ベテラン以上、星未満   作:誠一

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こちらはみのひつじさん主催の
♯3分で読めるノベル企画
お題「休息」
へ投稿した作品となっております。


人と木が交差する時

森林浴という言葉があるらしい

 

自然から離れた場所に住んでいると深い自然に囲まれ癒されたくなる時があるんだとか

 

 

何やら遠い地では人が木によりかかると書いて「休む」と書くなんて話もある

 

意味が分からんと思っていたが、なかなかどうして。木に体を預けて目を閉じると穏やかな気持ちになってくる。

 

ここは古代樹の森

 

自然には事欠かないどころか自然以外のものを探す方が難しいような場所だ。

煩わしく思っていた鳥の声も今では…

 

 

 

 

※ ※ ※ ※

 

 

 

「大丈夫!?しっかりして!!」

 

体の支えが急に消失し意識が、痛覚が現実に戻って来る。

気が付けば体のあちこちに傷を負い、少なくない出血をしていた

周囲には枯れた大量の枝と双剣を手に周囲を警戒する相棒。

血に濡れた異常な数のニクイドリと賊竜の群れ

 

 

おかしい。

 

 

何が起きている?

 

 

傷の度合いからほぼ反射的に懐から出した秘薬を飲み下し周囲を警戒する。

 

秘薬の効果で傷が塞がり始め、頭も回転を始めた。

休暇前に古代樹の森で賊竜や環境生物の異常があるから調査をするだけの

予定だったのだが、これは確かに異常事態だと言える

 

相棒のリィンは集会所受付嬢と同じピンクのブリゲイド装備で固めた見た目のみならず脳内もピンクのアホ女だ。だが直感だけは大団長も認める超人アホ女である

未知の相手の時にコイツ程頼りになる相棒もそういない。万一に備え俺はスリンガー

閃光弾をセット、警戒レベルを最大まで引き上げる

 

 

 

死骸の無い所には集まらないはずのニクイドリが虚空に集まり、

緑溢れる空間を黒に塗り潰して行く。

 

亡者の叫び声とも思える音と共に…

 

 

【異 形 の 存 在】が現れた

 

 

人のような直立二足にも関わらず大団長をも超える背丈。

しかしそれでも【異形】と言い切れるのは異常なほどに細く、

まるでボーンシリーズの防具を殺意と怨嗟で樹木から削り出したような姿のせいだろう

 

 

眼球があるはずの空洞からは生命そのものに対する嫉妬と渇望が零れ、首元を飾る緑の葉は【異形】の身体を構成するソレ以外の死をより強調させていた。

モンスターでもない、かといって人間でもない…全身が総毛立つような恐怖を抱えながら呆然とする俺とそいつの間を

 

 

 

桜色の疾風が駆け抜けた。

 

 

 

 

【異形】が腕を振るうと殺意を宿した木が、枝が急速に成長と老いを繰り返し、

周囲を飲み込む暴虐の波として襲い掛かってきた

 

双剣は数ある武器の中でも機動性と手数に特化した武器だ。

直感力に優れた彼女に鬼人化の極限の集中が組み合わされば、

誰もが虚を突かれる場面で旋風と化し、初見や変則的な攻撃をも

白刃を滑り込ませる好機に変える。

 

無機質な悪意の網をすり抜け目標へ肉薄し一閃、二閃と桜吹雪が赤い軌跡を残す。

このまま乱舞へ繋げようと双刃に力を込める寸前、見上げる程であった巨体が

煙のように姿を消す。

 

周囲を見渡すと先程の場所から草食竜5頭分は離れた場所に奴が現れた。

空を飛ぶとか移動が速い、透明化なんて次元じゃない。

生物の『移動』という当たり前を無視した行動をしている。

死の指先をこちらに向けると赤い線が奴から俺へ走り、

その線に導かれるよう賊竜が怒涛となり殺到する

 

 

「ルード君!!」

 

こちらの援護に回るか本命を攻撃するか視線で問いかけてくる。

今まで狩猟してきた存在とは攻撃方法も移動手段もそもそも存在自体が別次元だ。未知の敵、未知の行動、更に賊竜の群れの対応も考えると、万が一ここで力尽きた場合、周辺環境への被害は想像を絶するものになるだろう。荒れ狂う感情を握り潰し瞬時に決断する

 

 

「情報の持ち帰りを最優先。…閃光弾で隙を作った後に即時撤退。行くぞ!」

 

なんとか生きて帰る事が出来たら…休暇で森林浴は絶対に選ばん。

 

光が周囲一帯を塗り潰す刹那、俺はそう胸に誓ったのであった

 

 

 




お読み頂きありがとうございました。
休息の「休」の文字って人と木がくっついているので、
モンハン…木…となればモンハンワールドの古代樹。
そしてウィッチゃーコラボで出ましたエンシェントレーシェン。
これを絡めたくて書き上げたお話でした。

少しでもハラハラしていただければ幸いございます。
お読み頂きありがとうございました。
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