姉がハイスペックすぎる   作:ガテル

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第8話

 

7月中旬、クーラー効いてる家から一歩出れば本格的に暑さを感じる今日この頃。俺は溶けてしまいそうです、最もそれは暑さによるものではなく・・・

 

 

「めっちゃ美人じゃねあの子!?話しかけ・・・って彼氏持ちかよ」

 

「俺の方がカッコよくね?」

 

「うらやましね、いや・・・うらやましね!」

 

 

男達から注がれる嫉妬の視線がキツくて溶けちゃいたいという意味である・・・後最後の奴言い直せてないぞ同じこと言わないで。

 

姉さんからのトンデモ発言は冗談だと思いたかったが有言実行されてしまい、本当に手繋ぎで歩いている。姉弟なんだよ勘違いして殺意向けないでくれ、この状況を当の本人はどう思ってるかというと。

 

 

「ゆうくんと手を繋いで出かけてる、紛れもないデートだよねっ。嬉しいなぁ」

 

「デートじゃありませんよ!?」

 

自分の世界へ入り込むのは役者関連のときだけと思っていたが、さっきから幸せトリップ状態で周りの視線や言葉、俺の言葉までも全く入っていなかった。なので手を離してとお願いすることも出来ず・・・ホント嬉しそうな顔だな、手を繋いだだけなのに。現状どうすることもできないので、周りの視線が目に入らないよう下を向き繋がれた手に視線を移す。

 

手繋ぎはそこまで喜ぶことか?俺は姉さんの柔らかく綺麗な手を触れていて気持ちが良くて、同時に不思議な安心感を感じるくらいだし・・・あれ今俺なんて思った??

 

ここを掘り下げるとマズい気がしたので、急いで顔を上げると姉さんが俺をじっと見つめていることに気づいた。恍惚としたその表情は嫌な予感がする。

 

 

「ゆうくん、したいなら始めから言ってくれればいいのに」

 

「し、したいというのは?」

 

「繋がれた手に向けてた熱視線、つまり恋人繋ぎがしたいってことだよね!?恥ずかしいけどゆうくんが望んでるなら・・・いいよ?」

 

 

まるでバレンタインに俺へチョコを渡すときかの如くモジモジしながら姉さんは言ってきた、めっちゃ美味しいから嬉しいけど毎年照れながら渡してくるのいい加減慣れてほしい・・・話は戻るが恋人繋ぎしようものなら殺意倍増、姉さんのトリップは強化されてしまう。

 

「わ、私は心の準備できたよ。恋人繋ぎしたら姉さんじゃなくてあかねって呼んでくれてもいいからね?」

 

「それだけは頼むからホントマジでやめてください」

 

俺がガチで溶けちゃうから、殺意で心壊れちゃうから。

 

 

 

 

 

 

「・・・駅、電車乗るの?」

 

「ち、ちょっと遠い場所だからね」

 

 

未だ目的地を教えてくれない姉さんに不安が募っていく、今も演技力どこいったレベルで目をグルグルさせながら慌ててるし。昨日のホラー映画視聴で興味沸いたから劇場でホラー見ようとかはやめてほしい。平和系でお願いします・・・

 

 

「後電車乗るなら手は離した方が」

 

「うん、そうだね」

 

 

ようやく離してくれた、まぁ電車下りて改札出たらまた繋ぎそうだから一時の気休めだけど。視線の嵐に疲れたがとりあえず今は安心・・・ってその何かを期待してる目は?

 

 

「ゆうくん、立ってるときに電車が揺れてもし私がバランス崩して倒れそうになったら舞台の王子様みたいに抱きしめて受け止めてくれるかな?」

 

「まずそんな倒れるほど揺れることないでしょ」

 

 

離しても結構平気そうだったのそんなシチュ考えてたからかよ、電車内で王子様みたいに抱きしめて「大丈夫ですか姫」とか言ったら大事故だろ。動画拡散されてしまう・・・まぁでも。

 

 

「王子様とか言われても困るけど姉さんが危なかったら助けるよ、絶対」

 

 

家族として当たり前だと思い言った言葉だが、何故か姉さんは少女漫画のヒロインみたいにときめいた顔をしていた。

 

 

「・・・今のアニメとか舞台の台詞?」

 

「い、いや俺の言葉だけど」

 

「・・・ゆうくん!」

 

 

こんな場所で抱きしめてこようとしないで!?人いるから、あっ今誰か「バカップル爆発しろ」って言ったよね誤解だよ違います!

 

 

 

 

 

「・・・疲れた」

 

時間は経ち現在午後一時過ぎ、あの後電車に乗り駅に着いて目的地を目指すのかと思ってたが先に昼食を食べて。姉さん曰く目的のものは14時かららしく、それを聞いて何となく予想はできた。

 

 

「つまり、これからパフェでも食べるってこと?」

 

「う、うん・・・そろそろ着くと思うよ」

 

「?」

 

 

何でパフェであんな変な態度取ってたんだ、むしろ姉さんの好きなものなのに。何故か今も歯切れが悪いし、理解できず疑問に思っているとちょうどカフェらしき店が見えてきた、特におかしな所は何もな・・・

 

 

「姉さん、あの大量のカップルらしき行列は??」

 

「・・・あれは、スペシャルパフェに並んでるみたいだね」

 

 

・・・急いでスマホで調べてみるとホームページに「互いに食べさせ合おう、それ以外はダメ!カップルにオススメだよ、思う存分イチャイチャしてね!」と説明が記載されていた。

 

必死に隠した理由を理解し呆れていると、姉さんはこちらを向いた。その姿はまるで誰かを演じてるかのような雰囲気と表情を漂わせ、俺をまっすぐ見つめる瞳は美しくきっと誰の心も奪ってしまうほど。

 

 

「いや真面目な感じ出しても流されないよ俺」

 

 

「・・・だ、ダメかな?」

 

 

「いやカップルじゃなくてもいいらしいけど、姉弟とか俺達以外100%いないでしょ」

 

 

「・・・ゆうくんっ」

 

 

「ウッ!?・・・わっ、わかった。ここまで結構遠かったし、姉さん食べたかったんでしょ。もう勢いに任せるよ」

 

 

姉さんにそんな顔されると正直断りにくい、俺がシスコンとかでは決してない。

 

まさかホラ―映画の方が100倍マシな羞恥心との戦いが始まるなんて思いもしなかった、正直帰りたいです。

 

 

 

 

 

 

 

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