姉がハイスペックすぎる   作:ガテル

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第9話

 

姉さんのお願いに折れてしまい、「互いに食べさせ合う以外はダメ」という馬鹿みたいなルール付きのパフェを食べる事になってしまった。行列の人達を見てわかっていたが店内もそのパフェ目当てで来たカップルが殆どで、俺にとって完全アウェイなその空間に頭が痛くなってくる。

 

それもキツいが最大の問題は別にある、さっき注文したスペシャルパフェが運ばれてきたのだが・・・

 

 

「・・・姉さん、早く終らせたいから頼むよ」

 

「だ、だってゆうくんに食べさせるってつまり間接キスってことだよ!?私はき、キスとかそういうのはちゃんと段階を踏んでからねするべきだと思うんだ。まだ早いかな」

 

 

「間接キスは別にキスってわけじゃ、てかまだ早いって何?将来する気なの??」

 

 

最大の問題は姉さんが照れまくって食べるのがまっっったく進まないことだ、さっき街中で手を繋いだり駅で抱きしめてきただろ。何でここは恥ずかしがるんだよ!?こんな恥ずかしいの早く済ませたいのに、ただでさえ姉さんは目立つ存在だ。先ほどから周囲の視線が気まずい・・・

 

 

「将来まで考えてくれてるんだね・・・嬉しいよゆうくん」

 

「話通じません、誰か助けてください」

 

 

ただでさえトマトのように顔が真っ赤な姉さんは持ち前の想像力で未来のビジョンでも思い浮かべたのか、頬に手を当てうっとりとした表情をしていた。正直この状況に耐え切れそうにないので今すぐ逃げ出したいがそれは出来ない、だがこのままでは進まないのでひとまず妄想から引き戻さなければ。

 

 

「姉さん、残すわけにもいかないんだからとりあえず食べないと」

 

「・・・そ、そうだよね」

 

 

料理好きな姉さんにとって食べ物を残すというのは許せない行為で、やはり効き目があった。まぁ戻した所でこれからどうしようかって話なんだけど。互いに恥ずかしがっていては拉致があかない、もういっそのこと店員にお願いして普通に食べたいと言うかと思ったそのとき。

 

 

「・・・これならいけるかも」

 

そう言った姉さんは集中するように目を閉じ、その動作はまるで役を演じるときを思わせて・・・俺は弟。遺憾ながら何をしようとするかわかってしまった、この予想がどうか当たらないでほしい。

 

そして目を開いた姉さんはスプーンでクリームを救い、俺の口へ近づけてきた。あれだけ恥ずかしがっていたことを急にいとも簡単に出来る理由は何故かというと。

 

 

 

 

「ほら食べてください、アルガルト?」

 

 

「その技ズルくない!?後俺は優斗だよ!?」

 

 

「・・・ふふっ、これならゆうくんにでも大丈夫かな」

 

 

前に演じた舞台の役で、台本読みも一緒にやらされた作品だ。姉さんは自分の存在から役に意識を集中し、それに没入することで俺にしているという感覚を減らして恥ずかしさを軽減させたらしい。やめてよ俺の羞恥は2倍なんだけど??でもこれで食べ進めることができる・・・受け入れるしかないのか。

 

仕方なく姉さんのスプ―ンを口に入れ、ようやく状況は1歩進んだ。

 

 

「美味しいですか?」

 

「・・・美味しい」

 

「では私に食べさせてください、あーんでやらなきゃダメですよ」

 

 

ララライで見た練習や舞台そのままのエリザロッテ、穏やかさと優しさを兼ね備えた大人の女性。姉さん全然余裕そうじゃん・・・くっ!?

 

 

「あ、あーん」

 

「美味しいです、でもそれだけじゃなく・・・あなたが食べさせてくれたからのも大きいのかもしれませんね」

 

 

誰をも魅了するその美しい微笑みは・・今たまたま近くの席に来た女性店員を釘付けにしていた、完全に手止まってるじゃん。姉がごめんなさい。

 

 

店員さんに気を取られているといつの間にかまたスプーンが口の前まできてることに気づき。

 

 

「楽しい時間はしばらく続きますね、アルガルト」

 

「だから俺の名前は優斗です」

 

 

このまま最後までいくのか・・・

 

 

 

 

 

 

「・・・よ、ようやく最後の一口」

 

「残念ですね、もう終わってしまうのですか」

 

 

俺はされるがまま姉さんに食べさせられ、耐えながら「あーん」もした。後は姉さんに一口食べさせるだけで終わる・・・だがこのままやられっぱなしというのは納得できない、散々恥ずかしい思いをしたんだ。最後に何か出来ないものか。

 

 

「私をじっと見つめていますが、どうかしました?」

 

「何でもないよ」

 

 

役の力を借りて自分を当てはめないことで羞恥心を減らし今の余裕さが生まれているので、恥ずかしがらせるためには姉さんの演技をやめさせる必要がある。でもそんな方法俺の頭脳じゃ思いつかない、だってあれだけの女優である姉さんが役を忘れてしまうほどの衝撃なんて・・・あれ?ちょっと前にそんな事あったような??

 

いやでも同じ手が二度通じるわけないし・・・姉さんもそこまで単純じゃ。

 

 

 

「姉さ・・・いやエリザロッテ」

 

「エリザ!?ど、どうかしましたか?」

 

「君のことが本当に好きだ、エリザロッテ」

 

 

いやはっず、俺言った後すぐ下向いちゃったよ。これは読み合わせのとき俺が言って姉さんは役を忘れて告白にキャーキャーしちゃった台詞、でも失敗したな?同じ手段が効き目あるとは思えない。

 

 

一応確認するため俺は顔を上げると・・・

 

 

 

「す、好き!?ゆうくん急に告白なんて大胆じゃないかな!二回目だけど嬉しいよっ・・・あっ」

 

「前回と反応全く変わんないじゃねぇか」

 

 

いやまさか普通に効くとは・・・でもこれで姉さんは素に戻った、真っ赤な顔が何よりの証拠。最後ぐらいそっちも恥ずかしさを味わないと不公平だよね?

 

 

 

「ほら、姉さん最後のこれ口に入れないと」

 

 

「ゆ、ゆうくんやめて・・・ん」

 

 

「美味しかったね?」

 

 

「・・・うん、おいしかったよっ」

 

 

 

・・・店員さんからそういうプレイは家でやってくださいと言われました、誤解です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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