ネットミーム・アーカイブ   作:一酒の過ち

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丁寧な起承転結。


1.ネットミーム・アーカイブ

いつの間にか、電車に乗っていた。

 

昨日は念願の教育免許を取って、それで・・・ベッドに入って眠ったはずだ。

少なくとも今着ているのがワイシャツである事から、寝ぼけていた線も薄いと見れる。

 

 

これは・・・あれか?流行りの「異世界転生」って奴か~?

って事は死んだのかな、私?

天涯孤独だったし、彼氏彼女が居た訳じゃないから・・・

現代にそこまで未練がある訳でもないけど。

 

 

いや、一つだけ心残りがあった。

先生になる事が出来なかった事、それだけが・・・悔やまれる。

 

やはり、如何に私が超絶優秀だと言っても、インターネットに侵されたような・・・

こんな身体じゃ教員をやるなんて各方面に失礼だったのだろうか。

 

 

それにしても・・・ここ。何処かで見た事があるような・・・?

 

 

 

ガラリとして誰もいない・・・外の明るさから見て・・・始発の電車。

いや、正確には一人だけ私以外にも乗客がいたらしい。

真っ白な服から、真っ赤な血を流したまま・・・静かに座っている水色の髪の彼女。

 

大丈夫ですか・・・と、声を掛けようとして。

何故か声が出ない事に気づく・・・

この辺りで、私は今置かれている状況の特異さを認識したんだと思う。

 

この電車・・・なんか変・・・!?

 

 

「・・・私の、ミスでした。」

 

「私が選んだ選択、それによって招かれたこの状況・・・」

 

 

何処か、聞き覚えのある声。

 

そうだ、私はこの声に聞き覚えがある。

といっても私はやってなくて・・・SNSと友人からの聞きかじりの知識しかないけど。

 

 

[ブルーアーカイブ]

スマートフォン向けのアプリで・・・透き通った世界観で送るグラセフなんて揶揄されるあのゲームの・・・おそらくはチュートリアルの状況と、私が今置かれている環境は一致する。

 

つまり、彼女は・・・

 

『アロナちゃん?』

 

「はっ、はぁ~!?ちちち・・・違いますけど!?と言うかどうしてその名前を・・・!」

 

 

どうやら、違うらしい。

あれ・・・そういう話じゃなかったっけ?

 

「ど、どうなってるんですか?」

「辿るはずだった未来も、結末も・・・全てが塗り替えられていきます。」

「こんな、こんな事が起こるなんて・・・」

 

窓から見える星空が、目まぐるしく回っていく。

いつの間にか、止まっていた電車は何処かに向けて走り出していた。

 

 

「世界のジャンルが・・・法則が歪んでいってしまいました。」

「本来は・・・あくまで側面や裏面であって、表に出てくることは有り得ない筈なのに・・・!」

 

 

「じ・・・時間がないので、話を続けますね。」

「貴方の、先生になりたいという熱意を・・・私は確かに受け取りました。」

「この私の人選にミスは無い・・・(はずです。)」

 

呟くように、こっそりと何かを口にした気がしたが・・・

実際、教員になるために頑張ってきたのだから・・・そのチャンスが与えられたことを素直に喜ぶべきなのだろう。

 

 

「だから、貴方の選択を私は尊重します。」

「ここでの事は、きっと忘れてしまうでしょう。」

 

「ですが、大事なのは。「大人」としての・・・うーん・・・えっと・・・」

 

 

決められた台詞を忘れてしまったかのように、慌てふためきだし・・・

ポケットから携帯を取り出すと、先ほどよりも大きな声で話し始めた。

 

 

「大事なのは「先生」としての「責任」と「義務」です!」

 

ふふん、と言う効果音が聞こえてきそうな程に。

言い切ったと言わんばかりの顔をする謎の女の子。

もしかしてこの子、ポンの一族か・・・?

