聖杯さんによる、聖杯さんのナビゲーションアーリーアクセス版────イセカイナビというらしい────を用いたシャドウ探知によって発見したシャドウがいたのは、ポロニアンモールの中にあるナイトクラブの一つ、クラブ・エスカペイドだった。
ナイトクラブという場所がどういうものかはよく知らないけど、夜遅くまで楽しそうな人たちの声が聞こえてくるのは知っている。あそこって朝は閉まっているけど、店員さんも朝に寝て、夜に起きてっていう昼夜逆転の生活をしているのかな? 江戸川先生が言うには、昼に活動する生き物として人間は生きているらしいけど、逆転したら健康的にはどうなるんだろう?
『精神的にも、肉体的にも健康状態に影響があるだろうな』
(あれ……? そうなると、僕達はどうなるの? 影時間で結構活動してるよね?)
『それをどうにかするのもまた更生だ。生活習慣とは普段の生活を正すことから始まる』
そもそも影時間は人間の体にとって無かったことになる時間だから、本来であれば疲れが残るってことはないって言われているけど、ペルソナ使いである僕達にはその常識が通用しない。影時間が存在しているのを知っていて、そこで活動しているせい……だと思う。皆慣れて今では疲れがあまり溜まっていないようではあるけど。
「ここ、夜だと凄い賑やかだけど……本当にここにシャドウが?」
「反応がここにあるというのなら、間違いないのだろう。だが……そうなってくると戦い方を考えなくてはいけないな」
「? …………あっ! そっか、人が……」
桐条お姉ちゃんが言う通り、ここの場所にシャドウがいるのなら、人がいてもおかしくはない。いつも夜になると賑わっているのだから、ここに来ているたくさんのお客さんが象徴化して棺桶になっている可能性が凄く高いのだ。いつものように威力が高くて派手な技を使って戦うと、その余波が周囲の象徴化した人達に影響を及ぼしてしまうかも。
「となりゃ、色々制限があるな……」
「シャドウの根城になっているのであれば、ある程度の無茶は利くだろうが、注意しておこう」
真田お兄ちゃんの言葉に皆が頷き、シャドウの根城となっているクラブ・エスカペイドのドアを開ける。
「象徴化した人間の反応、ありません。本日は恐らく定休日だったのだろうと推測するであります」
「よかった……それで、シャドウはどこ────」
『上です! 皆さん、避けてください!!』
「フェルグス!!」
汐見お姉ちゃんがシャドウを探して周囲を見回していると、風花お姉ちゃんの声が若干のノイズと共に聞こえてきた。普段とは違って、聖杯さんの力を使ったせいもあるんだろうけど……どうにもおかしい。風花お姉ちゃんのペルソナであるルキアを使った通信にノイズが走るなんて、と思いつつ天井から降り注いだ雷と槍に対してペルソナで対抗する。
「ぎ……!?」
僕が使えるペルソナの中でも耐久力に自信あり────手加減している状態のカロリーヌとジュスティーヌの攻撃も数発は耐えることができるフェルグスを召喚してどうにか防いだけど、凄い威力と量だったせいで何発かフェルグスの体に槍が突き刺さってしまった。ペルソナがダメージを受けると、そのダメージがペルソナ使いにも伝わってくるというのは毎度のことながら慣れない。
「聖!?」
「大、丈夫っ! それより皆無事!?」
「問題なし! 聖君は一旦回復! というかこの感じもしかして────風花! シャドウの反応は!?」
『嘘……!? 確認取れました! そこにいるのは満月に出現する大型シャドウだけじゃありません!! もう一体は────』
どぅん、と天井から降ってきたシャドウの姿は二つ。一体は電線と繋がっているのか、ドクン、ドクンと血管のように脈動する線が全身から伸びているちょっとどころか凄く気持ち悪い姿のシャドウ。多分だけど、こいつが満月に出現する大型シャドウだと思う。こいつは多分、大丈夫。倒せるような気がする。けど、もう一体の方が問題だ。
『もう一体のシャドウは、あの時タルタロスで現れたシャドウと同じ反応です!!』
もう一体はボロボロのずた袋で顔どころか頭全体を覆い隠した、ボロボロのローブを纏ったシャドウ。タルタロスに長くいると出てくる刈り取る者に似ているけど、こいつは違う。持っている武器が銃ではなく、槍だ。ボロボロだけど、当たったら間違いなく不味いって分かる槍を握っている。
『試練が来たか。ベルベットルームの住人がその予兆を見逃すはずはないが……なるほど』
(何を納得したの?)
