大丈夫‼俺、悪意はない外来種だよ   作:性癖サンドバッグ

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凡人の果たした役割

自身が目指すものが現代では必要とされる事は滅多に無いだろう事は分かっていた。

ネテロ会長のように政治の都合で排除される危険がある事も。

 

しかし幼い頃にどんな存在になりたいかを聞かれた時に出た答えが英雄だった。

 

生き残るためには急いで作らないといけないと脅迫観念に押されて念能力を無理やり複数人で作る状況が終わり、個人で能力を開発して運用する個体の仕事を任せられる上限を定めるためのテストケースとして強力な個人を必要としていた時期に生まれたのも丁度良かった。

レベルアップに加え敵からオーラと血肉を喰らう事で自己強化の出来るオレは想定した通り強くなれた。

 

しかしクラゲの化け物を念獣を介して取り込んだ事によって老化が止まり、武器として使っていた念獣も念空間に喰らった獲物の血肉を蓄えそれらを武器に組み替えて使用するように変質していった。

 

それ以降の戦い方を見た同胞からの評価は「戦い方がどう見てもヴィラン」や「ヒーローを作る技術で悪役が作った怪人」など不本意なものばかりだった。

人々の助けを求める声に応えて人に危害を加える獣や魔獣などを狩っているのに。

 

相手にしているのが既に人に被害を出している危険生物な以上は、仕留めそこなったり逃がす訳には行かないのは当然の事だ。

獣相手に気高さやルールなど望むべきでは無く確実に仕留められる方法を取っている事の何が悪いと言うのだろう。

 

 

◇◇◇

 

 

現在NGLに入国して他の調査に入るハンターに先んじてキメラアントを狩っている。

 

「焦らずとも部下と同じ所へ送ってやる」

 

部下の兵士階級の蟻を囮として背後から襲撃してきたサソリと人をメインに作られたキメラアントの尾での攻撃を、これまで屠って来た生物で作られたパワードスーツの背中から出した触手で絡めとり毒で融かして捕食する。

 

自分達が捕食者側だと勘違いしていたのか動きの止まった人型をした蟻の顔に拳を叩き込む。

攻撃した拳が反応装甲の様に爆ぜて攻撃を躊躇わせるだろう人への擬態(人の様な美貌)を吹き飛ばす。

 

何事かを叫んでいるが隙を作ろうとする命乞いなどには慣れている。

その対処方法も。

 

捕食されつつある尾を引き千切り変身しようとするが、目の前で隙だらけな姿を晒していて攻撃しない訳が無い。

 

腕の装甲からクラゲの触手を伸ばして頭を拘束し、閉じる事の出来ない耳や鼻から体内に入り込み喰い荒らす。

絶叫を上げようと口を開いたならもう詰みだ、窒息狙いも出来る口をこちらが塞がない理由など無いのだから。

 

肉もオーラも喰い尽くされて最期の言葉を残す事も無く、後に自らを女王と呼ばせていた蟻はこの世から消える事になった。

 

 

一帯に残っていた蟻の兵士を片付けが終わってから、オレをこの生物の狩りに呼んだ後輩が溢した感想もあまり好意的な内容ではなかった。

 

「フェイタンの方が紳士的な戦い方って英雄としてはどうなんです?」

 

実戦の勘を取り戻す実験台になどせず、確実に仕留める為に相手に真剣に向き合っていたのに不評なのはなんなのだろう。

 

「下らない事を言ってないで、次の隊を探して殲滅するぞ」

 

試作とはいえ艦載用の近接防衛火器を念能力者の筋力前提で運用出来る改造型として持ち込んでいるアイアスが雑魚の数を狩るには一番向いているのだから。

発展途上の発である『荷電粒子砲(インドラの雷)』もまだ攻撃範囲は広くないが装甲はあっても熱に弱い蟻達に必殺の威力が出せている。

確か元ネタだと核クラスの威力だとされていたらしいが、念の攻撃でそれを目指すのはウボォーギンリスペクトだろうか?

 

無双ゲーのように蟻を蹴散らしていたハリギリは、武器持ちの強化系として完成しつつある。

高い強化率で防ぐ事が難しい斬撃を繰り出し続けるこいつは完全に格上でないと対処が困難だろう。

目指す所を聞いた事はないが強化系は求道者になる事が多いので、道を究めるまでは他に意識が行かないのだろう。

 

 

◇◇◇

 

 

遠征に出て来る蟻を叩き続けて囮部隊を犠牲にして他の隊を生かそうと蟻が判断するまで削る事が出来た頃に彼等はやって来た。

 

「ご苦労じゃったの、わしらは巣の攻略に入るので外に出とる連中が居たら片付けは頼むぞい」

 

ギブソンと錆落としをしていたとは聞いていたが、ここまで極まった個人は今まで見た事さえなかった。

 

「了解しました。国境付近の封鎖も完了していますか?」

 

「勿論です。それを待った上でここまでの道程も片付けたから、私たちがここまで遅れたとも言えます」

 

