では、始めます。
この世界は現在、男性の立場が弱く女性が強いという”女尊男卑”が起きている。
その根本たる原因は、数年前に天才科学者『篠ノ之 束』によって宇宙開発を目標に開発されたパワードスーツ『インフィニット・ストラトス』通称『IS』と呼ばれるスーツである。
このIS、確かに高性能ではあるものの…とある欠陥を抱えていた。それは『女性にしか扱えない』というもの。
故に、女性の勢いがぐんぐん増しISの普及と共に男性の尊厳が淘汰されていった。
幸いなのは、ISの核であるコアを作れるのが現在篠ノ之博士のみであるため、量産の目処がたっておらず、全世界にも467個しかないことだ。これにより、量産によって男性が根絶やしになることはないだろう。
これから紡がれていく物語は…両親をなくし、膨大な遺産だけを残された少年が偶然、破壊されたISを見つけ、コアを手に入れたことによってつながっていく物語である。
**********************
「これ……もしかしてIS?どうしてこんなところに…。それに…ボロボロだ。」
激しく雨が降りしきる山の中、虚ろな目をした少年が見つけたのは、『打鉄』と呼ばれる近接戦闘特化型の訓練などによく用いられるISだった。しかも、起動できるかできないかの瀬戸際であろう状態だ。
雨に打たれているボロボロの『打鉄』と現実に希望を見いだせていない少年……少年はどこかこのISに親近感を覚えた。
「……君もボロボロなんだね。俺と一緒だ。…少し君の外装(からだ)、弄らせてね。」
そうつぶやいて、おもむろにポケットから携帯用工具を取り出し器用な手つきで『打鉄』を解体(み)た。
ちょうど胸の辺り、心臓のような場所を解体(み)ていると……そこから青い球体のような物が出てきた。心なしか、球体は鼓動を刻んでいるようにも見える。
「う…んしょ……、と。これ……もしかしてコア…なのか?…少し暖かいような気がする。」
何故このような山にISが放置されていたかはわからないが、おそらく使い物にならないと判断し廃棄(スクラップ)としてここに置いたのだろう。
少年は『打鉄』の武器である近接ブレードを本体の下から引きずり出し、目の前の地面に刺した。ブレードも中折れしていて、少年でさえも持てるくらいだった。その前で、合掌する。
「君のコア……、勝手だけど貰っていくね。でも、無駄にはしないよ。今日から君も、俺の『家族』だ。」
『打鉄』に背を向け、森の外へと歩き出した。その瞳は虚ろではなく、確かな光が見えている。激しかった雨もいつの間にやら弱まっていた……。
********************
少年は機械を弄るのが好きだった。
そして、親は元財閥のトップということもあり経済的には困らなかった。そして、勉強をする時間も環境も整っていた。
故に、頭はずば抜けて良かった。
それも、最近出始めたISの理論も読んで理解し、自分でもオリジナルな論理も考えられるほどに。
そう。故に……。
「……………できた。
ISコアの、大まかな解読と…複製方法…!!」
家族(コア)の解析にも、拾ってきてから数週間という短い時間で成し遂げることもできた。そして、思う。
「……君、元々は『打鉄』だったんだよな…。なら、それをベースにして、さらに改造(チューン)して…俺の専用機にしてあげるよ。君を…最強の『打鉄』にするっ!
あと、コアのコンパクト化と骨格、外装のイメージは浮かんでるから…。よし、これで自立と思考回路を併せ持つ家族(ロボット)を作るぞ!」
コアがある。よってISを作ろうとする事もまた必然的だった。しかも、さらに改良した物を造ろうともしている。
まだ少年は年齢にして12歳。これから三年の月日が経ち、少年…天領 一輝(てんりょう いっき)は『ISを動かせる二人目の男性操縦士』として名を馳せ、IS学園に入学する事になる。
ちなみに、ISを動かせる事実を知ったのは改良型『打鉄』が完成した13歳の夏だという。それから公表まで、ISを動かせることはどうにかこうにか漏洩せずに済んだらしい。一輝曰わく「別に動かすのは家だけでいいし、一人目が出てきたから何か公表も楽だったよ。え?動かせなかったらどうしたのか?……多分改良して自立式のISにしてたかもね。」とのこと。
「おやおやぁ?こんな所からISネットワークにヒットする反応があるなぁ…。しかも、このコアは『打鉄』のはずなのに少ーし違う反応…。ここには元財閥系の家があったはずだけど…。束さん、気になるなぁ。…よし!今度ここに奇襲をかけよう!
ふふふー♪何があるのかなぁ?楽しみだなぁ!!」
しかし、コアのネットワークを通じ…天災(誤字にあらず)は何かに気づき始めていた。
感想など募集しています。むしろそれがエネルギーです(´・ω・`)