『聖、これは貴様への試練だ。連中が何も言わないのは予告がなくとも、試練を乗り越えてみせろということだろう』
「全員散会!!」
聖杯さんが言ったことを噛み砕こうとしている中、汐見お姉ちゃんの号令で体が動く。何度も体に染み込ませてきたせいなのだろうけど、無意識に体が動くっていうのはちょっと不思議な感じがする。
そんなことを考えつつ自分が今までいた場所を飛び退くと、その場所にずた袋を被ったシャドウが槍を突き立てた。あそこにいたら間違いなく串刺しになっていた。国語の教科書に載っていた秋の季語だという百舌鳥の早贄みたいになっていたかも────って、そんなこと考えてる場合じゃないや。あの槍を持っているやつが僕の試練なら、このまま戦うと皆を巻き込んでしまう。
(聖杯さん、あのずた袋、もしかして僕だけ狙ってる?)
『そのようだな。やつらに見向きもせず、こちらを見ている。現に他の者には雷が降ったが、貴様には雷と槍が降った』
(よし、ならいけるよね?)
『────なるほどな。可能だろう』
よし、聖杯さんのお墨付きをもらった。となれば早速実行しよう。
「引っ張り出すよ、フェルグス!」
再びフェルグスを召喚して、槍持ちシャドウと鍔迫り合い状態に持ち込んでクラブ・エスカペイドの外に引きずり出す。扉が壊れちゃったのは申し訳ないけど、緊急事態だから許してほしい。許されないとは思うけど。
『明日花君!? 何を……!?』
「よく分からないけど、槍持ってるやつは僕が狙いみたいだから! こいつの相手は僕が!!」
「一人でやるってのか!? 無茶だぜそんなの!!」
伊織お兄ちゃんが皆の気持ちを代弁するように叫ぶ。でも、これが一番手っ取り早いし、皆を巻き込まない方法のはずだから、こうする。
「大丈夫! 心配なら、そっちをさっさと片付けて手伝って!!」
そう言いつつ、引きずり出した槍持ちシャドウをポロニアン・モールから追い出すように押し出していく。外でやった方が被害が少ない状態にできるはずだ。そもそも、僕のペルソナ自体が威力が高い技だったり、範囲が大きい技ばっかり持っているから狭い所で戦うのが苦手なのだ。
さて、どうしようかな……大丈夫って言ったはいいけど、このシャドウ相手に大丈夫って断言できるくらいの実力があるって自身があるわけでもないんだよね。
「ううん……まぁ、やるしかないんだけどさ」
「だろうな。無茶しやがるぜ……」
「ぅえ!?」
ポロニアン・モールを出たところにある広場で槍持ちシャドウと睨み合っていると、僕の隣に大きな斧を担いだ大柄な男の人────荒垣お兄ちゃんが立っていた。少し息が上がっているのを見るに、僕に追いつくために走ってきたらしい。
「なんでいるの!? 大型シャドウは!?」
「俺のペルソナも閉所じゃ危なっかしいからな。外に出るってんなら、俺も好きにやれる」
「そして……! その、監視として……僕達が来ました……!」
「ワンッ!!」
「天田君とコロマルまで!?」
皆がこっちに来たら、槍持ちシャドウを引き剥がした意味がなくなってしまうんだけど!? 確かに手伝って、とは言ったけど、それは大型シャドウを倒した後に余裕があったら手伝いに来てという意味で言ったんだけどなぁ!?
