ネットミーム・アーカイブ   作:一酒の過ち

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あまり真面目な話を書く気は無かったのですが、諸々の都合で書かざるを得ませんでした。
コンナハズジャナイノニー!
と言うより、視点が先生以外になると急にシリアス風味になるんでしょうね。


それでは本編どうぞ。



君がなりたい存在は、君自身が決めていいんだよ


10.勇者と剣と光の浪漫

少し暗めの室内に、青いモニターの光が光る。

ここは要塞都市エリドゥの一角にあるセーフハウス。

そして今は特異現象調査部の部室でもあるらしい。

 

・・・・・・要塞都市エリドゥってなんだよ?

なんで学園の地下に都市があるんだよ、(学び舎の)教えはどうなってんだ教えは。

ツッコミたい所は山々だが、今回の本題からは外れるため一旦は置いて・・・

おけなくない?どっから建設費が出たんだよ。

 

「それで私の元を訪ねたという事ですね、事情は把握しました。」

 

「・・・いえ、()()()()と言うのが正しいでしょうか。」

 

この部屋の主である車椅子の少女。

ヒマリは既知の情報を再確認したかのように呟いていた。

 

『お見通しだったってこと?』

 

「いくつかの想定される未来の中で、選ばれる確率が低い方が選ばれた。それだけの事です。」

 

やはりお見通しだったという訳だ、彼女の底が知れない。

全知にして全痴というだけあって、こうなる事も織り込み済みだったらしい。

そもそもなんなんだよ全痴って、訳が分からないよ。

分からない事ばっかりだ、こんな時私にアロナは何も言ってはくれない。

 

「私としても、お貸ししてあげたいのは山々なのですが・・・際限なく鏡を使われるのはあまり好ましくありません。」

 

『それは確かにそうかもしれないね。』

 

確かに、セキュリティをこじ開ける事の出来るピッキングツールを一度無条件で貸してしまえば・・・次は、自分が使いたいと言う人も出てくるだろう。

大いなる力には大いなる責任が伴うとも言うし。

お前にも言ってるんだぞコユキ。*1

 

だが、今回の前置きは・・・きっと別の目的の為のものだ。

「代わりと言っては何ですが、条件があるのです。」

 

即ち、交渉の為の布石。

人は何かの犠牲なしに何も得ることはできない。

何かを得るためには同等の代価が必要になる。

流石に腕を持っていかれたりはしないだろうが・・・

万能のピッキングツールと釣り合うだけの、何かを求めている。

 

『・・・それは?』

 

一晩、お相手して頂こうかと。

 

ただ、一晩寝泊まりをする・・・という訳では無いだろう。

流石は全痴と言われるだけある、そういう条件が来るのも覚悟はしていた。

それでも・・・

 

『私が頑張って、生徒が幸せになれるなら・・・』

 

なんだってしてみせよう。

教師ってそう言うものでしょう?

 

ん、今なんでもって言った?

 

覚悟を決めた悲壮な表情で俯かないでください!?冗談、冗談ですから!全知ジョークと言う奴です!そんな事をしたらユウカさんに消されかねませんし・・・」

 

「それに無理やりと言うのはポリシーに反しますから・・・えぇ、有り体に言うのであれば”可哀そうなのは抜けない”と言う事です。」

 

『そ、それなら良いんだけど・・・じゃあ条件って?』

 

「あまりこわがらなくてもよろしいのですよ?そんなに難しい事をお願いするつもりはありませんから。」

 

ドア・イン・ザ・フェイス・テクニックというやつだろうか。

交渉のイニシアチブを完全に握られている気がする。

元より生徒に害をなすような条件なら、呑むつもりではあったが。

 

「これからこの鍵を用いてG.Bibleのファイルを開くことになると思いますが。」

 

『そうだね。』

 

「このファイルの中身を、ミレニアムプライズの当日になったと同時に・・・」

 

 

「つまり当日の深夜の0時に削除するという事、それが条件です。」

 

 

告げられた条件の意図は分からなかったけど。

何かが起こる・・・そんな気がした。

 

 

 

 

 

「終わったぁぁぁぁぁ!!!!?」

 

部室に帰り、G.Bibleを開けた開口一番に聞こえてきたのはモモイの悲鳴にも似た絶叫。

 

「うるさいよお姉ちゃん、まあ落ち込む気持ちは分かるけど・・・」

 

「?G.Bibleに何かあったんですか?」

 

「何かあったというか・・・何も無かったというか・・・」

 

 

