姉がハイスペックすぎる   作:ガテル

26 / 37
第26話

 

「起きなさい」

 

「別に日曜なんだから昼まで寝ててもいいじゃ・・・ん??」

 

 

平日はたまに寝過ごしそうなとき母さんにも起こされるが、休日にまでわざわざ起こしてくるのは姉さんだけ。でもそれなら違和感がある、理由は「~なさい」なんて口調を姉が使ったことは俺の記憶の中で一度もないからだ。じゃあ母さんか?いや声はかなり低いけれど、ほんの少しだけ姉さんに似てる気がするし・・・

 

「起きなさい、起きなさい・・・起きなきゃ食うわよ」

 

「ねぇ誰!??」

 

 

真面目に命の危機を感じて、俺は閉じていた目をかっぴらいた。そして視界に映った人物は。

 

 

「おはよう、ゆうくん。軽く舞台の役の感じでやってみたんだけど、こんなの全然怖くないよね・・・ゆうくん?」

 

「めっちゃ怖かったよ!?」

 

「えぇ!?ご、ごめんね!」

 

 

家族でも確証が持てないほどのいつもと違いすぎる、ドスの効いたホラーボイス。今度の舞台の幽霊役として色々調べたり、どういう風に喋るかを考えた結果だろう。2週間でもう声質のクオリティこれかよ、絶対本番やばいって・・・完成版の恐怖レベルに今から震えが止まらない俺であった。

 

 

 

 

 

 

「はぁ、マジで怖かったな」

 

 

恐怖すぎる目覚めでスタートした日曜(12時過ぎ)、ゲームのやりすぎだが後悔はしていない。今俺は好きな漫画の新刊を買うため本屋を目指している最中だ、その後はアニメショップ寄ったりする予定で・・・そういえば前に一度色々あってショップ寄るの忘れたまま帰った事があったな。まぁ今回は大丈夫でしょ!

 

 

「ウェーイ!今、時間ある?」

 

「お兄さん達と遊ばなーい!」

 

「・・・す、すんまへん。うちは友達と約束しておるんで」

 

 

フラグ即回収です、それにしても2人してチャラ男のテンプレすぎない?ウェーイ!とか現実で言ってる人初めて見たよ。周りの人達は厄介事に巻き込まれたくないのかスルーしているが、ナンパの面倒さは姉さんがいるから結構分かってるつもりだ・・・それにあの人結構押しに弱いタイプっぽくて、危ない予感がするし。

 

「・・・早めに助けないと」

 

ここは黒川の頭脳を活かすときが来たみたいだな、まぁ天才は姉の方だけど。

 

 

 

 

 

「こっ、これくらい離れればもう大丈夫ですよぉぉぉ・・・」

 

「だ、大丈夫か心配なのはそっちやない!?息凄いあがっとるよ!」

 

「ごめんなさい、俺体力ないんです」

 

 

普通に手を取って逃げるという、頭脳(笑)の強行策だったが無事成功。その後は俺も当然お役御免なので去ろうとしたが、フラフラの俺を「助けてくれた人をそんなんで返せるわけないやろ」と近くのベンチに座らせてくれた。

 

 

「お水までありがとうございます・・・」

 

「うちの恩人なんや、礼を言いたいのはこっちの方やで。フラフラやったから、とりあえず落ち着いてくれて安心したわ」

 

 

そう言って、目の前のお姉さんは嬉しそうに笑っていた・・・この雰囲気で思っちゃいけない事なのはわかっている。でもきっと仕方ないだろう、皆一緒のはずだ。さっきまで必死だったから、人の事をよく見る余裕なんてなかったが。落ち着いた今改めて見てみて俺はこう思った。

 

わっ!凄い子おる!