「そもそも頭数があんだけ揃ってんだ。戦力を分散しても問題はねぇ」
「さすがに山岸先輩の支援は難しいですけど、一応モニタリングはしてもらっています」
「そんでもって、山岸から聖を見とけって指示を受けてな。どうせ無茶するだろうからってな」
「ワフ……」
変な所で信用されてるな、と言わんばかりに呆れた感情を滲ませた鳴き声を発するコロマルと、今の状況でなければ拳骨を叩き込んできそうな空気を纏っている荒垣お兄ちゃん。そして自分は公平にジャッジしますよって表情をしつつ、何やってんですかって空気を纏っている天田君。ううん、味方なのに味方がいない。
「聖さんが倒れたらシャドウがまたクラブに侵入して面倒になるでしょう。だったら戦力を分散させて各個撃破の方が勝率が高いです」
「どういうわけか、あのシャドウはお前だけを狙ってるらしいからな。舐められたもんだ」
多分僕に与えられる試練だから僕を標的にしているってだけなんだと思うんだけどなぁ……舐めてるとか、そういうのは抜きにして。そもそもシャドウってそういう侮るって感情は────ある、のかな? 負の感情の発露とか、欲望の塊みたいなものだって聖杯さんが言ってたし。
「とにかくやるぞ、聖。難敵だろうが、リハビリにゃあ丁度いい」
「サポートは僕とコロマルに任せてください」
「ワンッ!!」
ああ、もう。僕がこの槍持ちシャドウを引きずり出した意味が半分くらいなくなっちゃったよ。信用されてないってことではないんだろうけど、僕の頭の中で考えてた作戦が全部パーになったのはちょっとだけ悲しい。……でも、一人で戦うよりもずっと心強いや。
『貴様単騎での勝率は2割だったが、現在の勝率は4割と言ったところか。分が悪い賭けにはならんな』
「よし、もうこうなったら倒し切る! やるよ、皆!!」
「はい!!」
「ワォンッ!!」
「ああ……」
まず最初に動いたのは天田君。手に持っているのは、皆と同じ銃の形をした召喚器だ。
「皆を守るんだ……! 力を貸せ、ネメシス!!」
召喚器でこめかみを撃ち抜いた瞬間、天田君の背後に電動のこぎりみたいな刃を纏った黒いペルソナが現れる。あれが天田君のペルソナ、ネメシスだ。ギリシャ神話では復讐を司る神様であり、光属性を得意としているペルソナが僕達に力を与えてくれる。
「テトラカーン!」
僕の頭上から降り注ぐ光。物理攻撃を一回だけ反射してくれるテトラカーンが、槍持ちシャドウから狙われ続けている僕に一時的な盾となった。もしかして、僕は凌ぐことに集中した方がいい感じなのかな? 物理耐性を持っているってこともあって、物理に一番強いフェルグスを召喚しながら。でもこれは僕への試練なんだから、僕もできることをしないと。
「フェルグ────?」
ペルソナを召喚しようとした時、隣に立っていた荒垣お兄ちゃんの様子がちょっとおかしいことに気付く。手にしていた斧を下段に構えた状態で召喚器を握っていたはずなのに、頭が痛いのか帽子と髪がぐちゃぐちゃになるくらい力を込めて頭を押さえていた。
「ぐっ……うぅぐ……!!」
「荒垣お兄ちゃん?」
「聖さん! 攻撃来てます!」
「! フェルグス!!」
フェルグスを呼び出して、槍持ちシャドウの攻撃を受け止める。幸い物理攻撃なので、天田君がかけてくれたテトラカーンのお蔭で攻撃を無効化できたけど……衝撃までは相殺しきれなかった。ペルソナ越しではあるけど、凄い威力だ……!
