【完結】限界まで機動力を高めた結果、敵味方から恐れられている……何で?   作:オタリオン

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227:命の光が舞う(side:ショーコ)

「紛い物が、邪魔をするなッ!!」

 

 無人機たちが迫る中で、私はマシンガンを乱射した。

 ガラガラと音を立てて弾丸が飛び、コピー品が散開する。

 統率の取れた動きであり、完璧とはいえないまでも洗練された動きをしていた。

 背中のスラスターがエネルギーを噴射して、奴らは手に持った突撃砲を此方に向ける。

 

 バースト射撃による攻撃で。

 それを紙一重で回避しながら、私は地上へ向けて降下した。

 チョロチョロと周囲を飛び回り、執拗なまでに追って来る。

 まるで、此方がこの戦闘の為だけに危険な機体に乗って命を削っていると理解しているような動きだ。

 風を切り裂き宙を舞い、迫った地面をすれすれで回避する。

 巻きあがった草花が眼前でひらひらと舞って、メリウスの残骸を避けていく。

 

 戦士たちの霊が眠る墓場にて、六機のメリウスが戦う。

 耳元では猛烈な風の音が響いていて。

 まるで、この地の怨霊の叫び声のように聞こえていた。

 

 マシンガンを前方に向けて放つ。

 すると、朽ち果てたメリウスに命中して残骸が舞う。

 鉄の塊を回転によって回避すれば、迫って来た無人機たちも同じように回避しよとしていた。

 

「壊れろッ!!」

 

 ロックオンは既に完了している。

 肩にマウントされたプラズマ砲のチャージは完了していた。

 バチバチと激しい音を立てながら、砲塔から勢いよくエネルギーの塊が放たれる。

 二連に渡って放たれたプラズマが、無人機へと迫って装甲を掠める。

 一撃目は回避された。しかし、本命は二撃目で――ヒットした。

 

 機体の胴体部にかち当たり。

 無人機の装甲が一瞬にして蒸発した。

 大きな穴が空いて、手足と頭だけになったそれが地面に転がって砂埃を上げた。

 それを見ていた無人機たちはセンサーを点滅させながら動きを変える。

 連続ブーストによって私よりも先に行き、迎え撃とうとした。

 

 私はバーニアを噴かせて、地上を離れて上空に逃れる。

 そうして、一瞬だけ私を見失った敵の上空からマシンガンを連射した。

 ガリガリと敵の装甲を削り取り、手足を捥がれた無人機が火だるまになる。

 爆炎に包まれて、瞬く間に二機を撃墜した。

 残りは三機――ッ!!

 

 両側から敵が接近してきた。

 武装を切り替えて接近戦用のヒートブレードを持っている。

 激しく赤熱して空間を歪ませるそれが振りかぶられて迫ってきた。

 寸での所で回避して、マシンガンの銃口を無人機に向ける。

 

 

 ――瞬間、警報が聞こえて来た。

 

 

 背筋に悪寒が走り、私は咄嗟に上へと上昇した。

 すると、先ほどまで滞空していた場所に何か撃ち込まれる。

 それは空中で爆発して、爆風により離れていた私の機体まで振動が伝わって来た。

 見れば、地上から生き残った無人機が長大な砲身を構えていた。

 

 最初に見た時はあんな装備はしていなかった……戦況を見て戦い方を変えて来たのか?

 

 恐らくは、あの大きな武装は予め奴らが用意していたものだろう。

 威力と速度はかなりのものであり、少しでも反応が遅れて掠りでもしたら……危険だな。

 

 アレを野放しにはしていられない。

 先に潰しておこうかと考えて、私は一気に加速した。

 ぐんぐんと距離を詰めて接近して――何かが背中に当たる。

 

「ぐぅ!!」

 

 背中に当たったのは、無人機の内の一機で。

 ブレードを装甲に突き立てて攻撃してきた。

 ロストテクノロジー社製の機体だけあって、ただのヒートブレードでは大したダメージにならない。

 しかし、無人機はダメージを与えるのが目的じゃない。

 

 奴はブレードを刺して、機体にしがみつく。

 動きが鈍くなり、強制的に軌道を変えられた。

 上空へと機体が動いてゆっくりと上昇し――心の中で警鐘が鳴り響く。

 

「はな、れろッ!!」

 