 

そんな時、何処かからか私を呼ぶ声が・・・響き渡る。

 

 

「先生・・・起きてください・・・先生・・・」

まるで勇者みたいな、起こされ方をしている。

 

 

 

「呼ばれてるみたいだから行くけど。じゃ・・・じゃあね?」

 

 

「あ~!?もうそんな時間ですか!?ちょ・・・ちょっとまだ言ってない事が・・・!」

 

 

景色が遠ざかっていく、まるで私だけ電車から取り残されたみたいに。

 

 

「最後に一つッ!私・・・私は!」

 

「シッテムの箱が誇るスーパーAI!アロナちゃんじゃ・・・断じてありませんから―――!!!」

 

 

 

 

 

眩しい光が、閉じていた瞼に差し込む。

し・・・知らない天井だ。

それどころか室内も見た事がないし、窓の外の景色に心当たりもない。

 

 

「・・・おはようございます、アリサ先生。」

「少々待っていてほしいと言いましたのに・・・」

 

「寝てしまうとは、それほどお疲れだったのですね。」

 

『ん・・・えっと、貴方は?』

 

 

「私は、七神リン。学園都市「キヴォトス」の連邦生徒会所属の幹部です。」

「親しみを込めて、こう呼んでください・・・リンちゃんと。」

 

 

何処か、違和感を感じながらも・・・

私の「キヴォトス」での生活は、こうして始まった。

 

 

 

 

キヴォトスは数千の学園が集まってできた・・・巨大な学園都市らしい。

学園都市と言うが、別に能力開発をしている訳じゃないらしい。

 

それはそれとして、超能力のような力を持った生徒がいるとか。

そもそも、銃に打たれたくらいでは人は死なないとか・・・

 

 

海外にいたけど、別に銃の扱いなんて学んでないんだが・・・!?

ハワイで親父に習っておくべきだったかもしれない。

 

 

私の前に並ぶ、三人と・・・一匹?の少女たち。

うおっ、でっか・・・最近の子は発育がいいのか?

私だって、今は150㎝位はあるはずだが?

 

 

「代行、こちらの方は・・・?」

 

ムチッ♡ムチッ♡と擬音が聞こえてきそうな程に・・・

素晴らしい太ももをしている女の子はユウカと言うらしい。

うおっ、ふっと・・・大黒柱かな?家計を支えてくれ。

 

 

「おそらくは、彼女が先生・・・と言う事なんでしょう。」

「見た所キヴォトスの外からやって来たみたいですし。」

 

一件大人しそうな彼女は・・・チナツちゃんと言うらしい。

問題があるとすれば、彼女が何故か温泉で見るような浴衣を着ている事・・・問題しかないが?

かーっ!見んねリンちゃん!嫌しか女ばい・・・!

 

 

「・・・!」

 

なんかカオナシみたいな真っ黒な着ぐるみ・・・?着ぐるみだよな?

着ぐるみを着た彼女はハスミちゃんと言うらしい。

特に何も喋らないが・・・乳がでかい。

私がモモ派じゃなかったら危なかった・・・着ぐるみだよな?

 

 

太もも・うなじ・乳・・・

性癖モンスター最初の三体か?

透き通れよ世界観、仕事をしてくれ。

 

 

「FATELTY...!」

そして、そんな太ももちゃんの肩の上に載っている魔訶不思議生物。

包丁持ってるし・・・呪詛の言葉吐いてるし・・・怖い・・・

 

 

というかあれ・・・デスモモイとか言う生物だよね?

もしかして・・・そ、そう言う事なの?

全てがM(ミーム)になるってコト・・・!?

 

 

もしかして私も・・・!?焦って自分の顔を触る、着ている服を見る。

 

よ・・・良かった~!

 

てっきり、私の存在もヤン〇ミか田中〇栄になってしまったのではないかと思ったが・・・

そんなことは無いらしい。

それに変身ベルトも見当たらないし・・・妙な力を感じる事もなかった。

 

 

そして、窓の外に見える・・・自走する閃光弾。

なんだ・・・アレは!?

あれも生徒なのか?幻術か・・・?

