ベテラン以上、星未満   作:誠一

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こちらはみのひつじさん主催
♯3分で読めるノベル企画
お題「野生のカン」へ投稿した作品となっております。

前回、「人と木が重なる時」の後日談ですが、
レーシェンとのバチバチバトルをご期待頂いた方は申し訳ありません。
全然違うバトルをするギャグ回です。


奸計×関係×冠系

 

 

「勝負に関して始まってから文句は言わない。お互いに」

 

 

「あたしはいいけど、ルード君…いいの?」

 

 

「そっちの大事な物、賭けてもらうんだから多少の不利は飲むよ。さ、勝負だ」

 

叩いて守ってジャンケンポンというゲームをご存じだろうか。

ハンターになる初心者にはまず片手剣の習熟が推奨される。そんな中、相手に機に対し瞬間的に攻め、守りを遊びながら習熟できるように考案されたゲーム。

それがこの『叩いて守ってジャンケンポン』である

今、俺と相棒はこいつで雌雄を決しなければならない。

 

古代樹の森で精霊やらと遭遇しものの何とか命を拾った俺達は、その後まぁなんやかんやありつつもハンター生活を続け今回お宝を探して納品する

【トレジャークエスト】とやらに挑戦することなった。

意外と奥が深く様々なレアトレジャーをキャンプで納品していった結果、

俺の手には『欠けたネコ王冠』、相棒の手には『ネコ王冠の欠片』が握られていた。

明らかに何らか意味があるような二つだが…何か…何か…

 

「支給品にあった調合書…そうか!調合して一つにするのか!

リィン、欠片を渡してくれ。試してみる」

 

 

「やだ」

 

 

 

 

遠くで響く鳥の声、寄せては返す波の音。たった一言の返事を耳から脳へ伝達するのに数回分の潮騒の音を要した

 

 

「なんで」

 

 

「コレ、ハートみたいな形しててかわいいし、王冠に戻したらまた外して返してくれる

ワケじゃないんでしょ?だからヤダ」

 

 

ふざけるな。トレジャーを何だと思っているんだ。

時間制限があり自前のアイテムは持ち込み不可。極わずか支給されたアイテムや採取した資材を活用し何とか頑張ろうってな場面なのにマジ何抜かしてんだオメー。

 

 

といった言葉が正直喉元超えて舌先に触れるとこまで来たのをなんとか飲み込んだ。

 

クールだ。クールになれ。大剣使いはパーティ全員がカッカしてる中でも、

唯一人、氷のように冷静に戦況を見てなきゃいけない

感情の荒ぶるままに言葉を口から出してしまえばここはもう取り返しがつかない。

限られた時間をコイツのご機嫌取りで浪費してしまう。トレジャーどころではない。

何も取れんジャーとかいうオチになってしまう。何だそれクソつまんねーぞオイ。

 

胸の内で暴れまわる感情を何とかねじ伏せてクールに様々な交渉を行った結果、

俺達は『叩いて守ってジャンケンポン』で勝負することになったのである。

 

 

 

 ※ ※ ※ ※

 

 

 

「まず俺の勝ちだ」

 

 

リィンが目元を隠す為に広げた手を下げた時、頭には棒が添えられ俺の左手はチョキの形をしている。

 

 

「何…したの?」

 

 

「いや、光蟲を入れていた瓶に誤って毒テングダケを入れてしまっていたようだ。まさかこのタイミングで絶命するとはね」

 

 

嘘である。先程机を設置する時に諸々準備をしていたのだ。直感力で優れるリィンにジャンケンで勝つのはそもそも分が悪く反応速度でも勝てるかは非常に怪しい。

 

 

「『勝負に関して始まってから文句は言わない。お互いに』だったよなァ」

 

 

ならばここはハンターとして知略で勝負する。勝てばよかろうなのだァァァァッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、現在は二勝二敗。あと一回で勝負が決まる。

口に出すのもちょっとアレな奇策の数々を繰り出したのだが

ここまで追いつかれたのは正直予想外である…だがしかし…

 

『ジャンケンポン!!!!』

 

相手はチョキ、こちらはパー。

先程負けた時に棒と盾の位置を微調整しておいた。相手は棒を取りにくくこちらは盾を取りやすい…そして仕切り直しの途中で、ヤツの後ろにある鳴き袋の中に入れたカクサンデメキンが約20秒後に息絶え鳴き袋を破裂させる…その隙に攻撃すれば…

勝利の確信をしつつ盾を掴む瞬間、

 

 

 

乾いた音を立て【盾】は勢い良く空へ飛び上がった。

 

 

 

目の前には音を超える速度で棒を掴み刹那に盾を跳ね上げ、鬼人化の構えをした相棒。

溢れんばかりの激情は天を突き、握りしめた棒はミシミシと苦悶の声を上げ、

次は貴様の番だと訴えかけていた。

 

身を守る唯一の術であった盾は無情にも中空で踊っており、

あの盾がこの手に落ちて来るまでには永遠の時が必要であろう。

すなわち俺が生きている間に盾を手に取る事は不可能という事だ。

 

 

 

「勝負に関して文句言わない。お互いに…だったよねェッ!!!!」

 

 

 

周囲の空気が指で触れられる程に張りつめていく

もうこの場には「守って」と「ジャンケンポン」という行為は存在しない

野生の勘が人類の叡智を蹂躙する時、鳴き袋の破裂音が霞むような悲鳴が

密林に響き渡ったのであった

 

 

 




お読み頂きありがとうございます。
昔懐かしのPSPのポータブル時代にやってた、
トレジャークエストが舞台でございます。
今みたいにオンラインマルチが前提じゃなくて、
古き良きリアフレや兄弟と頑張って集めた記憶…

またアレはアレで面白いので復活してほしいなぁ…

そんなこんなでリィンさんの野生の勘。
野生に埋もれていた冠(カン)、策略の奸(かん)、
盾が弾き飛ばされる音のカン!など様々な
「野生のカン」を詰め合わせた作品でございました。
お読み頂きましてありがとうございました
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