強く楽しくをモットーに!   作:ポケモン大好き倶楽部会員

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衝動に任せて書いた。
後悔はしてる。反省はしてない。

取り敢えず書きたいところまでは書く。
その後も続けるかは反響次第という感じです。


カントー地方
『マサラタウン』Let's Go ポケモン・ワールド


 

 

 

 

 

 

 

a月a日 【レポート1】

 

 

 

 ポケモンと言えば、レポートだ。

 異論は認める。

 

 というわけで、今日から日記を付けることにした。

 レポートの代わりみたいだものだが、三日坊主にならないことを祈ろう。

 でも、日記って何書けばいいんだろう?

 

 

 

 

 

「今日は とても たのしい 一日でした」

 

 

 

 

 

 いや、ふざけてるわけじゃないよ?

 割と冗談抜きにして書くことないんだよなぁ。

 マサラタウンって本当に何も無いというか、名は体を表すという言葉がここまで相応しいところは滅多にないだろう。

 娯楽が少なくて、専ら子供の遊びなんて鬼ごっこや隠れんぼ、イシツブテ合戦くらいのものだ。

 

 あんまりにも暇だから俺と幼馴染'sは弾けた。

 具体的には、オーキド博士の研究所で管理されてるポケモン達で勝手にバトルとかしてる。

 そんなだからマサラの悪ガキ五人衆とか呼ばれるんだよ。

 彼奴等も揃って整った顔立ちしてるのに、ポケモンのことばっかりで浮いた話の一つもしないのどうかしてるぜ。

 

 強いて言えば、グリーンは少し色気付いてきたか?

 最近は妙に格好付けっていうか、俺様とか言ってチャラい話し方するようになったんだよな。

 口を開けばポケモンのことしか喋らないレッドと比べれば雲泥の差である。

 双子の妹のリーフに語彙力と表情筋を奪われたのかってレベルで無口&無表情っぷりだし、社会に出てから生きていけるのか彼奴は?

 その点ブルーも含めて女性陣は卒がないから安心して見ていられるけど、年頃の女子たるものポケモンに対する比重が七、八割を占めてるのはどうかと思う。

 お洒落とかスイーツに食いつく辺り、男連中よりはかなりマシなんだろうけど。

 

 まあ、幼馴染とはいえ俺が心配するのは野暮ってもんか。

 どうしても前世の記憶があるから子供扱いしたくなっちゃうけど、彼奴等は同い年って忘れないようにしないと。

 色気より食い気なんて子供なら珍しい話でもない。

 この世界のポケモンとの関係性を考えれば、ポケモン中心になるのは理解できることだからな。

 

 

 

 初めて書いたわけだし、このくらいでいいかな?

 日記なのにその日のことについて何も書いてないのは流石にどうなんだとは思うけど。

 毎日が変わり映えしなくて、今日は何をしたのか記憶に残らないんだよな。

 

 日が昇ったくらいに起きたら、まずはツボツボの木の実ジュースを飲むんだよな。

 それから祖父ちゃんと朝ご飯作って食べたあとは畑の世話をして。この畑がまた広いんだよ。木の実にハーブに色々育ててるからな。

 昼前には畑作業を終わらせて飯食ってから幼馴染'sに合流、オーキド研究所で勝手にポケモンバトルして遊んでたら、大体いつも夕飯時になってるから帰宅する。

 家に帰ったら木の実ジュース飲んで、夕飯食べて、風呂入って、寝る。

 

 これが俺の基本的な一日のサイクルだな。

 週に一日くらいは二歳下のサトシとかシゲルと遊ぶこともあるけど、九割以上は幼馴染'sと一緒にいる。

 ポケモンスクールは去年にみんな卒業しちゃったし、今更鬼ごっことか隠れんぼするのは違う。

 俺達にとってポケモンバトルが最高の娯楽で趣味なんだ。

 

