姉がハイスペックすぎる   作:ガテル

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第21話

 

「まずオムライスにケチャップで大きくゆうくん❤って書いてね!そこから私が最高の笑顔で美味しくなる魔法を唱えて心をズッキュンしちゃう!食事は全てスプーンであーんさせながら食べさせる、このコースでよろしいですかご主人様!」

 

「絶対嫌です、というか口調いつもと違いすぎて違和感凄いよ。それにズッキュンって何?」

 

「では作ってきますね、少しの間待っててくださいご主人様!」

 

「スルー!?ちょっとメイドに入り込みすぎじゃない、あっ行かないで・・・」

 

 

どうも、私はメイドに完全スルーされたご主人様だ・・・冗談です。

 

完全に悪い方向へ振り切った姉さんは、自らで調べ上げたメイドの情報を元になりきってきゃるん系を演じてるようである。いや頭脳と持ち前の考察力で情報や心情を構築した結果のズッキュンとか複雑すぎるんだけど、暴走して全然話聞いてくれない事だけが問題ではなくそれ以外にも。

 

 

「黒川さんの彼氏か?」「あんなに強く抱きしめられたんだ、彼氏に決まってるだろ!」

 

「あかねさんには弟がいるらしいが、姉弟であんな事普通しないよな。それにあのあかねさんの弟なら超イケメンのはず・・・やっぱり彼氏か死ねうらやまうらやま!」

 

 

弟の俺はイケメンじゃなくて悪かったね、よく言われるよ・・・まぁこんな事を考えても空しくなるだけだからやめだ。問題というのは「違います、俺は弟です!」と言っても信じてもらえる空気じゃない事、姉弟でハグとか別に普通だよね。えっ違う?ごめんなさい。

 

変に説明しても余計にこじれそうな気がするので黙っているしかない、それにしてもこの学校はララライ以上の頭痛場所になってしまったな。来年の文化祭行けなさそ・・・そう思いながら俺は無表情で窓の外を眺めていると、同じメイド姿の加藤さんが話しかけてきた。

 

 

「・・・あはは、君の話のときにあかねの様子がおかしかった理由がやっと分かったよ」

 

「いつもあんな感じじゃな・・・いや半分くらいはそうかも」

 

「思い返してみればあれ以外でも怪しいときあったなぁ」

 

 

苦笑いしつつも納得といった表情を浮かべていて、やっぱ姉さん偽りきれてなかったのね?それにしても本当に困った。オムライスが完成したら俺の精神処刑コースが始まってしまう、パフェのときは素へ引き戻す事に成功したけど・・・今回はその方法が全くわからない。

 

思い出すだけで恥ずかしいが、姉さんが役を演じるのなら俺も同じ手段を取り台詞を言ったことで成功した。天才女優があんなアホ手段に負けていいのかよとツッコミたい。

 

 

「どうすれば・・・」

 

「さっきあかねとすれ違ったときも顔赤かったし、無理して偽ってたって事なんだねー」

 

「・・・加藤さん今なんて言いました?顔赤かったんですか?」

 

「えっ?うん、優斗くんから注文取った後のあかねとすれ違ったんだけどね。顔が赤くなってて笑顔も崩れかけてたよ」

 

 

・・・さっきは気づかなかったが、俺にコースの説明してるときも少しだけ顔が赤かったような気がする。つまり、もう既に姉さんは。

 

 

「へぇ~そういうことか~?」

 

 

 

 

「お待たせしましたご主人様!では今からケチャップで「ちょっと待って」

 

「どうかしましたか?」

 

「・・・ご主人様ってもう1回言ってくれない?俺聞きたいな」

 

「え・・・わっ、わかりました」

 

 

OKしたものの明らかに動揺している様子、やはり最初から無理しているな?姉さんなら真逆なタイプでも余裕でやれると思っていたが・・・何故か調子悪めらしい。

 

理由はわからないけどこれはチャンスだ、滅多にない姉さんをイジるチャンス。こちとら散々恥ずかしい思いをしてるんだ、たまには逆転もいいよねぇ?

 

 

「ご、ご主人様」

 

「もう1回、次はちゃんと笑顔でね?」

 

「ごっ、ご主人様!」

 

「笑顔が弱いなぁ、罰として3回追加」

 

 

「・・・ゆうくん、もう無理だよぉ」

 

 

よし、勝ったな。

 

 

 

 

 

メイド時間も終わって、後半は2人で校内を色々回る予定となっている。姉さんも着替え終わり、早速行きま・・・

 

 

「ゆうくん」

 

「・・・からかいすぎた、ごめんね」

 

「・・・」プク

 

 

まさか恥ずかしさのあまり、顔を真っ赤にして半泣きしてしまうとは・・・悪いと思い謝っているが姉さんは頬をプクーッとさせそっぽ向いてしまった。

 

 

「本当に悪かったよ」

 

「・・・私のことお姉ちゃんって呼んでくれたら許してあげるね」

 

「ぐっ!?そ、それは」

 

 

言うしかないのか、いやでも他の生徒に聞こえる可能性もあるし・・・そんな狼狽えている俺を見た姉さんは頬を和らげて微笑んだ。

 

 

「嘘、怒ってないよ。恥ずかしかったのは本当だけどね」

 

 

お姉ちゃん呼びは回避か・・・本当に怒ってなさそうでよかった、それにしてもさっきも疑問に思ったけれど。

 

 

「姉さんにしては珍しいね、いつも完璧になりきれるのに今日は最初から違ったし」

 

 

加藤さんも気づいていたが顔は赤く笑顔は崩れかけていた、流石に羞恥心が上回ったとか?そんな俺の疑問に対し姉さんはちょっと困ったように笑って。

 

 

「最初にご主人様って言ったときに恥ずかしくなって調子が崩れちゃったんだ、私は小さい頃からずっとゆうくんって呼んでるからね。だから違和感が凄くて・・・ふふっ、せっかく沢山調べたのに悔しいな」

 

 

悔しいと言ってる割には全く悔しそうじゃなく、むしろ嬉しそうで。そんな姉さんの笑顔はさっきのメイドの作り笑顔なんかよりも純粋で綺麗だった。

 

・・・何か結局俺が負けた気分。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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