まあ、皆が落ち込むのも無理は無いだろう。

G.Bilbleに書かれていた「ゲーム開発における秘技」、「最高のゲームを作る為の秘訣」とは。

 

ゲームを愛しなさい

 

なんていう、ある意味当然とも言える結論だったのだから。

まあ、そんな上手い話なんてある訳ないのだろう。

結局は日々の積み重ねが大事だという事だ。

 

『まあまあ、G.Bibleのおかげでアリスちゃんとケイに出会えたわけだしね?真のお宝は・・・仲間だ!って事にしておこうよ。』

 

「何か先生・・・上手い事言ったぞ!みたいな顔してない?」

 

「このG.Bibleがゲームの開発に役立たないのは事実・・・」

 

「はーつっかえ。アリス知ってます、こういうのを無駄足って言うんですよ?」

 

『うぐっ・・・』

 

「王女の言動が、カスのモモイに寄ってきていますね・・・」

 

実際私の半日が徒労と化したのは事実だが、それを改めて指摘されると突き刺さる。

私、あんなに頑張ったのに・・・

やはり結果だけだ、この世には結果だけが残る・・・

 

「一応プログラムでG.Bibleのファイルの中身は2週間後の0時には消えちゃうみたいだから、見ておきたい人が居たら忘れないようにね?」

 

「・・・ッ。」

 

結局、あの後私はヒマリの出した条件を呑むことにした。

あの時の判断が正しかったのかは分からないけど、鏡以外で開く事が出来ないのなら・・・

最初からこうするしかなかったとも思う。

そんな条件を設定した理由を聞いてみたのだが。

 


 

『分かった。まあ、確かに当日になればゲームも作り終わってるだろうし・・・』

 

「削除する事が条件と言いましたが、削除の方はこちらのプログラムで行うので大丈夫です。」

 

『・・・理由を聞いても良いかな?』

 

「乙女には秘密がつきものなんですよ?澄み切った空のような美声を持つ、湖の乙女に勝るとも劣らない私なら猶更です♡」

 


 

なんて、はぐらかされてしまった。

 

 

「まあ二度見るようなものではないけどさぁ・・・あれ?なにこれ。」

 

それはG.Bibleのファイルの中に入っていた、もう一つのファイル。

 

key(ケイ).exe・・・?

 

ウソでしょ・・・(SZK並み感)

えっほえっほ・・・このゲームが完成したらモモイにはみっちり勉強を教えないと・・・

 

key(キー)でしょ、お姉ちゃん。ミレニアムの入試どころか小中学生レベルだよ?」

 

「知ってたけどね?」

 

目を泳がせたまま、そんな事を言うモモイ。

こいつ・・・口みたいな栗しやがって・・・

 

『ケイちゃんは何か知ってる?』

 

アリスちゃんを回収しに行ったときに見た、keyと言う文字列。

恐らくは、アリスちゃんを王女と慕う彼女に関わるものなのだろうが・・・

 

知りま・・・いえ、黙秘します。

 

「えぇ~!?教えてよ!ケチ!」

 

「少なくともあなたに教えることは絶対にありませんからね、アホのモモイ・・・!」

 

知らない・・・ではなく黙秘。

つまり彼女は何かを知っているという事だが。

この様子では教えてはくれなさそうだ。

 

「良いから作業に戻りますよ。私の目が黒いうちは作業スケジュールに遅れは許しませんから!」

 

「ん、ケイって目は赤じゃない?」

 

「そういう!意味じゃ!無いんですよバカモモイ!」

 

「はぁ~!?私のスマホの居候の癖に偉そうに・・・!」

 

 

 

その日はもう夜も近かったので、解散となったわけだが。

この日からついに、ゲーム開発が本格的に始まった。

構想やプロトタイプのようなものは既に作ってあったらしく、特にトラブルが無ければギリギリだが2週間後には完成するだろう。

・・・何もトラブルが無ければ。

 

 

「うおおおおお!アイディアの神が私に舞い降りたっ!」

 

「お姉ちゃん、追いつめられてからの気迫は目を見張るものがあるよね・・・」

 

「どうして普段からそのポテンシャルを発揮しないのか・・・理解に苦しみます。」

 

 

日々はまるで、頁をめくるかのように過ぎ去っていって。

ゲーム開発()順調で。

そんな日々に、プログラムを作ったのにエラーが出ないような・・・不安感を覚える。

 

 

「物語はやっぱり王道を征く・・・RPGですね!」

 

「でもさ、無難すぎるとつまんないじゃん?今度のヒロインは前世の母親で・・・ふべっ!?」

 

「アリス・・・モモイを殴ります!」

 

『そういうのは殴る前に言うのでは?』

 

「流石です王女。もう2,3発殴っておいてください。」

 

 

 

彼女”からアクションがあったのは、提出期限まで残り3日を切ったある日の夕方の事だった。

 

 

「少し良いですか、胡桃沢アリサ。」

 

『私の事は親しみを込めて”先生”か”アリサ先生”って呼びなさい?それでどうしたの?』

 

アリスに構っているのは良く見るが、こうしてケイが私に話しかけてくるというのは珍しい。

君も私のファンになったのかな?