 バトルのルールはその時々で変わる。

 勝ち抜き制。シングル、ダブル、トリプル、タッグ等々。持ち物は流石に無しだな。

 公式戦を意識してるのか、三対三のシングルバトルが一番多い気がする。

 ダブルとかタッグは息抜きの意図が強いな。

 ちなみに、勝率はレッド≧グリーン>リーフ>俺=ブルーって感じになっている。

 知識量は誰にも負けないけど、彼奴等バトルセンスが高過ぎるぜ。

 

 でも、互いの手持ちでバトルした時は今のところ俺は無敗なんだ。

 アニメポケモンとは違う世界観だからなのかは知らないが、この世界では小さい頃に親とか保護者からポケモンのタマゴを渡される。

 昔は野生のポケモンに襲われて死ぬ子供ってのが多かったらしくて、法律上は十歳からだが暗黙の了解だな。

 家庭の事情によっては適応されない場合もある。サトシの家なんかは、その一例だ。

 

 俺は祖父ちゃんの相棒のツボツボが産んだタマゴをもらった。

 オスのツボツボだったんだけど、これがまた強いんだよな。笑っちゃうくらいカチカチなんだ。

 オーキド博士が言うには通常のツボツボよりも全ての能力が高いって話だった。正直少し眉唾もんだよな?

 俺なんて主人公でもなんでもないのに、それが本当なら都合が良すぎるだろう。

 

 レッドの相棒はピカチュウ、グリーンの相棒はイーブイ、ブルーの相棒はプリン、リーフの相棒はピッピって感じだ。

 彼奴等の相棒も揃って通常よりも能力が高いって言われてるんだっけ?

 もしかしてこの世界では最初の相棒は強くなる法則みたいのがあったりするんだろうか。

 ゲームじゃあるまいし、そんなわけないか。

 

 

 

 気が付いたら結構書いてるな。

 意外と日記楽しいな。これなら続けられるかもしれない。

 来年旅に出た時に記録とか付けたいし、習慣付けられるといいな。

 

 じゃあ、今日はここまで。

 旅立ちの日まで残り365日だったかな?

 おやすみ。また明日。

 

 

 

 

 

 ◆◇◆

 

 

 

 

 

a月b日 【レポート165】

 

 

 

 なんだか知らんが、押し掛けピカチュウとイーブイをゲットした。

 

 

 

 何言ってるかは…………まあ、分かるな。

 普通にそのままの意味だ。

 

 旅立ちの日まで残り200日。

 今日もいつも通りに日課の畑の世話をしようとしたら、何処からともなく現れた野生のピカチュウとイーブイに纏わりつかれたんだよな。

 害意はなかったから受け入れたんだけど、ちょっと理解不能なくらいに懐かれたので捕まえた。

 というか、ボールを見せたら勝手に入った。

 

 ピカチュウ&イーブイ、ゲットだぜ!で終われば良かったんだけど。

 この子達もまた滅茶苦茶に強かったんだ。

 具体的には、レッドとグリーンのピカチュウとイーブイにも見劣りしないくらい飛び抜けてる。

 流石に経験値が違うからバトルでは勝てないけど、ポテンシャルは互角だと思う。

 俺の手持ちってなんか強い子ばっかりだなぁ。

 

 相変わらずツボツボは無敗を貫いているが、ピカブイは負け越してしまっている。

 二匹とも負けん気が強くて学習能力が高い。

 家に帰ってからもツボツボ相手に実践トレーニングを積んでいるようだし、旅に出る前にはいい勝負ができるようになっているだろう。

 祖父ちゃんにも頼んで、色々と技を仕込むのを手伝ってもらおうかな。

 

 そんなわけで、新しい仲間が増えたよってな感じだな。

 何故か既に懐かれてはいるけど、互いのことを深く知るにはもう少し時間が必要だ。

 ハードトレーニングをしがちなピカブイにも、何事も楽しんでこそっていう俺の心情を知ってもらう必要があるな。

 好きこそ物の上手なれ、なんて諺もあるくらいだし、強ち間違ってもいないと思う。

 強く楽しくが俺達のモットーだな。

 

 

 

