逃げ上手の転生記 〜世界一有名な大泥棒と〜   作:虹武者

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700年呪われた刀

 フランス・パリ

 ルパンと次元はホテルの一室にいた。ルパンはある建物の構造図を広げている。

 

「今からグーブル美術館に展示されている刀をいただく。」

「ルパン。最初に聞く。これに不二子は?」

「関わっているぜ。」

「帰る。」

 

 踵を返した次元をルパンが止める。

 

「待てよ次元。関わっていると言っても学芸員として潜入しているだけだって。今回はちょっと面白い刀だからアジトに飾ろうかなぁ~と思ってるだけだって。」

 

 ルパンに言われ次元は渋々戻る。

 

「それで?その刀の何が面白いって?」

「発見されてから今まで一度も抜かれたことがない刀ってところよ。」

「ただ錆びてるだけだろ。」

 

 次元が呟く。

 

「それがそうでもないんだよ。多くの学芸員や研究者達がいろいろと試してみたけどそもそもかなりの重さがあり持つことすら厳しいという話だぜ。」

「眉唾物だな。」

「それを確かめに行くんだろ。」

 

 ルパンが次元と肩組みする。そこに学芸員姿の不二子が入ってきた。

 

「はぁ~いルパン。」

「不~二子ちゃ~ん!」

 

 ルパンが不二子に駆け寄る。不二子はルパンを避けて構造図に印を付けた。

 

「ここにその刀があるわ。陣頭指揮は銭形警部よ。」

「とっつぁんも来たか!」

「まぁ、予告状出したんだ。来るだろ。」

 

 ルパンは待ってましたと言わんばかりに戻る。

 

「さてと、作戦をお話しましょうねぇ~。」

「その前に五エ門と時行はどうした?」

「もうすぐ来るって。」

 

 ルパンがそう言ったタイミングで時行と五エ門が入ってきた。

 

「ただいまです!」

「帰ったぞルパン。」

「ナイスタイミング!」

 

 ルパンが迎え入れる。

 

「それじゃあ、始めましょうねぇ~。」

「あの、ルパンさん。」

「なんだね?」

「その刀ってどんな物ですか?」

 

 時行が聞く。

 

「さぁ?何せ資料が少なすぎていつ、だれが所持していたのかすら不明な代物よ。名前は資料からなんとか分かっているみたいだ。名前は鬼丸。」

「鬼丸…」

 

 時行はその名前を聞いた瞬間、何か懐かしい気持ちになった。ルパンはそんな時行を見ながら作戦を話し始めた。

 

 予告当日

 

『グーブル美術館に展示されている呪われた刀《鬼丸》をいただきに参上する。

                  ルパン三世 』

 

「ルパンめぇ~!なめおってぇ~!」

 

 グーブル美術館で警備をしている銭形が予告状を見て震えていた。既に警備員達の配置は完了しており銭形もグーブル美術館に入る。鬼丸が展示されているエリアに行くとグーブル美術館の館長がいた。

 

「銭形君。本当に大丈夫なのかね?」

「はっ!この銭形幸一!全力で守らせていただきます!」

 

 銭形が敬礼する。館長を鬼丸が展示されている部屋から出す。これで部屋には誰も居なくなった。銭形がそれを確認して扉を閉める。

 

「いいか!予告時間までもう30分を切った!館内に猫の子1匹入れるんじゃないぞ!」

「「「はっ!!」」」

 

 警備員達が敬礼する。銭形が扉の前で2人の警備員と一緒に見張りをする。よく見るとその2人の警備員の頬が赤くなっていた。どうやら銭形に引っ張られたようだ。

 

「来るなら来いルパン。今回はそう簡単に盗らせんぞ。」

 

 銭形は鼻息を荒くしてルパンを待っている。そのルパンはダクトの中を移動していた。

 

「不二子ちゃんのルート通りだぜ。」

「あの、何故私なのですか?」

「他の3人じゃ不可能だからだ。」

「?」

 

 時行は首を傾げながらルパンの後ろを進む。一方、次元達は変装して館内や美術館の周りにいた。次元は警備員に変装し遠くから銭形を観察している。

 

「これ以上は近付けそうにねぇな。」

 

 次元は清掃員に変装している五エ門に連絡する。

 

「そっちはとうだ?」

『こっちも警備が厳重だ。全ての扉に2人ずつ。巡回も2人ずつ。全員ガスマスクを装着している。』

「そっちもか。こっちも同じだ。」

 

 次元は次に学芸員に変装している不二子に連絡する。

 

「おい不二子。そっちはどうなってる?」

『こっちも侵入は無理ね。警備関係者以外は一切近付くことすら禁止されてるのよ。館長まで追い出して本気ね。それに、警備員が少ないところはレーザーがびっしり。』

 