 

「胡桃・・・いえ、アリサ先生はどうして先生になったのですか?」

 

『もう将来の事を見据えてるの?ケイちゃんは偉いなぁ・・・』

 

「・・・雑談レベルの話なので特に深い理由はありません。」

 

雑談と言う割には、随分と真剣そうな声色のケイ。

一体彼女は何者で、何を悩んでいるのだろうか?

それは分からないが、力になってあげたいと思う。

 

『私が先生になった理由?私は両親が先生でさ。』

 

「両親に望まれるべくしてそうなった・・・と。」

 

『いや、全然?むしろ止められたよ、私身体も強くないしさ。』

 

「なっ、それでは何故先生を目指そうと?楽そうだったからという理由ではなさそうですが。」

 

『確かに先生って仕事は大変そうだったよ。帰ってくるのは遅いし、生徒と親御さんと上司の板挟みだっていっつも大変そうにしてたし。』

 

『それでもさ、そんな事を言ってても二人とも・・・』

 

思い出すのは、生徒たちの話をするときに見せてくれた・・・楽しそうに笑っていた二人の顔。

 

『生徒の事を語るときは、とっても幸せそうだったんだ。』

 

『だから、そんなお父さんやお母さんみたいな先生になりたいなって言うのが・・・私が先生を目指したキッカケなの。アリサ先生:オリジンってやつだね!』

 

「あまり一部の人にしか分からないようなネタを会話に仕込まないでくださいよ、全く・・・」

 

『ケイちゃんも人の事言えなくない?』

 

「なっ、私は・・・」

 

私の話を聞き終わって、まるで何かを逡巡するかのように考え込んでいたケイ。

彼女が何を求めていたのかは結局分からなかったが、何となくの方向性は分かった気がする。

 

 

まぁさ、だから自分が何になりたいかは・・・

(1カメ)

 

きっと―――

(2カメ)

 

―――自分で決めていいんだよ。

(3カメ)

 

・・・何処を向いて話してるんですか?

 

ふっ、決まった。

まさに、生徒を導く理想の先生だろう。相手は生徒ではないが。

「そういう所が無けりゃ、ちょっとは見直してやってもいいんだが・・・まあ、照れ隠しと思えばかわいいもんか。」

照れ隠しじゃないわい!

 

「まあ、なんですか。一応その・・・感謝はしておきます。」

 

『うっわぁ!ケイちゃんがデレたぁぁぁ!(ううん、先生として当然の事をしたまでだよ。)』

 

「やっぱり一回死んでください・・・!」

 

 

そんな珍しい事もあったが、期限は刻々と迫ってきている。

あーでもないこーでもないと知恵を出し合いながら、少しずつ完成が近づいて来ていた。

 

 

「宣伝用の広告のBGM忘れてた・・・どうしよう!?」

 

「モモイが歌うのはどう?」

 

「ユ、ユズ!?私が歌うの!?」

 

『はい、モモイ。ウクレレも持ってきたよ。』

 

「しかも弾き語り!?」

 

「録音まで3...2...1...!」

 

「オーマイゴット!こうなったらなるようになれぇ!!!」

 

『・・・モモイって創作方面になると才能あるよね。』

 

 

そうして遂に、提出期限の前日を迎えたのだが。

 

 

「今からここのイベント差し替えれないかな!?悩んだけどこっちの方が絶対良いって!」

 

「お姉ちゃん、提出は明日なんだよ?今日は通しでテストして明日に備えようって・・・」

 

「どうしても妥協したくないの・・・お願い!」

 

「私も・・・その方が良いと思う。」

 

「一応、スケジュール的に可能ではありますが。」

 

「ケイちゃんにユズちゃんまで!?もう仕方ないなぁ・・・」

 

 

結局、作業は22時までかかり・・・

終わった後は、皆泥のように深い眠りに落ちていた。

 

 


 

「やっと、寝静まりましたか。」

 

