ある日、時行が買い物袋を持ってルパン達の隠れ家である森の中の小屋に入る。
「ただいま戻り…」
そこで時行は目にした。焼かれた家具。割れた食器や窓。そして、交戦したと思われる銃痕。時行は慌ててルパン達を捜す。その様子を遠くから見ている男がいた。
時は遡り1時間前
ルパン達は仕事を終わらせ時行に買い物に行かせて自分達は盗んだお宝を見ていた。
「いやぁ~、今日も大成功!時行が加わってから出来ることが増えた増えた!」
「ルパン!バーボン持って来てくれ!」
酒を飲みどんちゃん騒ぎするルパン達。そこに1人の男が近付いて来た。ルパン達は気配に気付き構えた。その時、窓から突然炎が襲ってきた。ルパン達は慌ててテーブルを楯にして隠れる。
「いきなりなんだ!?」
次元が驚いて見ると窓の外に男がいた。その男を知っているのか名前を呼ぶ。
「パ、パイカル!」
「なにぃ!?」
ルパンが驚き覗く。
「おいおい!あんたは深い海の底でおねんねしてたはずだろ!」
「忘れたか?魔術師は何度でも甦る。」
「出来れば忘れたかったんだがな!」
次元がマグナムを撃つ。弾丸はパイカルに命中するも全く効いていなかった。
「やっぱり例の。」
「ああ。超硬質液体だろ。」
ルパン達はお互いの顔を見て頷くと窓を突き破りフィアットに乗って逃走した。次元が振り向く。そこには空中浮遊しているパイカルがいた。
「ちぃ!やっぱりマジもんの魔術師のままだ!」
「次元!」
ルパンは次元にバズーカを見せる。次元がバズーカを構えパイカルに撃つ。命中すると爆発と同時に煙幕が張られた。パイカルが振り払うともうルパン達の姿はなかった。
そして、パイカルはルパン達を捜している途中、時行を見つけたのだ。パイカルは時行が例の小屋に行くのを見送るとバレないようについて行った。
そして、今に至る。
時行は荒れた小屋の中を見回しルパン達を捜す。すると、誰か近付いてくる気配がした。時行はルパンかなと思い窓から覗く。そこにはこちらに向かってくるパイカルがいた。
「誰でしょうか?」
時行はルパンの知り合いかと思ったが雰囲気で違うと判断した。すぐに机の陰に隠れる。パイカルが入ってきた。ゆっくりと小屋の中を歩き時行を捜す。時行はパイカルに見つからないように移動する。その瞬間、机が浮いた。それと同時に倒れていた家具が次々と浮き始めたのだ。
「え!?」
「そこか。ルパンはどこにいる?」
パイカルは指から炎を出す。時行は驚きながら窓から逃げる。それを追うパイカル。時行は木と木の間を跳び逃げた。後ろを振り向く。パイカルはいない。時行は安心して前を向く。そこにパイカルがいた。
「えぇ!?」
「魔術師からは逃げられない。」
パイカルは炎で時行を攻撃する。時行はなんとか避け着地する。しかし、森が炎で焼かれていく。時行は慌てて森から逃げる。燃えていく森を見つめる。時行が下を向くと影があった。時行はまさかと思い見上げるとパイカルが浮いていた。
「う、嘘ですよね?」
時行がまた驚く。パイカルが時行に指を向ける。そこに何かが命中しパイカルはビショビショに濡れた。
「これは…」
「ガソリンだよ!」
そこにルパン達が来た。次元がパイカルを撃つ。パイカルに命中するも無傷だ。そこにルパンも加わり何度も撃つ。すると、気化したガソリンが静電気で引火しパイカルは燃えた。
「時行!」
「はい!」
時行はすぐに車に乗る。ルパンは落下したパイカルを見ながら去って行った。しばらくして転がりながら鎮火させたパイカルが起き上がる。服は多少焦げたものの無傷だ。
「時行。あの子供の名前か。」
ルパン達はレストランに逃げ込み食事する。
「まさか、パイカルが出て来るとは。」
「そのパイカルって方はどんな方なのですか?」
時行が聞く。
「最初はインチキ魔術師だったんだが…次会った時は本物の魔術師になってやがった。」
最初に次元が答えた。
「最初は?」
「小型火炎放射器や透明なアクリル板、超硬質液体などで魔術師を演じていた。一度は燃えて谷底へ落ちた。が、今度来た時はマジもんの魔術師になってた。」
「その時は?」