 

<いいえ、あれは幻術ではありません・・・>

<先代からトリニティに受け継がれてきた無限閃光爆弾・・・「閃光少女(スタンガール)!!」>

 

これ・・・もしかしてハスミちゃんの声か?

 

<ファミチキください・・・>

 

こいつ、直接脳内に・・・!

 

 

 

キャラが濃すぎて疲れる・・・

この中だとまともそうなのはユウカちゃんとリンちゃん位か・・・?

 

それとも、ユウカちゃんは「黒服」?とか言う敵の親玉だったりするのだろうか?

ま・・・まさか・・・100-125-135-20-20-70・・・?*1

 

 

「・・・何か失礼な事を考えてませんか?」

 

『・・・ッ!いやぁ~なんでもないよ?ほら・・・皆可愛いなって。』

 

「そうですか?ふふっ、アリサ先生もとっても可愛いですよ。」

「へぇ・・・そっかぁ・・・ふふふっ。」

 

 

何とか誤魔化せた・・・本人を前にこんな事を考えるのは実際、スゴイシツレイにあたる。

 

 

 

「そろそろ話を進めてもよろしいでしょうか?リンちゃん的には・・・」

 

 

 

成程・・・大体わかった。

 

リンちゃんが教えてくれたところによると・・・

私は「シャーレ」という超法規的機関の所属になるそうで。

権力・権力・権力・・・って感じで、まあ何しても許されるらしい。

ぽっと出の私にそんなものを渡して・・・やばいじゃんアゼルバイジャン。

 

ただ、今は何の権力も持っておらず・・・

どうやら、今からその「シャーレ」の部室に向かって「クラフトチェンバー」なるアイテムを手に入れなければいけないらしい。

それを使う事で、このキヴォトスの実権のようなものを取り戻せるのだとか。

 

ソシャゲのチュートリアルか?いや、チュートリアルだったわ・・・

いや、彼女たちはゲームのキャラでもなんでもなく・・・この世界に息づいている。

あまり、そう言う色眼鏡で見るのは良くないだろう。

でもミーム塗れなんだよな・・・

 

 

問題は、そこまでの道のりが戦場になっている事だが。

地域の不良が、戦車まで持ち出して略奪を働いているらしい。

あほくさ・・・治安維持は・・・?

警察の仕事じゃないのかよ・・・辞めたらこの仕事?

 

 

 

5人と1匹で外に出る、後ろから閃光弾もついて来ているのが分かる。

立ち眩みしそうな程、日差しがとても強い・・・

街並みは一般的なオフィス街とそう変わらないように見える。

街ゆく人々が、銃器で武装していなければの話ではあるが。

 

 

「もしかして、あまりお身体がお強くないんですか・・・?良ければ背負いますが・・・」

 

『チ・・・チナツ?流石に、大丈夫だよ~!』

 

流石に浴衣姿の女の子に背負われると、犯罪臭がやばい。

こんな事なら歩きやすい靴で来るべきだった・・・

 

 

 

「道中は、この子に任せましょうか。」

そう言ってぴょこっと地面に降り立つデスモモイとかいう不思議生物。

 

 

「Execute...!」

 

 

どうしてこんな姿になってしまったんだよ・・・お労わしや・・・姉上。

と言うか何なんだよこいつは・・・

 

『ユウカ?こっ・・・この子って一体・・・?』

 

「この子はデスモモイちゃんって言うんです!小っちゃくて可愛いですよね!」

 

 

違う、そうじゃない。

この怪物の正体を聞いているのであって、見た目の話はしてないんですけど?

何となく怖くなって、それ以上聞く事が出来なかった。

 

 

「Eliminate...!!!」

 

包丁を片手に戦車をちぎっては投げ、ちぎっては投げ・・・

デスモモイ強すぎィ!このまま逆らう奴全員ブッ殺していこうぜ!

いや、生徒を殺すのはだめでしょ。と言うか包丁使えよ。

 

 

でも本当に強すぎてやる事が無い、戦略シミュレーションゲームじゃなかったっけ?

まま、エアロ!

