コッペリア 皇帝にならなかった人形   作:えすぱーがーる

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リベサガことロマサガ2R、難易度ロマンシングクリア記念の話。
某所に投稿したヤツを少し手直ししたモノです。


コッペリア 皇帝にならなかった人形

 

「おおお前が皇帝か、よろしく頼むぜ!」

 

俺はヒラガによって作られた戦闘用の自動人形だ。

 

「俺の強さに恐れ慄け」

 

そして俺はその本分を全うする。全うしていった。

 

ワイリンガ湖でアルビオン相手に何度も拳と蹴りを放った。

踊るような蹴りを覚えた。

 

ルドン高原のリザードどもを相手に剣を振るった。

フロスティにプレゼントする鉱石を見つけた。

 

サラマットの虫モンスター相手に斧と棍棒をくれてやった。

ここにもあった。珍しい石だな。

 

メルー砂漠では何度も修理が必要になるくらいの破損を受けた。

火は危ねえ。また石を見つけた、あと2つくらい必要らしい。

 

砂の遺跡ではデカいアリのモンスター2体相手に何度も戦った。

ヤツの二段斬りのパターンを見切って、ようやく倒した。

 

ナゼールでは子どもと子ムーを探してたら七英雄のダンターグと戦った。

 

……そこで一度俺の記憶は途切れた。

 

 

…………

 

 

「皇帝、ゼンマイを巻いてくれ」

 

 

再び、皇帝と一緒に、ダンターグと戦った。

俺は何度も倒れたが、皇帝はヤツのグランドスラムや活殺獣神衝を軽やかに躱して

ダンターグを叩きのめした。

 

おい、皇帝。 他の3人はどうしたんだ?

というかお前も修理したのか、性別まで変わってるぞ。

 

「皇帝、前の身体はどうしたんだ?」

 

ネジが切れる前に見た皇帝は何だか悲しそうだった。

 

 

…………

 

 

「おお皇帝か、今度も頼むぜ」

 

今度は術を覚えた。ソードバリアという術だ。

前に宮廷魔術士が閃いてた術だ。俺も使えるようになった。

 

またメルー砂漠を抜けて、飲んだらLPが1になる水で出来た湖についた。

 

そこに七英雄のノエルがいた。そうか! ソードバリアはこのためか!

 

…………

 

…おい、皇帝。 赤竜波はソードバリアじゃ防げねえぞ。

 

おお、フロスティ。 ああ、今はフロックか? 炎の壁は見事だったぞ。

 

お前はすげえ盾だ。これからもよろしく頼むぜ。

 

しかしなんだ? ノエルの妹、ロックブーケを倒してたのか。俺が動いてない間に。

 

やるな皇帝。また一緒に戦ってやるぞ。

 

 

 

…………

 

 

 

「皇帝か。今度は誰を倒すんだ?」

 

今度の皇帝は女の皇帝だった。踊り子のリコリスだ。

リコリスは踊りは上手いが、敵を殴る踊りは俺の方が強く上手いぞ。

 

また皇帝と冒険だ。今度は南ロンギットの海に潜った。

海女のナタリーがこの嵐の原因を教えてくれた。沈没船に原因があるらしい。

 

俺も人魚薬を飲んで海に潜った。

人魚薬だが、俺が出来上がる前に、男の皇帝が人魚と逢う為に作ったそうだ。

材料はその時の皇帝の記憶にあったから、魔女に作ってもらったと聞いた。

 

ギャロンとか言う亡霊をぶっ倒した後、皇帝は戦いの一線から身を引く事にしたそうだ。

 

ほーインペリアルガードと結婚するのか。アイツはフロックみたいにすごい盾だったからな。

 

ん?結婚式に出席して欲しい? 構わんが、お前のように上手に踊れないぞ?

 

敵を倒す踊り方は知ってるが、人を喜ばせる踊り方は… 得意じゃない。

 

でも皇帝は、リコリスは笑ってた。

 

リコリスとタンクレッドは幸せそうだった。

 

二人を見届けた後、俺のゼンマイは切れた。

 

もうちょっと見たかったが、まあ良いさ。

 

またネジを巻いてくれるだろう。

 

 

 

…………

 

 

「おお、皇帝か」

 

そいつはテリーにそっくりだった。だが今はベイダーだ。

 

皇帝、また一緒に戦おう。

 

先の嵐の根本原因のスービエは氷海にいて、倒しに行くには難しいとの事だ。

 

なので倒せる七英雄を、ワグナスを倒しに行くのが今度の目標だ。

 

でもどうやってあの空まで行くんだ?

 

……

 

ヒラガが俺を作る前に制作した人力風起こしに乗って

デザートガードのダンダーン、イーストガードのガンリュウ、

忍者のミズキと一緒に浮遊城に乗り込んだ。

 

ブラックレギオンや氷竜は厄介だったが、俺たちの敵じゃねえ。

 

 

だが……

 

 

「最高の演出を用意しよう!」

 

 

ファイアストームで焼かれた。くそー……

ダンターグと初めて戦った時と同じか…… 修理に出してくれ…。

 

 

「……」

 

 

「皇帝、今度もダンターグの時と同じようにやり返してやろうぜ!」

 

俺はリベンジに燃えていた。大木断は勘弁してほしいがな。

 

イーリスのスカイアが皇帝になっていた。

だがそんな腕じゃ人力風起こしは使えないだろ?

