姉がハイスペックすぎる   作:ガテル

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殆どイベントを終えた中、後はどうやってこの作品を終わらせるかずっと悩んでいましたがようやく決まったので投稿しました。

本当に長らくお待たせしてしまって申し訳ございません!!

次回で最終回となります、よければ最後までお付き合いして頂けると幸いです。


第36話

 

「―――みなみさん、今回だけだよ。一緒にゆうくんを攻めるのはどうかな?」「黒川君……うちがみなみお姉ちゃんやで?」

 

 

寿さんの企む計画を巡る一連の騒動、それは最終的に俺が2人から沢山甘やかされて弟赤ちゃんにされる事で幕を閉じたのであった。一般人離れしたスタイルを持つ現役グラビアJKである寿さんと実の弟から見ても超の付く美人な姉さん、普通の男ならバブみを感じる……とキモいコメントを残しても仕方がないようなシチュエーションではあるが、姉さんは血が繋がっているし寿さんに関しても遊園地で彼女をそういう視点ではなく純粋に尊敬する年上の人間として応援していくと決めたので……正直に言うと色々複雑であった。

 

 

「でも俺は……この葛藤を大切にしたいんだ」

 

 

どこかのメイドさんも「エッチなのはいけないと思います!」って言ってたしね?例え人間の三大欲求のうちの一つであれ、それに屈する事のない立派な芯を持つ大人になりたい。あの騒動から約2週間が経ち、ようやく自分の気持ちに整理が付けられた気がした。

 

不思議なものだ、まるで生まれ変わったように心と体が軽い。きっと今ならどこへでも飛んでいける―――

 

 

「本日は12月24日、クリスマスイブという事でデートにオススメのイルミネーションスポットを特集します!」

 

「何がデートにオススメだイチャイチャしてんじゃねーぞリア充共が!爆発しろ!」

 

 

何が性の6時間だ、こちとら彼女なんて一生出来る気しないからそんなもんと無縁に決まってるでしょ羨ましくて泣きそうだようわーん……あっ決意から30秒足らずでもう煩悩が溢れ出てきちゃった……

 

もう俺はダメかもしれない、女子友なんて当然いないし男同士で遊ぶといっても友達の二次元姉萌えオタこと祐介は「俺クリスマスは家に籠って呪いの藁人形制作に取り組むから!量産しまくって日本中のカップル達を苦しませてやるぜ!」って高らかに呪術テロ宣言してたので誘えないな。てか憎しみの向け方が全方位すぎてこわ。

 

呪詛師堕ちした友達はとりあえず置いといて、ソファーに寝そべりながら今日一日どう過ごそうか悩んでいたそのとき。

 

 

「大丈夫、ゆうくんが悩む必要はないよ。だってもう決まってるんだからね」

 

「……はあ、一応聞くけど何がなの?」

 

サラッと俺の心を読んでくるニュータイプな人物といったら思い当たるのはたった一人である、頭を抱えながらソファーから体を起こすと。

 

 

「ふふっ、それはね―――今から私とクリスマスデートするって予定がだよ」

 

 

腰に手を当ててドヤ顔を浮かべる我が姉、ちょっと前もその持ち前のお姉ちゃん力で寿さんと俺をビビらせまくった黒川あかねサンである……いや決まってるとか言ってるけど今初めて聞いたんですが?

 

こうして断れるわけもなく、というか普通に暇なので渋々姉さんに付き合う事にした。

 

 

 

 

 

「お、おい見ろよ、あの子めちゃくちゃ可愛くねえか!?」

 

「ちょっと声掛けようぜ!」

 

「僕のデータによればあの美しい女性のナンパ成功率は約99.9%といった所か……悪いね君達、この戦いは僕が勝たせてもらうよ」

 

 

現在時間はお昼をちょっと過ぎた辺り、俺は姉さんの提案で東京の有名なイルミネーションスポットへ行く事になった。まだ当然ライトアップには早いが、それでも既にかなりの人込みで正直俺は目が回りそうである。そしてもう慣れた光景の姉を見て沸き立つ男共、クリスマスだから雰囲気込みでワンチャンいけるだろって顔していて隣を歩く俺の存在には気づいてすらいない。モブみたいで悪かったですね……

 