実際私も体力ある方じゃないし、楽できるところは楽していこう。

 

 

そうこうする内に、シャーレとか言う建物に辿り着いた訳だが・・・

その前に、立ち塞がるように装甲車が道を塞いでいる。

 

 

「ヒャッハー!ここを通りたいなら、有り金全部寄越しな!」

「グヘヘ・・・!そこの姉ちゃん、見ねえ顔だが今夜あたりどうだい?」

 

その上にいるのは、やけに長い肩パッドをした・・・

ヘルメットの上にモヒカンと言う奇抜なファッションの女の子達。

世紀末過ぎんだろ・・・

 

 

「私達は彼女達を鎮圧してから向かおうと思いますが・・・先生おひとりで大丈夫ですか?」

 

『ユウカ!私の事をいくつだと思ってるの!?』

『流石に一人で大丈夫だよ。まさか、中にラスボスがいる訳でもないんだし・・・』

 

「そ・・・そうですか、気を付けてくださいね、先生。」

 

そう言って頭を撫でられる、こいつう・・・私より身長が高いからって子供扱いしやがって・・・

私は、先生だぞ・・・!えへへ・・・

 

まあ、可愛いしふともももエッチだから良いか。

 

 

意外と掃除されているようで、綺麗なシャーレとやらの階段を下っていく。

地下にある「クラフトチェンバー」とやらの前に辿り着いた訳だが。

 

何かいる~!?狐面の和服の女の子が・・・見るからにラスボスって風貌なんですけど?

た・・・助けてユウカ~!?

なんて声に出せる訳もなく、ただじっと彼女を見つめるしかできない。

 

 

「だ・・・!」

『だ・・・?』

 

「旦那様?こんな所でお会いできるとは、旦那様!ワカモ、感激です!」

 

なんだこの不思議ちゃん!?

ワカモちゃん、私は先生だよ。

私は先生、ワカモちゃんだよ。(???)

 

不味い、変な事を考えている場合じゃない。

何か反応をしないと、なんて考えているうちに。

 

「し、失礼いたしました!またお会いしましょうね、旦那様!」

 

 

何処かへ走っていく、ワカモと名乗った彼女。

お前、もしかして私の事が好きなのか?(青春)

でもね、先生として生徒に手を出すのはやばいって・・・それ一番言われてるから。

 

 

”そうこう”している内に、”装甲”車を片付けた4人と2匹が駆けつけてくる。(激ウマギャグ)

 

「お疲れ様です、先生。」

 

『ああ、リンちゃん!』

 

「無事、発見できたようですね。こちらの「シッテムの箱」と言うタブレットで起動できます。」

チュートリアルか?と思うほど、都合のいいものがあるらしい。

チュートリアルだったわ・・・(痴呆)

私以外に、起動できないんだっけか。

 

「私達は、邪魔にならないように離れていますね。頑張ってください、先生!」

『あっ、ユウカ・・・うん、頑張るね。』

 

たかがタブレットを起動するだけだし、楽勝やろ。

なんて思っていたが・・・

 

 

<システム接続パスワードを入力してください。>

・・・は?パスワードなんて知らないが・・・?

 

 

唐突に・・・脳裏に浮かんだ文章を入力する。

 

 

『お・・・お前のお袋は淫売のクソ女・・・?』

<パスワードが違います。>

 

 

『天地創世(ビギニング・オブ・ザ・コスモス)・・・?』

<パスワードが違います。>

 

 

『オープンセサミ・・・?』

<パスワードが・・・違います。>

 

 

やっべ、本当にわからない。

なんかとんでもないポンコツな女の顔が脳裏に浮かんだ気がする。

 

 

 

<我々は・・・>

 

急に正解らしき文章を出し始めたタブレット。

えっ、そういうのありなんすか。

セキュリティ側がパスワードを言うのはルールで禁止スよね?