どうするんだ?

 

おお、お前の翼は飾りじゃなかったんだな。よし! リベンジだ!

…というか軍師とかと同じように俺を他のイーリスに運ばせれば良かっただろ?

皇帝、なんでわざわざ俺をお前の手ずからで運んだ?

 

……礼はワグナスをぶっ倒してから言ってやる。

 

俺と皇帝の落鳳坡でケチョンケチョンにしてやったぜ。ザマーミロだ。

 

……どうした皇帝、凱旋するんだろ?

 

おいスカイア どうした…?

 

 

……

 

 

バカヤロー… 無茶しやがって……

 

俺は何か戦う気持ちが萎えた。軍師に頼んでヒラガの家に返してもらって

しばらくネジを巻かないまま過ごす事を決めた。

 

「ヒラガ、ヴィルヴィルしっかり整備しておいてくれ、

 また俺のネジが巻かれる時にちゃんと動けるようにしないとな」

 

多分、次に動く時が最後だろうな。俺はなんとなく確信していた。

 

 

…………

 

 

そしてその日が来た。

 

「皇帝か。残ってるのはスービエだっただろ?

 ヤツを倒す目処が着いたのか? 何、クジンシー?」

 

再びネジを巻かれ、新しいフロスティじゃなかった、今はファフニールか。

そして忍者のアザミとシティシーフのキャットを連れた男の皇帝がやってきた。

 

「そうか 復活したのか… そして、クジンシーを倒せば スービエが七英雄の本体に、か」

 

なるほど、氷海に隠れてるスービエも 本体のトコでぶっ倒せって事か。

連続して戦う事になるが望む所だ。俺は戦闘用だからな。

 

「そう言えば お前… タンクレッドとリコリスの感じがあるな」

 

皇帝は苦笑を浮かべていた。

 

 

そして俺は戦った。皇帝と一緒に戦った。

 

封印の地でクジンシーを倒した。アバロンに湧いたタームを駆除した。

 

鍛える為に砂の遺跡よりも更に南にある遺跡で雷竜や金龍を何度も狩った。

 

しばらくの間、世界各地からの報告を皇帝たちと共に待った。

最後の七英雄、スービエの行き先、連中の本体がある場所がどこにあるかをだ。

 

時折、アバロンの町並みを歩いた。

俺の原材料の生産地、アバロンの園の大樹の陰で、リコリスみたいに踊ったりした。

 

 

「そうか お前は皇帝と、アバロンをずっと見ていたんだな」

 

大樹を見て、俺はその言葉が自然と出た

 

「俺は 皇帝と一緒に戦った。 …お前は 見守り続けるという戦いをしてるんだな」

 

「なら 俺もそうしよう。戦闘用だが、しっかりと一緒に戦った皇帝と仲間の事は覚えてるからな」

 

そして決戦の時がやって来た。

 

大氷原は強いモンスターがゴロゴロしていた。

巨人のサイクロプスや氷竜は強かった。

 

ラストダンジョンの中、ヴリトラの3連攻撃には何度も俺は倒れた。

だが、このLPの多さは伊達じゃねえ。ファフニールと俺が、皇帝の盾だ。

 

ジャンからフェザーブーツを入手したり、月の力が籠もった石を手に入れたんで

ファフニールの言い分もあり、最深部まで着いた後、一度引き返した。

 

 

ああ、あそこから進めばスービエと七英雄の本体が待ち構えてるだろうしな。

 

 

最後の決戦に備え、アバロンで英気を養っていた。

 

キャット、アザミ 決戦が近いんだから皇帝とイチャイチャし過ぎるな

 

何?そっけない態度を取る皇帝が悪い?

だったら七英雄をぶっ倒した後で存分にすれば良いだろ。

 

皇帝も七英雄をぶっ倒したら リコリスのように皇帝を辞めて

自分の人生になって良いと思うぞ。俺はそう思う。

 

 

……

 

「逃げろ! 崩れるぞ!」

 

分かってる! キャット、ぶっ倒れてる場合じゃない! アザミも起きろ!

 

おい、皇帝 お前も… 皇帝…? …!?

 

 

………………

 

…………

 

……

 

気付けば、俺たちは大氷原にいた。

 

だけど皇帝は、いなかった。

 

帝国兵たちやサイゴ族、イーリスたち、色んな場所、色んな種族の人間が

皆、皇帝を探していた。

 

当然だ。俺も探すぞ。お前たちは休んでろ、俺は人形だから疲れねえ。

 

どうしたファフニール? そんな顔をするな。 まだ皇帝は死んでない。

 

スカイアやベイダーみたいに、あの時のような…

 

くそっ! 認めねえぞ! また一緒に帝国に戻るんだ!

