをゴン達がクイズ大会をしている時から仲間を呼んで見に行っていたのだ。

 

 

◇◇◇

 

 

G.Iの指定カードを獲得するためのイベントは大まかに念能力者としての実力を試すものと、ハンターとしての仕事で必要なスキルを試されるものに分けられると思う。

 

『一坪の海岸線』は念能力者とのチーム戦をゴンに経験させるために考えられたイベントだと思うが、『一坪の密林』はハンターとしてチームで仕事をする際に気をつけなければいけない事を学ばせるためのイベントだったと思う。

 

手のひらどころか指先に乗る生物でも十万人が死ぬ毒を持っていたりするのが密林の怖い所だ。

さらに毒だけではなく病気や未知のウィルスまでいる事を考えると、地獄めいたイベントの舞台すら本物よりは優しいのだ。

つまり知識が無ければそれだけで詰む環境での仕事を疑似体験させられる。

このイベントは数合わせを連れて来ていたら普通に死んでしまうだろう。

 

山神を祀る神官役のゲームマスターに密猟者と間違われて動物達を嗾けられるので殺さない様にしながら、つまりカード化したらバインダーに入れなければ失敗扱いになるだろう状態での鬼ごっこがイベントだった。

 

襲い掛かって来る動物達を回避するか生態を理解して足止めや注意を逸らす頭脳労働側、それらが出来ない脳筋は手加減して相手出来るだけの力量が求められた。

 

水辺の底なし沼になっている場所の回避や鬱蒼と木々が立ち並ぶ事で失いそうになる方向感覚を知識で補正して、仕掛けられた数々の罠を看破して神官を追跡するのが正攻法だった。

マップはドーナツ型だったので十分な実力者が揃って居れば二手に別れて神官を挟み撃ちにして捕捉して説得が楽な攻略法だろうか。

後はこちらの様子を相手が窺っている様子があったので希望的観測だが、動物達を死なせない行動を取り続ける事で誤解が解けるルートもあるのかもしれない。

 

イベントのマップと内容を把握してから離脱したからカードは入手していないが、やはり信頼出来る仲間を作れとの意図が感じられた。

その仲間の仕打ちで自分の株がガッツリ下がっているように感じていなければ、親として先達のハンターとしてゴンを教え導こうとしている事に関心出来たのだけど。

 

 

◇◇◇

 

 

「過去の清算もお前には必要なんだろうけどよ、ちゃんと未来にも目を向けて生きろよ?」

 

クラピカが生きる理由を作る為でもやり方がなんか、もう少しどうにか出来なかったのか。

レオリオの言葉に茶化したものがなかったからか、視線によって串刺しにされていた状態から脱出できた。

 

「まったくお前達は……まずは同胞の目を取り戻し弔ってからだ、私自身の生きる目的を探すのは」

 

「一人だとどーせ後ろ向きな考えになるだけだろうから、生き残る理由を持っといた方がいーんじゃねーの?」

 

それはそうだろうけど、子育てって大変なんだぞ?キルア。

せめて『メイドパンダ』でもいたら仕事と子育て両立出来るかも知れないが。

 

また変な思い付きが頭を過ってしまったんだが、赤ん坊の頃ゴンを育てたの『メイドパンダ』じゃないだろうな?

 

ゴンが野生児なのは動物に育てられた事で赤ん坊の頃に根付いた感性がそっちよりになっているとか、コンの親代わりになった事も動物と親子の様な関係になる事に違和感を感じていなかった可能性もあるのだろうか。

 

G.Iのカードにそこまでの伏線が無いかも知れないが、クイズの前に填めるカードとして選ばれて描かれていたから無いとも言い切れない所。

ジンと『メイドパンダ』からミトさんへゴンの親権の移譲か、絵面が凄そうな家系図作れるな。

 

家系か……行方不明になっているゴンの祖父ってドン=フリークスだったりするのだろうか?