神経質そうに眼鏡を押し上げながら語るノヴはまだ自信と髪がある。

王が産まれておらず護衛軍も揃っていないはずの今の時期に、全盛期でなくとも勘を取り戻しつつあるネテロ会長がいれば蟻の駆除は成功するだろう。

 

「武運を祈ります」

 

「我々は運などでは無く実力で事を成し遂げますよ」

 

「おいノヴ‼見送りの挨拶にまでケチつけてどうすんだよ?すまねぇな、これでも悪気はねぇんだ」

 

ネテロ会長は言うに及ばず、冷静さと情の篤さ対極なようで噛み合っている二人ならこの先の仕事も完遂するだろう。

 

 

「では、後を任せます」

 

「おう」と返事をしたり、後ろ向きに手をひらひらと振ったり、当然だと言わんばかりに視線で答えた彼等は円で覆われた巣に向かって歩いて行った。

 

 

◇◇◇

 

 

しかしここまで展開が変わるとこの先どうなるんだろうな?

カイト達とゴンやキルアがNGLに来ていたのかも、お互いに電子機器を持っていなかったので知らないままだった。

オレらの知る限りではキルアは殻を破ってないし、ゴンもゴンさんにはならないだろう。

だが少年らの目的は血生臭い内容ではないのだ、順当に経験を積んでその先に望む物を手にしてくれたらいい。

 

これで原作知識なんて不確かな情報の(しがらみ)に囚われていた若い世代がやっと解放されるとも言えるだろう。

 

ヒソカなんて今の時期ならクロロを追っていたはずなのに、追われる側になっても旅団狩りを満喫しているんだ。

クロロが自身を囮に釣り野伏の様な包囲をしようとしても、伏せている団員から仕留めようとするくらい全滅させる気満々で闘っているらしい。

流石にそんな例外を真似しろとは言わないが、皆もこの世界に怯えず自由に楽しんで生きてもいい頃合いだ。

 

アイアスは自然保護区としてのNGLが気に入ったようだ。

なにせ神字を組み込んだ符で範囲を定めて、転移させるものと同種のサンプルを用意する事で一気に転移させて捕獲する発を開発して破壊された生態系の修復を助ける取り組みをしようと考えるようになったのだから。

動物でも植物でも指定したものだけを回収できる発で、農作物の収穫や毒や寄生虫などを取り除く事にも応用が利きそうで完成したら便利だろう。

 

 

◇◇◇

 

 

蟻とハンター協会の戦いは順当にハンター側が勝った。

 

「あれくらいなら、どうとでもなるじゃろ」

 

ピトーの実力はそんな風に評価されて、実際に完封されて役割を果たせずに終わったらしい。

後はモラウの煙と共に巣へと雪崩れ込んで女王ごと王を抹殺し、護衛軍になるはずだった繭も破壊したそうだ。

 

帰って来るのに時間が掛かったのは人の記憶を持ち周囲を襲わない者の処遇を決める必要があったからだそうだ。

人を襲う気のある者は能力を使って炙り出して始末をつけて来たので、全員分のギアススクロールが必要になったりはしなかった。

 

もうここまで来たらオレ達だって未知(普通)の環境で暮らすしか選択肢はないのだ。

幸いSFなどに出て来る実現できるか分からない技術を念を織り交ぜて再現できないか、なんて試みもされているので退屈だけはしないだろう。

 

オレ達は行けないがスペースシャトルで惑星外に出て、宇宙ステーションを作るのが暗黒大陸渡りのRTAルートかもしれない。

大気圏外まで成長している世界樹の天辺に拠点を作ってそこから降りれば到着なのだから。

 

 

 

美しく見える悲劇よりも、平凡で無難な犠牲の少ないハッピーエンドが凡人(オレ達)には望ましい。

世界中に問題はまだまだ山積みで何かの拍子にオレ達も巻き込まれるのだとしても、知り合った人達を事件に巻き込み死なせずに済みしばらくは世界規模の事件は無いここらが区切りにいいだろう。

 

ベストとまでいかなくてもベターと言える成果は出せた。

めでたしめでたしでは〆れないけれどそれでも犠牲を減らす事は成功した凡人(英雄)の軌跡はここまでだ。

 

 

 




ここまで読んでいただいた方、感想や評価までくれた方ありがとうございました。
頭の中にあるだけで書けて無かった部分の指摘や、他の人の視点で気になる箇所の指摘をしてもらった所を修正の参考にさせて頂きました。

思い付きで始めましたが執筆意欲が途切れる前にエタらせず、最低限は終わらせれてホッとしています。

天才同士の心理戦など書ける自信がなかったので、翻弄されるモブ視点で話を進めましたがそれが話を余計に分かり難くしてしまったなと思っています。

ダラダラ過ごすと戦闘能力無しで日常を便利にする念能力を使う話は、良さそうな能力が思いつかなかったので丸ごと没に。

後は主人公達が関わった事で本来とは違う道を進んだ原作勢の小話を思いついたなら番外編で出すくらいです。
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