岩手支部も稼働開始ししばらく、俺は部下達を率いて色々なところとの話し合いで飛び回っていた
自分の顔見知りに見つかって家族の情報が抜かれると不味いので、予め作っておいた見た目を誤認させる術式を仕込んだ時計を身につけているが、バレて無いよな?ちなみに見た目はロマサガ3のウォードだ
時々強い敵意を向けて来る相手がいきなり妙に馴れ馴れしくなるのに違和感を感じるがまぁ気にしないでおこう
常についてきてる部下達はシキガミパーツを入れたおかげで更に強くなっているので、腕力での交渉もお手の物だ。師匠には本当に感謝だ
メシア教徒との交渉は何だか気持ち悪い。顔に出ないように注意しているが生理的な嫌悪感はいかんともしがたい。慣れるしかないか
北上には相変わらず遠征を頼んでいる。申し訳無いな
自分のやりたい事もやるべきだと思うので、予算を取って神楽舞、鬼剣舞の復活を狙い出した。よく考えてみなくても分かるレベルで終末来てから始めたら不可能だしな。今からやる方が良い
というわけで、県内の神社を巡って見た。元々神楽舞や権現舞はそこで祀る神様への奉納だから残っているところは残っていた。前世でかじった神楽舞も守られていたのでそれだけでも調べた甲斐はあった。唯一の継承者みたいな顔してたのの前でサラッと唄って見せたら恐怖に顔が引き攣ってたよ
敵対してるところにもあったのだが、だいたい困窮してる(元々か神社巡りを始める少し前から一気に傾き始めていた)状況だったのでセツニキ達に習ったガチガチに縛る契約でこちらへの敵対行為を出来なくして多少の支援を行う代わりに目的を達する
困ったのは鬼剣舞の方で規模の広さに対し、戦後出来上がった団体が多かった。特に県外のは完全にアウトだった。神社や集団で守れてたのだけでも保護できたので良しとしよう
鬼剣舞は鬼に化けた神が悪霊を叩く様がモチーフだから、悪魔退治ともいえるから覚醒修行と相性も良さそうだし、そういう形で覚醒修行に使えないか?と意見してみたが、今はまだ無理だと却下された
本来の御祭神には悪いが愛宕ネキのイワナガサマや黒札内のツテを駆使して祝詞や舞を少しだけ改竄しその御祭神とイワナガサマにのみ祈りのMAGが届くようにしてもらう。場所によってはメシア教の手が伸びてたところもあったし、連合にとっても利益になるのでね。必要経費として、これくらいは勘弁してもらおう
とか考えてたらイワナガサマを通じてこの辺の神達からのお礼を伝えられた。どうもメシアンの手が伸びてないところでも来るはずの量が来てなかったらしい。現在イワナガサマに流れている分より多く持ってかれていたらしく、神によっては倍以上になったとか。もし氏子になれとか言われたら周りに助けを求めよう
覚醒非覚醒関係なく舞手を県内外から募集し、重要度の高い所から復活させていく。身辺調査は徹底的にやっている
そういえば鬼手一族の雷に打たれたその2でスレに書き込んでたのと仲良くなった。今は俺の部下達と協力してマヨイガ周辺に怪しいのが入ってこれないように気を払っているらしい。目覚める前のやらかしで信用がマイナススタートだからキツい仕事でも結果を出して信用してもらえるように頑張るそうだ。最重要霊地のマヨイガの警備に回してもらえるだけでかなり評価されてる気がするけど言わないでおこう
色々飛び回っている間に岩手支部の借金返済は完了したようだ。これで愛宕ネキ達が春を売ることにならなくてすんだ。事情を知っている岩手支部の俺達にこの話が発表されると全力の万歳三唱が起こってた。彼女達がどれだけ慕われているのかがよく分かる。俺と名誉店長ネキも一緒に万歳三唱したんだけどさ
そうそう、名誉店長ネキは県外から来た事務員のまとめ役になっていたらしい。優秀だしね。うちの家族にも家族同然に扱われてる。この前十六歳になった佐奈にも色々と相談されてるようだ
ラバセンニキは例の患者の治療に成功したらしい。でも学界に今は発表できないって苦悩してる。それでも姉を奪った病気から人を救えたのは大きな自信になったらしい。玉蹴りネキの知り合いの患者を岩手に呼び寄せようか話をしているそうだ
「ずっと千奈の事を任せっきりにして申し訳ない。でも、おかげで医者としての本懐を遂げれた」と玉蹴りネキとうちの両親にお礼を言いに来てたよ。ご近所ならこういうサポートが出来ると思ってたら本当に出来たよ
色々落ち着く気配のしてきたガイア連合岩手支部に衝撃が走る。エジプトがメシアンの手に落ちたらしい。一部を除いたエジプト神話の神々によって力のある奴は根こそぎ刈り取られた。遺された人達の第一陣を殆ど受け入れるとの事だ。これにホークアイニキが反応した