 さて、これから忙しくなるぞ。

 おやすみ。また明日。

 

 

 

 

 

 ◆◇◆

 

 

 

 

 

a月c日 【レポート275】

 

 

 

 旅立ちまで残り90日。

 

 手持ちのポケモンがいない新成人こと新10歳児は、その地方を代表する博士からポケモンをもらう制度がある。

 これは既に手持ちがいる人でも、事前に申請すれば対象となるのだ。

 ゲームで言うところの御三家ポケモンだな。

 

 悪ガキ五人衆こと俺達も当然申請は済ませている。

 新しくポケモンをもらえる機会があるのに、それを見逃すような大人しい性格ではないのだ。

 むしろ彼奴等は、俺だけ手持ちが三匹いるのはズルいと言って、うっかりを装ってマサラタウンの外に出たかと思えば、全員ポケモンを捕まえてきたんだよな。

 

 レッドはポッポと何処で見つけたのかフシギダネ。

 グリーンはポッポとコラッタ。

 ブルーはオニスズメとコイキング。

 リーフは何処にいたのかゼニガメと何故かメタモン。

 これでみんな手持ちが三匹になったけど、レッドとリーフの運命力はなんなの?

 

 そうなると研究所のポケモンを借りてバトルする必要がなくなって、この頃は手持ちでのポケモンバトルが増えた。

 相変わらずツボツボは常勝無敗で、ピカブイもメタモン以外の新米達には負け知らずなんだよな。

 流石に負けっぱなしで自信喪失し始めていたから、この辺りで勝利の味を知れたのはいいことだと思う。

 

 それにしてもリーフのメタモンが滅茶苦茶強いんだよな。

 俺の記憶だとメタモンって『へんしん』しか覚えられないはずなんだけど、『テレポート』からの『はかいこうせん』にはマジで驚かされたなぁ。

 まあ、俺のツボツボが微塵も動揺せず淡々と叩き潰してたけど。

 半減とはいえ『はかいこうせん』が直撃して「今のは少し痛かったぞ」程度の反応はちょっと強過ぎでは?

 

 あと、ブルーのプリンが化けた。

 ピカチュウにスマブラ殺法を教えるついでにプリンにも教えてあげたら、レッドのピカチュウに勝っちゃったんだよな。

 次に戦った時はピカチュウが勝ったけど、互角に戦えるようになったのはマジで凄いことだよ。

 

 

 

 -追記-

 

 後日、リーフのピッピもプリンの真似して強くなってた。

 確かに体型?は似てるけど、それ有りなの?

 なんなのお前等マジでさぁ〜!

 

 天才はいる。悔しいが。

 

 

 

 

 

 ◆◇◆

 

 

 

 

 

a月d日 【レポート335】

 

 

 

 祖父印の特製キャンディがチート過ぎる件について。

 

 これでも俺は前世でRGBPから剣盾までLet's Go!ピカチュウ&イーブイ以外の全作品*1をクリアしてきたけど、祖父ちゃん曰く『覚醒値』なるものは聞いたことがない。

 この世界だけの概念なのかもしれないが、祖父ちゃんが各種ハーブや木の実、及び木の実ジュースなどを調合・配合した特性キャンディを食べさせるだけで、所謂『努力値』のようなものを加算できるらしい。

 

 しかも、『努力値』は最大でも二つの能力値に63加算するのが精々だったが、『覚醒値』は全能力値に100まで増やせる*2とのことだ。

 遂に呆けたのかと思ったほどに破格である。

 俺のツボツボが意味不明なくらいに強かったのは、『覚醒値』とやらが影響していたわけだな。

 てか、そんな正確な数値を祖父ちゃんが確認した方法も気になるけど、それはまあいいや。

 

 特製キャンディには種類がある。

 全部で六種類で、そこから更にサイズで区別されている。

 通常サイズ、Lサイズ、XLサイズだな。

 HPを上げる『げんきのアメ』、攻撃を上げる『ちからのアメ』、防御を上げる『まもりのアメ』、特攻を上げる『ちしきのアメ』、特防を上げる『こころのアメ』、素早さを上げる『はやさのアメ』。

 一日につき一個しか身体が受け付けずに拒否反応が出るらしいが、違法ハーブとか使ってないよね?本当に大丈夫か?

