仮面ライダートイック   作:テンカイザー

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今回から新たに執筆いたしました、新作オリライです。
まずは、第一話を五分割して計5日間投稿いたします。

変身までは大分かかりますが、どうか気長にお待ちください。


Episode1 「僕が変身した日」
Part1


 『良い子』でいること、それこそが僕–––––夕義灯流(ゆうぎともる)が昔からずっと言い聞かされてきたこと。

 

 僕はごく普通の小学6年生、だけど他の子よりも自慢出来ることが少しある。

 それは、僕の両親についてだ。

 

 僕のお父さんは、凄い科学者だ。お父さんはいつも色んな発明を作っており、色んな町を回ってはその町の困り事を解決する発明を作っており、沢山の人から頼りにされている。

 

 お母さんは、僕の通ってる小学校で教師をしており国語と道徳を担当している。

 誰にも優しくて他の生徒からも大人気だ。

 

 こんな両親の元で育ったこともあり、これは自慢ではないが僕は学校でも他の子よりもちょっぴり賢いと言われる。それは勿論、お母さんとお父さんの教育のたまものであることは言うまでもない。

 

 そして僕はそんな両親からずっと言い聞かされていたことがある。

 それが最初に言った、「良い子である」ということだ。

 

 両親は、僕に沢山のことを教えてくれた。

 

 子どもはどうして学校に行くのか。

 学校で何を学ばなければならないのか。

 子どもはどうならなければいけないのか。

 

 そして、子どもはどうやって大人になっていくのか。

 

 両親は、僕に優しくあることを望んだ。

 苦しんでいる人がいる時、その痛みを分かち合えるようにと。

 

 そして、僕に強くあることを望んだ。

 いざという時、誰かを守れるようにと。

 

 両親はとても優しく、そして周りからとても慕われている人だ。

 僕はそんな両親がとても誇らしかった。

 だから、そんな両親に報えるようにと、僕は「良い子」であろうとしたんだ。

 

 そうすればきっと、大好きなお父さんとお母さんにも自分を大好きでいてもらえると思ったから。

 

 これはそんな良い子であろうとした僕に起こった、少し奇妙で、とても最悪なお話だ。

 

 

○×△

 

 

 その日、僕とお母さんは珍しく休みを取れ、2人でピクニックをしていた。

 お父さんは残念ながら今日も仕事で別の町へ行っていたため、一緒には来れなかった。

 

 お父さんと一緒に過ごせないのは今に始まったことじゃない。

 家に帰って来ないことなんてしょっちゅうのことだし、最後に一緒に過ごしたのだって何ヶ月も前のことだった。

 

 けど、僕はそんなお父さんにも不満なんて感じたことはない。

 一緒に遊べないのは少し寂しく感じることもなくはない。

 

 だが、それでもお父さんはいつも誰かのために頑張っているのだ。

 お父さんが人のために頑張るのは息子の僕としても誇らしいし、僕のわがままでお父さんの邪魔をするなど以ての外だ。

 

 だから、今日はお母さんと一緒にめいいっぱい楽しい時間を過ごすと決めていた。

 

「ほら、いくよ!……アレ?」

 

「もう、どこ投げてるんだよお母さんは!」

 

 そんな僕は今、お母さんといつも行きつけの公園にてキャッチボールをたしなんでいた。

 

 だが、運動神経がそこまで良いとは言えぬお母さんのボールは、僕の頭の上を通り過ぎて明後日の方向へと飛んでった。

 

 まあ、お母さんは学校でも基本文系の授業を担当する人だ。

 体育向けでないお母さんにキャッチボールはそこまででないにせよ酷なものだったかもしれない。

 キャッチボールがしたいと言い出した僕が言うのも何かもしれないが。

 

「すぐ取りに行ってくるから、ちょっと待ってて!」

 

 そんな訳で、僕は母が投げたボールを追いかけるべく走り出した。

 

「転ばないように気をつけなさいよ!」

 

 そんな僕の背中に向けて、やや過保護にも聞こえるお母さんの警告が耳に入る。

 

 僕は元々お母さんほどどんくさくはない。

 遊びざかりで身体をよく動かす機会の多い僕をお母さんと比べるのがそもそもナンセンスかもしれないが。

 

 いずれにせよ、僕はお母さんの言葉を軽く頭のかたすみに置いてからボールを追いかけた。

 それからお母さんの元から少し離れた所で、ボールはほどなくしてすぐ見つかった。

 

 僕はすぐさま母とのキャッチボールを再開すべく、元の方向へと再び走り出そうとした。

 

 ここで僕の思考は、とつじょとして感じたささいな違和感により止められた。

 