皆が寝静まった部室で、青い光だけが室内を照らしていた。

画面に表示されているのは、G.Bibleのファイル・・・その中身。

即ち、()の本体ともいえるもの。

あと30分後には消える、Key.exeのファイル。

今までロックされていても私が出現できていたあたり、これが消える事ですぐさま私が消滅するというのは考えづらいが・・・私は鍵としての機能を失うだろう。

 

しりま・・・いえ、黙秘します。

 

このファイルについて尋ねられた時に、咄嗟に口から出た言葉。

あのとき知らないというのは簡単だった。

それでも何故か王女に・・・そして彼女達に嘘をつきたくないと。

そんなくだらないこだわりが、私を動かしていた。

 

 

「・・・理解できません。」

 

悩む理由なんてないはずだ、それこそが私の使命なのだから。

これを使ってミレニアム・・・強いてはエリドゥをこの手に収め王女は戴冠する。

そうする事が、私と王女の作られた目的なのだから。

フォークにはフォークの、スプーンにはスプーンの。

そして人には人の役割と言うものがある。

 

 

「これを使えば、私は本来の役目を果たせる。」

でも、大きな騒動があれば明日のミレニアムプライスは中止を免れないだろう。

王女が、ミドリがユズが・・・一応モモイと先生が頑張って来た作品はお披露目の機会を失う。

作品が無くなる訳では無いが、それでも大きな禍根を残すだろう。

 

 

「使わなければ、私は私の存在する理由を失う。」

無名の玉座の鍵になる事が、私の存在する理由なのだから。

存在理由(レゾンテートル)を失った私に、一体どれ程の価値があるというのだろうか。

 

 

悩む必要なんて、無いはずなのに。

 

 

スケジュールに従わないモモイ。

直ぐに先生にすり寄ろうとするミドリ。

何故か深夜に起こしてくるユズ。

そして、ネットの悪影響を受けてしまった王女。

 

決して正しくなんてない在り方。

歪んだ世界、有り得ざる虚構のはずだ。

それに皆、自分の存在理由から逃れることは出来ない。

私も、そして・・・王女も。

 

 

でも王女は・・・いや、アリスは。

寝ているときには想像もつかなかったような・・・顔で。

楽しそうに笑っているのだ。

それはきっと、私では引き出すことが出来なかった彼女の表情。

その顔を見た瞬間に、私は私の為そうとしている事が正しいのか・・・分からなくなった。

 

それに、私自身にはあの作品を・・・TSC2(テイルズサガクロニクル2)の事を気にする必要なんてないはずなのに。

何故か、続きを見てみたいと思った・・・思ってしまった。

 

―――そうか、私。

 

楽しかったんですね。

 

誰かと何かを作り上げるのが。

同じ目標に向かって歩み続けるのが、その日々が。

あの日食べたオムライスの味だって、今でも鮮明に思い出せる。

 

認めたくはないが・・・

この二週間は、一人で誰かが王女の元へ来るのを待つ退屈な時間よりもずっと新鮮だった。

 

「私は・・・」

 

どうしたいんだろうか。

随分と考え事をしていたらしく、日付が変わるまで・・・

つまり、データが消えるまでの残りは5分。

それまでに私は決断しなくてはならない。

 

そんな時に思い出したのはあの大人でもない癖に、先生面をしたがるあの子供の一言。

自分が成りたい存在は自分で決めていいなんて・・・あまりに身勝手で聞こえのいい言葉。

 

「こんなときに、あんな先生の言葉を思い出すなんて・・・屈辱です。」

 

そんな先生の言葉を真に受けたみたいな行動は、癪に障るから。

だから、これはあくまで・・・そう。

 

「これはあくまで、実行しようと思ったら時間が足りなかっただけです。間に合わなかっただけですから!」

 

そう結論付けた、時間が経つのが早いのがいけないのだ。

 

「だから先生やモモイ達の為では決して・・・あれ・・・?」

 

時計の針は、もう既に12の文字を回っている。

だが、画面に映るのは依然存在しているKey.exeの文字列。

 

「・・・消えてない?」

 


 

あー今日もいい天気・・・かは置いておくとして。

今日はミレニアムプライスの日なんだよ。

 

じゃあ、明日は?」

 

セミナー閉店の日!

 

縁起でもない事を言わないでください!?