 

 もちろんレシピは全部教えてもらった。

 特製キャンディだけじゃなくて、栄養ドリンクの作り方も一緒に習ったんだよな。

 祖父ちゃんが自作してたお陰で苦労せず『努力値』は上げられた。

 旅に出る時も道具は持ってくつもりだし、あとは材料さえあれば自分で用意できるのが便利過ぎる。

 マジで祖父ちゃん様々だな!ありがてぇ……。

 

 

 

 それにしても、本当に祖父ちゃんは何者なんだろう。

 実数値にして最大600追加は無法だよ。

 特製キャンディがヤバい代物過ぎて、幼馴染で為人を知っているとはいえ彼奴等にも教えられないな。

 秘密なんて何処から漏れるか分からないからな。

 

 旅立ちまで残り30日。

 それまでに相棒達と何処まで強くなれるかな?楽しみだ。

 おやすみ。また明日。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 a月e日 【レポート364】

 

 

 

 俺がこのポケモンの世界に転生してから、既に十年という短くない年月が経過した。

 

 前世の記憶が戻った当初は、現実を受け入れられなかった。

 これでも子供や孫に恵まれて大往生したつもりだったし、神様のような存在と会った覚えもない。

 死んだと思った次の瞬間には5歳児の赤子になっていた、という感じだ。

 

 正確には、前世の記憶があるだけで俺は俺って感覚なんだけど、精神への影響は間違いなく大きかったからな。

 実際にどちらが主体なのかは分からないが、些細なことだろう。

 今を楽しく生きていられるならそれでいい。

 

 アニマルセラピーならぬ、ポケモンセラピーのお陰で、俺の精神は安定した気がする。

 他人から見れば少し大人びた子供くらいには落ち着いた。

 相棒のツボツボには感謝しかない。あの子が居てくれたから、俺は自我を崩壊させずに済んだのだ。

 強くて頼りになって、相棒がツボツボで良かった。

 一日に一杯は木の実ジュースを飲まないと調子が出なくなってしまったのはご愛嬌というものだろう。

 

 あとは、やっぱり祖父ちゃんには世話になったなぁ。

 実は俺って捨て子だったらしい。

 それを拾って育ててくれたのが、マサラタウンに移り住んで十年そこそこだった祖父ちゃんってわけだな。

 相棒のタマゴを譲ってくれたこと、木の実の育て方や人間用とポケモン用の木の実フードの作り方、栄養ドリンクと特製キャンディの製法や知識とか。

 謎の多い人ではあるけど、本当にお世話になった。

 

 オーキド博士にも随分と甘えてしまった。迷惑を掛けたと言うべきかもしれない。

 勝手に研究所のポケモンを借りて、勝手にバトルフィールドを使って、勝手にポケモンバトルをしていたのだ。

 普通に傍迷惑な子供達である。ごめんなさい。

 でも、俺達を叱ることはあっても理不尽に怒ることのなかったオーキド博士はマジで聖人だと思う。

 お陰で強くなれました。ありがとう!

 

 彼奴等っていう幼馴染がいたことも、改めて考えてみれば恵まれてるよな。

 レッドは無口で、リーフは溌剌で、グリーンは気障で、ブルーは奔放で、揃ってキャラが濃い奴等だったからこそ俺が浮かずに済んだところはあるかもしれない。

 良きライバルであり、良き友人である。

 これが得難いものであることは間違いないだろう。

 今後も末長く仲良くしてくれると嬉しいけど、未来のことは分からないからなぁ。仲良くし続ける努力はしないとな。

 

