予想していた以上に行動を共にする事で情が移って、安請け合いした気もするがどうなる事やら。
それよりもこれからどうするかが問題だ。
ハンターとして何を狩るのかを決める必要もあるが、それより目先のキメラアント編でどう動くのかを決めなければならない。
友人と言える程に親しくしていた訳では無いが、ネタとしてならともかく同期を見捨てるのは気が咎める。
ポックル達の救出を行った場合に損をするのは念に関する情報を得られないキメラアントくらいなものだ。
ポックル達の原作での役割は念無しでも念能力者の脅威になる蟻が更に凶悪な力を身に付ける踏み台と、蟻の本拠地がどこにあるのかを特定する事。
巣の位置をこちらで特定すれば代わりとして十分だ、出来るなら蟻を念能力者の脅威にならないうちに退場させたい。
QoL財団からの仕事では無いため自費での活動になるがそこは問題ない。
しかし明らかに陸の生き物の女王蟻が、船で数ヶ月は掛かる距離のメビウス湖をどう移動したのかそれが問題だ。
パリストンやビヨンドがネテロ会長を引きずり下ろすための策として蟻の女王を用意した可能性もある。
だとしたら女王蟻を待ち構えて始末しようにも蟻を連れて来た連中の規模や練度が不明な状態での戦闘になる危険が高い。
最悪の場合は自分達念能力者が女王の餌にされて事態を悪化させかねない。
NGLの被害は目をつぶって生物系のハンターに情報が出るようになってから動くべきだろうか。
隣国で待機し情報が出たらポックルに連絡を入れ、警戒を促して引き際を見誤らない様に言っておけば最悪の事態は自身で避けるだろうか?
どこまで行っても自分の魂は凡人のまま、相手を完全体にしてから戦うような気概はない。
優先するべきは蟻編の名勝負やドラマなどではなく安全に確実に害あるものを取り除く事。
何をしたいのかはまだ見つからないが、救える可能性のある知り合いを見捨てては自分を捨てた連中と大差がなくなってしまう。
幸い危険生物を相手にするなら専門のハンターがうちに居る。
やるべき事を熟してその先にやりたい事を見つければいい。
……やりたい事探しって、自分より結構年下のキルアがしてる事と被るな。
年上としてキルアが目標を見つけるまでにはやりたい事を見つけて無いと追い越されてしまう。
「ハリギリはこの後どうする?」
相方の予定も聞いておかないと、勝手に当てにして他の予定が入っていて来れなかったら大惨事だ。
こちらの問いかけに対して彼は腰の木刀を抜いてコンコンと叩いて見せた。
なるほどNGLの環境でも使える武器の習熟も終えて準備は整っている訳か。
「助かる。NGLでも頼りにしている」
自分の意志で助けると決めた以上、失敗はしたくない。
出来る限りの準備を整えて後輩の外来種に年季の違いを教えてやろう。
◇◇◇
キメラアント対策を自費で行うべくQoLの方に仕事の調整と必要な人員の貸し出しを頼もうとしたが、自分達の仕事として認められて費用は災害対策の予備費から出される事になった。
世界中に拠点や施設があるのでNGLから蟻が拡散しないように仕留められるなら多少の出費は必要であると認められたようだ。
代えの利かない人材は新大陸側に退避させているとはいえ、こちらに居る者も有用な技術を持っている以上損耗を避けられるならそれに越したことは無い。
蟻編で新しく出て来る話題として転生がある。
ジンが調査していた遺跡の壁画などにもそれらしき物があったはずなので、この世界自体に転生が魂の在り方として組み込まれているのだろう。
オリジナルがこの世界に迷い込んだのも、死者の魂を呼び戻す儀式か何かに引っかかった可能性がある。
始まりの島の調査をこの手の問題に強い人材にしてもらいたいが、当時生きていた島民達は行っている事が儀式であると意識していなかったはずだ。
島の開発や調査は行ったがそれらしきものは発見されておらず、口伝で伝えられていたものが変質して失われていったのだろうか?
