ある日、不二子がルパンにお願いしていた。
「ローマにあるピラミッドが見たいの。明日、一緒に行こうルパン。」
「いいよ、いいよ~!不二子ちゃんとならどこでも~!」
「なんか心配になってきます。」
不二子にメロメロのルパンを見ている時行。そこに電話が鳴った。時行は電話をルパンに渡す。次元からのようだ。
『ルパン。明日の仕事忘れてないだろうな?』
「も、もちろん!忘れてないよ!」
「あの、不二子さん。明日って…」
『おいルパン。そこに不二子いるのか。』
時行の発言を聞いた次元が聞く。ルパンは慌てて誤魔化すも聞いていない。
『明日、絶対来い。いいな。』
「待って次元!明後日に変更しない!?」
電話が切れた。ルパンはから笑いして不二子を見る。不二子は不貞腐れた顔でルパンを見た。
「…ということなんですけど。」
「いいんじゃない?行ってくれば。」
「不二子ちゃん!」
「その代わり、時行君は借りるわよ。」
不二子が時行の肩を掴んで話す。時行が驚く。ルパンも驚く。
「不二子ちゃん?それは…」
「だってルパンが来ないから時行君だけでも一緒じゃないと。」
「何企んでるの不二子ちゃん?」
「あなたが来たら教えてあ•げ•る。」
ルパンが目を♡にさせる。そこにまた電話が鳴った。ルパンが出る。
『明日、絶対に来い。』
「あ、あはははは…」
翌日、不二子は時行を連れてローマに来ていた。時行の前にはピラミッドがある。もちろん、ピラミッドなんて初めて見る時行は驚いていた。
「どう?昔の人も凄いでしょ。」
「はい。昔見た仁徳天皇陵といい勝負ですね。」
「あなた、たまに南北朝の人間ってところをサラッと言うわよね。」
不二子は時行と一緒に観光客に紛れている。どこからどう見ても日本人親子の観光客だ。ツアーガイドがピラミッドの説明をしていた。
「こちらがローマに現存するピラミッド。通称ガイウス・ケスティウスのピラミッドでございます。」
ツアーガイドの説明によると紀元前18年から12年の間に建造されたもので、古代ローマの政務官などを務めたガイウス・ケスティウス・エプロの墓である。ローマにはこのようなピラミッドが4つ建造されていたが現存するのはこのガイウス・ケスティウスのピラミッドだけらしい。
「不二子さん。ここにどんな用事があるのですか?」
「それはまだ秘密よ。」
不二子はキョロキョロ見回している。すると、ピラミッドを調べている人達を見つけた。不二子はクスッと笑うと時行にコソコソ話しかけた。
「時行君、あの人達のとこらに行ってくれないかしら?」
「行ってどうするのですか?」
「近くで見ているだけでいいわ。」
時行は頷くと調査員のところに行った。時行がピラミッドを見上げている。それに気付いた調査員の1人が時行に声をかけた。
「坊主、ここは立ち入り禁止だ。」
「え、あ…」
どうすればいいか分からずあたふたする時行。そこに不二子が来た。
「も~。目を離すとすぐどっか行っちゃうんだから。」
「お母さん?」
「ええ。ここには観光で。」
不二子は調査員と会話している。そこに責任者と思われる男性がやって来た。
「カリウス!その2人は?」
「隊長!ここに迷ってしまった子供と母親です。」
「ごめんなさい。」
不二子は隊長と会話した。すると、隊長は微笑んだ。
「今回は特別だぞ。」
隊長がピラミッドの内部を案内してくれた。中は地下へと続く一本道だった。時行達が奥へと進む。それを見ている怪しい人影に気付くことなく。
「大昔にこんな物があったなんて。」
「これが建造された時代のローマではエジプトブームなんてものが起きてましてね。それに倣って自身の墓をエジプトのピラミッドにしようとする権力者が出てきたんですよ。実際に出来たのは本の一握りでしたが。」
「それでもロマンがあって素敵じゃない!」
「ええ。近年、このピラミッドの地下に空間があることが分かり調べてみたところ地下へと続く階段を発見したんですよ。」
隊長が時行と不二子に説明してくれる。調査隊と一緒に部屋に入った。しかし、棺があるだけで何もない。その棺も中身は空っぽだ。
「これは?」
「ガイウスの墓と予想されていましたが開けてみると何もありませんでした。」
カリウスが説明してくれた。不二子はジーと棺の中を見る。隊長が時間だと言って時行と不二子を連れてピラミッドから出て行った。
その夜、不二子は時行を連れてピラミッドに向かった。周りに誰も居ないことを確認しピラミッドに入る。例の棺の前に着くと不二子は周りを調べ始めた。
「不二子さん?」
「この棺、変だと思わない?」
「え、え~と…私には分かりません。」
時行も棺をじっくりと見るも不二子が言う変なところは分からない。
「これ、後で作った物を置いたんじゃなくてこの部屋の一部として作られているわ。」