 半年前くらいに手持ちに加わったピカブイの存在にも色々と助けられた。

 当たり前の話ではあるけれど、自分で育てたポケモンでバトルする方が圧倒的に得るものは多いのだ。

 不足している要素や育成方針だったりと、目に見える情報が全く違ってくる。

 これはおまけだが、散歩してきた先で換金できる道具を拾ってきてくれたのもお小遣い的に助かったんだよな。

 お陰様で道具を揃えることができた。

 

 本当に色々あった十年間だった。

 次にマサラタウンに戻ってくるのは、ジムバッジを八個集めてポケモンリーグの参加資格を得てからになる。

 自転車で行くつもりだが、半年くらいは掛かるかもしれないな。

 それまでは戻らないと決めた。

 

 この長閑な風景とも、優しい住人達とも、オーキド博士や祖父ちゃんとも暫しの別れとなる。

 不思議と悲しくはなかった。いや、当然かな。

 だって、前世で夢見たポケモン世界を旅することができるなんて、オタク冥利に尽きるというものだろう。

 この世界の隅々まで満喫して、伝説や幻のポケモンにも出会って、主人公達の物語を見守って、そして可能ならば俺の名前を歴史に残したい。

 それが俺の、誰にも言ってなかった密かな夢なんだ。

 

 

 

 遂に明日、旅立ちの日を迎える。

 旅の準備は済ませているし、オーキド博士も交えて四人と話してもらうポケモンも決めてある。

 折角の門出に喧嘩なんて嫌だからな。

 

 カントー地方の御三家と言えば、フシギダネ・ヒトカゲ・ゼニガメの三匹である。

 そのうちリーフはフシギダネを選んだ。

 レッドとグリーンはヒトカゲ、俺とブルーがゼニガメという具合に分かれた。

 約二名ほど既に御三家の一角が手持ちに居るのはバグかな?

 シンプルに羨ましいです、はい。

 

 ゼニガメを選んだ理由は、最初のジム戦が地面タイプか岩タイプのどちらかになる可能性が高いからだ。

 そして、仮にどちらだとしても俺の手持ちには相性有利のポケモンがいない。

 ツボツボなら相性不利でもゴリ押せるとは思うが、一匹にだけ経験値が偏るのは将来的なことを考えると避けたいところだった。

 基本的にはピカチュウ、イーブイ、ゼニガメがメインで戦っていくことになるだろうな。

 

 もちろん旅の中で新たに手持ちを増やしていくつもりではある。

 まずは後々の空を飛ぶ要員として、ポッポかオニスズメは積極的に捕まえたいと思っている。

 ただ俺の捕まえたポケモンはオーキド研究所ではなく、祖父ちゃんのところに転送することになっているため、無差別に捕獲しまくるわけにはいかないんだよな。

 対応力の高さを考慮すれば、ニドランとかも欲しいな。

 

 

 

 

 

 

 

 チリン。

 

 呼び鈴の音に、日記を書く手を止める。

 どうぞと声を掛ければ、祖父ちゃんが部屋に入ってきた。

 

 

「クリアや。まだ起きとるのかい?」

「うん。日記書いてたんだ」

「ふむ……どれ、少し儂にも見せておくれ」

 

 

 気恥ずかしくはあったが、素直に日記を手渡す。

 祖父ちゃんは老眼鏡を掛けると、丁寧に頁を読み進めていく。

 一年分なのでそれなりに時間が必要かと思ったが、意外にも読む速度は早い。

 目の動きを見る限りちゃんと文字を追っているようなので、祖父ちゃんには速読の心得もあったらしい。

 これも年の功ということなのだろうか。

 

 

「ふふっ、嬉しいことだね」

「……やっぱり少し恥ずかしいなぁ。でも、お世話になったと思ってるのも、感謝してるのも本当のことだよ」

「分かっているとも。儂だってクリアには感謝しとる。爺が長生きできとるのは、お前さんのお陰だからね。有難いことだよ」

「あははっ!こういうのもお揃いって言うのかな?」

「いいんじゃないかね。お揃いで」

 

 