 最初は何かよくわからなかった。

 辺りを見まわしてもおかしいものなんて何もない。

 だけどこの後すぐに違和感の正体に気づいた。

 

 ーーー音だ。

 だけどこの辺りには音が出るような物なんてない。

 たまに空の上を飛行機が飛んだりすることもあるけど、これはそれとも違うおかしな音だ。

 

 音について考えてるのも束の間、おかしなことはすぐにまた起こった。

 

 とつじょとして今度は空からまぶしい光が差し込んできたのだ。

 僕は思わず目をつむり、腕で顔をおおった。

 今日は曇りなんて一つもなく、快晴だったはずだ、急に晴れるなんてありえない。

 

 やがて少しづつ腕をどかし目をあけていくと、そこには"ソレ"が見えた。

 

 ありのままその見た目を話すと、それはとにかく大きくて丸い何かで、下から怪しい光を出しながら宙をゆっくりとくるくる回っていた。

 それはさながら、都市伝説などでよく聞くUFOとしか言いようのないものだった。

 

「–––––灯流っ!!」

 

 僕がUFOを見てあぜんとしていると、さっきまで少し遠くにいたはずのお母さんがものすごく必死な顔で僕の元へ走ってくるのがわかった。

 

 何が起きているのか?

 このUFOはなんなのか?

 お母さんはなぜそんなに必死な顔をしてるのか?

 

 何一つわからずにいる僕を、お母さんはとっさにその腕の中へと抱き寄せた。

 まるで僕を何かから守るかのように。

 

 やがて次の瞬間、UFOから出ている光がさらに眩しくなり、しばらくしない内に何も見えなくなった。

 

 きっと僕の意識は、そこで途切れたのだろう。

 

 

○×△

 

 

 目が覚めると、僕は見知らぬ場所にいた。

 最初は意識がまだぼやけていたが、次第にあの衝撃的な記憶が僕の意識を叩き起こした。

 

 僕は、あのUFOとそうぐうしてからどうなったのだろうか?

 ここはもしかしたら、あのUFOの中なのだろうか?

 

 辺りを見回すと、辺り一面壁が真っ白で、見たこともない機械がいっぱい置かれていた。

 もっとよく見れば、自分が今までベッドのような物の上で寝ていたことに今さらながら気づいた。

 

 その風景は、少し前にテレビで見た手術室のようにも見えた。

 さながら今の僕は、手術台の上の患者と言ったところか?

 

 何故僕はこの部屋にいるのか?

 僕はこの部屋で何をされたのか?

 

 頭の中がわからないことでいっぱいだが、その時一番大事なことが頭の奥底から突き上げてきた。

 

 –––––お母さんはどこだ?

 

 見たところこの部屋には僕しかいない。

 一体お母さんはどこへ消えたのか?

 

 お母さんのことを思いだした途端、強烈な不安と恐怖が込み上げてくるのを感じた。

 

 だけどそんな僕の心の状況など知らないと言わんばかりに、状況はまたしても大きく動き出す。

 

 突然他に誰もいないはずのこの部屋から物音が響いた。

 慌てて音が鳴った場所を探すと、そこには部屋の扉と思われるものが開いており、そこからロボットのようなものが入ってきているのが確認できた。

 

 そのロボットは僕よりも背が高い、大人の高さくらいの身長がある。

 全身は真っ黒で、顔には気味の悪い真っ赤な眼がついている。

 さらに特徴的なのは、頭の上に生えている巨大なゼンマイだ。

 

 見るからに恐怖をそそるロボットは、僕と目が合うやいなや、ゆっくりと僕に近づいてくる。

 

 –––––怖い。

 つかまったら絶対にマズイ、すぐに逃げないと。

 頭ではわかっているはずなのに、恐怖がからだをしばって思うように動かせてくれない。

 

 そうしている内に、ロボットはどんどん近づいてくる。

 このまま、僕は捕まるのか。

 捕まったら何をされてしまうのか。

 

 だけど次の瞬間、また異変が起きた。

 ドーンッと音が鳴ったと思いきや、ロボットが突然前のめりに倒れたのだ。

 倒れたロボットの背中からは煙が出ていた。

 

 今度は何が起こったのか?

