ベテラン以上、星未満   作:誠一

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こちらはみのひつじさん主催
♯3分で読めるノベル企画
お題「成長(進化、躍進、発展を含む)」へ投稿した作品でございます。

前回ハチャメチャになりましたが今回は今回で闘技場へやってきた二人のお話です。
短め&ギャグ無し回です


キセキの価値は

 

 

成長ってのは目に見えないモンだ。

したいしたいって焦ってる時にはなかなか伸びず、悶々としてたのが

馬鹿らしくなるような出来事を飛び越えた時に、気付けば大きく成長している。

大抵そういうモンなのだ。

 

 

 

 

※ ※ ※ ※

 

 

 

 

口元から黒煙を吐き暴虐の姫君がその身を踊らせる。

踊りとはいったものの貴族様のような華麗なステップではない。

強大な身体を支える脚を軸にして己の角と尾を振り回し、

ただ回転する行為を周囲に殺戮と破壊を撒き散らす死の舞踏へ変化させる

 

離れた場所には砂色の伴侶が誇りとその命をへし折られ、地に伏していた。

 

純粋な殺意のみを纏わせた漆黒の戦斧が豪風と共に目の前を通過する。

一瞬遅れれば人体など落とした草食竜の卵より簡単に粉砕できるそれを、

刹那で見切り、間を置かず破壊の渦の中心へ飛び込んだ。

戦斧の後を追って生まれた暴風が防具を乱暴に撫で、背筋が凍りそうになる

巨木のような脚を踏み替え、死の舞踏がスローテンポに変わる瞬間、

恐怖心ごと握り締めた大剣の柄に力を入れ、眼前の爪先を目掛け強引に振り抜いた

 

予期せぬ痛みに黒角竜が怯み体勢を崩す。その隙を逃さぬように距離を詰め

更に縦斬り、強溜め攻撃にまで繋げ、黒く磨かれた足元を鮮やかな紅に染め上げた。

 

 

今日は調子がいい。視界が広く鮮明で、相手の動きが、その先が理解る

 

 

体調を崩して少しの間、狩猟から離れていたので肩慣らしとして

闘技場にやってきたものの、悪くない。

このまま行け!と叫ぶ自分と、調子に乗りすぎるなと諫める自分との

葛藤があるものの高い次元で集中は出来ている

 

 

「そろそろっ!終わってよね!!」

 

 

反対側の脚元には相棒のリィンが冷気を帯びた刃を滑らせダメ押しとばかりに、

片手に装備された盾を叩き付ける。

 

普段扱っている双剣が選べず、最初こそ不満を零していた相棒だが

氷を纏った盾を刃の無い剣のように振るい、お前も同じように苦労しろと、

言わんばかりに双角の一本をへし折った姿には驚愕を飛び越えて感動を覚えた。

 

 

俺とて負けてられん…!!

 

全身から激情を漲らせた黒角龍が周囲の大気ごと震わせるような大咆哮を放つ。

暴君の圧力を宿した咆哮は無遠慮に近付いた者、全ての頭を垂れさせる

 

 

 

…はずであった

 

 

「…んっだらぁ!!!」

 

 

巨大な剣を構え、戦えぬ民衆の希望、自らの誇りと意地を乗せた双肩は

暴君の勅命にも屈する事は無い。

絶妙な間で放たれた【タックル】は暴君のそれを拒絶しその身を反逆の弾丸へ変える

 

有象無象を委縮させる咆哮を終え、縮こまる敵を屠ろうと頭を下げる黒角竜の頭へ、

破城の威力を持つ一撃が放たれるのはもう数瞬後の事であった

 

 

 

 

※ ※ ※ ※

 

 

 

 

「今回双剣ないのに我慢して付き合ったんだから、ちゃーんとお返ししてよね!

特上ポポノタン定食にぃー…鎧竜のセセリ…そうだ!ラオシャンメロンも…!」

 

 

久々の闘技場クエストをなんとかクリアしたその後…今度は腹を空かした相棒の

ご機嫌取りクエストが待っていた。財布への危険度3、歴戦古龍クラスだ

 

 

「ルードさん。お疲れ様です」

 

 

所持金のスタミナゲージを確認してたところを受付嬢に呼び止められ振り返る

 

「記録更新…おめでとうございます!」

 

軽く会釈し、手渡されたギルドカードを眺めると…思わず笑みが零れた。

細かい事を考えるのはやめだ。余ってた鉱石とか売っ払いパーッとやってしまおう

 

 

 ※ ※ ※ ※

 

 

成長ってのは目に見えないモンだ。だが…

 

【闘技大会09 Sランク 08:13】

 

目にちゃーんと見える成長ってのも、あるところにはあるらしい

 

 




お読み頂きありがとうございます
戦闘シーンが難産で本当に苦労しました
成長する軌跡、たまたまいい感じのタイムでた奇跡、
売り払っちゃおうとか言った輝石などなど含みを持たせ
「キセキ」の価値としております。
ここまでお読み頂きましてありがとうございました。
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