 エネルギーを一気に噴射する。

 高濃度のエネルギーであり、スラスターから発せられる熱が背中についた虫を焼く。

 装甲が溶断されて、一気に加速した私の機体についていけず。

 張り付いた無人機が振り落とされた。

 そして、遅れて放たれた敵の砲弾をバーニアによる噴射で回避した。

 

 私は体勢を整えようとしている無人機に一気に近づく。

 そうして、マシンガンを奴のコアに押し付けながら。

 一気に地上へと加速していった。

 

「墜ちろッ!!」

 

 武装のトリガーを引いて弾を勢いよく放つ。

 ゼロ距離での射撃により、敵の装甲には大きな穴が空いていく。

 ガガガと耳に金属を穿つ音が連続して響き、敵の裂けた装甲から煙が出た。

 私は死に体のガラクタを盾にしながら、此方を狙う地上の無人機に接近していった。

 耳に残るほどに警報が鳴り響いていて、地上のメリウスのセンサーが青く輝く。

 

 

 まだだ、まだ、まだ、まだ――今ッ!!

 

 

 マシンガンの射撃を止めて、ガラクタに蹴りを放つ。

 無残に残骸が宙を舞う。

 その残骸事狙った敵の砲弾が発射されて、赤熱した砲弾がハッキリと見えた。

 その軌道を完璧に予測して、ギリギリで回避する。

 放たれた砲弾が残骸に当たり爆ぜて、閃光が迸った。

 敵の無人機は視界を一瞬だけ奪われた筈だ。

 センサーが反応できない隙をつき――地上に着地する。

 

 遅れて反応した。

 急いで武装をパージしたが――もう遅い。

 

 プラズマ砲を向けて放つ。

 激しいスパーク音を響かせながら、収束したそれが奴に当たる。

 その瞬間に辺り一帯に強い光が広がった。

 私は後方に移動しながら、ズクズクに溶けたガラクタを確認した。

 

 残り一機――ッ!?

 

 レーダーが敵を見失った。

 いや、そこにいる。

 己の勘で機体を動かして敵の射線から逃れた。

 すると、一瞬遅れ敵の砲弾が宙で爆ぜた。

 ビリビリと機体が揺れて、僅かに熱を感じた。

 見れば残り一機の無人機の様子が変化していた。

 

 装甲が展開されて、スラスターから赤黒いエネルギーが漏れ出している。

 これは結エネルギーであり……まさか、東源国の?

 

 情報は掴んでいた。

 クロウ・ハシマが天子に隠れて第三者から技術提供を受けていた事を。

 その相手が此処に来てようやく理解できた。

 相手はゴースト・ラインの親玉で、あの不気味な少女が関係してる。

 

 奴だ。奴しかいなかった。

 ロストテクノロジーにも無い技術を、ただの技術屋が生み出さる筈がない。

 何故、アイツはクロウ・ハシマと接触したのか。

 それを考えれば、すぐに”目的”には行きついた。

 

 あの少女の狙いは分かった。

 分かったが、受け入れられるものではない。

 狂っている。狂っているとしか言えない。

 愛する兄へと想いが、奴を狂わせたのか。

 分からないが、止めなければいけない。

 

 奴らの計画を野放しにすれば、更なる犠牲者が生まれる。

 破滅の未来で、”傀儡”を作り出してはいけない。

 最悪の未来を回避する為に、私が此処でッ!!

 

 マシンガンを向けて乱射する。

 そのマシンガンの弾道を予想して、奴は軽やかな動きで回避して見せた。

 

 他の無人機とは一味違う。

 動きが人間のそれではない。

 人を乗せていないからこそ出来る動きであり、私が放つ弾丸も紙一重で避けていた。

 まるで、踊るような動きであり、あの動きは……マサムネの……っ。

 

「何処まで、馬鹿にして――ッ!?」

 

 ブーストにより敵が一瞬で迫って来る。

 そうして、手にしたブレードを振り下ろしてきた。

 勢いよく振り下ろされたそれが肩に当たり、私は強い痛みを感じた。

 

「あああぁぁぁ!!!」

 

 熱い。熱い熱い熱い熱い――ッ!!

 

 まるで、熱した鉄を生身の体に押し付けられたような感覚。

 肩がざっくりと裂かれたように体が強い痛みを発していた。

 耐えられる筈も無く、声が漏れ出して私は叫んだ。

 しかし、まだだ。まだ奴と戦っていない。

 

 こんな所で、足踏みする訳には――いかないッ!!