でもいきなりどうしたんだろう、荒垣お兄ちゃん。さっきまで元気だったのに、今の荒垣お兄ちゃんは凄く苦しそうだ。……まさかペルソナの暴走? でも、嫌な気配がするってわけでもないし、荒垣お兄ちゃんの目は普通に理性を感じる。ペルソナの暴走ってもっとこう……制御が効かないような状態になるような気がする。違ったらちょっとヤバいけど────
『ようやく向き合う気になったか……?』
「んえ?」
聖杯さんの声じゃない。ちょっと怖いけど、優しい気がする声……荒垣お兄ちゃんみたいな声が、どこからともなく聞こえてくる。
『そうだ……貴様の罪は死などでは贖えん……』
「ぎっ……!? ガァッ……アアアアッ……!!?」
『力が要るんだろう? ならば契約だ……』
声が聞える。理不尽を許さないという強い意志が込められた魂の叫び声が聞こえてくる。……ああ、これは、僕も経験したことがある。聖杯さんと初めて契約をした時の、聖杯さんのあの声。
『死の救済などあり得ない。生きて、生きて、生き続け、生き恥を晒し続けることこそが、貴様の清算……貴様の中のもう一人の貴様が、そう望んでいる……』
『ほう……? そうか。そうなる可能性もあったというわけか……』
聖杯さんや、どこからか────いや、荒垣お兄ちゃんの中から聞こえてくる声を聞きながら、天田君とコロマルの援護を受けて槍持ちシャドウの攻撃を凌ぎ続ける。早くて攻撃を挟む余裕がない。でも……荒垣お兄ちゃんが加わるのなら……!!
『我は汝、汝は我……!』
『神話の偶像などではない。覚悟して掲げろ!! これより、侵略の十字こそが貴様の力だ!!』
「ごちゃごちゃと……わけの分からねえこと言いやがって……」
頭を押さえてうずくまっていた荒垣お兄ちゃんがゆっくりと、力強く立ち上がって顔を上げる。その顔にはライオンと甲冑を混ぜ合わせたような、赤と黒の仮面が張り付いている。
「俺は戻ってきた……ああそうさ。足掻きに足掻いてやるよ……! だから、てめえも────!!」
ベリッ、ベリッ、と荒垣お兄ちゃんの顔に張り付いていた仮面が剥がれていく。皮膚ごと裂けているのか、真っ赤な血を噴き出しながら、荒垣お兄ちゃんは張り付いていた仮面を引っぺがした。
「力を貸しやがれ!! リチャードッッ!!」
仮面から青い炎が溢れ出し、荒垣お兄ちゃんの全身を覆い尽くしながらその姿を形成していく。現れたのは、ライオンのような獣の左腕は剥き出しになっているものの、赤と白の────十字の装飾が施された鎧で全身を包み込んだ騎士。右手には無骨で無駄な装飾が一切施されていない大剣を握っている、荒垣お兄ちゃんから聞いていたカストールの姿とは全く違うペルソナが荒垣お兄ちゃんの背後から現れた。
「悪いなお前ら。ようやく参加だ……」
「遅いですよ荒垣さん!!」
「ワンッ! ワンッ!」
荒垣お兄ちゃんの服装は────僕と比べると全然変わっていないけど、所々刺々しい鎧が纏わりついている。もしかして仮面を剥がす叛逆系のペルソナって、全部服装が変わっちゃうの?
「まぁでも、これで……反撃できるかな?」
「やらなきゃ死ぬ。それだけだろ」
「いやまあ、そうなんだけどさ!」
なんかちょっとだけ荒垣お兄ちゃんの気分が上がっているのか、声のトーンがちょっとだけ高い気がする。
「とりあえず行くよ!! 奪えッ、フェルグス!!」
槍持ちシャドウ目掛けて大剣を振り下ろしたフェルグスに対し、槍持ちシャドウはもちろん防御を選択。そこに天田君の支援を受けたコロマルのペルソナであるケルベロスが斬り込む。ただ、相手は火属性に耐性があるのか、ケルベロスの炎を喰らってもそこまで堪えた様子はない。
「行け、リチャード……! デスバウンド!!」
コロマルが放った炎を切り裂くように突撃していった騎士型のペルソナ────リチャードが大剣とライオンのような剛腕を用いた猛々しい攻撃を槍持ちシャドウに叩き込む。凄い力を持っているらしい槍持ちシャドウであっても、その攻撃は効いたのか大きく仰け反った。
「オオオオオオオオッ!!」
「────────―!!?」
リチャードと荒垣お兄ちゃんの猛攻は止まらない。槍持ちシャドウも抵抗はしているけど、僕のフェルグスの攻撃を凌ぎつつ、リチャードと一緒に暴れ回る荒垣お兄ちゃんに対応するのは凄く厳しいようだ。リチャードの火力にもびっくりだけど、それ以上に荒垣お兄ちゃんの力が凄い。聖杯さんから叛逆系のペルソナの衣装には力を引き出す力があるとは聞いていたけど、僕より凄いことになってない?
