逃げ上手の転生記 〜世界一有名な大泥棒と〜   作:虹武者

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荒野にガンマンの魂が叫ぶ

 トルコのどこか

 その街の裏路地に次元大介がいた。タバコをふかし歩いている。すると、前に拳銃を持った男が現れた。次元を見て笑っている。

 

「次元大介だな?」

「だったらどうする?」

「裏世界一のガンマンを殺せば俺達が伝説だ。」

 

 次元の後ろにも拳銃を持った男が現れた。挟み撃ちにされている。それでも次元は冷静だった。

 

「それが出来ないから俺が伝説になってるんだろ。」

「今、その伝説終わらせてやる!」

 

 2人が拳銃を次元に向ける。しかし、次元はマグナムを抜かない。2つの銃声が鳴り響く。しかし、倒れたのは男達の方だ。次元は2人の構えや動きを読んで避けるだけで同士討ちするように仕向けたのだ。

 

「てめえらガキ相手には相棒(マグナム)を抜く必要すらねぇ。」

 

 倒れる2人を尻目に次元は去って行った。それを見ていた男がいた。次元はBARでバーボンを飲んでいる。そこに1人の男が現れた。屈強なスキンヘッドの大男は次元の隣に座った。

 

「マスター!テキーラをくれ!一番キツいやつだ!ストレートで頼む!」

 

 大男はテキーラをイッキ飲みすると次元に話しかけた。

 

「見てたぜ次元。俺なら相棒(マグナム)を抜いてくれるか?」

「お前は…ギャディッシュ。」

「覚えてくれたか。」

 

 ギャディッシュは欠けた右耳を次元に見せた。

 

「俺も覚えてるぜ。あれは5年前だった。」

「あぁ。俺が資産家の用心棒でお前が資産家を狙う殺し屋だった。」

「あの時が一番楽しかった。」

 

 そう言い2人は5年前の出来事を思い出した。

 

 5年前

 ゴミ問題解決のために議員になろうとした資産家に脅迫状が届く。その資産家を守るために次元達が呼ばれた。ある日の夜、次元達が資産家を連れて車に乗ろうとする。そこに岩陰から見ていたギャディッシュが拳銃を構え次元以外の用心棒を射殺した。次元も頬をかすっていた。

 

「隠れろ!」

 

 次元は資産家を車に隠し応戦する。ギャディッシュも資産家を殺すために移動しながら撃つ。激しい銃撃戦の後、互いの全身が見えるところまで出て来た。同時に撃つ。次元の弾丸はギャディッシュの右耳を撃ち抜きギャディッシュの弾丸は次元の肩を貫通し後ろにいる資産家の心臓に命中した。

 

「しまった!」

 

 次元は資産家に呼び掛ける。ギャディッシュは資産家を殺した証拠として写真を撮ると逃走した。

 

 

「…あれから俺はあんたを殺すためにここまで来た。」

 

 次元が肩の傷を見せる。ギャディッシュはそれを見て嬉しそうだ。

 

「嬉しいぜ。俺もあんたと殺し合いがしたくてウズウズしてたんだ。」

 

 ギャディッシュはテキーラをおかわりする。

 

「殺し屋をやってるんだ。殺される覚悟はある。なのに、ほとんどの奴らは殺し合いにならねえ。俺の一方的な虐殺だ。違うんだよ。殺されるスリルを味わいたいんだ。」

 

 ギャディッシュが再びイッキ飲みする。

 

「あの時のお前以外の奴も全員だめだ。だけど、お前は違った。あの時、初めて殺されるかもしれないと思ったんだよ。このスリルだ。これが味わいたかったんだよ!鏡を見る度に思い出すんだ。お前との殺し合いが一番楽しかった!後にも先にもここまで興奮したことはなかった!」

「で?また殺し合いをしたいのかお前は?」

「そうだ!命をかけた殺し合い!それこそが俺の魂を奮わせる!」

「おれはそんなもんでは奮えねぇ。」

 

 次元がバーボンを飲む。ギャディッシュは帰るようで勘定を出した。

 

「明日の20時ここで待ってる。」

「明日…」

「そうだ。明日が丁度お前と殺し合いした日だ。楽しみに待ってるぜ。」

 

 ギャディッシュは次元の前に地図を出すと帰って行った。次元は地図に印された場所を確認する。この街から離れた荒野だった。次元は確認すると再びバーボンを頼んだ。

 翌日、次元が地図に印された場所に向かう。そこには車と複数のマネキンがあった。次元はマグナムを取り出して近付く。その時、銃声が鳴った。次元はすぐに隠れる。マネキンが全て撃ち抜かれた。

 

「待ってたぜ次元!お前なら必ず来てくれると信じてたぞ!」

「これは何の真似だ!?」

「覚えてるだろ!まず俺はお前以外の用心棒を全員殺した!これはその再現だ!楽しもうぜ次元!」

 

 ギャディッシュが現れ拳銃を撃つ。次元もマグナムで応戦した。静かな荒野に激しい銃撃戦の音が鳴り響く。

 

「そうだ!この感覚!このスリル!俺が味わいたかったのは正しくこれだ!」

 

 ギャディッシュは笑いながら撃つ。次元は車を盾にしてギャディッシュを捜す。岩陰に隠れてあるようだ。ギャディッシュの方が高い位置にいる。次元はこのまま時間が過ぎても決着しないと判断し出て来た。それに合わせてギャディッシュも出る。

 

「ここで決めようぜ!」

「そうだな!」

(あの時はターゲットの心臓だったが今度はお前の心臓を撃ち抜かせてもらうぜ次元!)

 

 2人同時に撃つ。次元は身を捩ったため弾丸はあの時と同じように肩を貫通した。そして、次元の弾丸はギャディッシュの頭を貫通していた。

 

「こ、これだ…これこそ俺が…」

 

 ギャディッシュは笑いながら倒れる。次元は肩を抑えながらギャディッシュの死体を確認した。

 

「ちょっと遅すぎたがこれで手向けになるだろう。」

 

 次元ほタバコを吹かす。そこに車に乗ったルパンと時行がやって来た。

 

「お〜い!次元!何してたんだ!?」

 

 次元はフッと笑いルパンと時行のところに行く。

 

「どうしたのですかその傷!?」

「気にするな。」

「あ、あの…何かあったのですか?」

 

 時行が聞く。次元はギャディッシュの死体がある方向をチラッと見る。

 

「…ただの思い出話をしてただけさ。」

 

 そう言って次元はルパン達と一緒に去って行った。

 

「俺の魂を奮わすのは仕事終わりの一服だな。」

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