メイド喫茶での心労イベントも無事終わ・・・あれ?周りの生徒に俺が彼氏だって勘違いされたままだったような、いや大丈夫のはずですね。うん、きっと大丈夫。
前半も終わり、俺は今姉さんと2人で文化祭を回っている。高校でなおかつ進学校というのもあるだろうが、自分の中学の文化祭なんかより出し物のクオリティが遥かに高く満足度が違う。去年風邪で来れなかったのを後悔するくらいだ。
「次どうしよっか、姉さんはどこか行きたい場所ある?」
「一つあるよ、今回絶対行きたかった場所なんだ。ちょっと前に興味持ってね」
「へぇ~?じゃあいいよ、そこ行こう」
とても上機嫌で楽しみそうにしている姉さんを見て、そんな面白いものがあるなら行きたい俺は深く考えずOKしたのだが。
「結構本格的だね、色々参考になりそうだよ」
「そっか、ヨカッタネ!」
「吉富さんからオススメされたホラ―映画を見て以降、幽霊やホラー系のキャラを演じる事に興味が沸いたけど・・・ゆうくんはどう思う?私そういう役似合うかな?」
「いや俺に言われても」
結果お化け屋敷に連れて来られてしまった、この暗がりの中でメモ持つとか嘘だろ姉さん。絶対上手く書けないよね??
こういうのって、仕掛けやお化けに怖がりながら進むのが普通でしょ。カップルとかだと「キャー!」って言いながら彼女が彼氏に抱きついたりしてさ、リア充死ね・・・ごめんなさい。つい憎しみが入ってしまいました。
「私はそういう役って今まであんまりやった事がないから、調べて作り上げても不完全で上手くいかないんだ。だから学生の制作ではあるけど、入れば何かヒントになるかもって思ってね」
暗くて表情はよく見えないが、真剣な声色から真面目に悩んでいるのはわかる。いやこんな場所でする話じゃないと思うけどね?まぁ俺としては話してると怖さ紛れるし、恐怖系は全然平気な姉さんの存在は頼もしく感じるのは否定できない・・・
「確かにいいかも、俺は役者じゃないから深くはわからないけどさ。やっぱり身を持って体験するって役作りの基本な気がするし・・・そういえば化野さんもそんな考えだったな」
姉弟愛のパワーを理解するだかで「私はお姉ちゃんだぞ!」してきた化野さん、姉さんにバレたときは大惨事で大変だっ・・・え何で急に全身が震えあがるような恐怖を感じるの?しかもその気配がするのは俺の前か「ゆ う く ん ?」
「ヒエ」
「もう私以外の誰かをお姉ちゃんって呼ぶことなんて二度としないよね??」
「はい、あなただけが俺の姉でございます!」
「・・・あ、あなただけって。恥ずかしいよゆうくん、ふふっ」
よし!元に戻った・・・さっきのホラーキャラの役は向いてるかって質問の答えだけど、100%YESだよ。だって今お化け役の人が姉さんに怯えて引っ込んだのチラっと見えたもん。
舞台か映像かはわからないが、いつか演じたらその役はきっとハマり役として高く評価されるだろう。
「結構長かったね、それにしても最後までお化けが一人も出なかったけど大丈夫かな。何かトラブルでもあったりして・・・」
「リトさんがいたんだよ、きっと」
引っ込んだ人からその恐ろしさを聞いたのか、誰も出て行きたくなかったんだろう。いやお化け役の人に恐怖与えちゃったよ、本来逆だろ。
それにしても色々回ったからか、かなり時間経ってるな。残り少ないし最後にクレープでも食べて気持ち良く締めたい、これ以上何か起きることはないだろう。
「メイド喫茶にいたって話は本当だったんだ・・・黒川さん!と、隣にいる男って彼氏ですか!?」
おいフラグ回収早すぎだろ・・・男子、制服からしてここの生徒か。人が多いなか大声出すもんだから一気に注目の的になってしまった、彼氏というワードで周りの生徒達が息をのんだのが伝わってくる。祐介や加藤さんによると姉さんはかなーりモテてるらしく要は高嶺の花だ、みんな本人に聞きたくても躊躇してしまうんだろう。
・・・この状況は最悪だと思ったがよく考えれば都合がいい、ここで彼氏じゃなく弟と伝えれば普通に誤解は解ける。よし、丸く収まるぞ!
「えっと、俺はお「か、彼氏に見えるのかな?」
ぽぺ??
「は、はい・・・」
「わっ、私は彼女?」
「えっ?いや、そうなんじゃないんですか」
・・・それを聞いた姉さんの顔はまるでオーバヒート寸前かの如く真っ赤になり、目は正気を保てていなかった。そんなバグった状態で出てくる言葉など決まっている。
「そ、そうだねっ!私とゆうくんは彼氏彼女なんだ、付き合ってるよ!」
終った。