「あいつは日光に弱くなってたから朝日に怯んだところを海に沈めた。」
ルパンが時行にパイカルのことを話す。すると、周りの客がざわざわし始めた。時行が外を見て唖然とする。ルパン達も振り向いて外を見るとパイカルが浮いていた。
「パイカル!」
パイカルは看板を浮かせると窓ガラスにぶつけて割った。ルパン達は咄嗟にテーブルを倒して盾にする。パイカルはルパン達を指差し炎を放つ。レストランはパニック状態だ。
「逃げるぞ!」
ルパンと次元が撃つも弾丸は弾かれるだけだった。パイカルが入って来る。そこに五エ門が近付き斬鉄剣を振るう。それを片腕で止めたのだ。
「斬鉄剣でも斬れぬだと!?」
「五エ門!」
ルパンが叫ぶ。五エ門は咄嗟に横に動くとテーブルを盾にしたルパン達がパイカルに体当たりした。そのまま外に飛び出す。パイカルがルパンを狙う。
「そこだ!」
その時、ルパンが腕を引いた。すると、パイカルにワイヤーが巻き付いた。パイカルがチラッとレストラン内を見る。階段の手摺にワイヤーが巻き付けられている。ルパンの腕時計から射出されたワイヤーがパイカルを拘束する。
「やりました!?」
「いや、ただの時間稼ぎだ。」
ルパン達が逃げる。すると、隣に車に乗った不二子が現れた。不二子はドアを開けてルパン達を誘う。
「ルパン!早く乗って!」
「よし来た不二子ちゃん!」
急いで車に乗るルパン達。そのまま逃走した。パイカルはテレポーテーションで拘束から抜ける。そこに朝日が差し込む。パイカルは朝日を嫌がり消えた。
一方のルパン達は不二子の車でドライブしていた。朝日が昇り明るくなる。パイカルは追ってきていない。
「助かったぜ不二子ちゃ~ん!」
「けっ。どうせまた不二子が関わってんだろ。」
「左様。」
「失礼ね。今回は違うわよ。パイカルの目的はあなたの抹殺よルパン。」
不二子が経緯を話す。
海沿いをドライブしていたら突然後部座席にパイカルが現れた。不二子は内心驚きながらも平静を保っている。パイカルは不二子を指差し脅す。
「ルパンはどこだ?」
「知らないわよ。」
不二子はアクセルをふかしスピードを上げる。そのままガードレールを突き破る。その直前、不二子は車から脱出した。車は崖下に転落し爆発する。不二子は拳銃を構えて崖下を見る。炎上した車が見える。不二子はそのまま去って行った。
「それでルパンを捜していたところなのよ。」
不二子から聞かされたルパン。次元が帽子を抑えルパンに話しかける。
「どうすんだルパン?このまま付け狙われるのはごめんだぜ。」
「そりぁ、俺も一緒よ。」
ルパンは不敵に笑う。
「海に沈めてもダメなのはわかった。パイカルの身体はまだ日光に弱いことも分かった。」
ルパンは時行を見て微笑む。
「パイカルを倒す方法は考えた。しかし、それには下準備が必要だ。」
「それを待ってくれるとは思わんが。」
「そこでだ。時行、お前にパイカルの相手をしてもらう。」
「私にですか?」
時行がキョトンとした顔でルパンを見る。
「そうだ。なるべくパイカルを引き付けてほしい。ただ逃げるだけじゃダメだ。これは逃げ上手のお前だからこそ出来る芸当だ。やれるか?」
ルパンが時行に聞く。時行は少し考える。相手は浮いたり炎を出したり瞬間移動する相手。もちろん南北朝にいるはずがない。そう考えるとだんだん楽しくなってきた。その顔を見てルパンは笑う。
「決まりだな。」
「はい!」
「なら、これを付けろ。タイミングを教える。」
ルパンはそう言って時行にイヤホンを渡した。
そして、夕暮れ時。
時行は1人、広い原っぱにいた。そこにパイカルが来る。
「ルパンはどこだ?」
パイカルが聞く。すると、時行は頬を紅潮させ興奮しながら煽ってきた。
「私を捕まえられたら教えていいですよ。」
「なら、そうしよう。」
「いいか時行。とにかくパイカルを挑発しろ。狙いをお前だけに絞らせるんだ。」
時行はルパンに言われた通りに挑発した。パイカルは挑発に乗り浮き上がる。
(来ました。日暮さんとも違う超能力者。久しぶりの鬼ごっこです。)
令和鬼ごっこ
魔術鬼
《パイカル》
ここに時行VSパイカルの鬼ごっこが始まった。