 そう言って、顔を見合わせて微笑み合う。

 なお、祖父ちゃんはオーキド博士と同時期に現役のトレーナーとして活躍していたらしいんだよな。

 そのため、現在はまだ50代のはずである。

 長生きが如何とか言っていたが、老いさらばえるには早過ぎだと個人的には思った。

 

 

「クリアや」

「どうしたの、祖父ちゃん」

 

 

 日記を返しながら、ジッと視線を合わせてくる。

 まるで心の奥底まで見透かすような雰囲気だが、もう十年も祖父ちゃんの孫をしているのだ。

 このくらいは慣れたものである。

 そのまま見つめ返せば、好々爺然とした笑みを老化を感じさせない顔に浮かべて語り出した。

 

 

「明日お前は旅立つことになる。嬉しいこと、楽しいこと、哀しいこと、苦しいこと。旅の中では色んなことが起きると思う。旅をするのが嫌になることもあるかもしれない。悩んだり迷ったりすることもあるだろう。全てを放り出して逃げたくなることもあり得ないとは言い切れない。なんと言っても──────()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ね」

 

 

 言い含めるように、優しい声色で。

 しかし、視線は透徹とした光を帯びていて、俺は思わず息を呑んだ。

 頭や心の何処かでは予想していたつもりだった。

 もしかしたら祖父ちゃんも()()()()()()()()()()()って。

 けれど、いざ明かされてみれば驚く気持ちが想像以上に強いのは不思議でもないのかな。

 

 

「だからね、これだけは覚えておいて欲しい。逃げてもいい、情けなくてもいい、惨めでも格好悪くても──────決して()()()()()()()()()()()()()()()()()()()よ」

 

 

 それだけ言うと、祖父ちゃんは扉の方に向かっていく。

 部屋を出ようとする大きな背中を見送る。

 何を言おうか迷って、結局口をついて出たのは何の変哲もない言葉だった。

 

 

「ありがとう、祖父ちゃん。おやすみなさい」

「おやすみ、クリア。良い夢を」

 

 

 パタン、と扉が閉められる。

 祖父ちゃんの言葉は難しくて、前世で大往生した記憶がある癖に半分も理解できなかった。

 酢いも甘いも味わえ、ということだろうか。

 ポケモンを裏切ってはいけない。これも額面通りに受け止めるべきか、何を以って裏切りとするのか分からない抽象的な言葉だった。

 

 うっかり思考に耽りそうになる前に頭を切り替える。

 今はまだ分からなくていいだろう。

 明日は早いし、門出の日に遅刻なんてしたくはないのだ。

 祖父ちゃんにも言った通り、今日はもうこのくらいで休むことにしよう。

 どうせ明日から忙しくなるんだからな。

 旅立ちへの期待と不安を胸に、俺は眠りに就いた。

 

 

 

 

 

 

 

*1
SV発売前に死去

*2
本来は上限200。劣化品だが、この世界に本物はない。





自己満小説だけど、評価は欲しい。
だって人間だもの。

面白い、続きが見たいと思った方は、高評価&お気に入り登録&感想&ここ好き機能など、ご活用して頂けるとポイントが溜まります。
当ポイントは、主に作者の執筆意欲に変換されます。