 

『我々は・・・?宇宙人だ・・・?』

 

 

<望む・・・?>

 

あー・・・?あぁ?何かあった気がする・・・

突如として、脳裏にあふれ出す・・・存在しない記憶―――

 

 

『・・・我々は望む、七つの嘆きを。我々は覚えている、ジェリコの古則を?』

<接続パスワードを承認。ようこそ、胡桃沢アリサ先生。>

 

しゃぁっ!この私にかかればこれくらいは大したことないって訳よ・・・!

 

 

そうして起動したタブレットでは・・・見た事もない教室で一人の女の子がうつ伏せで居眠りしていた。

アプリの一つもない上に、何故か教室は半壊している。

 

どうすればいいのか分からないけど、とりあえずこの小っちゃい子の頬をタップしてみる。

ぷにっ・・・という音がしそうな程、形を変えた柔らかそうな頬を何度か突いていると・・・

何処か不機嫌そうに、その女の子が目を覚ます。

 

 

「ん・・・あぁ?誰だこんな時間に起こしやがって・・・」

 

随分とガラの悪そうな声がタブレットから聞こえる。

 

 

「はっ、このアロナちゃんの・・・眠りを邪魔するたぁ・・・お前が先生か。」

「おいおい、どんな饐えた臭いのハゲが来るかと身構えてたが・・・」

 

「随分マシじゃねえか!これは儲けもんだぜ!」

 

『うわ。やめてね。』

 

品定めするかの如く、何かものすっごく下品な言葉遣いの女の子が話しかけてきた。

・・・人の事を言える脳内か?

 

 

「・・・一応知っているとは思うが、自己紹介だ!うちの名前はアロナ!」

「このシッテムの箱のシステム管理者にしてメインOS・・・」

「この辺は説明書でも読んでおけ!そこに置いとくからよ!」

 

「まあ、このアロナ様がお前の事をこれからサポートしてやるって事だけ覚えておけ!」

「それくらいなら如何にお前の頭が、頓珍漢の色ボケ野郎だったとしても覚えられるだろ!」

 

『は・・・はぁ???私、天才なんだが?』

 

 

「自分を天才って自称する奴は大抵、「馬鹿」か「クソ馬鹿」の二つしかいないが・・・」

「お前が後者じゃねえ事を祈ってるぜ。」

 

『こ・・・こいつ・・・!言わせておけば・・・!』

 

久々にキレちまったよ・・・なんて思ってからふと我に返る。

 

相手が生徒じゃないので、ついヒートアップしてしまった。

良くない、非常に良くない・・・

聞こえないだろうとは言え、遠くで生徒たちが待っているというのに。

 

 

『こほん・・・!それで、私は何すれば良いのかな?』

 

「今更取り繕っても無駄だぜ阿婆擦れ、だが物事を進めようって言う姿勢だけは評価してやる。」

 

 

そっと、画面の中の彼女が指を差し出してくる。

これは・・・あれか?「ト・モ・ダ・チ」って奴か・・・?

とりあえず、私も人差し指を触れ合わせてみる。

 

 

「よし、これで指紋認証は完了だ!何も言ってないのに良くわかったな!」

 

ああ、そういう・・・?

というか教えろよ先に、本人の許可なく認証するな。

 

「・・・で、「サンクトゥムタワ―」の制御権を修復したいんだったよな?」

「そいつは・・・ほら、見ての通りアロナ様にかかれば5秒も経たずに取り戻せる。」

 

ああ、さっきリンちゃんが言ってた「シャーレ」が取り戻せる、キヴォトスの「実権」の部分か。

 

「・・・だけどよ、本当にいいのか?」

『・・・何が?』

 

 

「わざわざ言わなきゃわかんねえのか?」

「今、このキヴォトスの「支配権」はお前にあるって言ってんだよ。」

 

 

言われてみれば、確かに。

リンちゃん達連邦生徒会にこの後、渡す予定とはいえ・・・

別にこのまま持っていれば、私はこのキヴォトスを掌握する事が出来る。

 

 

『私は・・・』

「おう、一応はお前を補佐する秘書だからよ。お前の「選択」には従うぜ。」

 

