「メリメリメリーークリスマッス!!」
「うああっ! なんだなんだ!」
仕事場のテレビにいきなり大写しになったエイジのアップに、ソファでクリスマスチキンを囲んでいた真城 高木とカヤはシャンパンを吹き出した。
亜城木夢斗(あしろぎむと)にとって新妻エイジという存在は、目標でありライバルであり恩義ある先輩漫画家で、そして神出鬼没……
「こっちでは、じょわぃゆぅ、のえる、で~~すっ!!」
そのニュース映像は海外のジャパンアニメフェスタの会場で、場所は確かフランスな筈。
「めだむ ぜ めしゅう~、皆々様、いつも応援してくれてアリガトめるしぃ~~、これからも少年ジャックを宜しくでっす。わあぁお、とれびあんです~~!!」
原作漫画よりもスタイルの良い『CROW』&『+NATURAL』のコスプレに囲まれながら、満面の笑みで大はしゃぎのエイジ。
「神出鬼没にも程があるだろ!」
「あの人には距離の概念が存在しないのだろうか……」
早速、漫画家仲間で最近始めたグループラインに着信が入る。
福田「テレビ見た? 何やってんだ、師匠!」
秋名「『+NATURAL』が終わったと思ったら、あんな所に」
蒼樹「雀々家厘子さんがあちらの新進作家展に参加するらしく、くっついて行ったようです」
蒼樹「まぁお幸せにって感じです」
平丸「何と、新妻氏、許せん」
福田「世界進出、先を越されちまった」
高木「結局、あの二人どうなるんだよ」
真城「なるようになるでしょ、だって新妻エイジだもん」
~了~
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早朝の川沿い、濃霧の中、白い息を吐きながら歩くエイジと狐面。
「お父さんに似てる似てるっていいますけれど、ボクはあの居間にある写真みたいに男前じゃないです」
「似ていますよ」
「何処がですか」
「何にでも好奇心を燃やす所とか」
「何にでもじゃないデスよ」
「対抗心が強大な所とか」
「クリエイターは誰だってそうデス」
「そうやって私の出先にいきなり出現する所とか」
「…………」
「合言葉を知っている所もですね」
「合言葉? 何時(いつ)です?」
「最初にお越しになった時、玄関で唄ったでしょう? テレビでやった人形劇おとぎ話の挿入歌。あれ、父と私の合言葉でした」
「アレは……」
「でもやっぱり……いえ、そうですね、やっぱり似ていません」
「もお! どっちなんデスか!」
「似ている所もあるけれど、こうして隣を歩いていると、違う人に感じる時の方が多くなって来ました」
「当たり前デス! 違う人なんですからねっ」
「また海から昇る月を見たくなりました。帰国したら一緒に見に行ってください」
「ホントいつも唐突デスね。じゃあてるてる坊主を百個吊るして天気を祈りましょう」
「縁側が一杯になりますね」
~完了~
2024、12、3
ここまでのお付き合い、まことにまことにありがとうございました。
感謝です。
名作読ませてくださった原作者様に感謝です。