姉がハイスペックすぎる   作:ガテル

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第12話

 

「暑すぎ」

 

8月の猛暑の中、俺は今ハマってる作品のグッズを買うためアニメショップを目指し歩いている。今日は特に気温が高く本当は出歩きたくなどないがネットショップでは販売していない店舗限定商品で、尚且つ数量も限られているらしく仕方ないといった感じで・・・まぁ姉さんとのストレッチ(トラウマ)で身体を動かすことも大事だと思ったし今回の件はちょうどいいのかもしれない。

 

 

目的地はちょっと遠く、電車に乗り下りた後も駅からしばらく歩く場所にある。しかも普段使うショップとは違い行くのも初めてだから道がよく分からず「ここさっき通ったよね?」状態に陥ってしまった。

 

「ここら辺のはずなんだけど・・・」

 

迷い続けるのは嫌なので一旦立ち止まりスマホで場所を確認していると。

 

 

「君・・・あかねの大好きな弟くん?」

 

 

突然後ろからもう二度と呼ばれたくない呼び方が聞こえた、それを知ってるのはララライの人達だけ。そうなると俺の中で思いつくのは一人、ホラー映画騙して見せた件まだ微妙に怒ってますからね?文句の一つでも言うため振り返り。

 

 

「吉富さん、俺怒って・・・えっ」

 

 

「私はこゆきじゃないよ?」

 

 

そこにいたのは吉富さんではなく、グレー色の髪が特徴的な綺麗な女性で・・・その姿には見覚えがある。舞台で何度も目にしたし前にララライに行ったときも見かけた、そしてその呼び方を知ってることからつまり。

 

 

「ララライの人ですか?」

 

「うん、私は化野めい。よろしくね」

 

「・・・勘違いしてごめんなさいでした」

 

 

あっぶな、間違えて違う人に怒る所だったわ。しかしあなたも俺のことそう呼ぶのか・・・どんだけ呼び方定着してんだよ。

 

 

 

 

 

 

「この前ララライに来たときは君と話せなかったから残念だった」

 

「そ、そうなんですか」

 

 

化野さんからカフェで話でもしない、と誘われた俺はアニメショップを後回しでOKして・・・いやだって年上の人からの誘いとか断りづらいよ?それで今は近くのカフェに入ってるといった状況である。後で必ず手に入れなければ。

 

 

「あかねがよく君の話するからちょっと興味が沸いてね」

 

 

「・・・吉富さんも言ってましたけど姉さんそんなに色々喋ってる感じですか?」

 

俺の質問に対し化野さんは一切の嘘を感じさせないほど自然な表情で。

 

 

「すっごく、最近も君と手繋いだり食べさせ合いしちゃったってキャーキャーしながら言ってたよ」

 

 

「何言っちゃってんだ姉さん!?」

 

 

頼むから嘘であってほしいが化野さんが言ってることは本当だろう、またララライの稽古場所に行くことになったら俺どんな顔して入ればいいんだよ。「あーんした弟か」とかみんな内心で思うのか?何か俺がいやらしいことを姉にやったみたいに聞こえるじゃん。

 

 

恥ずかしさで顔を逸らしてしまったが、これ以上この話をされるのは耐えられない。早急に話題を変えようと化野さんの方へ向き直すと・・・何故か先ほどとは違う冷静に、まるで俺を観察するようにじっとこちらを見ていた。

 

 

「ど、どうしたんですか化野さん」

 

「あかねの演技は本当に凄いんだよ、何度見ても初めて見るかのような驚きがある」

 

 

「・・・それは」

 

 

実際化野さんの言う通り、姉さんが役に入ればまるでそのキャラが実在してるかのような錯覚してしまうことがある。本人の頭脳と才、努力によって生みだされたあの演技は誰かが真似できるようなものじゃない。

 

 

「でも一番凄かったのは、この前君がララライに来たときにあかねが見せた演技でね・・・そのとき私はこう思ったの」

 

 

 

姉さんの演技についてならどうして関係のない俺をそんな真面目な表情で見てくるのか、まるで実はこっちが主題みたいで・・・話がよく掴めないが化野さんは何を伝えたいんだろう。

 

何が飛び出すのかこちらにも緊張が走る、そして化野さんはゆっくりと口を開き。

 

 

 

「弟がいれば私もあんな演技できるようになるのかな」

 

「はい・・・はい??」

 

「あかねから聞いてるからわかる、深い姉弟の愛。私は一人っ子だからわからないけど・・・つまり何を言いたいかというと、弟欲しかった」

 

「姉弟パワーとかそんなの全てで起きないと思いますよ!?」

 

 

姉さんは色々例外というか、あの暴走にはこちらも困る事多いし。というかあの表情からこんなぶっ飛び発言が出るとか予想できるわけない、さっきの緊張返してほしい。独自で突き進むこの感じ、さてはおっとり系のマイペースだな?

 

 

困惑100%で状況についていけてない中、化野さんがこちらに手を伸ばしてきて・・・俺の頭に触れて優しく撫でてきた。えっ、何これ??

 

 

「・・・お姉ちゃん気分味わえば何か掴めると思う?」

 

「・・・いやそう言われても」

 

 

そのまま撫でるのを続行しようとしたので何とかお願いしてやめてもらった、本人は不服そうだったけど。

 

 

 

 

 

「何だったんだろうあの人は」

 

 

あの後、用事があるらしく化野さんは行ってしまった。去り際に「またね」と言われたけど会ったらまたあんな事されるのか?次会ったときどうすれば、年上の綺麗な人から撫でられるとか外出前に予想できる奴一人もいないだろ。

 

 

とりあえず家の前まで着き、何だか疲れたので俺は部屋でゆっくりしようと・・・あっ、グッズ買うの忘れてた。

 

 

「不幸だ・・・」

 

 

 

 

 

「ただいま」

 

「おかえりゆうく・・・」

 

 

何故か言葉が途切れ、時間が止まったかのように姉さんは固まってしまった。面倒なことになると確信した俺は急いで2階に上がろうとしたが間に合わず。

 

 

「・・・ゆうくん、お姉ちゃんは私だよね?」

 

「そ、それは当たり前ですね」

 

「気のせいだろうけど、私は今日のどこかで他の人がお姉ちゃんしたように思っちゃうかな?」

 

 

お姉ちゃんしたって何??

 

 

姉という概念は完全に地雷だったようで、暗く灰のような目になった姉さんにホントの事を言ったら何が起きるか。てか流石の観察眼、簡単に見破っちゃうのね。

 

こうなったら仕方ない。

 

 

「そんなわけない、俺にとって姉さんは過去も現在も未来もただ一人だ」

 

「・・・も、もうゆうくんったら恥ずかしいよ」

 

 

・・・言ってるこっちも恥ずかしいよ、まぁひとまずこれで姉さんは収まった。さっきの負のオーラが嘘かのように正MAXって感じでニコニコしてるし。もう疑惑そのものが記憶からぶっ飛んだとしか思えない上機嫌っぷり。

 

これで俺は部屋で休める、そう安心したのも約5秒間。

 

 

「誘うのが恥ずかしかったけど今なら言えるよっ、来週の空いてる日に一緒にプール行こう?昨日新しい水着買ったんだ」

 

「・・・はへ?」

 

 

・・・テンション上げすぎちゃった、そして断ることもできず無事決定。あははー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





化野めいは本編に登場する劇団ララライ所属のモブキャラです、元ではあまり出番はありませんが性格やキャラは・・・かなり改変という形にしました。
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