『返すよ、リンちゃん達に。』

「一応、理由を聞いても良いか?権力に興味がないのか・・・?」

 

 

正直言うと、金も地位もあったらやりたい事なんて幾らでもある。

法律だって変えたかったし、美味しい物も沢山食べたい。

でも・・・それよりも、そんな事よりも。

 

 

『私・・・先生になりたかったんだ。』

『生徒を信じて、教える―――そんな私の理想の先生に。』

 

「はっ、「理想の先生」なら・・・権力を振りかざしたりなんてしないってか?」

「随分と高尚な趣味と頭をしてやがるぜ・・・」

 

 

それに、世界の半分をやろう・・・

なんて言われて「はい」って言っても・・・ロクな事にならないのだ。

 

 

「だが、ウチは気に入った。そう言う事ならよろしく頼むぜ・・・アリサ先生。」

『うん、よろしくねアロナ。』

 

 

 

 

「ありがとうございます、先生。これでキヴォトスはこれまで通りに活動を再開できます。」

 

『うん!それじゃあ帰ろうか・・・もうクタクタだよ・・・』

 

「えぇ、「シャーレ」についての詳しいお話は・・・また後日伺わせていただきます。」

 

 

もう夕暮れに染まり始めた街を、歩いて帰る。

スゴイ・・・良い雰囲気だ。

今までにない風を感じる・・・まるで青春の物語(ブルーアーカイブ)

まるでじゃなくても、青春×学園×物語RPGだが?

誰だよピラニアの住む清州川とか言ってたやつ・・・†悔い改めて†?

 

 

「あ・・・あの、先生!」

 

『ん、どうしたの?ユウカ。』

 

 

「わ・・・私は、先生の志・・・とっても素敵だと思います!」

 

『あっ・・・あっちゃっちゃ・・・聞こえてた?耳が良いんだね・・・恥ずかし・・・』

 

 

先ほどのやり取りを思い返してみて思う・・・なんだあれ、若気の至りかよ。

唐突に恥ずかしくなってきた・・・

なんだこれ新手の拷問か?この後、これを出汁にして脅迫とかされる???

 

まあ、そんなことは無いんだろう。

ユウカちゃんの顔に、茶化すような色は無くて・・・見えたのは純粋な尊敬の色。

彼女の顔が少し朱色に染まっているように見えたのは・・・きっと夕暮れの空のせいだろう。

 

 

今日の業務を終えて・・・シャーレの自室として割り当てられた部屋に入る。

質素だが、最低限の備え付けの家具はあるらしい。

シャーレの下には、コンビニもあるみたいなので・・・

十分生きていくのに問題のない環境と言えるだろう。

 

 

『ふぃ~ちかれた・・・辞めたくはならないけどさぁ・・・』

 

 

今日は少し・・・色々とありすぎた。

15cm程もあるシークレットブーツを脱ぎ捨てて・・・ベッドに倒れこむ。

バレないように、しっかりとした造りなのは良いが・・・

履きっぱなしだと蒸れやすいのが偶に傷だな。

 

流石に130㎝台となると、各所でちびっ子に間違われて大変なのだ・・・へけ!

まあ、ちびっ子ではあるんだろうけど・・・

 

ワイシャツも皺になると良くないから・・・本当は畳まないといけないんだけど・・・

ちょ、ちょっとだけ・・・このままゆっくりしたい。

 

慣れない敬語と、服装のせいで余計に疲れが溜まった気がする。

私は・・・皆の先生として振舞えていただろうか?

