あとこの世界線のペルソナ3プレイヤーの皆さんはどう見ているのだろう明日花のこと。4、5と出勤して過労死組筆頭とされるのだろうか…
それはそうと今回も短いです。
ジメジメした暑さが過ぎ去り、カラッとした暑さがやってきた夏の日。熱中症対策をしないと大変なことになりそうな今日この頃。そんな暑さの中でも聖杯はありますよろしくお願いします。どこにいてもきっと聖杯です聖杯はありますよろしくお願いします。暑中見舞いでスイカをベルベットルームに持っていったらメロンを貰ってしまった聖です。
発熱が収まってから二日後。月曜日の夜、リハビリがてらコーヒーを淹れていると、お風呂から上がってきた真田お兄ちゃんと伊織お兄ちゃんがラウンジにやってきた。風呂掃除は……終わってるみたいだ。案外掃除とかしっかりやってくれるんだよね、お兄ちゃん達も。
「いい香りだな。だが、少し香りが濃くないか?」
「アイスコーヒー用にちょっと濃い目に淹れてるんだよ」
「コーヒーかぁ……缶コーヒーとかはよく飲むけど、喫茶店とかのはあんま飲まねぇな」
近所にシャガールがあるんだし、飲みにいけばいいのに。まぁ、シャガールのコーヒーって少し高いから手が出しにくいかもだけど。
そんなことを考えつつ、淹れたてのコーヒーを氷が入った細長いグラスに注いでいく。カクテルグラスって言うんだっけ、こういうグラス。カクテルかぁ……なんか大人っぽいよね。まぁ、それはともかく、ラウンジに集まった人の分アイスコーヒーをグラスに注いだ僕は、トレイに乗せて全員に配っていく。
「あ、ガムシロップとミルクは自分で入れてね」
「ありがとう。……む、苦い……」
「ブラックコーヒーだしね」
「ふむ……これは中々」
汐見お姉ちゃんがガムシロップを二つ投下している横で、ブラックのまま口にした桐条お姉ちゃんが小さく笑う。桐条お姉ちゃんって舌が肥えているから大丈夫かなって思たけどちょっと安心。
「シャガールのコーヒーとは違うな。どこで豆を?」
「ルブランって喫茶店。通ってたら豆も買えるようになったんだ」
マスターの佐倉さん、凄くダンディでカッコいい大人って感じがするんだよね。ああいう人がモテるんだろうなぁって思う。モテたいとかはないけど、カッコいい大人というのは凄く憧れる。コーヒーとカレーを食べるだけで満足感が凄まじい。もちろんシャガールのコーヒーも好き。ベルベットルームの人達に頼まれていたコーヒーを持っていったら、お駄賃とペルソナにスキルを付与するお札を貰った。核熱ブースタだって。現状はサマエルにしか使えない。でもサマエルは万能属性が一番強いんだ……万能属性が本当に万能過ぎて困る。
ただ、メギドラ一辺倒というのも良くないので、魔弾の射手とか、聖杯さんが用意してくれている新しいペルソナも育てていかないと。マックス、アガーテ、ザミエル……今のところマックスとアガーテしか出てきていないけど、ザミエルの魔法特化ってどんな感じなんだろ。……っと、そういえば。
「夏休みの予定って、何を書けばいいのかな」
僕の呟きに対してすぐ反応したのは、伊織お兄ちゃんだった。
「あー、中等部はそういうのがあんのか」
「うん。ほら、僕達の場合はタルタロス行ったりするでしょ? あれこれ予定を組むのもなぁって」
「なるほどなぁ……映画とかどうよ。ほら、夏にやんだろ? フェザーマンとか、仮面ライダーとかさ」
「それだ!」
あとポケモンとかも来るし、映画ありかも。お昼までに見れるものが多いし、予定表に書き込むのはありかもしれない。特撮、アニメの映画だけではなく、他の映画も面白そうなのがあるかもしれないし、調べてみようかな。
「そういえば、今年は雨が全然降らないって天気予報で言ってたし、どこか行ってみたいな」
少しだけ空気が軽くなったところで、汐見お姉ちゃんが口を開いた。あれ、コーヒーがもうなくなってる。まさか一気に飲んだの?