それでも因習として惰性で続けていて偶然効果を発揮したなら、どう調査しても分からないだろう。
第一世代の意識として残っている連中も、思えば同じ時代の他の地域と比べて口減らしが多かった気もするが潮風で作物が育ちにくい土地だったから仕方ないものと認識していたようだし。
カイトの念は発を含めてジンが教えたと言っていたが、絶対に死んでたまるかと思うだけで現世に留まれるなら死者の念がもっと有り触れたものになっていてもおかしくないだろう。
発動条件は死ねないとの思いでも、それを実際に形にするには現世側から誘導して安定させているのではないだろうか?
ジンとカイトの能力が対になっていて、死んだ側が生き残っている側をアンカーにして戻っているなら他の蟻と違って記憶などが欠けていない事にも納得できる。
複数の武器の具現化と扱いの習熟は努力や才能で埋められるだろう。
スロットによって出せる武器が選べない事を制約にして、それぞれの武器の性能を落とさないようにしているのも理解できる。
ただそこに転生して復活出来る能力が付加されている事だけは個人で可能なのかとの思いがある。
転生能力をカイトが事前に知っていたのかも疑問だ。
死んでも意識の消えない自分達だから言えるが、次が約束されている状態では一切の迷いなく「絶対死ぬものか」などと思えないのだ。
自分達だとそこに、死んでも他の奴が引き継ぐからどうにかなるだろうとの思いもあるので復活能力は作成できないだろう。
そうするとカイトは自分自身の能力だと言うのに何が起こるのかを把握していなかったのではないかと思うのだ。
復活能力を設定したのがジンだとするとカイトの能力なのに本人が知らない機能をどう作ったのかそれが問題になる。
ジョイント能力ならカイトがジンの能力を知らなくても効果は発揮されるだろう。
彼等師弟の名前が鉱石のジンカイトから来ているなら、石言葉にある復活もジョイント能力である事もメタ視点では違和感がない。
一度使って転生可能である事を知ってしまったら、次は使えなくなる可能性があるリスクも含めて出来る念能力での復活だろうか。
出来る事ならまだ面倒事の多そうな世界なのだから、使わせずに騒動を終わらせたいものだ。
カイトも蟻も人間から別の生き物へ転生している訳だが、人類の生息圏に人を騙したりする生き物が発生する理由って記憶は失っているもののどうすれば人を騙せるかは覚えている元人間の魂が入った動物が繁殖しているのではないだろうか?
ヌメーレ湿原に人を餌として運び動植物に食わせる事で環境を維持しているなら、蟻の餌になった者が食べられた側に転生している点が一致しているように思うのだが。
転生も闇の深い歴史がありそうで深堀してはなにか問題に巻き込まれそうな気がするのであまり深入りはしたくない話題になってしまった。
◇◇◇
千里眼能力持ちを非戦闘区域限定とは言え派遣してもらった甲斐あって原作より一ヶ月は早期に女王の発見が出来た。
早期と言っても馬鹿でかい巣を作っている事で発見出来たので、現時点でも犠牲者はかなり出ているだろう。
危険生物ハンターのクレスからハンター協会に人を捕食する大型生物がNGLで繁殖中と報告を送ってもらい、自分達も師範代を通してネテロ会長に情報を上げておく。
自分達で作った念の地図を通してリアルタイムで見たい地域の様子を観察できる千里眼能力は事前に時間をかける事ができ複数の能力を使用前提の自分達にあった有用な発だと思う。
ここからの選択としては即座に行動して蟻の師団を減らしていくのか、他のハンターグループを待ち彼等にも情報を協会に上げてもらい問題の深刻さに気付いてもらうかだ。
ポックルの捕獲を防いでも他のハンターが捕獲されて念の情報を引き出されては無意味になる。
だからやるべきはまだ護衛軍の産まれていない今のうちに削れるだけ兵を減らす事‼
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