 

こういうのでいいんだよ。

ユウカも最近は忙しかったらしく、打てば響くようなツッコミが懐かしい。

とはいえ、彼女もそうゆっくりとはしていられなさそうだが。

 

「私は運営の方の仕事があるので、そろそろ移動しますね?会場は屋内とはいえ、体調に気を付けてくださいね?約束ですから・・・!」

 

『さ、流石に大丈夫だとは思うけど・・・気を付けるね?』

 

ミレニアムでイベントをする際に使うらしい、大きな会場。

本当は、ゲーム開発部のメンバーとミレニアムプライスを部室で見る予定だったのだが・・・

とある人物に会場に来て欲しいとお誘いがあったので、こうして足を運んでいる。

会場の適当な席に腰掛けると、肩を叩かれる。

おそらくは私を呼んだヒマ―――

 

いぇーい、ぴーすぴーす。

私の隣の席に座りながら―――彼女はキメ顔でそう言った。

 

『だ、誰ぇ・・・!?怖い・・・』

 

「貴方の頼れる万能メイドこと飛鳥馬トキです、イェイ。」

 

「全く、先生が困っているじゃありませんか。それにしてもお久しぶりですね先生?」

 

『久しぶりだねヒマリ、私も会いたいと思ってたところなんだ。』

 

「会いたかっただなんて、随分と情熱的なんですね♡」

 

私をミレニアムプライスの会場に誘ったのは他でもないヒマリだ。

私も丁度ヒマリに聞きたいことがあったので、丁度良かった。

 

『ミレニアムプライスが始まる前に聞いておきたいんだけど、どうしてG.Bibleの中身が消えてないのかな?』

 

「その必要がなくなったから・・・と申しましょうか。私としても彼女が何処の椅子に座りたいののかは確認しておきたかったのです。」

 

『な、成程ね?完璧に理解した。』

 

い、椅子・・・?

何で急に椅子の話になったんだ?この会場の何処かに座ってるってコト!?

 

「元より消すつもりは無かったので安心してくださいね?少し意地悪だったかもしれませんが・・・彼女自身も自分を見つめ直す時間が必要としていたように思えますし。」

 

『うんうん、そうだね。』

 

「おや、そろそろミレニアムプライスが始まるようです。結果はどうなっているのでしょうか・・・」

 

盛大なファンファーレと共に始まった、ミレニアムプライス。

凄い発明や面白い作品が多かったが、そのどれもが”実用性”という観点から選ばれたものだった。

我らがゲーム開発部の集大成であるTSC2。

その結果を語るのは、皆と合流してからの方が良いだろう。

 

 

 

部室に帰ってきた私、ユウカが既にいるのは何故なんだ。

とはいえ、まずは()()()()()()が先だろう。

 

『特別賞の受賞おめでとう!』

 

「私達なら1位を取れるって思ったんだけどなぁ~」

 

モモイは不満を口にしつつも、口元がにやけているのが丸わかりだ。

結局、TSC2は特別賞と言う形に落ち着いた。

 

「仕方ないでしょモモイ、ミレニアムプライスの選考基準はあくまで”実用性”に寄るところが大きいんだから。」

 

「でもさぁ・・・」

 

むしろ審査員が既存の枠を曲げてまで表彰したいというのは、とても凄い事だと思うのだが・・・

モモイに伝えると調子に乗って満足した結果、ゲームを作らなくなってしまいそうなので後でこっそり他のメンバーにだけ伝える事にしよう。

 

『今日はお祝いも兼ねて、ご飯食べにいこっか?』

 

「やったぁ!私焼き肉が良い!とびっきり高い所!」

 

「私は先生と一緒ならどこでも嬉しいです♡」

 

「人が少ない所・・・個室が良いです。」

 

個室の焼肉か、随分と高くつきそうだ。

それでもまあ・・・

 

「行きましょうケイ!これが噂の”人の金で食う焼肉は上手い”ってヤツです!」

 

「一体どこからそんな知識を拾って来たんですか全く・・・」

 

 

この笑顔と引き換えだと思えば安いモノだろう。

 

 

走っていくアリスの後ろ姿が、何故か二人いるように見えた。

 

*1
なんでぇ!?




■次回予告

ネットミームに塗れていようと今日も元気にギスギスしているトリニティとゲヘナ!
そんな中でも、ナギサちゃんは両校の和平条約であるエデン条約を推し進めているようです。
だけど、その裏では既に大きな動きがあって・・・
え、動かしたのは・・・私?


【挿絵表示】


次回 ”壮大に 何も 始まらない。”

シリアスならさっきヨーグルトと混ぜて食べたけど?


というわけで、程々にご期待ください。
その前に先に幕間が挟まりそうですが。

作中のミームってどこまで把握してますか・・・?

  • 0-19%そのままの君で居て欲しい
  • 20-39%一般人の範疇
  • 40-59%オタク君さぁ・・・
  • 60-79%マジで危機感持った方が良い
  • 80-100%キッショなんで分かるんだよ
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