遠くまで   作:翼 

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こちらはしぶころ閉幕後、一部改定を加えたリニューアル版になります。
(4時間程度で書き上げた小説なので直すところがいっぱいある………。)

必要箇所が見つかり次第ゴリゴリ修正加えていきます。


リニューアル版

(リニューアル版)

 

昔、あるところに千代(ちよ)という女の子がいました。

千代は小学5年生。最近転校してきました。

千代はいじっぱりで負けずぎらい。

みんな千代からにげていきました。

先生も心ぱいしていましたが、千代はあいかわらずでくちびるをぎゅっとかんで、ひとりぽつんとすごしました。

 

千代のおうちは大きなおやしき。

やとわれのめしつかいが何人もいます。

夜ごはんにはかならず、千代の大好きなハンバーグとおやつのプリンアラモードが出ます。

千代のお父さんとお母さんはいそがしく、何日も会えないこともあります。

そんなとき、千代はさみしがってめしつかいさんや、ペットの犬たちや鳥たちと、ねるまでおしゃべりをします。

 

 

クリスマスの夜。

まちはピカピカとにぎわい、キャロルと笑顔であふれています。

やしきのお手伝いさんは皆クリスマスでおやすみ。

この日もやっぱりひとりぼっちの千代。

冬休みに入っても、誰もかまってくれないので一人でさんぽに来たのでした。

 

雪をぼーっとながめていたら、とつぜん目の前に女の子がやってきました。

 

「ねぇ今ひま?あそぼうよ」

 

「いいけど、べつに。なにするの?ていうか誰?」

 

「遠いところからきたの。でも友だちいなくてさ。親は仕事だし。たぶん同い年でしょ。

……そうだ、名前は?」

 

 

「わたし?わたしは千代だけど。あなたは?」

 

「澄華(すみか)!わたしたち今日から友だちね!」

 

友だちということばに、ちょっと頬が赤くなる千代。 

生まれて初めてできた友だち。

うす暗い外灯の下でさむがりな澄華の手を、いつまでもいつまでもにぎってあたためていました。

 

雪はいっそうひどくなり、どんどん積もっていきました。

ふたりはよりそって眠りました。

 

すっかり夜中。

千代のお父さんとお母さんがサンタの格好をして、近所を泣きながら娘を探し回っていました。

「千代はどこ、ごめんね、こんな日まで寂しい思いさせて」

ごめんね、ごめんね、その言葉がずっとくり返されました。

お父さんとお母さんの声を聞いた千代は、元気よく

「……ママ!パパ!千代ちゃんお利口にしてたわ!お友だちができたの!」

と、元気に走って近づきました。

澄華もペコリとあたまを下げました。

お父さんもお母さんもびっくりして、しばらく口を開けていましたが、そのうちお父さんが

「千代を守ってくれてありがとう。」と優しく頭を撫でました。

澄華は金髪で、真冬なのに薄着で裸足でした。

まるで天使みたいだな、とお父さんは思いました。

そんな様子でしたが、両親はふたりを抱きかかえて、みんなでお家へ帰りました。

楽しいクリスマスパーティーをして、プレゼントをもらって、ご飯をいっぱい食べました。

そして4人でかたまって幸せに眠りました。

 

みなし子だった澄華は教会にあずけられました。

初めのうちは千代と同じ学校で、千代のとなりに座ってじゅぎょうを聞いていましたが、いつの間にか学校に来なくなりました。

友だちがたくさん欲しくなった千代は、色んな人に話かけてすっかりクラスのみんなと仲良くなりました。

千代も澄華のことを気にしていたのですが、親の仕事で転校が重なり、そのうちすっかり忘れていきました。

 

❁ ❁ ❁

 

昔、千代ちゃんという女の子がいました。

彼女は高校を卒業したあと大学に入り、冬休みにを使って遠い外国まで行きました。

 

すっかり大人になった千代は、時々あの夜を思い出すようになりました。

初めてのお友だち。初めての寂しくないクリスマス。

 

きっと澄華ちゃんは神の使いだったんだと。

友だちのいないわたしを救いに来てくれた天使。

どうしてあの時気がつかなかったのだろう。だって見るからに近所の子じゃないじゃない。

真っ白なワンピース。ふわふわの金髪。懐かしい横顔。

 

いまはかのじょを探すため、世界の教会をめぐって旅をしています。

いつかまた、会えるかな。

 

 

❁ ❁ ❁

 

 

ある雪の日。

 

大きな大きな教会の、大きな大きな絵画の目の前で。

 

 

ここにいたのね、澄華ちゃん。

 

来てくれたのね、千代ちゃん。

 

ずいぶん遠くから来たのね。

 

 

あの日はありがとう。

そして、愛すべき友よ。メリークリスマス。

 

 

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

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