悪の組織の福利厚生は幼女らしい 作:じゃがありご
就職したぜ!!!!!
1:イッチ?
就職しました!
2:名無しの一般転生者?
おめ。
3:イッチ?
悪の秘密結社で働きませんかとかいう面白そうな求人があったからふざけ半分応募したら、ボスの影武者として採用されちゃった。何を言っているのかわからないと思うが、俺もわからない。異能力が存在するからそれなりにぶっ飛んだ世界に転生したっていう自覚はあるけど予想以上だ。
4:名無しの一般転生者?
ん?待て!
5:名無しの一般転生者?
世界観がわからん
6:イッチ?
転生先は異能力者と魔物が戦う現代ファンタジー。
1万人に1人ぐらいの割合で異能が使える人間が生まれる。でこの世界は魔物と呼ばれる怪物が存在してる。この怪物と戦うために異能力が扱える人間を育てる教育機関とか軍隊が存在するし、異能を犯罪に使うやつが結構多くて俺が就職した悪の秘密結社とやらもそういう組織。
都市伝説だと思ってたんだけどマジらしいな。もちろん異能犯罪を行うテロ組織とかやべえ集団がいるのは理解してたけどこの秘密結社は規模がやばい。
7:名無しの一般転生者?
まず採用理由は?
8:名無しの一般転生者?
あるあるな世界や。転生者の半分は転生特典を過信して殺される。
9:名無しの一般転生者?
まだましな転生世界やな
10:イッチ?
能力者にはその能力を扱うための魔力みたいなものが存在していて、この魔力には波長があるらしい。指紋みたいに100発100中で識別はできないけど、この波長を確認することである程度 人間を絞ることができてこの秘密結社のボスは俺の波長とめちゃめちゃ近いらしいよ。
なので、影武者として雇われないかっていうことになった。と言うか拳銃付きつけられて雇われることになった。
まあやべえことに加担しちまってるなっていう自覚はある。
11:名無しの一般転生者?
やばい
12:名無しの一般転生者?
まあスレ民に 道徳を求めるのは無理があるだろう。転生者なんて大体のやつが死生観もぶっ壊れてるし?いいんじゃないか。魔法とかがある世界では結構命軽いしね
13:名無しの一般転生者?
脅迫やんけ
14:名無しの一般転生者?
草
15:名無しの一般転生者?
草
16:名無しの一般転生者?
笑う。逃げたら?
17:イッチ?
先払いの報酬ももらっちまったし、もう逃げられない。金の延べ棒10本と正体不明の異能力をもらいました。なお、俺の制御は聞かない模様
18:名無しの一般転生者?
金の延べ棒?
19:名無しの一般転生者?
厄ネタやん
20:イッチ?
早速、契約書確認してるんだけど、絶対に守らなくちゃいけないのが動揺を表に出さないこと、常に強者ムーブをしていること、そして適当な意味深な言葉を吐くこと。
後はバレたら殺す、異能はあげる、結社の運営はやらないがやっている体で振る舞う。
21:名無しの一般転生者?
強者ムーブ?
22:名無しの一般転生者?
闇が深すぎる
23:名無しの一般転生者?
ふざけてないか?強者ムーブに意味深な言葉?
24:名無しの一般転生者?
バレたら殺す、無慈悲やな
25:名無しの一般転生者?
なお、ライフルを突き付けられながら読まされてます
26:名無しの一般転生者?
人の心とかないんか………
27:イッチ?
明日から仕事。続きは明日書く
目を覚ますと少女がいた。否、幼女が適切だろうか。身長は140cm、銀髪の幼女。
視線をもう一度後ろに向ける──女子、だった。ここは俺の部屋で、家主は俺で、なのに目の前に女子がいる。それもとびきり可愛い、お伽噺に出てくるような気品溢れるお姫様だ。
ただし、幼女。しかも格好があれだ。
紺のドレスにフリルたっぷりの白いエプロン。頭にはヘッドドレスが載せられている。俗にいうメイド服である。
「………誰?」
『おはようございます、花火ちゃんです!』
「誰?」
ニコニコと笑う幼女。
「15歳、合法中学生の花火ちゃんです!」
「………俺は18歳で成人してるから15歳の幼女、しかも知らない幼女がいるってアウトなんだ。違法幼女」
「む?幼女とは失礼な。花火は15歳ですよ!」
心外そうに頬を膨らませる幼女だが、こればっかりはスルー出来ない。幼女を部屋に連れ込んだとか、秘密結社のボスとしても男としても外聞が悪すぎる。
「だから違法なんだって」
「大丈夫です。大学生と高校生が付き合うのは世間的にありだから15歳の花火は脱法です。そう、私は貴方だけの脱法幼女です!」
「幼女じゃん!」
中学生なのか高校生なのかはっきりしてくれないか。
「………マジで君は何者?」
再度問いかけると彼女は、雰囲気を正して妖しげに目を開く。
「花火は貴方専属の………パートナーですかね?影武者の間は絶対に裏切らない物件です」
「君、結社の一員か」
「そうです。花火は貴方のふくりこーせーです!」
「頭痛いかも」
「それよりどうです?これ」
立ち上がり、花火がくるりと回って見せる。膝までのスカートがふわりと膨らんで、膝小僧までがはらりと見える。
「男はみんなメイドが好きとききました!」
「否定できないな………」
「そして朝ごはんの時間ですから、花火が作ります!」
「急展開が過ぎるぞ」
「ここに冷凍のチキンライスがありますー」
「冷凍かよ!」
「花火は卵しか料理できないので」
花火は、冷蔵庫から卵を取り出し、割って中身を器に落とす。シャカシャカ混ぜてから、表面にバターをくぐらせたフライパンへ。じゅー、と水分が飛ぶ音が耳に気持ちいい。液体だったそれは菜箸で器用に形を整えられながら固形となり、やがて黄一色の楕円の塊となった。
ちょうどそのタイミングでレンジがチンと加熱終了を告げる。ホカホカのケチャップライスの中心に卵が載せられ、俺の前に配膳される。
「メイドといえばオムライスです!」
「偏ってるな!?」
「さ、召し上がっていーですよー」
言いながら、花火が卵の中心にナイフで切れ目を入れた。すると自重で楕円の塊がだらりと崩れ、ほっくほくの湯気とともに、ジュクジュクトロトロな中身が皿を覆う。
「おー!うまそう!だけど、あの秘密結社の人間って考えたら怖い!なにも入ってないよな?」
「失礼なご主人ですね。これから花火が住み込みで作るのではじめの一歩ですよ!」
口をつけない俺にしびれを切らし、花火は半熟卵とケチャップライスをレンゲですくい、俺の口に放り込んだ。
最初に感じるのは熱さ。それから卵とバターの風味が広がって、中から優しくケチャップライスの酸味がしみ出してくる。頻繁に味わうことができない贅沢な味わいだ。
ある程度咀嚼してから、ごくりと呑み込む。
「え?君ここに住むん?」