 

 敵が私から離れていく。

 攻撃を当てた事で距離を取り、此方の体力を消耗させるのが狙いだろう。

 私はそう考えて、エネルギーを一気に噴射させた。

 スラスターやバーニアから高濃度のエネルギーを放ち。

 私は距離を離そうとした敵に迫る。

 

 凄まじい速度、普通であればこの加速度で発生するGに耐えられる筈がない。

 しかし、私は今、機体とシンクロしている。

 この機体が耐えられるだけのGであれば問題ない。

 

 ジグザグに動いで私のセンサーをかく乱しようとしている。

 しかし、私はそんな敵に食らいついて――此処だッ!!

 

 プラズマ砲を向ける。

 そうして、両肩のそれを勢いよく発射した。

 合計で四発のプラズマ弾が放たれて、奴はそれを回避しようとした。

 逃れて、逃れて、逃れて――機体の姿勢が乱れた。

 

 アレだけの動きで、アレだけのエネルギーを消耗するのだ。

 機体に掛る負荷は相当なもので、全てを演算する事によって誤差が生まれる。

 最後の一発が奴の機体に当たり、奴はバランスを大きく崩した。

 錐もみしながら必死になって姿勢を制御しようとして――

 

「くたばれッ!!」

《――》

 

 ゼロ距離に接近して、両手に持つマシンガンを一気に放った。

 ガリガリと敵の装甲を削り、奴が武装を落とした手を此方に向ける。

 まるで、命乞いでもするように手を伸ばしていて――私はキレた。

 

「彼はお前みたいに無様じゃないッ!!!」

 

 魂からの声であり、マシンガンの勢いが強まった気がした。

 銃口が火を噴き、残弾も気にしない勢いで弾が放たれる。

 そうして、情けない無人機はセンサーから光を消して沈黙した。

 私は奴を振り払い。ガラクタとなって地上に落ちていくそれを見届けた。

 

 ふざけている。馬鹿にしている。

 この程度で、私を殺すつもりだったのか――笑えない、冗談だね。

 

 マガジンを自動で排出する。

 そうして、腰に取り付けたそれを一気に差し込んだ。

 ガチャリと音がしてマガジンを取り換えて、準備は整った。

 地上へと戻り、着地して周囲一帯を索敵した。

 

 敵の反応は……いた。

 

 白銀の塔。

 その頂上から見下ろしている存在。

 機体のセンサーを使って見れば――奴がいた。

 

 赤黒い光を放つブレードを持っている深紅の機体。

 天使の名を授けられたその機体は、正に完成された機体だろう。

 奴のセンサーが光り、ブレードの切っ先を私へと向けて来る。

 

《我らの邪魔をするのなら、死んでもらう》

「……死ぬのは、お前だッ!!」

 

 エネルギーが渦を巻く。

 激しい熱を感じて、それが体全体を駆け巡っていった。

 赤い粒子が空を舞う。その輝きはまるで、私の命のように思えて――私は笑う。

 

 命を削って、最期まで戦う。

 後悔が生まれないように、死んで後悔しないように。

 この一瞬を、この時間を――全力で生きる。

 

 マシンガンを乱射しながら突っ込んで行く。

 奴は塔から舞い降りて、私の弾幕を縫うように近づいてくる。

 互いに接近して――装甲を掠めていった。

 

 奴のブレードを紙一重で回避したつもりだった。

 しかし、実際には胴体部の装甲を軽く削られた。

 まるで、バターを切り分けるようにあっさりと――私は声を張り上げる。

 

「シンクロ率を百パーセントに上げろッ!!」

《音声コマンド受信。シンクロ率を上げます》

「――ッ!!」

 

 音声によるコマンドを受託して、シンクロ率が底上げされた。

 心臓の鼓動が一気に早まり、全身に駆け巡る熱を更に強く感じた。

 熱い、熱い熱い熱い――でも、耐えられるッ!!

 

 この程度、どうって事は無い。

 奴に勝てるのなら、死神に命を渡したっていい。

 機体のパフォーマンスを上げながら、私は強く歯を食いしばった。

 

 これからだ。これからが本当の戦いだ。

 殺す、殺してみせる――勝つのは、私だッ!!

 

 強い意思。勝つ事を願いながら、空を舞う。

 ハイドの言葉を信じて、私は強く強く――勝利を渇望した。

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