 

ちゃんと戻るんだ! 帰るんだ! アバロンに!

 

…………

 

 

……

 

 

心配かけやがって、さあ凱旋だ!

 

 

……

 

 

…………

 

 

………………

 

 

 

 

「皇帝陛下はどうなったの?」

 

「皇帝はアバロンに戻ると自ら退位してアバロンは共和国になったんだよ」

 

「きょうわこく?」

 

「もう少し大きくなればわかるよ」

 

 

ああ、そうだ。皇帝は皇帝ではなくなった。

 

 

「もう陛下と呼ぶのはやめてくれ

 私はアバロンの人々にも忘れ去られた歌の中だけの存在だ」

 

 

違うぞ皇帝。いや……

 

 

俺は、俺たちは……

 

 

「そうではないと思いますよ」

 

!!

 

酒場を立ち去る詩人とすれ違い、そして 導かれるように"俺たち"は皇帝の、○○の後を追う。

 

 

「ヒラガ…? フロスティ…?」

 

俺は… 俺を完成させた ヒラガと、最初のフロスティを見た。

 

戸惑いも迷いも驚きもあったが、それ以上に納得と理解があった。

 

静かに俺たちは○○に続いて宮殿へと向かう。

 

今はもう、皇帝の居城では無い、宮殿に。

 

 

 

……ああ、すっかり寂しくなってるな。前は夜も賑やかだったが 今は静かだ。

 

おっと、お前はあの時 大氷原集結を伝えた文官か。

 

酒場を通りがかった際、詩人の歌を耳にして、ついお前もここに、か

 

そうだったな、お前や ずっと前の文官たちも アバロンの園の大樹のように

 

ずっと帝国を、アバロンを守って、皇帝を支えてたんだな……

 

 

……

 

 

今は誰も座る事が無い皇帝の玉座。 誰も戴く事が無い帝冠。

 

その前で○○は佇んでいる……

 

……見てられん! 行くぞ、キャット、アザミ、ファフニール!

 

あいつを独りぼっちにさせるんじゃねえ!

 

 

「みんな…」

 

 

………

 

 

 

……

 

 

 

 

「ねーねー コッペリア」

 

「どうした? ジェラール」

 

「おじいちゃんってどんな人だったか、おしえてくれるー?」

 

「ああ、だが ○○を語る前に、皇帝の話をしないとな」

 

「こんどはだれなのー?」

 

「あー… 前に話したのは誰だったか」

 

「えっと、リコリス! おどりこのこうてい!」

 

「そうだった そうだったな じゃあ次は、ベイダーとスカイアについて話してやる」

 

「はーい!」

 

「っと、その前にアンドヴァリ、ゼンマイを巻き直してくれ」

 

「かしこまりました! コッペリア様!」

 

「様付けなんてガラじゃねえからやめろって言ってるだろ」

 

 

 

………………

 

…………

 

……

 

 

 

最後の皇帝だった○○も年老いて亡くなった。

 

キャットもアザミもファフニールも後を追うように死んだ。

 

共和国になったバレンヌも帝国時代に比べると鈍くなった。

 

ヒラガも代を重ねた。定期的に点検してもらってるが戦うにはガタが来ている。

 

ゼンマイもすぐに切れるようになった。

 

 

 

それでも…… 俺はまだ死んでいない。生きている。

 

「帝国暦××××年の時だ。この時の皇帝は龍の穴出身の格闘家でな、俺は~~~」

 

詩人の歌みてえに面白楽しく話せねえけど、皇帝と帝国の歴史はちゃんと語り継いでやるぜ。

 

それが戦いを終えた帝国の、皇帝の、俺の使命だ。

 

 

………………

 

…………

 

……

 

 

数十年後、共和制成立から周年行事の頃、

「ある人形から見た帝国記」という抒情詩とも叙事詩とも取れる

バレンヌ帝国時代を綴った書物が刊行された。

 

同時期に、頑丈だが立派なガラスケースに収められた

自動人形の聖骸が旧アバロン宮殿に収められた。

 

その壊れた人形は、皇帝のレガリアでもあるレオンの剣、

歴代の皇帝や仲間たちが愛用した武具、最後の皇帝が振るっていたデイブレード、

ファブリ家の象徴である鍛冶用ハンマーや旧レオンブリッジの破片などと併せ

静かに宝物庫で眠っている。




サガフロのアセルス編の人間エンドとか
T260Gのエンディングとか好きやねん。

落ち着いたらウィンクキラー回収のために6周目を始めようと思ってます

(24年12月14日追記)
4000年プレイ目標中に無事ウィンクキラーを入手できました。
そしてアプデによって増やしそこねました。

チャートミスったので最終皇帝即位時に帝国暦3000年にシフトしました。
次の帝国暦2745年で人形皇帝コッペリアによる
ワグナス、ノエル、ダンターグ、スービエ撃破を狙います。
うまく行きましたらそれをネタに書きたいと思ってます。
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