 次元が連絡を切る。

 

「どこも同じか。ルパン…時行…」

 

 次元は怪しまれないようにその場から離れた。ルパンと時行が部屋の上まで到達する。赤外線ゴーグルを着用して見る。レーザーがびっしりと張り巡らされている。

 

「ここまでやるかとっつぁん。」

「どうするのですか?」

 

 時行が聞く。すると、ルパンは時行の腰にワイヤーをかけた。

 

「俺が指示するからこいつでレーザーを跳ね返しながら降りてくれ。」

「ええ…」

 

 時行は不安だったが髪が垂れないように纏め逆さになって通気口から降りた。ルパンの指示通りに鏡を設置してレーザーを跳ね返す。そのまま鬼丸が展示されているケースまできた。

 

「ここからは?」

『安心しろ。俺の指示に従えば大丈夫だ。」

 

 時行はルパンの命令通りにケースの鍵を解錠していく。しかし、その時の音を銭形がきいていた。銭形は不審に思い扉を開けようとする。そこに警官に変装している次元が来た。

 

「銭形警部!美術館の中庭に石川五エ門が!」

「なにぃ!とうとう現れたな!」

 

 銭形は2人の見張りを残し次元の後を追う。外では五エ門が陽動のために警官達から逃げていた。そこに銭形が到着する。

 

「近くにルパンもいるはずだ!捜せ!」

 

 銭形の命令で隈無く捜す警官達。銭形に捜すが途中で足を止めた。

 

「待てよ。あんなに派手な登場したのが五エ門だけだと?まさか…」

 

 銭形は慌てて戻って行く。それを見た次元が急いでルパンに連絡した。

 

「まずいルパン!銭形のとっつぁんが戻って来るぞ!」

 

 ルパンが通信を聞く。急ぐが冷静に時行に指示を出す。銭形が走って展示室に向かう。時行はなんとかケースを開けて鬼丸を手に入れた。

 

「これは…」

「時行。上げるぞ。回収しろ。」

「は、はい。」

 

 時行は鏡を回収しながらルパンに引き上げてもらう。銭形の足音がだんだん近付いてくる。時行を引き上げ通気口の蓋を閉める。その直後銭形が展示室の扉を開けた。既にケースには鬼丸はなかった。

 

「し、しまった!既にルパンに盗まれている!」

 

 銭形は警官達に指示を出して美術館を封鎖した。ルパンと時行はゴーグルを外し不二子が待っている地下駐車場に向かう。ルパンは館長に変装し時行は後部座席の中に鬼丸と一緒に隠れた。不二子が運転する車が地下駐車場を出ようとする。それを警備員が止めた。

 

「あなたは?」

「私は館長と一緒に頼まれて資料を取りに来ただけですわ。」

「そうだ。それよりルパンに鬼丸を盗まれたと聞いたが?」

「そ、それは…」

「何しているんだ!さっさと捕まえないか!」

 

 警備員はビクッとして敬礼しその場を去ってしまった。そのままルパン達は美術館を後にした。隠れ家に戻ると次元と五エ門が待っていた。

 

「さてと、これが呪われた刀というわけだ。」

 

 ルパンが鬼丸を机に置く。

 

「見た目からは全然分からんな。」

「だがただならぬ気を発している。」

 

 肩を竦める次元に対し五エ門は何かを感じ取っている様子だった。すると、時行が鬼丸を持って月に翳した。

 

「時行?」

「ルパンさん。この刀、私が頼重殿から授かった鬼丸と同じ刀です。」

 

 時行の発言にルパン達は驚く。

 

「おいおい。本当かそりゃ?」

「はい。忘れもしません。鬼丸は持主の背負った宿命が重いほど刀が軽くなり切れ味が増す刀です。なので普段は重い刀なのです。」

 

 時行の説明を聞いたルパンはフッフッフッと笑い出すと顔を抑え大笑いした。

 

「こりゃ傑作だ!呪いをかけた本人がここにいるんだもんな!」

「呪いなんて言わないでください。」

「それよりお前は別の世界の人間だろ。なんでその世界の人間の刀がこの世界にあるんだ?」

「その世界もこの世界も北条時行は同じ人物だったということでござろう。」

「事実は小説よりも奇なりってよく言ったわね。」

 

 試しに時行が抜こうとするも重くて抜けない。

 

「まぁ、テレビの上に飾るつもりだったがこいつは時行が持つのが一番だろ。」

 

 ルパンは時行に鬼丸を任せる。

 

「はい。ありがとうございます。」

 

 ルパン達は仕事の後の酌をしようと準備する。時行は鬼丸を見つめ懐かしい気持ちになっていた。

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