 

 

子供っぽいとは・・・思われなかっただろうか。

いや、思われてたな・・・完全に子ども扱いだったな・・・

 

 

『えへへ・・・でも、楽しかったなぁ・・・諦めかけてた念願の夢が叶ったし・・・生徒は皆可愛いし・・・タカキも頑張ってるし・・・私も頑張らないと。』

 

不味いな、久々に一人になったからか・・・独り言が止まらない。

流石に公私の区別はつけているので、生徒たちの前で間違っても変な事を言う訳にはいかない。

 

 

突如として、浴室のある部屋から・・・ヌッ・・・と、先ほど見た青髪の女の子が現れる。

部屋を間違えたのだろうか・・・?でも彼女、ミレニアム?って所に所属しているんじゃ・・・

 

 

 

「ユ・・・ユウカ?ここは私の私室だよ・・・?」

 

「えぇ、知っていますよ、胡桃澤アリサ先生。」

「間取りからして先生の部屋がここな事も・・・」

 

 

何か、とてつもなく嫌な予感がする。

 

 

「そして警備がいない事も。計算通り、完璧です。」

「アリサちゃんは、匂いと体格からして・・・中学三年生といった所でしょうか?」

 

 

『へ・・・変態不審者(ロリコン)さんだ~!?』

 

 

 

『は・・・二十歳なんですけど?きょういくの・・・大学?に通ってるんですけど。』

 

嘘を、ついた。海外で飛び級に飛び級を重ねて・・・

最年少で教育免許を取得した私の年齢は・・・15歳。

 

年下から教わるのも、嫌かなと思ってわざと隠していた訳だが。

 

 

ベッドに仰向けに寝っ転がっていた私の上に、馬乗りになるように股がられる。

彼女の柔らかい太ももが・・・がっちりと私を押さえつける。

 

ぜ・・・絶景かな。なんて言ってる場合じゃない・・・!

我に返って、ユウカを押しのけようとして・・・

 

 

「これで・・・抵抗しているつもりなんですか?」

「お昼はあんなに凛々しい顔をしていらっしゃたのに・・・」

 

「先生ってよわよわ・・・なんですね?可愛いです♡」

 

 

体格も筋肉量も・・・そしてヘイローの有無もあって。

私の上に乗る女子高生を・・・押しのける事が出来ない。

 

 

「先生が・・・私の太ももをチラチラ見てたのも・・・知ってるんですよ?」

「そ~んなに私の太ももがお気に入りだったんですか?」

 

『いっ・・・いやぁ・・・?』

 

 

「でも、私も・・・先生くらいの小さい女の子が・・・大好きなんです♡両思いですね?」

 

 

だだだ・・・大胆な告白は女の子の特権という訳か・・・!?

だが、先生として・・・生徒に手を出すわけには(出される訳にも)いかない・・・!

 

 

そんな決意もむなしく、状況は動かない。

どころか、彼女が追い打ちをかけるかのように・・・耳元にその唇を近づける。

 

 

「それとも・・・」

 

耳元でささやかれると、ふにゃりと力が抜ける。

この女・・・顔と身体だけじゃなくて声も良いなんて・・・

 

 

「私の事は・・・お嫌いですか?」

 

『そんなことは無いけど・・・でも・・・倫理的に・・・』

 

「ふふっ、先生自身は嫌では無いんですね?・・・なら良かった。」

 

 

何が良かったというのだろうか。

分からないけど鼻腔をくすぐる甘い匂いに、少しずつ理性を溶かされていく。

 

 

「・・・知ってますか?アリサ先生。」

 

 

 

「キヴォトスでは先生と生徒が恋愛をするのは・・・犯罪ではないんですよ?」

 

 

 

するり・・・と私の首元からネクタイが外れていくのが見える。

心拍数が高くなるのが分かる、頬が熱くなっていくのを感じる。

 

こんな・・・こんな・・・!

ちょっと顔と体と声が良いだけのロリコンなんかに私は負けない・・・!

 

 

「先生・・・ちょっとお時間よろしい・・・ですか?」

『・・・ひゃい。』

 

 

すらりと首筋に伸びてきた指と、耳元で囁かれた一言に・・・

どうやら私は抗う事が出来なかったらしい。

*1
イシヘンジンと言う岩タイプのポケモン。太ももが太い。




圧倒的存在感の極太麺を・・・啜る~!

な・・・何―――ッ!!
こ、これは・・・!?
今まで読んでいたエロ漫画は・・・!?


先生がユウカに土下座している様子は、是非サブチャンネルをご覧ください!


続くな。
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