【簡易紹介】

『クリア』
本作のオリジナル主人公。
10歳。男性。黒髪黒目で将来イケメンが約束されている勝ち組。
転生者でRGBPから剣盾まではプレイ済み。SVは発売前で存在自体知らず、Let's Go!ピカチュウ&イーブイは未履修。
大人びているだけの平凡な子供だと自負しているが、オーキド研究所での諸々を提案した張本人。「〜な」が口癖。
座右の銘は『好きこそ物の上手なれ』。
最初の相棒は、祖父ちゃんからもらったツボツボ。
自転車で旅をする派。
《手持ち》
・ツボツボ(♂)
現在Lv.50。特性『あまのじゃく』/ずぶとい
相棒ポケモンなので種族値増加、6V個体、なつき度補正、覚醒値MAX、努力値MAXという最強のツボツボ。
地味に元から種族値505とかいう強キャラ。相棒に抜擢されたことで110増加した結果、目出度く600族を超える存在となった。持ち物は『メンタルハーブ』『パワフルハーブ』など。
改変後の種族値は、H40A20B260C20D260S15。カチカチだね。
・ピカチュウ(♂)
現在はLv.20。特性『せいでんき』/やんちゃ
みんなご存知の相棒ピカチュウ。なつき度補正、覚醒値はHPと素早さだけMAX、努力値MAX。
祖父ちゃん経由で相棒技全て習得済み。自力で『ボルテッカー』も覚えて、持ち物は『でんきだま』。
種族値はLPLEの相棒ピカチュウと同じ。
・イーブイ(♀)
現在はLv.20。特性『にげあし』/おだやか
みんなご存知の相棒イーブイ。なつき度補正、覚醒値はHPと素早さだけMAX、努力値MAX。
祖父ちゃん経由で相棒技全て習得済み。持ち物は『しんかのきせき』。
種族値はLPLEの相棒イーブイと同じ。
・ゼニガメ(♀)
現在はLv.5。特性『げきりゅう』/ひかえめ
個体値3V(HP、防御、特攻)、なつき度補正なし、覚醒値0、努力値0。
ジム戦までに『ハイドロポンプ』を習得したいところ。持ち物は『いのちのたま』か『とつげきチョッキ』。
種族値は通常種と同じ。


『レッド』
お馴染み原点にして頂点。
黒髪赤目の約束された勝利のイケメン。
最初の相棒はピカチュウ。
徒歩で旅をする派。
《手持ち》
・ピカチュウ Lv.40 『せいでんき』/いじっぱり
相棒なので6V。努力値MAX。
・フシギダネ Lv.15 『ようりょくそ』/ひかえめ
個体値6V。努力値は調整中。
・ポッポ Lv.12 『するどいめ』/まじめ
個体値4V。努力値は調整中。
・ヒトカゲ Lv.5 『もうか』/せっかち
個体値3V。努力値0。


『グリーン』
お馴染み初代ライバルキャラ。
茶髪緑目の約束された勝利のイケメン。
最初の相棒はイーブイ。
その時の気分によって色々な方法で旅をする派。
《手持ち》
・イーブイ Lv.40 『てきおうりょく』/わんぱく
相棒なので6V。努力値MAX。
・ポッポ Lv.15 『ちどりあし』/ようき
個体値4V。努力値は調整中。
・コラッタ Lv.15 『こんじょう』/いじっぱり
個体値2V。努力値は調整中。
・ヒトカゲ Lv.5 『もうか』/れいせい
個体値3V。努力値0。


『ブルー』
女の子版主人公的なサムシング。
茶髪青目の約束された勝利の美少女。
最初の相棒はピッピ。
自転車で旅をする派。
《手持ち》
・プリン Lv.35 『かちき』/れいせい
相棒なので6V。努力値MAX。
改変後の種族値は、H145A65B35C65D40S30。
・オニスズメ Lv.12 『スナイパー』/すなお
個体値は2V。努力値は調整中。
・コイキング Lv.10 『すいすい』/ゆうかん
個体値は5V。努力値は調整中。
・ゼニガメ Lv.5 『げきりゅう』/がんばりや
個体値は3V。努力値0。


『リーフ』
女の子版主人公的なサムシング。
黒髪翠目の約束された勝利の美少女。
最初の相棒はプリン。
その日の気分で徒歩か自転車で旅をする派。
《手持ち》
・ピッピ Lv.35 『フレンドガード』/むじゃき
相棒なので6V。努力値MAX。
改変後の種族値は、H100A60B63C80D85S45。
・メタモン? Lv.70 『シンクロ』/きまぐれ
実は相棒個体なので6V。努力値MAX。
改変後の種族値は、H120A120B120C120D120S130。
・ゼニガメ Lv.15 『げきりゅう』/おっとり
個体値は6V。努力値は調整中。
・フシギダネ Lv.5 『しんりょく』/てれや
個体値は3V。努力値0。
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