航空自衛隊TSギア作戦記 ―出撃せよ、戦闘少女飛行隊!……でも中身は皆男性!?―   作:えぴっくにごつ

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ミッションコンプリート:「決着」

 身姿を変貌させての防空阻止行動を始めたフィアーたちと、それに対応する自衛隊にアメリカ軍各機による、苛烈な空中戦が空域全域で繰り広げられる最中。

 そのど真ん中をまるで貫通するかのように、隼は突っ切り高速で急降下していく。

 

「――ッ」

 

 間もなく隼はフィアー母船の巨体を正面に捉え。

 苛烈さを増したフィアーの防空砲火に対して、しかしまるで臆する様子を見せず、容易いまでの様相で潜り抜け。フィアー母船のその懐へ入り込み。

 

 そして。フィアー母船の表層、構造物の群立するその隙間へ、しかしかなり速い速度を維持したまま飛び込み。

 そのままその速度をほとんど保ったまま、群立する構造物の隙間を縫って飛び進み始めた。

 

「ッ」

 

 曲がりくねるような構造物間の経路に、そして各所に設けられる銃砲座からの苛烈な熱光線砲火を。

 しかしそのいずれもを、隼は紙一重の様相で見事に潜り抜けて行く。

 

《隼ッ、すまないそっちに一機行ったッ!》

 

 その最中へ、しかし鍾馗の声で警告の旨が飛び込んだのは直後。

 

「!」

 

 そして同時に隼の背後後方に。上空より何かが飛来し飛び込んで来た「気配」に、「影」が出現して見えた。

 

 それは、怪しくも可憐な「少女」――少女の身姿へと変貌した戦闘機型フィアー。

 携える妖しくも美麗な金髪をたなびかせ。禍々しくも一種の造形美を見せるその翼に外装装備を巧みに操り。

 そのフィアー機の「彼女」は、隼の追撃を始めた。

 

 そしてその「彼女」の。

 携える外装装備には、これまでに見て来たフィアーたちとは、造形に意匠が事なる様子が見え。

 なによりも、漂い来るその雰囲気にから。「別格」の気配が嫌でも感じ取れた。

 

「向こうの〝エース〟かッ」

 

 その感じ取った気配から、隼はそれを結論付ける。

 

「ッぅ」

 

 その次に寄越され始めたのは、フィアーの銃砲火である熱光線。

 それも、標準の戦闘機型フィアーが備えるものよりも大火力のもの。その仕様の違いから、やはり今までのフィアーとは一味違うのであろう事が、嫌でも伝わって来た。

 

「っぅ……ッ……!」

 

 その寄越され襲い来る、高威力の熱光線の砲火を。

 しかし隼はまた鋭い機動で。

 狭く制限される構造物間の空間を、しかし限界まで活用し。ブレイクにロール他の飛行行動を多用し、掠めぶつかる寸前の機動飛行を行い。

 相手機を翻弄し、襲う砲火の回避を繰り返す。

 

「ッ……一瞬でも……――」

 

 そして、一瞬でも気の抜けないその機動飛行を行いながらも。隼はその脳裏にある企みを浮かべる。

 そしてそれを思惑してさほど経たずに、その「チャンス」は次には訪れた。

 

「ッ!……――今ッ!」

 

 曲がりくねる構造物間の経路が、わずかな区間だが「立ち上がり」、直線が開けた瞬間。

 隼は――その身を、機首をおもいっきり引き起こした。

 

 スーパーストールを起こした隼の身は、そこで一気に急減速し。

 それが始まったと同時に、隼はその最中でさらに、高度はそのままに体をバック転の形でクルリと返す、宙返りの動きを見せる。

 それは隼の得意とする、コブラから派生させたクルビット機動。それもFTGS化により、原形の航空機以上の機動性を携えたからこそできる御業。

 

 そして、バック転の如きのクルビット機動で、隼がその頭を、機首を真下に向けた丁度そのタイミングで。

 そこには隼のクルビット機動への対応が間に合わず、直進してしまったエースフィアー機の。

 「彼女」のそのがら空きの背が――そして振り向き驚愕に目を剥く、その可憐な顔が飛び込んで映り見えた。

 

「――ッ」

 

 極わずか、コンマ数秒にも至らぬ一瞬。しかしアドレナリンの分泌効果から、永遠かと錯覚するその時の中で。

 人と似通った形態を変貌から携えた、「彼女」が見せたその様相に。

 「そんな顔をするのか」と、隼は心苦しい物を覚えたが。

 

 ――次には、隼は攻撃の「意志」を念じ。

 突き出し備えていた25mmガトリング砲を、唸らせた――

 

『――!!』

 

 フィアーの彼女の身に、大穴がいくつも空き、まるで解けるかの如きで千切れる。

 痛みか、それとも驚きによるものか。一層その眼を大きく掻き開く表情を見せた彼女は、しかし次には崩れ散る様で、失速を伴い隼の後方へと去り。

 フィアー母船の表層に、まるで桜吹雪のように儚く舞い堕ちて行った。

 

「……――ッ」

 

 隼はまずは先に機体姿勢を復元し、縫い進む飛行を再開。それから一瞬だけ振り向き見送った「彼女」の最期に、心に痛いものを覚えつつも。

 しかし次にはそれを振り払い、前方を見据える。

 