不二子が床と一体化している棺を指差す。不二子は蓋を開けて棺の中を調べた。すると、スイッチみたいな突起があった。それを押すと棺の中に階段が出てきた。それに驚く時行。
「す、凄い。」
「やっぱり。」
不二子と時行は階段を降りる。すると、古びた扉があった。2人で力を合わせて扉を開ける。すると、金色の部屋が2人の視界に飛び込んできた。壺、剣、装飾品…全てが金で出来ていた。
「凄い…」
「これが出来た当時のエジプトは最先端の技術を持っていて大量の金を保有していたの。ローマはその一部を持って帰っていたって文献は正しかったみたいね。」
「その通り。」
突然、声が聞こえた。不二子が振り返ると時行に拳銃を突き付けたカリウスがいた。後ろには不二子達を見ていた怪しい人影の男達もいる。
「まさか、棺自体が黄金への道だったとは。エジプトブームのローマらしい。」
カリウス達は金色の部屋を見回し感動していた。
「素晴らしい!予想以上だ!」
「あなたって調査員でしょ。こんなことしていいのかしら?」
「調査員は例え黄金を見つけてもそのほとんどが国の所有物になる。今時、ロマンだけで食っていけるほど時代はあまくないんだよ。」
仲間が金を袋に入れて行く。両手を上げている不二子がその仲間を見ているとカリウスが時行の頭に拳銃をくっつけた。
「おっと動くな。親子で盗みをするとはふてぇ女だ。下手な動きを見せるとこのガキの頭を吹きとはず。」
カリウスが命令するも不二子は両手を上げたまま不敵に笑った。
「嫌よ。私は金が一番好きなの。」
「プッ…おいおい!マジかよ!この女、ガキより金かよ!」
カリウスが大笑いした。
「可哀想だなぁお前!お前の母ちゃん、子供よりお金だってよ!」
「それに…あなたじゃ彼を殺すことは不可能よ。」
不二子の発言に気を取られる。その一瞬で時行は身体を反らしてカリウスから離れた。カリウスは拳銃を撃つも時行は弾丸を全て避けた。
「な、なんだあのガキ!?」
「言ったでしょ。あなたじゃ彼を殺すことは不可能って。」
時行に気を取られていたカリウスに不二子は当て身をした。そのままカリウスの仲間が撃つのを避ける。そこに時行が来て仲間の1人を猫騙しでよろけさせた。
「ナイスよ!」
不二子はよろけた男を倒し拳銃を奪うと残りの2人の拳銃に当て弾き飛ばした。
「くそ!何なんだお前らは!?」
「なんだこれは!?」
カリウスがナイフを取り出す。そこに隊長が警察と一緒に来た。不二子はすぐに時行を抱き怯えた演技をした。
「助けてください!」
「あなたは…」
隊長達は状況を確認する。ナイフを持っているカリウス。宝を盗もうとしている仲間達。怯える不二子とそれに驚いている時行。
「カリウス。まさか貴様、盗掘が目的だったのか。」
「調査隊は金にならないって言ってましたわ。」
不二子がだめ押しする。
「ま、待て!あの女もこの財宝を狙っていたんだぞ!」
「私は突然、拳銃で脅されたの!息子を人質に取られて仕方なかったの!」
(不二子さん、さっきまでの勇ましさがない。)
時行は不二子の変わり様に驚く。
「ふざけんなクソ女!」
「全員逮捕しろ!」
警察がカリウス達を逮捕した。その後、調査隊と警察が部屋を調べた。
「こんな部屋があるなんて。」
「文献にはエジプトから黄金を持ち帰ったと記載されていたがこんなところに隠してたなんて。」
時行と不二子が警察から事情聴取わ受けていた。不二子は2人で散歩していたらピラミッドに侵入するカリウス達を目撃、無理矢理連れて来られたと証言した。淀み無くスラスラと嘘をつく不二子に時行は驚きつつも内心引いていた。
「ありがとうございました。」
不二子は警察にニコニコで手を振る。
「不二子さん。よくあんなでたらめをスラスラと言えましたね。」
「これが私よ。」
帰り道、時行と不二子は会話していた。すると、不二子は胸の谷間から金貨を数枚取り出して時行に見せた。時行はびっくりして聞く。
「どうしたのですかそれ!?」
「どさくさに紛れてくすねたの。本当はあの人達を気絶させてごっそりいただく予定だったけど警察が予想以上に早く来たからこれぐらいしか取れなかったわ。」
ちゃっかりしている不二子に時行はまた呆れる。
「しばらく2人で美味しい物でも食べて観光でもしましょ。」
「はぁ…あなたのことがまだよく分かりません。」
「それはこれからよ。お互いに分かり合いましょ。」
不二子がウインクする。時行と不二子はそのままローマの街へと消えて行った。
一方その頃
「ルパン。本当に向き合ってるんだろうな?」
「そのはずだが…」
「いくら掘っても金塊など出てこぬぞ。」
鉱山で汗水垂らしながら金塊を探してツルハシでひたすら掘っているルパン達であった。