僕のヒーローアカデミアCCC 作:─────
(彼の個性についての資料に見た中で、屋内戦闘ができるのはBBを含めてあと三名。……最も厄介なのはおそらく──)
考えながら階段を登ったオールマイト、第3階層は元のビルに近い構造となっており、オールマイトの動きを阻害する目的なのか、床には腰まで届くサイズの家具類などが散乱していた。
そして、中心には核弾頭とそれを守るように佐倉本人と巨大な金の鉤爪と掌を持つ少女が居た。
オールマイトの予感は悪い意味で当たってしまった。
オールマイトが最も厄介ではないかと予想した一人が、そこに立っていたのだ。
……その容姿(主に上半身)に、再びモニタールームが少しだけざわめいた。
「え、えっと…パッションリップです。……よろしくおねがいします」
「……落ち着け、深呼吸。お前を信頼してるからここに置いたんだ」
「……!はい!」
少女が両手を構える。
両手を広げ、それを見せつけるようにゆっくりと挟むように閉じる仕草を見せた。
(?腕を広げて…いや、
その仕草の意味を思い出したオールマイトは全速力で横に飛び、パッションリップの視界から退避した。
オールマイトの焦ったような行動に、モニタールームは別の意味でざわめいたが、次の瞬間に中継を通じて聞こえてきた破砕音に慌ててモニターを見つめ、そしてオールマイトの背後にあった家具類
「佐倉少年?
「……アンタなら避けるだろ?今の一発だけだよ」
「そうそう……せっかくのお披露目ですから、インパクトを残さないと勿体無いってモノです。…………メルトのid_esは普通に即死級なので未使用ですけど、トップバッターで印象には残ったはずなのでOKとします」
「……BB、そろそろ良いだろう?お前の番だ」
「はいはい、遊びが無いですねぇ」
「…誰のせいだと──」
「はーい、やっちゃいます♡」
佐倉の言葉を遮ってオールマイトへと教鞭を振るうBB。
BBの教鞭から放たれたビームを躱して佐倉へと迫るオールマイトだが、その拳をパッションリップの掌が阻む。
そして、その掌はそのままパッションリップの腕から外れて、
予測しない方法での攻撃に対応しきれなかったオールマイトはそのまま壁まで吹き飛ばされるが、吹き飛ばしてなお押し潰そうと推進を続ける掌を弾き飛ばし、腰を落として構える。
「DETROIT─────!」
「…BB!対物理防御を───」
オールマイトの行動から彼が必殺技を放とうとしていると気付いた佐倉は声を荒げるが、もう遅い。
オールマイトは床にヒビが入るほどの強度で踏み込み、その拳を振り抜いた。
「SMASH!!!」
吹き荒れる暴風と煙でカメラが覆われ、モニタールームからもその決着は一切見えなくなった。
しばらくして霧が晴れるとそこには、拳を振り抜いた姿勢のオールマイトと、BBの前に立つ無傷の佐倉。
そして、オールマイトへ背後からその脚を振りかぶるメルトリリスが映されていた。
パッションリップもその両腕をすでに構えている。
オールマイトが次の一手を打とうと、その拳を握りしめると同時にけたたましいアラームが鳴り響く。
「……タイムアップ、ですね」
ニコリと笑うBB。
「……リップの
「君なら防ぐと思っていたのさ」
オールマイトは先ほどの意匠返しとでも言うように笑うが、BBは不満そうに
「防いだのは私ですけどね?」
と呟いた。
「──そもそも、なんで私の前に出たんです?防ぐのは私の役割ですよね。ただの一般人くらいのスペックしかないあなたが私の前に立っても──」
「……間に合わないかもしれないと思ったから、お前に無傷でいて欲しかった」
詰め寄るBBに気まずそうに目を逸らしながらそう返答した佐倉。
BBは一瞬固まった後、声にならない声を上げ
「……わかりました、それなら今回は許します。で・す・が!基本的にあなたは後ろにいてください!」
BBはそれだけを言うとその場から掻き消えた。
不満そうだったBBの様子に佐倉は眉を寄せてメルトへ
「なぁメルト、俺はまた何かBBの嫌がることをしたのか?」
「逆よ、逆。私もリップもBBも、あなたのそういうところを気に入っているの」
「そうなのか……?」
首を傾げた佐倉。
次の瞬間、その上体がぐらりと揺れる。
倒れそうになった彼をメルトリリスがその体で受け止めて支える。
「こうなると思ったわ……全く、私たち三人を万全以上の状態で動かす──なんてしようとするからこうなるのよ」
「…………ごめん。だけど、せっかくの見せ場だろう?この次はいつになるかわからないし、存分に戦って欲しかったんだ」
「それにしたって無茶よ。ビルを擬似SE.RA.PHにするなんて」
「その方が戦いやすいだろ」
「はぁ……、リップ?運んであげなさい」
「えっ、わ、私?」
「そうよ。悔しいけど、私じゃ肩を貸してあげるのも一苦労なの。あなたの大きな手の使い所よ」
そう言われて、その両手でおずおずと佐倉を持ち上げたリップは、彼を傷つけないように、そして落としてしまわないように慎重に、ゆっくりと彼をビルからモニタールームへと運んでいった。