 前方向こうは複雑な構造物間の経路が終わり、開けた光景が。

 そのど真ん中に堂々と在り、しかし不安定化の影響で歪に揺らめく、フィアー母船の巨大なコアの禍々しい姿が見えた。

 

 周囲に配置される銃砲火からは、我武者羅なまでの熱光線の防空砲火が寄越されるが。

 すでに、隼を阻むものとは至らない。

 

 隼は、眼前に投影表示されるHUDにロックオンの完了を確認し。

 そして「発射」の意志を念じ。次にはハードポイントから小型対フィアー弾が撃ち放たれた。

 

 放たれた対フィアー弾はバーナーを吹かして、熱光線砲火の最中をしかし貫く様相で飛び抜け。

 それがコアに、吸い込まれるように叩き込まれる瞬間を見ると同時に。隼はその身をおもいっきり引き起こした――

 

 

 

 ――巻き起こったのは、歪な様相の巨大な爆発。

 それこそ、コアの崩壊。

 発生した巨大で歪な爆発爆炎は、雪崩の如きで広まり。巨大なフィアー母船をみるみる内に飲み込んで、崩壊へと導いていく。

 

「――っォッ……!」

 

 それを背後下方に盛大な背景として飾りながら。隼は急上昇から大空へと離脱行動を取っていた。

 

《――……大爆発だ、崩壊していく……やったぞ……ッ!母船の、コアの撃破は成功だッ!!》

 

 隼が安全な高度空域まで至ろうかというタイミングで、無線通信に誰かの言葉が響いた。

 それは今に眼下で大小いくつもの爆発を起こしながら崩壊を続け。さらには浮遊する力を失ったのだろう、ゆっくりと降下、いや落ちて行くフィアー母船を見てのもの。

 

《見ろ、フィアーたちが……!》

 

 さらにまた誰かの声が響く。

 また周囲を見れば、今まで苛烈な防空戦闘行動を展開していたフィアーたちが。しかしその身姿を、儚いまでに、幻でも消えゆくような様相で消失させる様を見せていたのだ。

 

「あれは……」

 

 上空一定高度まで至り、機体姿勢を安定させて旋回飛行に入りながらも。隼は眼下に周囲にそれを見て、思わずの声を零す。

 

《――フィアーたちはその姿の「維持」を、母船――コアの力に依しているようだ。だから、それを失い崩壊消失に至ったのだろう》

「っ」

 

 そこに通信にて割り込んだのは、他でもないクルェスの声。

 

《驚きだ……君たちは我々の悲願でもあったフィアーの母船、コアの破壊を見事に成し遂げてみせたのだ……》

 

 続けてクルェスが寄越したのは、そんな言葉。

 それは歓喜と、そして感慨深さを覚えているものであると同時に。憎きフィアーのしかし儚い最期に、複雑な感情を覚えているのであろう、何か悲し気な色が混じるもの。

 

《君たちにはなんと感謝して良いか……そして隼、君は……英雄だ……!》

 

 そしてしかし次にはそれを振り切る様に。

 クルェスからは感謝と、そして最後の一撃を成した隼を称える言葉を紡ぎ寄越した。

 

「……おおげさだな」

 

 隼はそんな賞賛の言葉に、面映ゆいものを覚えつつも。しかし素直に受け取っていく事とした。

 

《隼っ!》

《隼ぁーーっ!!》

「!」

 

 そこへ入れ替わるように。今度は通信にまた、聞き慣れた数々の言葉が響く。

 

 見れば各方各高度から。鍾馗に橘花等のF-27JA隊、また別方からはF-3A隊の飛燕に屠龍等のそれぞれが。

 急く色でこちらへと飛来する様子が見える。

 

《驚きだ……成し遂げたとは……!》

《マジスゲーじゃんッ!ヒーローだぜ隼ッ!》

 

 そしてそれぞれ合流から、各々は隼と列機編隊を成し。

 次には同時に堰を切ったかのように、鍾馗や飛燕等が、隼を称え囃し立てる言葉を大げさに浴びせてくる。

 

《ったく――ハンパねぇヤツだぜッ》

《航空自衛隊に、英雄の誕生だな》

 

 さらに屠龍はぶっきらぼうに、橘花は感慨深げな様子でそれぞれ言葉を寄越す。

 

《――ワンダホー!ハヤブサ!》

 

 さらに留まる事無く、通信にはさらに高揚した声色が飛び来る。

 見れば後方上方より、アメリカ空軍のダニエルに、サポート戦闘にここまで尽力していた海軍のラスがまた飛来して来て合流。

 

《ジェイボーイズ、それにハヤブサ……!ここまでとは……サスガだねサムライズッ!》

《アメリカにとっても、大変に大きな恩となりましたねっ》

 

 ダニエルはハイテンションな様子で。ラスも落ち着きを装いながらも、高揚を隠せない色で。

 また隼を称える言葉を寄越し。

 

 集った各員各機は、次々に隼にまた面映ゆいまでに称える言葉を浴びせ。飛燕などの何機かは、バレルロールなどの機動を描いてまで囃し立てる姿を見せる。

 

「――ふふ……騒がしいフレンドたちだな……――ッ」

 

 そんな、騒がしく賑やかし囃し立て。翼を共にして飛び交う皆に囲われながら。

 隼はニヒルに零しつつも、しかし悪くはないものを感じていた――

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