「すっご……! あれが荒垣さんの力……! 負けてられない。行くよ、コロマル!!」
「ワンッ!!」
荒垣お兄ちゃんの猛攻で怯んだ槍持ちシャドウに、光の槍や闇の衝撃波を叩き込む天田君とコロマル。いくら頑丈な相手で、一回一回のダメージが低かったとしても、何十回、何百回と大量の攻撃を浴びせられてしまえばダメージが蓄積されていく。その限界は、意外と早くやってきた。
「オラァッ!!」
荒垣お兄ちゃんの一撃が顔面にクリーンヒットして、槍持ちシャドウの体勢が崩れた。まるで断頭台の上に立つ罪人のようにガクリと頭を降ろして膝を付いている槍持ちシャドウを倒すなら、ここが一番いいタイミングのはず……!!
「決めろ、聖!!」
「うん!! サマエル!!」
ペルソナを切り替え、サマエルを呼び出す。
「これで、決める……!!」
サマエルの口から蒼白い閃光が空に放たれ、槍持ちシャドウを照らすように光が落ちてくる。これは僕がまだまだ未熟っていうこともあって、まだ一発しか使えないけど、カロリーヌとジュスティーヌから唯一褒められた、サマエルに新しく用意された技……!!
「メギドラオン!!」
メギドラ以上の蒼白い閃光が槍持ちシャドウを包み込む。一瞬視界が真っ白になって、音が消えたと思う程の轟音と衝撃で吹き飛ばされそうになるのをどうにか耐えつつ、蒼白い閃光が消える頃。凄い禍々しい気配を放っていた槍持ちシャドウが消えているのを確認した。
「……終わった……?」
「みたい、ですね……」
「わふ……」
終わった、ということに気が緩んで、思わず地面に座り込んでしまう。まだ大型シャドウが残っているかもしれないのに、気が緩んだせいで立つのにちょっと時間を使いそうなくらいどっと疲れがやってきている。
(ところで聖杯さん)
『どうした』
(試練超えたのに、なんだか嫌な予感がするんだけど、どうしてかな?)
『現実から目を背けるな』
呆れた聖杯さんの声が聞えたその時である。
『明日花君……?』
「……ぴぃ」
凄く怒っているであろう風花お姉ちゃんの声が聞えてきた。大型シャドウは……風花お姉ちゃんの通信が来てるってことは終わったんだろうけど、僕の試練はまだ終わっていないらしい。あ、ヤバい。震えが来た。
『私、前に約束した気がするんだけど……忘れちゃった?』
「えっと……無茶の範疇に入ってな────」
『明日花君』
「はい」
ダメだぁ……風花お姉ちゃんには勝てないぃ……どれだけ試練を乗り越えたり、強いシャドウを倒せるようになったり、ベルベットルームの人達とまともに戦えるようになったとしても、風花お姉ちゃんに勝てる未来が見えない。
『尻に敷かれているな』
(ぐうの音も出ない……)
『とりあえず帰ってきたらお話しようね』
「……はい」
影時間の活動よりも、怒った風花お姉ちゃんとお話する方が怖い。
というわけでカストールからリチャードへと相成りました。サイコロの女神万歳