姉がハイスペックすぎる   作:ガテル

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久しぶりになってしまって本当にすみません!!


第30話

 

 

「もうダメだ…おしまいだぁ…」

 

 

どうして俺がブロリー映画のベジータみたいな絶望に打ちひしがれてるか、それは今日が劇団ララライの舞台公演初日だからである……舞台自体が嫌なわけでは当然ない。問題はその舞台がホラー系で俺はこの手のジャンルが苦手だからだ、それに姉さん曰く自分の演じる役は全体を通して主人公達に襲い掛かる恐怖となる女性幽霊役。

 

「役者として幅を広げていく事は本当に大事、今回も私は覚悟を持って役作りに挑むよ。調べ上げて考察し尽くして、見る人全員の心に残れるように頑張るね!」

 

と良い笑顔で宣言をされている、練習として朝にドスの効いたホラーボイスで起こされたりした時は役作り2週間にも関わらず恐怖100%だった……あれから更に完成度を高めたであろう姉さんの演技戦闘力はもはやスカウターでは計測できない。

 

そう観客席でガクガク震えてる俺の横には、対照的にワクワクと若い女性2人組が公演開始を待っているようでこれから想像を絶する恐怖の舞台が始まるとは思いもしていない様子だ。どうか正気を保ってくださいと心の中でエールを送っていると、何だか興味深い会話が聞こえてきて。

 

 

「黒川あかねちゃんって本当に美人で演技も上手くて凄いよね!」

 

「あの若さでララライの現エースだし当たり前じゃん、それに頭も良いって聞いたし。きっと私生活でも完璧人間なんだろうなー羨ましー」

 

 

……いや完璧というか凄いのは同意するけど、その人は「一番エッチだと思ってるのは誰かな?」とか弟に聞いてくる人なんですよ。強き姉すぎる、今日の朝だって。

 

 

 

「おはよう、ゆうくん」

 

「姉さんおは……えっ、何か顔すげぇ怖いよ?も、もしかして役になりきってたりする?」

 

「ううん違うよ、一つ気になってる事があるんだ。ちょっと前に寿さんとまた会ったって言ってたよね?でもそのときの事を話すゆうくんに違和感を感じてね、私の勘違いだと思うんだけど……あの日。寿さんと何もなかったかな??」

 

「……ハイ、誓って何もありませんデシタ。それよりネエサン、今日の舞台楽しみにシテルネ」

 

「ふふっ、やっぱり私の勘違いだったんだね。よかったなぁ」

 

 

 

バランス崩して寿さんのおっぱいに顔埋めましたとは口が裂けても言えなかった、言えるわけがない。まぁそんな出来事が朝からあったので尚更2人の会話が不思議に感じる、学校の人達の件もそうだが姉さんの印象は本当に完璧なんだな。家族だから認識が違うのも当たり前か、弟の俺から見ても美人だと思うけど……ただちょっとポンコツ美人的な。

 

 

「そういえば知ってるー?黒川さんもSNSやってるんだけどね、そこには弟のゆうくんって名前が何度か出てきてて。あの美貌だよ!?絶対弟も超イケメンだって!」

 

「うぐっ!?」

 

急に刺してくるじゃん、あのSNSのコメ欄じゃ俺への印象が盛られに盛られて最近なんて「もう大好き、あーしと付き合って」とか変なギャルのファンまでついてるんだぞ。現実はその、普通なんですごめんなさい。

 

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

「い、いえ平気ですよ。すみません」

 

 

驚きのあまり奇声を発した俺に対し、引くわけでもなく純粋に心配してくれた……もう大好き、あーしと付き合って。

 

そろそろ開演の時間だ、ギャル化した俺改め今のあーしなら姉ピの最恐演技にも負ける自信ないんですけど?もう余裕っしょ。

 

 

 

 

 

「や、やめてくれ」

 

「い、いやっ」

 

「残るはあなた達2人だけ、そうね……あはっ!決めたわ。存在がこの世に欠片も残らないようにぜーんぶ、食らい尽くしてあげる!!」

 

「いやああああああああああああ!!!」

 

 

そして舞台の幕は閉じた、ホラーなので全滅バッドエンドは結構あるあるオチである。俺の感想はというと。

 

ふぇぇ…姉さん怖かったよぉ…この前が100%なら多分300%ぐらいになってた、それに加えて舞台演出や周りの役者の演技など様々なものが合わさりもうヤバい。ちなみにギャルは冒頭の幽霊登場の瞬間でどこかに消えました。

 

 

 

 

「ただいまゆうくん、今日の私の演技どうだったかな。今までこういうのやった事ないから難しかったけどね、作品の解釈とズレてないものを演じたつもりだよ。ってゆうくん?」

 

「ナ、ナニ」

 

「……もしかして役を引きずっちゃって私の事怖がってるのかな?」

 

「イヤソンナコト」

 

 

はい、何か食われそうで怖くて目も逸らしてますごめんなさい。でもまぁ明日か明後日ぐらいには大丈夫になってると思うから、多分。

 

だがまぁ役と本人を結び付けるのはあまりよくない、怯えてるのも申し訳ないな。そう思い姉さんの方を見ると、何故か全身を震わせ頬は赤く染まりまるで新たな性癖の扉を開いてしまったかのようなイケない表情になっていた。

 

 

「……怯えるゆうくん、結構可愛いかも」

 

「姉さん???」

 

 

 

 

 

 

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