 

 すると今度は僕の前にまた別の何かが現れた。

 今度現れたそれは、さっきのロボットよりもずっと小さい、僕の手で持てるくらいの大きさだった。

 

 僕は、その小さい何かを知っていた。

 

「ジャッキー……?」

 

 二股に分かれた帽子を被り、目がボタンになってる赤と青のピエロの人形。

 

 –––––ジャッキーだ。

 僕が今よりも幼い頃にお母さんからもらったお下がりのおもちゃ。

 僕がずっと大事にしている、僕にとっては友達のような存在だ。

 

 だが、それを理解した途端、明らかにおかしいことに遅れて気づいた。

 

 ロボットの後ろから現れたことから、ロボットに攻撃したのは間違いなくジャッキーだ。

 そしてジャッキーは、今現在も僕の前に自力で歩いてきたのだ。

 そう、おもちゃのジャッキーがだ。

 

 最近では自動で動くおもちゃもよく見かけるが、ジャッキーにはそんな機能はない。

 

 何故ジャッキーが1人で動けるようになってるのか。

 次から次へと訳のわからないことばかり増えていく。

 

「灯流!?」

 

 そしてまたしても状況は急に動き出す。

 僕の耳に響いたその声は、ある意味今の僕が一番求めてたものかもしれないが、同時に何故というまた新たな疑問が頭を埋め尽くすものだった。

 

「……お父さん?」

 

 白衣を身にまとった姿、手入れがあまりされてないボサボサな髪型、ヒゲが生えた口回り。

 そのどこか若干だらしなさが見える出たちは、僕が見間違えるはずのない最愛のお父さんのものであった。

 

「え?なんで?お父さんここにいるの」

 

 もう頭の中がパンクしそうだ。

 お父さんは仕事で他の町に行ってたはずなのに、なんでここにいるんだ?

 

 だけど僕の疑問など知らずか知ってなのか、お父さんは僕の手を急に掴むやいなやこう叫んだ。

 

「一緒に来るんだ!早く!」

 

「はっ?え?ちょ、ちょっと!?」

 

 僕が困惑してることなどまるで気にしないかのように、お父さんは僕を引っ張ってどこかへと走り始めた。

 見れば後ろからはジャッキーも追いかけて来る。

 

 部屋の外は、さっきまでいた質素な部屋の中とは違い、壁も床も色んな色が入り混じっててとても目がおかしくなりそうだ。

 

「ねぇ、お父さん。もう何がどうなってるの!?ここはどこ!?なんでジャッキーが動いてるの!?」

 

 さすがにもう我慢の限界だ。

 何も説明のないまま訳のわからないことばかり起こるのはもういい加減にして欲しい。

 そう思って僕はお父さんに叫ぶ。

 

「今は説明している暇はない!とにかく走るんだ!」

 

 だが、お父さんはまったく聞く耳を持たなかった。

 結局僕はお父さんに引っ張られながらひたすら走る他なかった。

 

 すると僕たちが走ってる方向から何かの音が沢山聞こえて来た。

 さっきの部屋にいたロボットだ、それも今度は一体だけでなく沢山いる。

 

「マズイ!こっちだ!」

 

 ロボットたちが現れるとお父さんはすぐに方向を変えて横の通路へと逃げ込む。

 

 当然ロボットたちもそのまま通り過ぎるなんて都合の良いことは起こらず、進路を変えて尚も追いかけてくる。

 

 すると、後ろから僕たちを追いかけてきてたジャッキーが、ロボットの胸向かって蹴りをかましたのだ。

 するとなんと、ロボットは胸から火花を散らして後ろへと倒れた。

 

 おもちゃの人形が自分よりも遥かに大きいロボットを倒すなどというあり得ない光景を見ながらも、僕は改めて先ほど部屋にいたロボットを倒したのもジャッキーだったのだと確信出来た。

 

 けれど、ジャッキーが一体倒してもロボットはまだまだ沢山いる。

 ジャッキーはまるで僕たちを守るかのように果敢にロボットに立ち向かっていくが、ロボットの数はまったく減る気配がない。

 それどころか、一体どこから出て来たのやらさらに増えているようだった。

 

 すると、今度はどこからともなく細い紐のようなものが飛んできて、ロボットの首に巻きついた。

 そのままロボットは勢いよく投げ飛ばされ、壁に思いっきり激突した。

 

 さらに今度は、小さい何かがロボットの足を掴み、なんとそのまま持ち上げてしまったではないか。

 

 そのまたさらに、小さいバイクのような形をした何かがすごい速さで宙を舞いながらロボットたちに体当たりしていく。

 

 ロボットたちを一通り倒したところで、僕たちのことを助けた何かは近づいて正体を表した。

 

 ムチを右手に持った赤いハットが特徴のカウボーイの人形。

 白くて四角い身体に赤いアームがついたロボット。

 横から生えた翼のようなヒレが特徴のサメとバイクが合体したようなもの。

 

 僕はいずれも、コイツらの正体を知っていた。

 

 上から順番に『ウィップス』、『ブリックス』、『シャイーク』。

 みんなジャッキーと同じくお母さんからもらった僕のおもちゃたちだ。

 

 僕は、またしても自分のおもちゃに助けられたようだ。

 