 

 

「ほんまありがとうなぁ、あの2人しつこくて大変やったんや。仕方あらへんけど周りは皆スルーしてまうし」

 

「お、お礼なんていいですよ」

 

 

姉さんがナンパに困ってる姿を今まで沢山見てきたからだし、だからホント礼とかは・・・いやでっか。流れぶった切って最悪なのは我ながら理解してるけど、その言葉がつい出てきてしまう。

 

近くに顔面偏差値つよつよさん(姉)がいる影響か、化野さんやモデルやってるらしい加藤さんはそう思えるけれど。祐介から「クラスのあの子可愛いよな!」と言われて「そ、そうだな?」としどろもどろな反応をしてしまい、ボコボコにされた俺でも素直に美人に感じる。つまり何かしら芸能関係の人?でっか!な胸とピンク色の髪、どこかで見覚えがあるような・・・あっ。

 

 

「もしかして、寿みなみさんですか?」

 

「・・・バレてしもうたか、せやで。うち寿みなみいいます、グラビアアイドルやらせてもらてて。よろしゅー」

 

 

ホントに凄い方でした。

 

 

 

 

 

「黒川君のお姉さんも芸能科に通ってるなんて面白い偶然やわー」

 

「確かにそうですね」

 

 

回復し、サイン貰って終わ・・・ではなく。普通に世間話を寿さんとしていた、その話の中で姉さんが芸能科に通っていて。なおかつ劇団の有名な若手エース女優というのを知られてから会話は盛り上がり。

 

 

「俺のスマホで姉さんの写真見ますか?」

 

「ええんか?ありがとなぁ」

 

 

姉さんに興味深々といった感じで、目を輝かせながらグイッと身体をこちらに寄せてきて・・・後ちょっと近づいたらお山が当たりそうです。こんな近くで見るとより破壊力が!?

 

顔に出ないように平常心を保ちながら、写真を見せたのだが。寿さんはジッっとそれを見たまま止まっていた。

 

 

「・・・寿さん?」

 

「ご、ごめんな!?お姉さんがえらいべっぴんさんなもんやから、ビックリしてもうたわ」

 

 

えらいべっぴんさんか、確かに弟の俺から見ても姉さんは美人だと思える。うん、そうだね。

 

 

「・・・黒川君って」

 

「な、何ですか」

 

「お姉さん好きなんやなぁ、今自慢げな顔してるで?」

 

「自慢げ!?違いますよ!?」

 

 

寿さんから見ても姉さんは驚かれる対象な事に、家族として素直に関心してただけですから。シスコン的な要素はない純粋な感情ですから。ね?

 

 

 

 

 

「今日は色んな意味でビックリな日です」

 

 

寿さんは仕事があるらしく、あの後すぐ解散に。でも別れ際に連絡先を交換し、ツーショットまで撮ってくれて「また会おうなー」と笑顔で去って行った。

 

良い人だったな、それに・・・大きかったな。

 

 

「あっ、またアニメショップ行くの忘れた」

 

不幸・・・ではない。

 

 

 

 

「ただいま、姉さん聞いてよ。今日凄い人と知り合ってさ」

 

「・・・凄い人?」

 

 

姉さんは不思議そうに首をかしげているが、聞いたら驚くだろう。ホント偶然だったが、漫画のような出来事が現実に起きるとはね?俺はドヤ顔でツーショットを見せつけた。

 

 

「寿みなみさん!俺は姉さんと違って一般人だから、この出会いは本当に凄いと思わない?存分にビックリしてくれたま・・・え」

 

 

目の前の光景を見た俺の一言、地獄。だってそうとしか言いようがない、姉さんが今まで見た事のない表情でバグっているからだ。

 

 

「・・・ゆゆゆゆうくん????」

 

「今のは忘れてください」

 

「写真の子ってグ、グラビアアイドルかな!?私も大きい方ではあるけど、それは大きすぎるよね!?」

 

「自分で巨乳発言するのかよ、まぁ姉さんも大きいけどさ・・・あっ、今のは特にそういう意味じゃなくて!?」

 

 

もう収拾がつかなくなった。

 

 

 

 

 

 

 




寿みなみタグを追加させていただきました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。