全シリーズでそうだけど、OPとかコミュ解放時に明日花がいるのか考えるだけで楽しい。多分OPはイゴールさんの辺りで一瞬出てくる程度。
ふと思ったんですけど、明日花がいる世界線だとペルソナ4、5のどこらへんで出てくるんだろうか…下手すると死神ドクターの後輩か?
まぁ、それはそれとして。明日花のペルソナはサマエルでも魔弾の射手でもありません。当たり前ですけど。怪盗でもありません。盗むことよりも理不尽から抜け出すことに特化しているペルソナです。あと本文短いです。
聖杯が聖杯であるように。全身全霊聖杯でありたい。そんな感じでこんばんは、聖です。聖杯です聖杯はありますよろしくお願いします。
凄い光に包まれたと思ったら、ベッドに寝かせられていた。何を言っているのか分からないかもしれないけど、僕も何を言ってるのか分からない。分かっているのはここが法王の間ではなく、ホテルの別の一室であるということ。
「どこだろ、ここ……」
法王の大型シャドウ────ハイエロファント、だっけ。それを倒した後、残りの大型シャドウをどうにかしないといけいないと行動したところまでは覚えているんだけど……何だか熱が出た時みたいなフワフワした感覚をちょっとだけ感じている。熱中症かな? 水分補給だけじゃなくて、塩分補給と栄養補給も大事。
「聖杯さん、いる?」
『ああ』
あ、いた。まぁ、僕がいるところに聖杯さんはいるからいるのは当たり前なんだけど。……さてと。聖杯さんがいることも分かったところで、ここはどこなのか調べないと。ホテルの一室なのは分かるけど、法王の間からどれだけ離れている場所なのかが分からない。
ただ、ここにいるとダメなのは何となく分かる。よく分からないけど、ここは僕がいちゃいけない場所な気がするのだ。そう思った途端に、さっきまで感じていたフワフワした感覚が薄れていき────僕以外の人がいる気配を感じた。……これは、水の音?
『ほう? 中々に悪辣で……そして地雷を踏み抜いたな、あのシャドウは』
聖杯さんが何か言ったような気がしたけど、水の音の中に人の気配を感じ取った僕はもう警戒心が急上昇中だった。このホテルにいるのは多分、お兄ちゃんとお姉ちゃん達。それ以外の人がいたとしても、象徴化しているはずだから、この水の音を出しているのはお兄ちゃんかお姉ちゃんのどちらかのはず、なんだけど……
「風花お姉ちゃんに通信…………あれ?」
何か、電波繋がるのが早くない……? というか、通信機のコール音がこの部屋の近くで聞えているような……? いや、そんなはずはない。確かに風花お姉ちゃんはこのホテルの受付を拠点化させた状態で色々サポートしてくれているけれど……この場所にまで来ているはずがない。そもそも、この水の音、まさかとは思うけどシャワーか何か? 影時間中って水道もガスも止まるんじゃないの? なのに、水の音が聞こえて、風花お姉ちゃんとの通信を行うための機器が、僕が持っている物以外でこの近くにあるなんて、絶対おかしい。
そんな警戒と違和感を抱えていると、水の音が止まった。何が現れてもいいように、ペルソナをいつでも使えるように構えつつ、ナイフと銃を手に取る。罠……だとしたら、どうして僕の装備が全部残っているのかちょっと分からないけど。そう思いながら、さっきまで水の音が聞こえるかつ人の気配がした方向に視線を向ける。すると────
「……………………………………………………は?」
短く整えられたエメラルドグリーンの髪を湿らせて、バスタオル一枚を体に巻いた風花お姉ちゃんがいた。熱があるのか、熱っぽいとろんとした表情を浮かべている風花お姉ちゃんを見て、僕の思考がフリーズする。なんで? なんで風花お姉ちゃんがここにいて、シャワーを浴びた後に着替えもせずにこっちに来たの? いや、本当になんで? 風邪引いちゃうとか、そういうところは放っておいて、なんで?