頭の良い姉さんならいくらナンパが寄ってきても、相手を逆撫でさせずに上手い具合に断れるだろう。

 

 

「ライトアップの前にこの辺のお店を色々回りたかったんだ、雑貨に化粧品にお洋服……楽しみだなあ」

 

 

……だがまあ、時間を取られる事には変わりないし嬉しそうな姉さんに変な横槍は入れさせたくない。

 

僅かな躊躇いの後、俺は姉さんの手をそっと握った。

 

 

「ゆ、ゆうくん!?いきなりどうしたのかな!?」

 

「……あー、ちょっとね」

 

 

姉さんは俺の行動に頬を赤く染めて驚いていたが、少しすると片方の繋がれてない手を頬に当ててうっとりと恍惚とした表情を浮かべ始めた。

 

 

「お姉ちゃんと手を繋ぎたかったのなら言ってくれればいいのに……いきなり手を繋ぐだなんて大胆だよ……恥ずかしいねっ♡」

 

「語尾にハートマーク付けて、果たして恥ずかしがってると言えるんですかね……?」

 

「も、もしゆうくんが避ければなんだけど、出来ればその―――恋人繋ぎに「却下」……むう」

 

 

姉弟で恋人ごっこは流石に……いやこうやって手を繋いでる時点で端から見れば。

 

 

「か、彼氏だと!?そんなの僕のデータにはないぞ!?」

 

 

そう見えてるんだろうなあ?効果はかなりあったみたいで安心するのと同時に本当に彼氏扱いされてる事実は複雑でもある。

 

 

「悪いけどデータニキには諦めてもらおう」

 

「データニキ?」

 

「いやこっちの話……てかそれよりもさ、お店回るって言ってたけどまずはどこへ行くの?雑貨屋さん?」

 

「うん、クリスマス限定デザインのスノードームはもしかしたら夕方頃には売り切れちゃうかもしれないから最初にそこへ行こうかな」

 

「へえ~、スノードームとか映画でしか見た事ないかも」

 

「ネットで話題になってたんだけどね、本当にすっごく可愛いんだ。ゆうくんも欲しいなら……か、買ってあげるよ?」

 

 

上目遣いで俺を見つめてくる姉さん、その瞳からは姉弟でお揃いにしたい欲が見え見えであった。演技では感情を偽る事などお手の物なのに、今の姉さんはきっと誰が見ても丸わかりだ……そんな俺に対してになるとポンコツな姉につい笑みが零れて。

 

 

「全く、ホント姉さんは姉さんだよ」

 

「……ゆうくん?」

 

「いいよ―――買ってくれるなら嬉しい」

 

 

ララライ訪問、食べさせ合い、プール、化野さんの一件、文化祭、寿さんの騒動(姉さんによる2回目の暴走)とまあ色々な事があった。それ以外でも前からの細かい事を上げればキリがなく、段々と姉にも慣れてき……いやそれは無理な話だけど。

 

……とにかく、こういった特別な日ぐらいは素直になってもいいかなと思うのだ。

 

姉さんは珍しい俺の態度に心底驚いたらしく、少しの間呆然と固まった後。

 

 

「……ごめんね、もう我慢出来ない」

 

「えっ?」

 

 

姉さんは半ば強引に普通の手繋ぎの形から指を絡める、言わば恋人繋ぎに変えた。

 

温かく、そして作り物のように細く綺麗な指の感触が伝わってくる。姉さんは恥ずかしそうに俯いていて……今度はこっちが驚く番だった、俺は自慢じゃないが姉の肌にめっぽう弱く、文化祭のときは頬に触れて「わースベスベだなー」と触り心地を楽しむという前科がある。本当に何してたんだろ俺……

 

あのときは逃げる形で誤魔化したわけだが、まさかまた同じ事をするわけにはいかず。何か恋人繋ぎってシチュも妙な羞恥心を加速させてる気が……こうしてお互いに黙り込んでしまった俺達。いやこんなのもはや初々しいカップルじゃん??

 

トンデモ発言でギャグとして落としてよ、だって姉さんはいつもそうして―――

 

 

「さ、流石にこういうのは恥ずかしいね……でも私は嫌じゃないよ……?」

 

「…………」

 

 

……だからぁ!その雰囲気は何ですかぁ!

 

 

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