逃げ上手の転生記 〜世界一有名な大泥棒と〜   作:虹武者

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イタリアン•チェイス

 イタリア•サンマリノ

 そこにルパンと時行がいた。ルパンは予告状通りマスカレットの指輪というエメラルドの指輪を手に入れていた。警察が地上を捜す中、2人は地下を走っていた。

 

「今回の仕事もチョロいぜ。」

「この後はどうするのですか?」

「このまま停めてある車のところに行ってサンマリノとおさらばするだけよ。」

 

 2人が走る。すると、突然ルパンが足を止めた。

 

「ルパンさん?」

「つけられている。」

「え?」

 

 時行が後ろを振り向くが誰も居ない。

 

「誰…ですか?」

「さぁな?計画変更だ。この先で二手に別れる。相手の行動を見るぞ。後でお前に持たせている発信器を頼りに迎えに行く。」

「分かりました。」

 

 時行はルパンの指示通りに次の十字路で別れた。後からついて来た人物はそこで歩みを止める。

 

(片方はルパンだ。しかし、もう片方は次元じゃない。いや、それどころか大人じゃない。)

「…だが関係無い。任務成功率99%。」

 

 時行は急いで走り梯子を登る。時行がマンホールを外した瞬間…

 

「動くな。」

 

 目の前にいた男が拳銃を突き付けた。時行は驚き目を丸くした。

 

「お前はルパンのなんだ?」

「え、えっと…ルパンさんをご存知ですか?」

「嫌なことにな。」

 

 時行は男の指示通りに両手を挙げながら出て来る。周りを見る。どうやら、廃教会のようだ。

 

「あの…あなたは?」

「…ニクスとだけ呼べ。」

 

 ニクスは時行を観察する。見た目や日本語を話していた。ことから日本人と判断する。

 

「もう一度聞く。お前はルパンのなんだ?」

「そ、その…ルパンさんの仲間です。」

 

 ニクスは驚く。ルパンにこんな子供の仲間がいたのかと。だが関係ない。ニクスは時行に質問する。

 

「ルパンはどこだ?」

「別れた後は分かりません。」

「なら次の質問だ。マスカレットの指輪はどこだ?」

「ルパンさんが持っています。」

 

 ニクスは時行を捕まえようとする。

 

「悪いが子供と言えどルパンの仲間なら容赦はしない。」

「それでいいですよ。」

 

 時行は拳銃を見て興奮していた。ニクスがその顔にゾッとした瞬間、時行が逃げた。すかさず撃つニクス。時行は弾丸を避けて椅子の裏に隠れた。

 

「ルパンの仲間と言うだけはあるか。だが…」

 

 ニクスは何度も舌打ちをする。時行が気になっているとニクスが拳銃を撃った。弾丸は椅子を貫通し時行の頬を掠った。時行は頬を触り手を見る。血が着いていた。

 

「殺さないが…抵抗するなら手足を撃ち抜かせてもらうぞ。」

(凄い!当たった!)

 

 時行が走る。しかし、時行の動きを読んだのか出る直前にニクスが時行の腕を撃った。弾丸は腕を掠める。時行はなんとか隠れるがまた椅子を貫通してきた。

 

(これはまるで…市河殿と同じ…音で…耳で私の動きを予測しているんだ!)

 

 時行はワクワクしていた。普通なら恐怖する緊張状態だが時行にとっては楽しい鬼ごっこの始まりだった。ニクスが近付く。時行は高鳴る鼓動を落ち着かせる。

 

(この鼓動…恐怖していない。興奮か?)

 

 ニクスが近付くと時行は大胆にもニクスの前にジャンプした。

 

「ニクスさん!鬼ごっこやりましょう!」

「は?」

「こっちです!」

 

 ニクスが撃つ。時行はそれを避けた。ここに来て初めての怪我。時行はそれが楽しくて性がない。突然イタリアで始まる鬼ごっこ。相手は地獄耳の凄腕拳銃使い。相手にとって不足無し。時行は楽しそうに鬼ごっこを始めた。

 

           令  和  鬼 

                   ご

           鬼 《ニクス》

          風        っ

           順

             新   こ

 

「待てぇ!」

 

 ニクスが撃つ。時行は笑いながら避けている。ニクスは時行が外に出ないように壁際を移動しながら時行を撃つ。時行は隠れるのを止め縦横無尽に廃教会内を走り回る。

 

「すばしっこいだけじゃない。俺の動きを予測しているのか?」

 

 ここまで避けられたことなどほとんどないニクスは時行に内心驚いていた。対する時行は一歩間違えば大怪我じゃ済まない事態にも関わらず興奮していた。

 

「凄いです!あなたとの鬼ごっこが凄く楽しいです!」

「俺は別に楽しむつもりなどない。」

 

 ニクスが装填して再び時行を狙う。そこにルパンがフィアットに乗って廃教会に突撃した。ニクスは避けながら撃つ。ルパンも避けると時行を乗せた。

 

「時行!ニクスと遊んでたのか?」

「はい!」

「待てぇルパン!」

 

 ニクスが撃つもルパンは構わずフィアットを出す。

 