『汝、今まさに快楽の扉の前にあり……』
僕が混乱していると、聖杯さんの声じゃない、気持ち悪い声が聞こえてきた。シャドウの声というのは、もしかしたらこれのことなのかもしれない。頭の中をぐちゃぐちゃに掻き混ぜられているような、気持ち悪さ。もっと気持ち悪いのは、心のどこかでこの声に身を委ねれば、気持ち良いものが待っていると思っている自分がいること。
そんなこと絶対ない。絶対にそんなことはない。この声に身を委ねた先で待っているのはきっと、僕が僕じゃなくなって、風花お姉ちゃんが傷付いてしまうようなこと。風花お姉ちゃんの心に一生残ってしまうような傷が付く、そんな確信がある。そんなことになったら僕はもう、立ち上がれない。立ち上がるどころか生きていることすらできなくなる気がしてならない。
本能的な勘に身を任せて目を閉じてからペルソナ発動のために意識を集中させる。それだけでは足りないような気がして、風花お姉ちゃんがいる方向から体を背ける。直後────僕の体に、風花お姉ちゃんの腕が絡みつく。怪盗服越しに、風花お姉ちゃんの体の感触が伝わってくる。全身に流れる血液が沸騰しているような感覚に襲われながらも、それを無視して魔弾の射手を呼び出すために意識を集中させる。
アガーテを呼び出せれば────いや、テウルギアを発動したせいなのか、呼び出せない気がする。ならばサマエルを呼ぼう。そしてこの状況にしたシャドウを倒してやる。
『快楽に身を委ね……貪れ……抗うことはない……受け入れよ……』
「いやだ」
シャドウの声が、僕の脳に直接言葉を刻んでくる。気持ち悪くて、邪悪に満ちている。ドロドロとした何かが体を支配しているような、そんな感じだ。
『それをお前も……その女も望んでいる……』
「いやだ」
風花お姉ちゃんのことを襲えと、そのシャドウは言う。一言一言が一々イラつく。ドロドロとした何かが僕の体を縛り付けている。
『なぜ抗う? 快楽に身を委ね、甘美な蜜を享受すればいい……』
「いやだ」
鎖が僕の体を雁字搦めにしている。風花お姉ちゃんの体もきっと、僕と同じような鎖で縛られているんだと思う。僕はそれが許せない。こんなものに縛られていることが、僕は絶対に許せない。
『さぁ……貪るがいい……欲望のままに、その肢体を────』
「うるさい!!! 僕が!! 風花お姉ちゃんを!! 傷付けるわけないだろ!!!!」
『その程度の甘言で、この男の意志を歪めることはできん。私が囁こうと、そうだったのだからな』
「奪えッッ!! サマエルッッッ!!!!」
青い炎と共に現れた仮面と鎖を一緒くたにして握り潰さんばかりに引き剥がす。呼び出したサマエルが僕にあれこれと囁きかけていた声の主に噛み付いたところで、この部屋自体が幻覚だったのか────法王の間に僕は立っていた。もう目を開けても大丈夫……ではないけれど。
「あ、あれ……? 私、なに、をし……て────? ~~~~~ッ!!??」
「ごめん風花お姉ちゃん! いきなりで悪いんだけどすぐに服着て! 話とかお叱りはあとで聞くから!!」
僕に囁きかけていた大型シャドウ────多分タロットの恋人────の首にサマエルが噛みついている。心なしか、いつも以上に力強く噛みついている気がする。
『貴様の怒りに反応しているのだ。怒りが理不尽に抗う力となることもある』
なるほど。……うん、僕は怒っている。間違いなく、あのシャドウに対して怒っている。風花お姉ちゃんが傷付きかねないことをしでかしてくれたのだから、当たり前だ。というわけで、あのシャドウをボコボコにしてやろう。
「メギドラ」
サマエルの口から放たれる蒼白い光が大型シャドウを焼く。藻掻く大型シャドウだが、サマエルの拘束から抜け出せる気配はなく、僕は容赦なく精神力の限界までメギドラを撃ち続ける。同時に銃の引き金を引いて弾丸も吐き出していく。……あ、なんか出力上がった。ということは。
「許さない……絶対に……!」
やっぱり風花お姉ちゃんが服を着てテウルギアを発動してくれていた。うーん、風花お姉ちゃんのペルソナって戦う力が無い代わりにサポート系が充実していて、凄く安心感がある。そして……うん、案の定怒ってる。当たり前だよね。
「あんなの絶対ダメなのに……!」
「うーん……やっぱりメギドラ!!」
『まぁ、万能属性だからな。怒りのままに消し飛ばすがいい』
精神力が尽きる限界ギリギリまでメギドラを撃ちまくる。法王の間が粉々にならないか心配だったけど、そんなことはなさそうだ。
『ふむ……このシャドウのリソースを得たら、別のペルソナでも用意してやろう。そうだな……魔法、貫通、支援……次は斬撃のペルソナでも用意するか』
聖杯さんの声を耳にしながら、僕は大型シャドウを叩き潰すべく攻撃を続ける。お兄ちゃんとお姉ちゃんが来ないけど、この調子なら僕と風花お姉ちゃんだけで倒せてしまえそうだ。精神攻撃がメインであって、直接的な戦闘はあまり得意じゃないのかな?
『──────────!!!!』
そんなことを考えている間に、大型シャドウがメギドラの連打に耐えられずに消滅した。案の定、黒い靄が発生して、サマエルがその靄を吸い込んでから消える。…………何だろう、今までの大型シャドウ戦で一番疲れた気がする。
この後めっちゃ気まずくなった。