ゴンがジンを追いかけた様に父親の背中を追ったからこそ、ジンが暗黒大陸について渡る計画を立てていた連中より詳しかったなら親子で受け継がれるロマンがある。

祖母の名前さえ出ていないから普通の漁師の可能性の方が高いが、明確に情報が出ていない人物の背景を考えるのはとてもワクワクする。

 

「皆これからも元気にやってくれ、なにか自分達に出来る事があるなら連絡入れてくれたら手助けくらいできるから」

 

「今生の別れでもないんだ、やりたい事を叶えながらでも連絡くらい取れるだろ。じゃあ時間だしオレはもう行くぜ」

 

一番忙しくなりそうなレオリオはそう言って手を上げて空港に向かって行った。

 

「やっぱり一緒には来ないの?」

 

ゴンから移動スペルで一緒にジンの元に行かないかと誘われたが自分達もクラピカもやる必要のある用事があるので不参加だ。

 

「ああ、十分に情報も元手も手に入ったんだ。早く同胞を取り戻して弔ってやりたい」

 

ゴレイヌの交渉した50億の内ゴン達の取り分はその大部分がクラピカに振り込まれる事になった。

その分は他の皆に何かあった場合は手を貸すから連絡をくれと言っていたから、クラピカが一人で鬱々と過ごす事が減るかも知れない。

 

「ゲームを堪能してばかりいて仕事を疎かには出来ないから、気持ちは嬉しいけどここで一旦の別れだ」

 

相方もゴンとキルアの頭を撫でて、片方は嬉しそうにもう片方は照れ臭いのか手を払おうとするがハリギリは強化系故にパワー差で撫でられていた。

 

 

「それじゃあ、またね‼『同行』使用、ニッグへ‼」

 

 

自分達を巻き込まないように距離を開けてから移動スペルを唱えて原作と変わっていないならカイトの所へ飛んで行った。

 

 

「皆、それぞれが目指す物の為に出来る事をしに行ったな」

 

「自分達が足止めをしてしまったが、クラピカもここからが第一歩だろう?」

 

「ああ、止めてくれたから見えた物もあった。私に望まれたのは過去に縛られて復讐に生きる事ではなく幸せになる事だった」

 

『死者への往復葉書』は自分達の望んでいた結果を運んでくれた。

それでも頑固だから自身だけが幸せになるのではなく、同胞の弔いを済ませないと気が咎めるようだけど。

 

村への襲撃は誰も逃がさない様に周囲を包囲した上で、それぞれの家族ごとに引き離されたらしいと聞かされたので多くの人員を投入出来る権力者の関与が濃厚になった。

 

幻影旅団が仇と教えたのが誰なのかは聞いていないが、彼等が都合のいいスケープゴートに使われただろう事だけは分かった。

彼等が既にヒソカの他へ構っていられる状態でない事もこちらからすると悪くない。

 

「私もそろそろ出発の時間だ。必要になる事があるかは分からないが、手を貸して欲しい事があったら連絡してくれ。微力ながら力を貸せるだろう」

 

自分達の仕事に気が付いているのかこちらを気遣うクラピカだったが、君の方こそ気をつけてくれよ?

人体収集家相手に生きた緋の目を持った最後の一人が交渉するなんて危険を冒さず済む訳が無いだろうから。

 

「クラピカこそ周りに力を借りてでも目的を達成する事を優先しなよ?」

 

「借りるばかりでは私の気が済まないのだが……」

 

「利益を考えた付き合いはビジネスで、友情は見返りを求めて繋ぐ物じゃないと自分達は思っている。君達を友人と呼んでいいなら自分は頼られて悪い気はしない」

 

「全てを失ったと思っていたが、新しく手にしていた友情(もの)もあったんだな」

 

 

あまり引き留めて飛行船の発着を滞らせてはいけないので、軽く手を上げてクラピカと別れた。

さあ自分達も日常に戻ろうか。

 

 

 

 

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