 けど、ロボットたちの姿が消えてもなおお父さんは安心する様子などまったく見せずに走り続けた。

 

 それからしばらく走り続けていると、大きなカプセルみたいなものがある場所へ辿り着いた。

 

 ここでお父さんもようやく走るのをやめたので、僕はここぞと思ってもう一度お父さんに問いかけた。

 

「お父さん、これどういうことなの?何がどうなってるの!?」

 

 細かくわければ聞きたいことはもっとあるはずなのに、この時の僕は頭が混乱しすぎてたせいかそれしか言えなかった。

 

 僕の質問をちゃんと聞いてなのかどうか、お父さんはどこからともなく箱のような物を取り出した。

 緑いろの箱に赤いリボンが結ばれている、それはさながらクリスマスでサンタさんが配るプレゼントの箱のようだ。

 けど、よく見るとどこかメカメカしい見た目であった。

 

 お父さんは箱のフタを開けると、お父さんの足元に並んでいたジャッキーたちが箱の中へと飛びこみ、姿を消してしまった。

 

 だが、箱の大きさはどうみてもジャッキーたちのサイズでなら一個しか入れないぐらいだ。

 そこに一体どうやって4つも入ったのだろうか?

 

 そしてお父さんは突然ジャッキーが入った箱を僕へ渡し、話しかけてきた。

 

「……すまない灯流、本当ならこんなことをお前に背負わせたくなかった」

 

 お父さんは物凄く真剣な顔でそう言った。

 いつも楽しそうに発明を考えて、僕よりも子どもらしいところを見せていたお父さんからは、とても想像がつかい顔で。

 

「だが、もうこれしかないんだ。"ヤツら"を止められるのはお前だけなんだ」

 

 ヤツらって、一体何のことを言ってるの?

 

「灯流、俺と母さんがいつも言ってたこと覚えているか?」

 

 そんなの、一日たりだって忘れたこともないよ。

 僕はずっと今まで、そのために頑張ってきたんだから。

 

「『誰かを助けられる、優しい人になりなさい。そのために強くなりなさい』、でしょ?」

 

「そうだ、覚えてて偉いぞ」

 

 僕の返事を聞いて、お父さんは優しく僕の頭を撫でる。

 こんな時にまで子ども扱いされてちょっと気恥ずかしくもあるけど、その心地よさで僕の混乱してた心は少しだけ和らいだ。

 

「お父さんは信じてるぞ、お前ならきっと皆んなを守れる強い人になれるって」

 

 少しだけ笑った顔で、お父さんはそう言ってくれた。

 話はよくわならないけど、お父さんが僕のことを信じてくれてるのなら、僕はその思いに応えたい。

 

「灯流、これからお前はきっと沢山傷つくことになるだろう。けどな、お前が優しい人であってくれれば、必ずお前のことを助けてくれる人はいる!」

 

 沢山傷つく……?

 安心し始めていた僕の心は、お父さんがふと言った言葉でまた不安が押し寄せてきた。

 

「いいか、まずお前は家に帰るんだ。そして自分の力で答えを見つけるんだ、戦うか戦わないか」

 

 戦う?

 一体何を言ってるの?家に帰れって……

 

「だったらお父さんも一緒に帰ろうよ!お母さんも一緒に……」

 

 そこで僕は大事なことを思い出した。

 

 そうだ、お母さんだ。

 まだここでお母さんを見つけていない。

 

「そうだ、お母さんを見つけないと!きっとここのどこかに!」

 

「……お母さんのことは俺に任せろ。

お前はまず、お前自身が守りたいものを守るんだ」

 

 僕が守りたいもの……?

 一体何を言って–––––

 

 するとお父さんは、突然カプセルの近くにあったコンソールのようなパネルをいじりだす。

 するとカプセルのフタがゆっくりと開いた。

 

「灯流、頑張れ–––––」

 

 そう言ってお父さんは、僕をカプセルの中へと押し込んだ。

 

「お父さん!?」

 

 すぐに出ようとするも、お父さんはそれよりも早くカプセルのフタを閉めてしまった。

 

「待ってよ!お父さん!?」

 

 僕は必死にカプセルから出ようとしてフタを叩くも、カプセルはびくともしない。

 

 僕の必死の叫びもお父さんに届いてる気がまったくしない。

 お父さんはまたコンソールをいじりだす。

 

「お父さん!お父さん!!」

 

 そして少し経つとお父さんはコンソールをいじるのをやめた。

 

 カプセルの向こうから、僕に向けてお父さんは笑顔を見せた。

 

 僕はそれを見て、ひたすら嫌な予感がして必死にカプセルから出ようともがいた。

 

 そして、僕の意識はまた途切れた。

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