「例えば?」
「うーん……海とか?」
「海! いいじゃん!」
伊織お兄ちゃんが汐見お姉ちゃんの発言に食いついて、大げさな動きを見せて笑う。こういうムードメーカーみたいなところがあるのも、伊織お兄ちゃんのいいところだよね。ギリシャ神話のヘルメスもこういうところがあったのかな。
「気晴らしにどっか海とか行きてぇ! なんかこう、南の方のめっちゃ透き通ってるっぽいとこ!」
「透き通ってるところと言えば……沖縄とか?」
テレビとかで見ると、凄く透き通っている明るい青とか、エメラルドグリーンなイメージがある。沖縄の海と、北の方の海……全然違うんだろうなぁ。
「沖縄じゃないけど、屋久島って選択肢ならありかもしれないよ」
「理事長、いらしてたんですか」
こんな暑い中でも汗一つかかずにスーツをしっかり着込んでいる幾月理事長が、いつの間にか玄関に立っていた。先日みたいな歪んだ声は聞こえてこないけど、ちょっと警戒心が強まってしまった。苦手と警戒、滲んでなきゃいいのだけれど。
「来週の予定をちょっと知らせにね。桐条君、お父上は今年の休暇を屋久島で取られるつもりらしい」
「そう、ですか」
「だから、どうだろう? ここらで気分転換がてら屋久島旅行っていうのは」
桐条お姉ちゃん、もしかしてお父さんと上手くいってないのかな? 厳しい人な気がするし、色々あるのかも? 桐条お姉ちゃんと桐条お姉ちゃんのお父さんの話は置いておいて、屋久島かぁ……屋久島と言えば────
「縄文杉だっけ。二千年とか七千年とか生きてる杉」
「凄まじい生命力だな……そもそも杉はそこまで生きるものなのか?」
「確か長くても五百年とかそこらだったはずだよ。自由研究で調べた」
聖杯さんや風花お姉ちゃんの協力の下、樹木の寿命とか特徴を調べた自由研究。退屈過ぎて発表した時、クラスの殆どが寝ていたのが印象的だった。やっぱり妖怪とか、神話の神様とかの方がよかったかなぁ。
「旅行っすか!?」
「しかし、お父様もお忙しい方ですし、せっかくの休暇を掻き回すのは……」
(迷惑になるかなぁ?)
『さてな』
桐条お姉ちゃんって確か一人っ子って言ってたし、思春期とかそういう時期に娘さんが顔を見せに来るって、父親としては嬉しいことじゃないのかな? 僕は男だからよく分からないけど。
「珍しく弱気だね、桐条君。ご息女が顔を見せに来るというのに、お父上は迷惑がると? そうは思えないけどね」
「……」
桐条お姉ちゃんが優柔不断になっているところに畳みかける幾月理事長。セールストークとかって、こんな感じで畳みかけるのかな? ちょっと違うかな? 何にせよ、桐条お姉ちゃんが迷っているところに差し込んでいくやり方は上手い……のかもしれない。
「先輩! お願いしやっす!」
「分かった、分かった……気分転換は必須事項のようだ。行こうじゃないか」
伊織お兄ちゃんのお願いに苦笑しながら折れた桐条お姉ちゃんは、アイスコーヒーを一口飲んで屋久島行きを了承した。
「よっしゃあ!」
「あ、それじゃ水着とか買わないと……」
水着。授業用のものしか持ってないし、僕も買わなきゃいけないや。屋久島旅行、楽しみだ。両親に連れられてお爺ちゃんとお婆ちゃんの家に遊びに行くのとは違って、家族でもない寮の皆でどこかに行くというのは、何か特別なものを感じる。
(あ、お土産どうしよう? ベルベットルームの人達の分も買わなきゃだよね?)
『それは汐見琴音がやるだろう』
(それはそれ、これはこれ。でしょ? お世話になってるんだし)
『貴様がそうしたいのであれば、そうするがいい』
じゃあそうしよう。最近、なぜかペルソナを同時に二体出すようになってきたカロリーヌとジュスティーヌ、背後から突然魔法を撃ってくるマーガレットさん、それを変わらない笑みで見ているイゴールさんには聞けるけど……歌を歌ってる人と、ピアノを弾いてる人はどうしようかな……ピアノ弾いてる人、見えないけど。
「その前に期末試験があることも忘れるなよ」
「う゛……そこは浮かれさせてくださいよ桐条先輩……」
「コツコツやっとけば苦労しないのにね、全く……」
伊織お兄ちゃんの落ち込み具合に対して、岳羽お姉ちゃんはちょっと辛辣な目を向ける。実際、勉強はコツコツやっていれば問題ない。初見殺しみたいなテストは月光館学園で出たことが────あったりするかもしれないけど、今のところ僕は見たことがない。
「あ、コロマルにも声かけておかないと。住職さんにも」
『入院しているが、住職が飼い主だったな』
六月のある日のこと。影時間の中一人でうろついていた時、僕は神社に現れたシャドウを倒した。ただ、シャドウの攻撃の余波が象徴化していた住職のお爺さんに当たってしまい、怪我をしてしまったのだ。すぐにアガーテで応急処置をしたお蔭で一命は取り留めたけど、当面の間入院することになるみたいで、コロマルは地域の人達が交代で世話をすることになったらしい。……コロマル、と言えば。
(コロマル、影時間でも動いてたよね)
『そうだな。あの犬もまた、素養があるのだろう』
(動物でもペルソナ使いになれるんだね)
『意志があれば、どんなものであってもペルソナを生み出せるだろうな。例えば、心を持った機械……であったとしてもな』
ロボットでもペルソナを生み出せる……あの黒い靄を吸い込んだ時に見た機械人形の三人も、もしかしたらペルソナ使いなのかな?
実際、桐条先輩のお父様、顔見せに来るって聞いた時、側近とか下がらせて喜んでそうって思うの自分だけだろうか。