結局運動をせずいつも通りぐうたら過ごしてしまったが、全く後悔していない残念脳です。昼はアニメで夜はこれから自室でいいとこでセーブしてるゲームの続き、う○るの宴が始まる。
夕食を終え風呂にも入りリビングにいた俺は2階へ上がろうとしたのだが・・・
「ゆうくん、あのね」
「姉さん?」
ソファーに座りテレビを見ていた姉さんから声をかけられた、表情からして何かお願いごとでもあるかのようで・・・いやもしかして。嫌な予感がした俺は「おい弟、アイス取ってこい!」と姉さんが絶対言わなそうなセリフを期待した、そっちの方がまだマシだから。
「台本の読み合わせ、一緒にしてくれないかな?」
現実は厳しい。
練習は当然大切である、それが本番に繋がるのだから。別に姉さんとするのが嫌とかではない、読み合わせが嫌なのは・・・普通にめっちゃ難しいからだ。感情を乗せて言葉を放つのは緊張するし人物を理解し深読みするなどホントにわけわからん、なので毎回棒読みになってしまうし酷いモノで俺としても意味がないと思ってしまうが当の本人は。
「ゆうくん・・・可愛いなぁ」
こんな感じで緊張棒読みに対し姉さんは幸せそうであった・・・まるで幼稚園児のお遊戯会を見る表情マジでキツいです、俺との読み合わせも「練習になってる」らしいし??楽しそうな姉を見て嬉しい気持ちがないわけではないので断れず今日まで来ている。
いつも読み合わせは姉さんの部屋で行うが今回も変わらず、台本は近く控えてる舞台のもので大まかに言えば中世貴族の恋愛モノ。シンデレラストーリーで読んだ感想としては王道で素直に良いと感じた・・・いやいいんだけどさぁ。
「どう?私は凄く面白かったよ、演じ甲斐あると思ってるんだ」
「面白いけどさ・・・姉さんの役ってヒロインだよね?」
「うん、そうだよ」
「俺がこの主人公の男役」
「?そうだね」
・・・何も疑問ないのか!?姉弟でラブストーリーの台本読み合うんだけど!?こんなの姉に言えねぇよって台詞ばっかりだぞ、事情知らない人が見たら禁断の愛にしか思われない事故。
困惑で埋め尽くされていると姉さんが表情を改め、凛々しく言わば役者の顔になり。
「・・・このエリザロッテってヒロインはね、親からの愛には恵まれず姉からも虐げられている子なんだ」
大体の人は姉さんの美人さに流されて違和感を持たないだろうが俺は弟なので急な雰囲気チェンジについていけません。
「そんな子が主人公の侯爵と出会い身分違いの恋に落ちる、エリザロッテが一目惚れした理由はねカッコいいってだけじゃなく雰囲気が昔会った優しい商人の人と似てるってのも個人的にあると思ってるよ」
「・・・そんな設定あったっけ?」
「いくつかの描写と心情を当てはめて思ったかな」
言われてみるとそう取れる、普通は気づけない細かすぎる部分。姉さんの役に入り込み深い所まで理解し再現する能力、皆が出来るわけじゃない輝いた才だと思う。あの本がバレたのも改めて納得の洞察力です、ごめんなさいでした。
姉さんはこのヒロインに感情移入していて、この話で伝えたいのは姉弟だろうと関係なく純粋に今練習したいという事だろう。意志の籠った力強い瞳を見ればわかる・・・仕方ないか。
「わかった、正直恥ずかしいしマジで気まずいけど頑張ってみるよ」
「・・・うんっ、一緒に頑張ろうね!」
姉さんはどんな風にやってくれるのだろうか、あれほどの理解力。凄いのが見れそうだと俺の気持ちは高鳴っていた。
「き、君の事が本当に好きだエリザロッテェ」
最初はできたがやっぱここら辺キツいな!?噛んでしまったし「ロッテェ」とか酷い、もう一度言い直すしかない。申し訳なさで顔を上げられないがお願いしないと、そう思い姉さんを見ると・・・
「す、好き!?ゆうくん急に告白なんて大胆じゃないかな!嬉しいよっ」
「おい女優だろ」
役や台詞はぶっ飛んだのか赤面しながらバグっている、あの話と凛々しい顔は何だったんだよと頭が痛くなってきた。テンションの高さは有馬さんに対する姉さんの厄介オタ具合を連想させ更に頭痛が加速する。
「つ、次は愛してるかぁ・・・わ、私の顔をしっかり見て言ってほしいな!?」
「嫌です」
こんな状態でも変な所覚えてるし、今の姉さんは何ていうか・・・色々残念すぎる。