「あの…あの方とお知り合いですか?」

「俺と次元が一度は死を覚悟したほどの手練れだ。」

「そうなんですか!?」

 

 時行が驚く。そこにニクスが車に乗って追いかけてきた。

 

「よぉニクス!MI6は辞めたんじゃなかったのか!」

「お前を捕まえるために戻って来た!お前を捕まえないと目覚めが悪い!」

 

 ニクスが車をフィアットにぶつける。

 

「お前こそ!子供を仲間にするとはな!」

「凄いだろ!」

「呆れるぐらいにな!」

 

 ニクスが発砲する。ルパンは華麗なテクニックで避ける。ルパンはニクスの前に出る。時行に後ろにある箱を開けるように言う。時行が開けると弓矢が入っていた。

 

「このままじゃ追いつかれる。それで相手してくれ。どこを狙うかは任せる。」

「分かりました。」

 

 時行はフィアットの屋根に乗る。ニクスは弓矢を構える時行を警戒して撃つ。時行は避けながら矢を射った。ニクスは時行の構えと矢の角度からタイヤを狙っていると判断し避けた。

 

「避けられた!」

「ニクスは耳だけじゃなくて動体視力もいい!俺や次元の弾を見て避けるような奴だ!」

「凄い…小笠原殿と一緒だ。」

(そして、私とも同じです。)

 

 時行は興奮していた。ニクスは何発か時行を撃つ。その全てを避けられたと判断すると今度はフィアットのタイヤを狙った。ルパンもサイドミラーから見たニクスで狙いを予測し避ける。すると、ニクスが脇道へ逸れてどこかへ行ってしまった。

 

「諦めたのでしょうか?」

「いや…」

 

 ルパンがチラッと横を見る。すると、突然別の道からニクスが現れたそのまま真横に着けられる。時行は驚いて矢を射る。それも避けられる。ニクスはルパン目掛けて発砲する。

 

「この音…そこか!」

 

 ニクスがルパンの襟首に弾丸を当てる。そこからマスカレットの指輪が出てきた。ニクスは車をぶつける。時行はバランスを崩し倒れる。マスカレットの指輪が窓から飛び出してしまう。

 

「しまった!」

「マスカレットの指輪、回収。」

 

 それをニクスが掴んだ。時行はなんとか屋根にしがみついている。そのまま席に戻る。

 

「どうするのですか?」

「逃げる!」

「マスカレットの指輪の回収、成功。続いてルパン逮捕に移る。任務成功率95.50%。」

 

 ニクスはしつこく追って来る。

 

「ルパンさん!指輪が!」

「ニクスの手に渡ったのなら取り返すのは無理だ。ここは逃げ1択だ。」

 

 ルパンはニクスから離れ逃げる。それを追いかけるニクス。なかなか距離が拡がらない。

 

「想定外の仲間がいるがやることは変わらん。」

 

 ニクスが撃つ。時行は頭を抑え踞って避けた。ルパンもなるべく被弾を少なくするように運転する。高速道路で繰り広げられるカーチェイス。お互いドリフトしながらカーブを曲がる。そこでルパンも応戦した。ニクスも撃ってくる。

 

「逃がさんぞルパン!」

「悪いが逃げ切らせてもらうぜ!」

 

 ルパンはタバコを加え火を着ける。さらに、スピードを上げた。ニクスもスピードを上げる。

 

「どこに行くのですか!?」

「ニクスの耳から逃げれる場所だ!」

 

 ルパンは高速道路を降りる。ニクスも跡を追って高速道路を降りた。ルパンは港に向かっていた。

 

「次元がこの先にいるのか?」

 

 ニクスは周りを警戒しながら追いかける。ルパンはスピードを落とさない。そのまままっすぐ進むと海だ。時行はまさかと冷や汗を掻く。ニクスもルパンのやろうとしていることが分かり慌ててブレーキを踏んだ。

 

「跳ぶぜぇ!」

 

 叫ぶ時行。フィアットはそのまま海の中へと飛び込んだ。ニクスはギリギリのところで車を停めて出る。海に向かうもフィアットは完全に沈んでいた。目を瞑り耳を澄ませる。

 

「この音、潜水しているのか。」

 

 ニクスの予想通りフィアットは後ろからスクリューを出して潜水していた。潜水機能を知らなかった時行は心臓が飛び出そうなぐらいドキドキしていた。

 

「こんなことが出来るのなら早く言ってください。」

「わりぃな。」

 

 地中海を悠然と潜水するフィアット。

 

「楽しかっただろ。」

「え?」

「ニクスとの鬼ごっこさ。」

「はい!」

 

 時行がいい返事をする。ルパンが笑う。時行も笑った。そのまま潜水していきニクスの耳でも追えなくなった。ニクスはスマホで仲間にルパンが地中海へ逃げたことを報告した。

 

「あの少年。確か時行と呼ばれていたな。…イタリアに居ればまた会うこともあるだろう。」

 

 ニクスはどこかに電話する。

 

「今日は早く帰れそうだ。…ん?分かってる。ブリジットのプレゼントもちゃんと用意してる。」

 

 ニクスは車に乗りそのまま去って行った。

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