「弁当ニキ。上に言って俺も連れて行ってくれ。エジプトの公用語はアラビア語だ。会話出来るのが多いほうがやりやすいぞ」
「助かるよ」
受け入れると決定した以上相手のトップと話し合いをせねば。二人で気合いを入れる。打ち合わせ中に聞いたのだが、ホークアイニキは前世からエジプト神話やそれにまつわる話が大好きで、いつかエジプトに旅行に行きたいと、アラビア語を勉強し旅費を貯めてる最中に事故死したらしい。今世ではエジプト人の血が混じってる血筋何だとか。それだけにホルス神をはじめとする善側の神々が信者を裏切った行為が許せないんだとか
到着した当日は食事を振る舞い、その夜には話し合いだ。彼らには悪いが自分達が保護されたお客様だと思って悪さしないように釘を刺さねば
※ここからはアラビア語での会話ですが日本語に変換されてます
「どうもホークアイニキと言います。日本人ですが、曽祖母はエジプト人なので。問題なく話はできますので。…食事をとって落ち着かれたと思います。完全に落ち着くにはまだ日数はかかるでしょう。貴方達の状況には同情するところばかりです。特に守護者に裏切られたのはひどすぎる」
「ええ、そうなのです」
「ですが、現在の状況では貴方方が完全に落ち着く迄の時間は取れません。私達もそこまで余裕は無いのです。7日間の間にそちらの出来ることややりたい事をできる限り纏めて提出していただきたい。教育を施したうえで仕事を斡旋します。必要な支援は行うので受け入れた分役に立っていただきたい」
「…流石に7日間は短すぎる!それに私達にもやり方がある!受け入れてくれたとは言え横暴が過ぎる」
「きちんと話をしてくれるのなら、できる限り要望は聞きましょう。ですがここは日本です。貴方達にもルールがあるように、こちらにもルールがある。その地に来たらその地のルールに従ってもらう」
「だが…」
「だがも何も」
「ホークアイニキ。そこまで。…すいません、お弁当ニキと言います。彼としては自分のルーツにも関わる貴方達を守ろうとして言っています。彼は貴方達を受け入れてくれるよう真っ先に手を挙げてくれたので、上がそれを受け入れてくれた結果です」
「…それは感謝している。だがすぐに適応はできない」
「日本には"郷に行っては郷に従え"という、新たな場所に合流する時には相手のルールに合わせるべしという意味の言葉があります。悪いですが、合わせてもらいます。その為に、今彼が言ったできる限り聞く要望の一つとして、お客扱いの期間を14日に延ばします。これからの事を考えるとこれ以上は遊ばせられない。それと、子供を大人と同じように扱う様な予定は無い」
詐欺の手法に最初にわざと相手が嫌がる要求をして渋ったら譲歩したように見せて本当の狙いを通すやり方とか色々あるよね。
「…分かった」
「後は区別される事を差別だと騒がせないでください。来てすぐだし、文化の違いもある。軋轢が起こるのは私達も想定しています。そこはお互いに歩み寄りましょう。その為にも適材適所。つまりお互いの得意な事を役立てましょう」
「…よろしくお願いします」
「話を聞く耳はありますので、できる限り損をしない形にしましょう。先程言った部分に抵触しない辺りであれば譲歩はできます。今言ったことも含め、書面にしますので」
「…では、取り決め通り宜しくお願いしますね」
「…うむ」
ここからは日本語です
「ホークアイニキ、貧乏籤引かせて申し訳ない」
「気にするな。あくまで自分達を助ける為に視野狭窄に陥っている同胞に見せかけただけだしな」
なんのことはない。冷静で見る目のあるのがみれば気がつけるレベルの芝居を打っただけである
フェニックスに会えたのはよかった。おかげで作って遊んでたダイ大のカイザーフェニックスのクオリティアップが出来たよ
しばらくしてフォルネウス兵のメンテナンスのため山梨に出張の日が来た
「お兄ちゃん」
「どうした?佐奈」
「今日の仕事っていつ帰って来るの?」
「明日の夜か明後日になるな」
「そっか。帰って来たら相談したい事があるんだけど」
「分かった。できる限り早く帰ってくるからな」
「うん。…行ってらっしゃい」
「行ってきます」
次のメンテナンスの時に俺は後悔と共に泣きながらメンテナンス期間の短縮を行う事になる
出張を終え支部にトラポートしてくると何だかざわついている
事務に顔を出すと真っ青な顔をした店長ネキが出て来た
「緊急事態よ!」
「何があった?」
「いい、落ち着いて聞いてちょうだい。翔君と佐奈ちゃんがメシア教徒に殺されたわ」
来てしまった。戦線復帰まであと数話