僕のヒーローアカデミアCCC 作:─────
「あぁ、…あれは、ヴィランだ」
佐倉に返答した相澤の言葉に、その場の生徒全員が凍りつく。
その間にも、黒い霧の中から次々にヴィランが溢れ出す。
「……オールマイトがいないじゃないか……子供を殺せば来るのかな?」
ヴィランの呟きが、USJの中に響いた。
「イレイザーヘッド、殺害は?」
「できる限り避けてくれ」
「了解。リップ、その手で牽制してくれる?」
「わかりました……やります!」
瞬間、ヴィランの大群の中にパッションリップの巨大な両手が飛び、大量のヴィランを吹き飛ばす。
「……この量相手だと、潰した方が早くないですか?」
「それじゃあ、ほぼ死んだようなものだよ……BBとりあえず準備を───リップ!」
コンマ数秒の世界、音を超える速度で迫った怪物の拳を、パッションリップの手のひらが受け止めた。
パッションリップは受け止めた勢いのまま、怪物を押し返して吹き飛ばす。
「……ありがとう、助かった」
「センパイ、あれ……もう人間って呼べるシロモノじゃないですよ。違法改造品の
「……そうか」
BBの言葉に、彼は少しだけ俯いた。しかし、次の瞬間にはもう一度強く前を向き
「相澤先生、あのモンスターの殺害許可を」
「……っ。──人でないのなら、仕方がない」
相澤は葛藤の末、この苦境とほとんど人ですらないという事実を鑑みてそれを了承した。視線を向けられ意図を汲んだリップが両手を開いたその時、彼らの背後、つまり彼らが守ろうとしていたクラスメイトたちの方に黒い霧が現れる。
「初めまして、我々は敵連合。僭越ながら、この度ヒーローの巣窟雄英高校に入らせていただいたのは……平和の象徴、オールマイトに息絶えていただきたいと思ってのことでして──」
黒い霧のヴィランを前に、一年A組の面々の表情が、恐怖や緊張に染まっていく。
その瞬間、足元に青白いグリッドが広がる。
それを見たヴィランは
「悠長に話している暇はないようです。とにかく、私の役目は、あなたたちを散らして…嬲り殺す!」
黒い霧が拡散して一年A組のメンバーを包み、霧が晴れると複数の生徒がその場から消えていた。
「……っ、転移か。──SE.RA.PH、範囲をUSJ全域へ拡大する」
彼の号令と共に、黒い霧のヴィランが先ほどまで存在した場所で止まっていた青白いグリッドがさらに、そして急速に地面に侵食を始める。
「BB、感知した全員の位置情報を共有するから、あとはお願い」
「ちょっと、センパイ?何する気ですか!?」
「奴らは余程俺をここに釘付けにしたいらしいからね」
目の前で、身体中に手のような飾りをつけた男の隣で黒い霧のヴィランが大量の怪物を転移させている。
それは、脳みそが剥き出しで黒い肌の、先ほどパッションリップが
「だから、クラスメイトのことは頼んだよ。ここは俺とリップでやる」
そう言ってその手を痛いほど握りしめた彼の体に、薄緑の光が電子回路のような模様で浮かび上がる。
「リップ、完膚なきまでに潰して。俺が牽制する」
「わかりました。─────潰れて!」
がしゃん、とパッションリップの手が組み合わさり、三体の怪物が一つの箱に圧縮される。
「……化け物だ、人殺しの化け物。お前はこっち側じゃないのか?」
手の男が、頭に付けられた手のひらの下で下卑た笑みを浮かべる。
「生憎、俺の家族はそういうことに向いてないんでな」
「…五年前」
「……っ!?」
「五年前、三人組の強盗を死体すら残さずぶっ殺した怪物たち、それがお前の
「──黙れ」
彼の瞳が怒りに見開かれる。
ヴィランの男は口角を釣り上げた。
「それとも、ヴィランには向いてないはずの家族に殺しを強要するのがお前の家族との接し方なのか──?」
怒りに我を忘れそうになった佐倉と、そんな彼の様子を心配して気が逸れたパッションリップ。二人には明らかな隙が出来上がっていた。
そんな中、一人のヴィランが佐倉に踊りかかった。